9mm弾と45ACP弾の違いとは? 45口径と比較して徹底解説!

この記事の要約

  • 9mm弾と.45ACP弾の歴史・開発背景を紹介し、軍や警察での採用経緯を解説。
  • 弾速・反動・命中率・貫通力・価格・装弾数などを比較し、それぞれの長所と短所を整理。
  • ストッピングパワーは口径差より命中箇所の影響が大きく、両者に決定的な優劣はないと結論付けている。

拳銃弾の9mm弾と.45ACP弾は何が違う?

殺傷力が優れるのはどっち?

貫通力や命中率の違いとは?

この記事では、軍や警察で利用される拳銃弾である「9mm」と「.45ACP」を比較します。

アメリカで9mmピストルと.45ACPピストルを所有した私の経験も踏まえ、詳しく解説します。

目次

9mm弾とは?

9mm弾の画像

9mm弾(以下9mm)は、銃器設計者のゲオルグ・ルガーによって設計されたピストル用弾薬です。

一般的に「9mm」と呼ばれますが、他にも、

  • 9×19mm パラベラム(9x19mm Parabellum)
  • 9mm パラ(9mm Para)
  • 9mm ルガー(9mm Luger)

・・・と呼ばれています。

9x19mmの数字「9」は「口径9mm」を意味し、「19mm」は薬莢の全長を意味します。

(※実測値は口径8.79mm、薬莢長は19.15mm)

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「パラベラム」とは、「平和を望むなら、戦争の準備をせよ(Si vis pacem, para bellum)」という紀元前4~5世紀のラテン語の格言に由来し、9mmを開発したドイツDMW社の標語として使用されています。

9mmにはNATO軍の「9mm NATO」が存在しますが、9mm NATOは通常の9mmよりも高圧な軍用規格で、民間の「9mm+P」に相当する強力な弾薬です。

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9mmの開発背景

オーストリア出身のゲオルグ・ルガーは、オーストリア=ハンガリー軍に入隊し、射撃の腕前を見込まれて士官候補生となりました。

除隊後は職を転々とするうちに銃器設計技師のフェルディナント・フォン・マンリヒャーと知り合い、ライフル用弾倉の開発で協力します。

ボーチャードピストル 画像出典:Wikipedia

1891年、ドイツの武器弾薬製造会社であるLudwig Loewe & CO(後のDWM社)に入社し、C93ピストルの改良を担当。

アメリカ陸軍にC93ピストルを売り込むものの、「重量バランスの悪さ」「反動の大きさ」「製造コストの高さ」などを理由に却下されました。

ゲオルグ・ルガーは却下理由を分析したのち、7.65x21mm パラベラム弾を開発した他、銃身やトグルロックを軽量小型化、グリップ角度を変更するなどして操作性を向上させます。

1898年にルガー・ピストルが完成すると、1900年にスイス軍がルガーM1900(7.65x21mmパラベラム)を採用。

威力を向上させるため、口径を9mmに拡大し、1901年に9x19mm パラベラム弾が開発されます。

ルガーP08
ルガーP08 画像出典:Wikipedia

9mmは1904年にドイツ海軍に採用され、1908年にドイツ陸軍が採用。

第二次世界大戦中、ドイツ軍は節約のために鉛製コアを鉄製コアに更新し、「08 mE(mit Eisenkern “鉄芯付き”)」と呼んでいました。

1968年にはアメリカ・イリノイ州警察がS&W M39ピストルを採用し、アメリカで最初に9mmを採用した法執行機関となります。

画像出典:impactguns.com

1980~1990年代には9mmが広く普及し、1985年にアメリカ軍が9mm口径のベレッタM9を採用。

現在9mmはヨーロッパをはじめとした世界各国の軍や法執行機関で採用されており、民間市場でもトップクラスの市場シェアを誇ります。

.45ACP弾とは?

画像出典:shootingtimes.com

.45ACP弾(以下.45ACP)は、1904年にアメリカのジョン・モーゼス・ブローニングによって開発されたピストル弾です。

「.45ACP」の他に、「.45オート」や「.45オートマチック」とも呼ばれています。

「45」という数字は「口径0.45インチ(11.43mm)」を表す数字。

「ACP」は「オートマチック・コルト・ピストル(Automatic Colt Pistol)」の略称です。

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.45ACPの開発背景

画像出典:saami.org

.45ACP誕生の背景には、当時採用されていた弾薬のパワー不足がありました。

アメリカとフィリピンの戦争(米比戦争:1899~1902年)において、当時アメリカ軍が採用していた「.38ロングコルト弾」がフィリピンのモロ族に対して有効ではなかった(ストッピングパワーが不足していた)と明らかになります。

また、1905年10月26日、フィリピンのサマール島にて囚人の脱獄未遂事件があり、.38ロングコルトが囚人に4発命中したにもかかわらず行動不能にできなかったことが問題視されました。

当時のアメリカ陸軍将校であり、トンプソン・サブマシンガンの開発者としても有名なジョン・トンプソンは軍から問題解決を一任され、新弾薬に必要な性能を探ります。

イリノイ州シカゴの「ネルソン・モリス・カンパニー」にて、生きた牛と馬、そして人間の死体を利用した実射テストを実施。

テストは2日間行われ、比較のため次の弾薬が試されました。

  • 7.65×21mm パラベラム(.30ルガー)
  • 9×19mm パラベラム
  • .38ロングコルト
  • .38ACP
  • .45コルト
  • .476エリー
  • .455ウェブリー

テスト内容は、家畜に対する各弾薬の効果を確認し、人間の死体を吊るした状態で射撃して着弾時の揺れ具合を計測。

その結果、テストを実施した委員会は「最低でも.45口径が必要である」と結論付けます。

コルトM1911A1 画像出典:Wikipedia

.45ACPと、これを使用するコルトM1911ピストルは、1911年にアメリカ軍に採用。

最初の.45ACPのスペックは、弾頭重量200グレイン(約13グラム) 、銃口初速900フィート/秒(約274メートル/秒)、マズルエナジー360 ft-lbfでした。

(現在では、230グレイン弾頭がスタンダードな弾頭重量となっています)

MEU1911ピストル画像
画像出典:Wikipedia

米軍においてM1911A1ピストルは1985年にベレッタM9に交代されるまで採用され、米海兵隊では2022年まで採用されていましたが、.45ACPは現在も米海兵隊の一部で利用されています。

米海兵隊での出来事
1911年アメリカ陸軍がオリジナルのM1911を採用
1926年M1911A1が導入され、改良が加えられる
1985年ベレッタM9がアメリカ軍全体の標準サイドアームとして採用される
1986年海兵隊がM1911A1ピストルを改良し、MEU(SOC)ピストルとして配備を開始
2002年アメリカン・ハンドガナー誌が海兵隊のM1911アップグレード部品の購入についての記事を発表
2002~2003年頃海兵隊がKimber社製のICBQピストルを購入
2012年コルト社製の新しいM1911がM45A1として選定される
2016年MARSOCがM45A1をグロックに更新を始める
2017年アメリカ陸軍がSIG SauerのMHS(Modular Handgun System)を採用
2019年海兵隊が標準サイドアームをM18(9mm)に更新する計画を発表
2019年海兵隊がグロック19Mピストル(M007)を一部の部隊に支給
2019年スコット・ミラー将軍がカスタムM1911を携行している姿が確認される
2022年10月M45A1(.45ACP)からM18(9mm)への更新が完了

.45ACP活躍の歴史

年代戦争・事件内容
1918年第一次世界大戦フランスにて、アメリカ兵アルヴィン・ヨーク軍曹が塹壕に突撃。1911ピストルで6人のドイツ兵を無力化し、将校に投降させることで計132人のドイツ兵を捕虜とした。
1918年第一次世界大戦フランク・ルーク陸軍航空隊中尉は、8日間で敵機14機と気球10機を撃墜。重傷を負い不時着後、地上で1911ピストルを使用してドイツ兵と交戦し戦死。死後、名誉勲章を追贈。
1898年~1934年バナナ戦争(中央アメリカ軍事介入)この期間、1911ピストルが広く使用された。米国内ではテキサスレンジャーやFBIなどの法執行機関でも採用が進行。
1925年~ギャングとFBIアル・カポネは愛用の1911ピストルを「スウィートハート」と呼称。ジョン・デリンジャーは改造フルオートモデルを使用。1934年、FBI捜査官チャールズ・ウィンステッドが1911ピストルでデリンジャーを射殺。
1939年~1945年第二次世界大戦1911ピストルは米陸軍、海軍、空軍の全軍で採用。製造数は約300万丁。
1955年~ベトナム戦争主力サイドアームとしてトンネル戦などで使用。1970年代後半には老朽化が問題化し、1985年にベレッタM9へ更新。
1993年モガディシュの戦いデルタフォースのゲイリー・ゴードンマスター軍曹は、致命傷を負った後も1911ピストルで戦闘を継続。残弾が尽きるまで戦い戦死。後に「ブラックホークダウン」として書籍化、映画化。

9mmと.45ACPの比較

ベレッタ92FSの画像

9mmと.45ACPの違いを比較します。

9mm.45ACP
規格9x19mm.45ACP(11.43x23mm)
開発年1901年1904年
開発者ゲオルグ・ルガージョン・M・ブローニング
開発国ドイツ帝国アメリカ合衆国
設計ベース7.62x21mm新規設計
リムリムレスリムレス
薬莢形状テーパードストレート
開発時の使用銃ボーチャードC93コルトモデル1905
コルトM1911
一般的な弾頭重量115~147グレイン185~230グレイン
※銃口初速約1,100~1,300 ft/s約700~1,000 ft/s
※マズルエナジー約310~430 ft-lbf約250~510 ft-lbf
リコイルエナジー3.75 ft-lbf
(ベレッタM9使用時)
5.46 ft-lbf
(コルト1911使用時)
反動速度10.67 ft/s
(ベレッタM9使用時)
12.09 ft/s
(コルト1911使用時)
最大腔圧(SAAMI)35,000 psi
45,700 psi(NATO)
21,000 psi
最大有効射程距離25~50ヤード25~50ヤード
反動小さい大きい
速射性高い低い
速射時命中率高い低い
近距離命中率高い高い
中距離命中率高い低い
貫通力高い高い
価格安い高い
市場シェア大きい小さい
一般的な装弾数多い
(10~17発が多い)
少ない
(7~8発が多い)
弾道フラット落下が大きい
サプレッサーの相性悪い
(超音速)
良い
(亜音速)

※銃口初速とマズルエナジーは、弾頭重量115グレインの9mmと、弾頭重量230グレインの.45ACPを参考にしています。

弾速

9mmと.45ACPはどちらも様々な種類が存在し、メーカーやブランドによって多くのバリエーションが展開されています。

弾速は、「装薬量」「弾頭重量」「装薬燃焼速度」「銃身長」などの要素によって異なり、「低速~高速な9mm」「低速~高速な.45ACP」が存在します。

比較対象によっては、9mmと.45ACPの弾速差の幅が大きく異なる場合があり、低速な9mmと高速な.45ACPを比較すると、.45ACPの方が弾速が速い場合もあるでしょう。

しかし、平均的には9mmの方が弾速が速く、.45ACPは低速な傾向があります。

9mmは1,100 ft/sを超えるものが多く、.45ACPは1,000 ft/sを下回るものが多い傾向があります。

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マズルエナジー

マズルエナジー(マズルエネルギー)とは、発射された直後の弾が持つ運動エネルギーです。

日本語では、「初活力」「銃口エネルギー」「銃口威力」などと呼ばれ、「弾頭重量 x 初速の二乗」で求められます。

マズルエナジーの大きさは殺傷力に影響しますが、「マズルエナジーの大きさ」と「殺傷力」は比例しません。

※「殺傷力」については後述します。

9mmと.45ACPを比較すると、平均的に.45ACPの方がマズルエナジーが大きい傾向があります。

上の表では、弾頭重量115グレインの9mmと、弾頭重量230グレインの.45ACPを参考にしました。

しかし、弾頭重量が異なると結果も異なります。

下の表はフェデラル社製の9mmと.45ACPの一例です。

9mm.45ACP
弾頭FMJFMJ
弾頭重量115 gr230 gr
銃口初速1,180 ft/s890 ft/s
マズルエナジー356 ft-lbf405 ft-lbf
9mm.45ACP
弾頭FMJLead Free IRT
弾頭重量147 gr137 gr
銃口初速1,000 ft/s1,200 ft/s
マズルエナジー327 ft-lbf438 ft-lbf
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反動と速射性

反動の大きさは、「弾薬」と「銃の総重量」のバランスによって異なります。

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一般的に反動は9mmの方が小さい傾向があり、連射時の命中率は9mmの方が.45ACPよりも良好です。

リコイルエナジーを計算すると、9mmはベレッタM9使用時に3.75 ft-lbfとなり、.45ACPは1911ピストル使用時に5.46 ft-lbfとなります。

射撃スキルに個人差がある不特定多数の軍や法執行機関においては、反動をコントロールしやすく、誰でも高い命中率を期待できる9mmに優位性があります。

一方、.45ACPは反動が大きいため、高い命中率を得るにはトレーニングを必要とし、トレーニングには時間とコストが掛かります。

このことは、軍や警察で.45ACPが採用されにくい要因のひとつです。

2007年のFBIによる調査では、.40S&Wや.45ACPよりも、9mmが総合的に優れると判断されました。

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命中率

命中率は、「弾薬の設計」「ライフリング」「トリガープル」などの条件によって異なるため、一概に9mmと.45ACPのどちらが優れるとはいえません。

しかし、弾速が低速で空気抵抗が大きい.45ACPは、ターゲットまでの距離が離れるほどドロップ(落下量)が大きく、命中率が低下します。

一方、9mmは尖頭弾ということもあり空気抵抗が少なく、弾道がフラットで、中距離以上でも命中させやすいといえます。

また、速射時の命中率を比較した場合、反動が大きくなりやすい.45ACPは命中率(集弾率)が低下する傾向があります。

反動の大きい銃で高い命中率を維持するには、相応の射撃スキルを必要とする場合があります。

私の経験では、1911ピストル(.45ACP)は切れの良いスライドトリガーとシングルアクションの組み合わせにより、速射時でも発射のタイミングを掴みやすいため、慣れていると多少マズルジャンプが大きくても良い集弾を維持することが可能でした。

特にノーマルモデルとチューンされたカスタムモデルでは、撃ちやすさと命中率に雲泥の差を感じられます。

ベレッタ92FS(9mm)は1911ピストルよりもトリガープルに慣れが必要で、集中力を欠くと集弾が悪くなるのが私のクセ。

しかし、どのピストルも射撃スキル向上により、一定の命中率を維持することが可能です。

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弾道

100ヤードでゼロインした状態で500ヤードまでの弾道を追うと、このような弾道曲線になります。

データはフェデラル社のFMJ弾を参考にしています。

スクロールできます
距離
(ヤード)
落下量
(9mm)
落下量
(.45ACP)
弾速
(9mm)
弾速
(.45ACP)
エナジー
(9mm)
エナジー
(.45ACP)
ミリ秒
(9mm)
ミリ秒
(.45ACP)
0-1.4729-1.4553117985035536911
503.24085.77331046819279343136181
1000.02210.0403958790234319287368
150-12.6570-19.6107893764204298449561
200-36.2379-54.1726839738180278623760
250-72.1661-104.6812792714160260807967
300-121.9438-172.221375069114424410011181
350-187.1663-257.931371166912922912071401
400-269.8578-363.393267564811621414241630
450-371.3436-489.624464162810520116521866
500-494.3599-637.96256096089518918932109
落下量はインチ、弾速はフィート毎秒、マズルエナジーはフットポンドを表します。

ドロップ(落下量)の大きさは.45ACPの方が顕著です。

しかし、質量が大きい.45ACPは空気抵抗による減速が緩やかなのがわかります。

有効射程距離は両者共に25~50ヤード以内になるため、100ヤードを超えるデータは実用的ではありませんが、今回は違いを比較する目的で500ヤードまでの弾道データを参照しました。

貫通力

9mmと.45ACPの貫通力テストは様々な媒体で実施されており、Youtubeでも多くの動画が公開されています。

傾向として、9mmの方が.45ACPよりも、「やや高い」貫通力を持ちます。

しかし、貫通力の差は判断が難しいところです。

なぜなら、先述のとおり、各メーカーやブランドによって「弾頭設計」「弾速」「弾頭重量」が異なるため、比較対象次第で貫通力の差が異なります。

9mmと.45ACPの比較において、テストの条件によっては、9mmの方が貫通力が勝る結果になることもあれば、.45ACPの方が勝る結果になる場合もあります。

テストに使用されるバリスティックゼラチンは、製造法や気温による硬度の差がが影響するため、複数のテストを総合して判断することが困難です。

そのため、業界ではFBI指定によるテスト方法が参考にされることが多いといえます。

バリスティックゼラチンテスト
画像出典:Lucky Gunner Ammo

FBIでは指定の条件下で12~18インチの貫通力を必要としており、12インチ未満や18インチを超える貫通力はマイナスと評価されています。

その点、9mmと.45ACPはどちらも12~18インチの範囲に収まる設計の弾頭が多く、対人用として必要な貫通力を持ちます。

コンクリートブロックなどのハードターゲットに対しては、どちらも同等というレベル。

弾頭重量が軽量な9mmは、高速な弾速による運動エネルギーが貫通力の高さに影響しています。

運動エネルギーの式が、K.E. = 1/2 m v^2 であるように、マズルエナジーは「弾頭重量 x 初速の二乗」となるため、スピードはパワーの源といえるでしょう。

しかし、発生するクレーターの大きさや、穴(永久空洞)の大きさは、口径が大きい.45ACPの方が大きくなります。

物体を破壊する見た目の派手さは、.45ACPが勝る傾向があります。

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価格

9mmと.45ACPの価格を比較すると、.45ACPは9mmよりも約3~4割増で高価な傾向があります。

法執行機関で9mmが好まれる理由のひとつが「コストの安さ」です。

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市場シェア

アメリカではどちらも入手しやすい弾薬であるものの、市場シェアの割合は9mmが圧倒的。

2017年のアメリカの調査によると、9mmは法執行機関で約60%のシェアを持ちます。

また、9mmの市場シェアは全体の約21%といわれています。

様々な種類の弾薬が存在するなかで、「21%」は大きな数字といえるでしょう。

一方、.45ACPは北米や南米で人気がありますが、世界的にはシェアが小さいといえます。

装弾数

装弾数は銃のモデルによって様々ですが、コンパクトな9mmは.45ACPよりも小さい容量で多くの装弾数を持たせることができます。

そのため、携帯性と装弾数を重視するユーザーには9mmが好まれます。

多くのピストルでは、9mmは6~20発、.45ACPは6~18発が収まります。

例を挙げると、ベレッタM9は15発、コルト1911は7~8発、コルト1911の9mm口径モデル(フルサイズ)では9発からとなっています。

特殊な例では、FN 545 Tacticalは.45ACPピストルでありながら18発のマガジン装弾数を持つハイキャパシティーピストルです。

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サプレッサーとの相性

画像出典:Wikipedia

気温20度での音速は、344 m/s (1,130 ft/s)

多くの場合、9mmは超音速(スーパーソニック)になり、.45ACPは亜音速(サブソニック)になるため、サプレッサー使用時には.45ACPの方が減音効果が高くなります。

音速を超えると衝撃波による大音響(ソニックブーム)が発生するため、音速を超えない亜音速弾がサプレッサー使用時の静寂性に優れます。

9mmにも亜音速弾が存在しますが、亜音速弾は速度低下によりマズルエナジーが低下するのが問題といえるでしょう。

.45ACPは9mmの2倍近くの弾頭重量があり、亜音速でも質量による一定のマズルエナジーを維持できるため、.45ACPはサプレッサー使用時に優位です。

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マン・ストッピング・パワーとは?

9mmと.45ACPを比較したとき、対人用にはどちらの方が効果があるのか?

先に結論を述べると、9mmと.45ACPに差はありません。

その理由について解説します。

まずは「ストッピングパワー」について知る必要があるでしょう。

ストッピングパワーとは、人や動物を行動不能(無力化)にする能力です。

「マンストッピングパワー」とも呼ばれます。

ストッピングパワーは定量化できないため、研究が難しい分野です。

被弾した対象が行動不能になる原因には、「弾頭設計の差異」「被弾箇所の差異」「生物学的影響」「心理的影響」があり、それぞれが複雑に影響し合うため明確な答えがありません。

そのため様々な議論が起こります。

しかし、「大量の失血」や「中枢神経(脳や脊髄)へのダメージ」は、「無力化」に直接的な影響があると考えられています。

ストッピングパワーで重要な3要素

弾頭の設計において、ストッピングパワーに影響を及ぼす重要な要素とされているのは、次の3つです。

  1. 貫通力
  2. 弾頭の拡張
  3. 運動エネルギーの伝達

貫通力が高く、着弾時に弾頭が大きく拡張し、運動エネルギーを体内で消費する弾薬が、「ストッピングパワーが優れる弾薬」と考えられています。

これを9mmと.45ACPに当てはめて比較すると、ソフトターゲットに対しては以下のような傾向があります。

9mm.45ACP
貫通力高いやや高い
弾頭の拡張小さい大きい
運動エネルギー伝達大きい大きい

貫通力については、比較対象次第で9mmの方が高い場合もあれば、.45ACPの方が高い場合もあります。

これは規格の違いによって差が生じるものではなく、各製品によって異なります。

フェデラルHST 画像出典:handgunsmag.com

弾頭の拡張は、種類によって差はあれど、口径で勝る.45ACPの方が約1.5~2倍大きい傾向があります。

着弾時に弾頭が拡張されると抵抗が増えてブレーキがかかり、拡張が大きい.45ACPは減速し不利になりそうですが、.45ACPは質量が大きいため、慣性力のおかげで高い貫通力を得られます。

必用な運動エネルギーの伝達は、ターゲットを完全に貫通しなければ目的を達成可能で、FBI指定の18インチを超えない適度な貫通力が理想的といえるでしょう。

これはいずれの場合でも各製品によって異なります。

※以下のluckygunner.comの記事では、ホローポイント弾の詳細なテスト結果が公開されています。

https://www.luckygunner.com/labs/self-defense-ammo-ballistic-tests

9mmと.45ACPにおけるストッピングパワーの実際

強力なライフル弾との比較であれば、圧倒的なスピードにより、「ライフル弾の方がストッピングパワーが強い」と判断可能です。

また、1980年代のホローポイント弾は拡張されない場合があるなど、性能が不十分だったため、当時は9mmよりも.45ACPの方がストッピングパワーに優れていることが明確でした。

しかし、技術の発展により9mmの性能向上が目覚ましく、現在では9mmと.45ACPの差異が小さくなっています。

この差がストッピングパワーにどの程度影響するかは、一概に判断できません。

ストッピングパワーの差は、9mmと.45ACPという弾薬の規格の違いよりも、「被弾箇所」「弾頭設計の違い」「弾薬の性能」による影響が大きいといえます。

銃創学的観点から考えるストッピングパワー

銃創学的観点では、アメリカの複数の医師が「両者に差はない」と証言しているとおり、9mmと.45ACPに明確なストッピングパワーの差は無いと考えられています。

ペンシルベニア州立医科大学の外傷外科准教授であり、保安官事務所SWATチームの戦術医学プログラム責任者であるシドニー・ベイル医学博士は、次のように回答しています。

【質問】9mm、.40、.45 の間には、創傷弾道に関して本当に大きな違いがあるのでしょうか?

【ベール医学博士】:弾頭の大きさ以外は、ありません。重要な部分に当たらない限り、何を当てても同じだからだ。肩に45口径を当てても生き残る。肩に9ミリを当てても助かる。脳天に22口径を撃ち込めば死ぬかもしれない。つまり、脅威を食い止めるには口径ではなく、位置が重要なのだ。

ハンドガンは口径に関係なく、脅威を止めるのに適していない。ライフル弾はその弾道と、体に与えるエネルギーの大きさから、ライフルの方が脅威を止めるのに適しているのだ。

policemag.com/blogs/weapons/blog/15317196/a-trauma-surgeon-talks-about-wound-ballistics-and-stopping-power

ここで重要なのは、今日、法執行官が通常使用する弾薬で、確実にストッピングパワーが優れていると主張できるものはないということだ。

私は、22口径の弾丸が誰かを完全に無力化し、45口径の弾丸がその結果を達成できなかったのを見たことがある。10mm弾や.357SIG弾で撃たれた人や動物は、警察から逃げおおせている。私は戦術的医療提供者として、自殺志願者が.45コルト弾で自分の頭を撃ち、即死した現場に立ち会ったことがある。また、22口径、25口径、32口径などの小口径を使用した自殺でも同じ結果を見たことがある。また、9mm、.40、.45で撃たれても、よろめいたり、言葉や体の動きが鈍ったりすることもないことがあった。

そこで、最初の質問に戻る:どの弾薬が一番ストッピングパワーがあるのか?その質問には答えられない。私が言えることは、貫通力と拡張力という謳い文句に確実に応える弾薬を探すべきだが、この2つの要素だけがストッピングパワーに関係しているとは思わないでほしいということだ。

policemag.com/weapons/article/15347868/stopping-power-myths-legends-and-realities

FBIも同様に、研究結果から両者に差は無いと公式に発表しています。

シドニー・ベイル医学博士は、次のようにも述べています。

銃撃戦で勝つためには、最もストレスのかかる状況下でも、射撃の正確性を維持しなければならないのだ。ピストルのマガジンの装弾数が多いほど、正確な射撃の可能性(命中率)が高まる。そのためFBIは、1マガジンあたりの装弾数が多く、より迅速で正確なフォローアップショットが可能で、反動が少なく、.40 S&Wと弾丸の物理的特性がよく似ている9mmへの変更を選択したのです。

外傷外科医の観点からは、9mmも.40口径も傷害、負傷、無力化、殺傷が可能である。しかし、狙った目標を達成できるかどうかは、命中箇所が最も重要である。私は20以上の “穴 “を持つ患者を治療してきたが、死に至るほどの組織損傷や出血を引き起こさないことがあった。また、たった一つの「穴」で死亡した患者を治療したこともある。

policemag.com/weapons/article/15346806/9mm-vs-40-caliber

先述のとおり、ストッピングパワーは定量化できないため、これを証明した例がありません。

しかし、「当たりどころ次第」で結果が異なることは経験から知られています。

さて、皆さんはどうお考えでしょうか?

私は医師やFBIと同意見で、「9mmと.45ACPにストッピングパワーの差はない」という結論で納得しています。

ストッピングパワーと装弾数

最後に、興味深い記事を紹介したいと思います。

タイトルは、「なぜこの警官は145発の弾薬を携帯するのか?(Why one cop carries 145 rounds of ammo on the job)」です。

https://www.police1.com/officer-shootings/articles/why-one-cop-carries-145-rounds-of-ammo-on-the-job-clGBbLYpnqqHxwMq/

簡単に内容を説明すると、2008年にシカゴの警官が銀行強盗犯と撃ち合いになった実話です。

警官はグロック21(.45ACP)を撃ち、14発が犯人に命中。

命中した14発のうち、6発が致命傷となるはずの「心臓」「右肺」「左肺」「肝臓」「横隔膜」「右腎臓」に命中したにもかかわらず、犯人は行動不能に陥ることなく警官に向かって銃を撃ちつづけました。

警官視点では、「犯人に命中した手ごたえがあるのに、なぜか倒れる様子がない」という状況です。

犯人はアルコールや薬の影響を受けていない状態でした。

しかし、警官が慎重に狙って撃った3発が犯人の頭部に命中したことで、やっと無力化に成功。

警官が計33発を発射して決着し、このときマガジン内の残弾は4発でした。

この事件の後、警官は.45ACPから9mmに変更し、計145発を携帯するようになったということです。

ストッピングパワーが優れるはずの.45ACPでも、有効とは限らない事象があります。

人や動物は複雑な構造で、「伸縮性の異なる細胞組織」「空洞」「硬い骨」「液体」などで構成されるため、着弾時の角度が少し変化するだけでも結果を大きく左右する場合があります。

バリスティックゼラチンのテストは、各弾薬の相対的な比較を可能にするものであって、人体を正確にシミュレートするものではありません。

バリスティックゼラチンのテストでわかるのは貫通力の比較であり、テスト結果が良好だからといって実際の人や動物に効果があるとは限りません。

質問と回答

9mmと45ACPの弾薬について、マズルエナジーの差はあるものの、ストッピングパワーは同等だとされる風潮がありますが、実際にはどうでしょうか。

スチールターゲットを倒す、あるいはコンクリートブロックを破壊するといったハードターゲットに対しては、口径が大きく弾頭重量が重い.45ACPの方が、9mmより効果が高いとされています。

一方で、人体に対しては口径の大きさよりも命中箇所、いわゆるショットプレースメントの影響が大きいとされています。この点については、アメリカの複数の医師が証言しており、弾道学上の差は存在するものの、銃創学上の差はほとんどないと言われています。

.45ACPを複数発被弾しても行動を継続できる場合がある一方で、.22LRの1発で行動不能に陥るケースもあります。被弾位置がわずか1cm異なるだけで、結果が大きく変わる場合もあります。

9mmと.45ACPを比較すると、永久空洞の大きさでは.45ACPが勝りますが、貫通力では9mmが勝るとされています。

大口径弾は出血量が多くなる可能性がありますが、貫通力が高い弾薬の方が、致命傷となる臓器や中枢神経に到達しやすい可能性もあります。

ただし、実際の被弾状況において、全く同一の条件を二度再現することは不可能です。ストッピングパワーは定量化できない概念であり、どちらが優れているかを客観的に証明した人物は存在しません。

なお、軍用ライフル弾のように、ピストル弾を大きく上回る弾速を持つ場合は結果が明確に異なります。高速なライフル弾は、ピストル弾よりストッピングパワーが高いと言えます。

45ACPのホローポイント弾は、人体を貫通しないほど貫通力が弱いのでしょうか。

人体を貫通するかどうかは、さまざまな条件によって左右されます。

必要とされる貫通力は、正面から射撃して臓器に到達できるかどうかだけで判断できるものではありません。

被弾時の姿勢によっては、肩や手足を貫通した後に胴体へ到達する場合もあります。厚手のレザーコートを着用している状況や、自動車のドアやガラスを貫通した後に命中するケースも想定されます。有効弾とするためには、こうした条件下でも一定の貫通力が求められます。

貫通力が高ければ、障害物を越えてターゲットを停止させる可能性が高まります。

同条件で9mmと.45ACPを比較すると、一般的には9mmの方が貫通力が高い傾向にあります。ただし、ホローポイント弾の実際の貫通力は、弾頭拡張時の直径、拡張速度、+P弾による弾速差などによって大きく変化します。

バリスティックゼラチン試験では、約10インチ程度しか貫通しない.45ACPも存在します。一方で、20インチ以上貫通する.45ACPも確認されています。弾頭設計や弾速の違いが、結果に大きく影響します。

防弾チョッキを着た状態でのダメージには、どのような影響がありますか。

拳銃弾に対応するボディアーマーでは、NIJレベルIIからレベルIIIA以上が使用されます。

レベルIIは9mmや.357マグナムを停弾させることが可能です。レベルIIIAは.44マグナムを停弾させることが可能とされています。

これらのボディアーマーを着用していれば、9mmと.45ACPのどちらにも対応し、被弾してもダメージを受けません。

まとめ

9mmには次の特徴があります。

  • 反動が軽くコントロールしやすい
  • 小さい容量でも装弾数が多い
  • 価格が安く入手しやすい

.45ACPには次の特徴があります。

  • ホローポイント使用時に拡張が大きく、弾速が速い場合は、より大きなストッピングパワーを得られやすい可能性がある。
  • サプレッサーと相性が良く、ソニックブームが発生しない。

9mmと.45ACPのどちらが優れるか?

これには様々な議論があり、プロの間でも意見が割れています。

9mmを好む部隊があれば、.45ACPを好む部隊もあります。

目的や優先順位の違いから選択が異なることもあります。

しかしストッピングパワーについて確実に言えることは、「口径の違い」よりも、「命中箇所の違い」による影響の方が結果を左右するということです。

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