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散弾とショットシェル(散弾のサイズとチョークによる効果)

ショットガンの弾薬(ショットシェル)には、さまざまなサイズや種類があり、それぞれ特定の用途や目的のために設計されています。

この記事ではショットガンに使用される散弾とショットシェルについて解説します。

ショットガンの口径

ショットガンの画像

ショットガンのメジャーな口径は、10、12、16、20、24、28ゲージと、.410口径があります。

口径とは、銃身(バレル)の内径です。

口径の単位の呼び方は、12番、12番ゲージ、12ゲージなどと呼ばれます。

散弾の弾の大きさは1号、2号、または、ナンバー1(NO.1,#1)、ナンバー2(NO.2, #2)と呼ばれます。

ゲージ(番)口径(インチ)口径(mm)
100.77519.685
120.72918.5166
160.66216.8148
200.61515.621
240.57914.7066
280.55013.97
320.52613.3604
360.50612.8524
670.41010.414

歴史的にショットガンの口径の表示方法は英国から始まり、弾の重量表示になっています。

例えば、口径が12ゲージの場合、口径(18.5mm)と同じ直径の弾(18.5mm)の重量が1ポンド(453.6グラム)に達するには弾が12個必要なため、この口径は12ゲージとなります。

つまり、1ポンド分の弾の数が口径を表しています。口径が大きければ弾の個数が少なくなるのでゲージは小さくなり、逆に口径が小さくなればゲージは大きくなります。

言い方を変えれば、重量1/12ポンドの弾の直径が12ゲージ、重量1/10ポンドの弾の直径が10ゲージです。

10ゲージと12ゲージを比較すると、10ゲージの方が大きい口径です。

.410という口径はインチ表示で0.410インチとなります。

.410口径はゲージ換算で67ゲージですが、一般的に67ゲージとは呼ばれません。

ショットガンの散弾の直径

銃の画像
Photo via gunnewsdaily.com

ショットガンの弾薬はショットシェル(SHOTSHELL)と呼ばれ、中に入っている弾丸(散弾)をショット(Shot)、またはペレット(Pellet)と呼びます。

なかでも「スラグ」「バックショット」「バードショット」といった弾が多く利用されています。

狩猟用途では、スラグは熊などの大型の獲物、バックショットは鹿などの中型の獲物、バードショットは鳥撃ちに使用されます。

バックショット語源は、鹿(Buck)をショット(Shot)で撃つためバックショット(Buckshot)と呼ばれるようになりました。

バックショットより粒の小さなショットは歴史的に鳥撃ち専用だったことからバードショットと呼ばれますが、単にショットとも呼ばれます。

材質は鉛がメジャーですが、最近では鉛害を防ぎ環境にやさしいスチール、タングステン、タングステンポリマー等が使用されている散弾も存在します。

散弾の大きさには規格があり、対人用には主に000(トリプル・オー・バック)00(ダブル・オー・バック)が使用されます。

散弾の規格はアメリカ、イギリス、ドイツでそれぞれ異なります。

直径(インチ)直径(mm)アメリカイギリスドイツ
0.369.14000LGPosten II
0.338.3800SGPosten III
0.328.130
0.307.621Spcl LG
0.276.862Osten I
0.256.353SSG
0.246.104
0.235.8FF
0.225.59F
0.215.3TT
0.205.08TAAA5/0
0.194.83BBB
0.184.57BB
0.1754.45BB1
0.164.061
0.153.812
0.143.56313
0.133.30434
0.123.05545
0.112.79656
0.102.5476
0.0952.417.577
0.092.29888
0.0852.168.5
0.082.03999
0.071.810
0.061.511
0.051.312
0.041Dust
直径(インチ)直径(mm)アメリカイギリスドイツ

日本のエアガンでBB弾といえば直径6mmが主流ですが、元々はこの表にある通りBBのサイズは4.57mm(0.177インチ)でした。

しかし、アメリカのエアガンメーカー、デイジー 社がショットガン用散弾と区別するため、1900年頃に規格を4.45mm(0.175インチ)に変更し、アメリカではエアガン用BB弾と言えば現在でも0.175インチが広く流通しています(一部で0.177インチも使用されています)。

アメリカではこの他にも異なる直径の弾が流通しており、そのうちの一つである6mm規格のエアガンが日本に輸入され、日本のBB弾は直径6mmとして定着しました。

スラグ / スラッグ(Slug)

スラグ弾(スラッグ弾)と呼ばれる、散弾ではない一発弾。

ライフルド・スラグ、ブレネキ、サボ、ハイブリッド・サボ、フォスター、パーティション、ハイドラショック、ソリッド・カッパー・・・etc,様々な種類が存在します。

ショットシェルの中で最も強力な破壊力と貫通力と飛距離を持つ弾です。

木造の壁、木製ドア、自動車のドア、コンクリートブロック、レンガ塀などを貫通でき、狩猟では熊やイノシシなど大型の獲物に使用されます。

散弾のように広範囲に拡散しないため、ライフルと似た使い方をされます。

ホームディフェンス用としては強力すぎますが、ホームディフェンス専用スラグも存在します。

スラグ弾Aスラグ弾B
ショットスラグスラグ
口径12ゲージ12ゲージ
ケース長2-3/4インチ3インチ
弾の材質
散弾(弾)の数11
弾のタイプサボフォスター
弾の重量1オンス1オンス
マズルエナジー1821 ft-lbf3010 ft-lbf
初速(フィート/秒)1350 fps1760 fps
弾速(25ヤード地点)1122 fps1310 fps
弾速(50ヤード地点)988 fps1040 fps
弾速(75ヤード地点)941 fps904 fps
スラグ弾のスペック例

バックショット(Buckshot)

対人や中型の獲物に使用される散弾。

散弾の直径は0.2~0.36インチ(5.08~9.14mm)です。

00バックの場合はシェルの中に9個ほどの散弾が入っていますが、全長が長いシェルには同サイズの散弾が18個入っているものもあります。

12ゲージでは約270~400メートル以下で人間の皮膚を貫通できます。

射程距離はスラグとバードショットの中間に位置し、対人用として20~30メートル以下で有効ですが、住宅の壁を数枚分貫通可能なためホームディフェンス目的での使用は二次被害に要注意です。

バックショットAバックショットBバックショットC
口径12ゲージ12ゲージ12ゲージ
ケース長2-3/4インチ3インチ3-1/2インチ
散弾の材質鉛(銅めっき)
散弾の数91518
散弾のサイズ(号)000000
マズルエナジー151.09 ft-lbf175.01 ft-lbf144.39 ft-lbf
初速(フィート/秒)1135 fps1221 fps1109 fps
弾速(20ヤード地点)1003 fps1070 fps983 fps
弾速(30ヤード地点)941 fps1008 fps930 fps
弾速(40ヤード地点)899 fps952 fps882 fps
弾速(50ヤード地点)854 fps902 fps839 fps
弾速(60ヤード地点)812 fps857 fps799 fps
弾速(70ヤード地点)774 fps815 fps762 fps
バックショットのスペック例

バードショット(Birdshot)

大量の小さな粒の散弾。

散弾の直径は0.04~0.19インチ(1~4.83mm)です。

一つのショットシェルに数十から数百個の散弾が入っており、鳥撃ちやクレー射撃でポピュラーです。

貫通力が低く、飛距離も比較的短い特徴があります。

約120~160メートル以下で人間の皮膚を貫通できます。

貫通力が低く近距離での殺傷力が高いため、ホームディフェンス用にも適しています。

バードショットAバードショットBバードショットC
口径12ゲージ12ゲージ12ゲージ
ケース長3インチ3-1/2インチ3-3/4インチ
散弾の材質スチール
散弾の数17430481
散弾のサイズ(号)24BB
散弾の重量2オンス2-1/4オンス1-1/8オンス
マズルエナジー17.03 ft-lbf10.79 ft-lbf27.17 ft-lbf
初速(フィート/秒)1243 fps1227 fps1420 fps
弾速(20ヤード地点)945 fps901 fps998 fps
弾速(30ヤード地点)842 fps794 fps868 fps
弾速(40ヤード地点)757 fps706 fps765 fps
弾速(50ヤード地点)686 fps633 fps681 fps
弾速(60ヤード地点)624 fps570 fps610 fps
弾速(70ヤード地点)571 fps515 fps549 fps
バードショットのスペック例

上の表は目安となる一例です。

ケース長の単位はインチ、散弾の重量の単位はオンスです。

(1オンス = 28.3495231グラム)

チョーク(Choke)/ 絞り

銃の画像
Photo via fieldandstream.com

ショットガンで散弾を撃つと散弾が放射状に広がって飛びます。

距離が離れるほど大きく広がるため、ターゲットが位置する場所で適度にショットが集中するように調整する必要がでてきます。

そこで、チョークと呼ばれる筒状の絞りを銃口から装着してショットの広がる範囲をコントロールします。(元からチョークが備わっている銃身も存在します)

銃の画像
チョーク Photo via shootinguk.co.uk

チョークは円筒形をしており、銃口に向かうにつれて内径が絞られ徐々に狭くなっています。

チョークはそれぞれ絞りの角度と、どの程度絞られているかが異なるので、使用する散弾と想定するターゲットの距離に応じて選択されます。

チョークは、

  • シリンダー
  • スキート
  • インプルーブドシリンダー
  • ライトモディファイド
  • モディファイド
  • インプルードモディファイド
  • ライトフル
  • フル
  • エクストラフル
  • スーパーフル

・・・などの種類があり、フルに近づくにつれてより狭く絞られています。

その効果は、例えば銃口から約20メートル地点ではシリンダー・チョークで直径1メートルぐらいに広がりますが、フル・チョークで直径50センチぐらいに広がります。

軍用やホームディフェンスなど近距離戦闘を想定する場合はショットが拡散する方が好ましいためチョークを使用しません。

以下の表では、各距離において30インチの円に命中するショットの総数の割合を表しています。

例えば、スキートチョークで40ヤード先のターゲットを撃つと、散弾の50%が直径30インチの円に命中します。

(1ヤード = 0.9144メートル)

直径30インチ(76.2cm)の円に集弾するショット総数割合

チョーク
(アメリカ)
シリンダースキートインプルーブド
シリンダー
モディファイドインプルーブド
モディファイド
フル
チョーク
(イギリス)
シリンダーインプルーブド
シリンダー
1/41/23/4フル
絞り幅
(インチ)
00.0050.0110.0200.0270.036
20ヤード地点80 %92 %100 %100 %100 %100 %
25ヤード地点69 %82 %87 %94 %100 %100 %
30ヤード地点60 %72 %77 %83 %91 %100 %
35ヤード地点49 %60 %65 %71 %77 %84 %
40ヤード地点40 %50 %55 %60 %65 %70 %
45ヤード地点33 %41 %46 %50 %55 %59 %
50ヤード地点27 %33 %38 %41 %46 %49 %
55ヤード地点22 %27 %30 %33 %37 %40 %
60ヤード地点18 %22 %25 %27 %30 %32 %

散弾の集弾(ショットパターン)

チョーク
(アメリカ)
シリンダースキートインプルーブド
シリンダー
モディファイドインプルーブド
モディファイド
フル
チョーク
(イギリス)
シリンダーインプルーブド
シリンダー
1/41/23/4フル
絞り幅
(インチ)
00.0050.0110.0200.0270.036
10ヤード地点51 cm38 cm33 cm30 cm25 cm23 cm
15ヤード地点66 cm51 cm46 cm41 cm36 cm31 cm
20ヤード地点81 cm66 cm58 cm53 cm46 cm41 cm
25ヤード地点97 cm81 cm74 cm66 cm58 cm53 cm
30ヤード地点112 cm97c m89 cm81 cm74 cm69 cm
35ヤード地点130 cm112 cm104 cm97 cm89 cm89 cm
40ヤード地点147 cm130 cm122 cm114 cm107 cm102 cm

 チョークを使用しない場合よりも更に大きなショットパターンを得るには?

00buckshot50yd
50ヤードから00バックショットをチョークなしで複数回発射した結果。
中央の黒丸は直径20cmです。

広範囲に渡るショットパターンはターゲットに命中するショット数が減るため、ショットガンにとってデメリットであるのが一般的です。

しかし、仮に10メートル以下といった近距離で人間大のターゲットに散弾を集中させたくない場合があるとしたら、散弾とライフルド・バレル(ライフリングが備わった銃身)を使用すると良いでしょう。

発射時にワッド(ワッズ)がライフリングによって回転し、遠心力で広いパターンが得られます。

あまり現実的ではありませんが、バードショットを使用すれば蛇など害獣駆除用のスネークショットとしても代用できそうです。

散弾の数と重量

バードショットには多くの散弾が使用されており、散弾の粒の直径が小さいほどシェルの中に多量に含まれています。

実際にどれぐらいのショットがシェルに入るかは、シェルの長さやワッドの大きさなどにより異なります。

散弾(鉛玉)の重量別平均散弾数

散弾
重量
(g)
散弾
重量
(oz)
BB
(号)
2
(号)
3
(号)
4
(号)
5
(号)
6
(号)
7
(号)
7.5
(号)
8
(号)
8.5
(号)
9
(号)
14.171/22543556785112150175205249292
19.4911/16346093117155241282342402
21.253/4376582101127169224262307373439
24.87/8447696118149197262306359435512
28.3515087109135170225299350410497585
31.891-1/85698123152191253336394461559658
35.441-1/462109136169212281374437512621731
38.981-3/869120150186234309411481564683804
42.521-1/275130164202255337449525615745877
46.061-5/881141177219276366486569666808951
49.611-3/41281541912383013905236047168701024
53.151-7/8941632042533194225616567699321097
56.7021001742182703404505987008209941170
63.782-1/411219630438250678792211181316

※以上の数値は使用する弾の条件により実際の結果とは異なる場合があります。

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