
ボーチャードピストル Photo via Wikipedia
オートマチック・ピストル(セルフローディング・ピストル)は1800年代後半に登場し、中でも完成度の高い1894年に完成されたドイツのボーチャード・セルフローディング・ピストルが登場して以来、基本的なピストルの構造は現在でも変わりません。
コルト1911ピストル
上図はコルト1911モデルの構造を表しています。
世界には無数のピストルが存在し、その構造も様々ですが、火薬とスプリングの力で装填→撃発→排莢を繰り返す銃の基本プロセスは、どのオートピストルも同じです。
マガジン(弾倉)を挿入し、スライドを手で引いてやれば、スプリングの力で初弾がチャンバー(薬室)に送り込まれます。
あとはトリガー(引き金)を引きさえすれば弾が発射され、2発目以降はトリガーを引くだけで次々と連続して発射できます。
CZ52ピストル
こちらはCz52の内部構造です。
特殊な閉鎖方式(ローラーロッキング)を採用し、バレル(銃身)は水平移動します。
バレルとスライドが同時に後退する理由は、バレル内の圧力が低下するのを待つための「時間稼ぎ」です。
発射の瞬間はバレル内が高圧になるため、圧力が低下してからチャンバー(薬室)から薬莢を抜き取って排莢します。
これは高圧力でパワーのある弾薬を使用するピストルに必要な機能であり、パワーの弱い弾薬を使用するピストルではバレルが固定されているので後退しません。
※一部例外有り
スプリングフィールドアーモリーXDピストル
ストライカー方式を採用するピストルはハンマー(撃鉄)を持たず、代わりにストライカー(撃針)が直接弾薬を撃発させます。
グロックの構造

Image via i.imgur.com/SbruWTa.gifv
グロックにはハンマーが存在せず、代わりにストライカーが弾薬の雷管を叩いて撃発します。
トリガーを引くとトリガーに接続されたトリガーバーが後退し、ファイアリングピンブロック(ストライカーの前進を阻止する内蔵安全装置)を押し上げると同時にストライカーを解放します。
グロックの特徴として、スライドを引いて戻すとストライカーが一定距離コックされ、トリガーを引くとストライカーが最後までコックされて解放されるという特徴があります。
この構造により、暴発を防ぐ安全性と素早く連射する速射性を両立させるメリットがあります。
ルガーP08の構造
ルガーP08のシステムは「しゃくとり虫」や「トグルアクション」と呼ばれますが、撃発後にバレルとレシーバーが同時に後退し、トグル(指を掛ける丸いパーツ)がフレーム後部に衝突します。
衝突したトグルは跳ね上げられることでロックが解放されて排莢します。
リボルバー(回転式拳銃)の構造

ゲオルク・フォン・ライヒヴァイン 1597 Photo via mynewsdesk.com
1300年代のヨーロッパで筒に火薬を詰めて発射した原始的な構造の銃が誕生し(※諸説あり)、1500年代にシングルショット(単発)・ピストルが誕生したといわれています。
1500年代末期には、手でシリンダーを回す手動回転式のリボルバーが開発され、1814年にアメリカのイライシャ・コリアー(Elisha Collier)によってフリントロック・リボルバーが発明されました。
1836年にサミュエル・コルト(Samuel Colt)がリボルバー・メカニズムの特許を取得すると、以後リボルバーが爆発的に普及します。
1856年にはイギリスのロバート・アダムスによって世界初のダブルアクション・リボルバーであるアダムス・パテント・リボルバーが開発され、コルトでは1877年に同社初のダブルアクション・リボルバー(コルトM1877)を開発しています。
ダブルアクション・リボルバーとはトリガーとハンマーが連動するリボルバーで、トリガー操作のみでシリンダーを回転させると同時にハンマーを動かし、連続発射が可能な機能を持っています。現在、最も一般的なリボルバーの構造といえるでしょう。
以下の動画はスターム・ルガー社のダブルアクション・リボルバー、セキュリティー・シックス(ダブル・アクション・リボルバー)の構造を表しています。
トリガー(引金)を引くとハンマー(撃鉄)が起き上がり、ハンド(紫のパーツ)がシリンダー(回転式弾倉)を回転させ、ラッチ(水色のパーツ)がシリンダーの回転を停止させます。
トリガーを引き続けると、せり上がったトランスファー・バー(ピンクのパーツ)をハンマーが叩き、ファイアリング・ピン(赤のパーツ)を前進させてカートリッジの底を叩きます。するとプライマー(雷管)の撃発によってパウダー(装薬)が引火し、発生した発射ガスの圧力に押されて弾頭が飛んでいきます。