口径とは、どこのこと?
センチにするとどれくらい?
この記事では、銃の口径について解説します。
銃の口径とは?
口径とは、銃身(バレル)の内径です。
銃身とは、装薬の燃焼により発生した高圧ガスを利用し、弾頭を加速させるための筒状のパーツです。
銃身の先端部分を銃口(マズル)と呼び、後端部分をブリーチと呼びます。
銃身内部をボアと呼ぶことから、銃身の内径はボアダイアメーターとも呼ばれます。
ライフリングの山(ランド)と谷(グルーブ)
もっと細かく見ると、銃身の内側にはライフリングと呼ばれる溝があります。
ライフリングは弾頭を回転させ、ジャイロ効果によって直進性を高めるために存在します。
ライフリングの対面する溝の内径を谷径(グルーブダイアメーター)と呼びます。
そして対面する山の内径を山径(ボアダイアメーター / ランドダイアメーター)と呼びます。
これは主にメートルやインチで表記されます。
例えば、.38口径や.45口径は銃身の内径をインチで表しています。
インチ表示の口径
インチ表示では100分の1インチ、1000分の1インチで計測されています。
- .38スペシャル(.38口径)は、0.38インチ
- .357マグナム(.357口径)は、0.357インチ
- .44マグナム(.44口径)は、0.44インチ
- .45ACP(.45口径)は、0.45インチ
しかし、弾薬の名称がそのまま口径を意味するほど単純ではなく、本当はもう少し複雑です。
.38スペシャルと.357マグナムは同じ口径
例を挙げると、.38スペシャルと.357マグナムは異なる弾薬で名称も異なりますが、どちらも同じ口径です。
そのため、.357マグナムリボルバーに.38スペシャルを装填し発射可能です。
.38スペシャルと.357マグナムの山径は0.346インチ(8.79mm)、谷径は0.355インチ(9.02mm)となります。
つまり、.38スペシャルと.357マグナムの実際の口径は、0.355インチ(9.02mm)です。
.38スペシャルと.357マグナムが同じ口径の理由
なぜ.38スペシャルと.357マグナムは同じ口径なのに、名称の数字が異なるのか?
この理由は、もともと.38スペシャルは「ヒールドブレット」だったからです。
ヒールドブレット(Heeled bullet)とは、弾頭と薬莢が同じ外径を持つという、古い設計の弾薬です。
弾頭の後端が薬莢の厚みの分だけ小さくなっており、弾頭側面と薬莢側面の間に段差がない設計でした。
当時の.38スペシャルは0.38インチの弾頭直径があったものの、のちの時代にヒールドブレットを廃止。
0.355~0.358インチの弾頭直径に縮小され、「.38スペシャル」という名前だけが残ったという歴史的背景があります。
ちなみに「.38スーパー」も弾頭直径が0.356インチしかなく、これも同じ理由です。
現在ではヒールドブレットが少なくなりましたが、.22LR弾などでは現役で使用されています。
.44マグナムの口径は10.9mm
.44マグナム(.44レミントンマグナム)の場合は、山径が0.417インチ(10.59mm)、谷径が0.429インチ(10.9mm)です。
つまり、.44マグナムの実際の口径は0.429インチ(10.9mm)です。
同じく.44口径の.44S&Wスペシャル弾も.44マグナムと同じ10.9mmが口径です。
口径は山径?谷径?
一般的に口径とは山径(ボアダイアメーター)を指します。
しかし、アメリカで開発された弾薬の多くは谷径が口径になり、なおかつアメリカで開発された弾薬でも山径を口径とする例外もあるため複雑です。
大雑把に「アメリカで誕生した弾薬は谷径が口径」「アメリカ以外の国で誕生した弾薬は山径が口径」と覚えると良いかもしれませんが、例外があることも念頭に置く必用があるでしょう。
例を挙げると、アメリカ製の.308ウィンチェスター(7.62x51mm)というライフル弾の「.308」は、谷径の0.308インチ(7.82mm)を意味し、山径は0.3インチ(7.62mm)となり、谷径が口径です。
一方、.308ウィンチェスターと同サイズの7.62mmNATO弾は、山径が7.62mmで山径が口径です。
また、AK47などで使用されるロシア製の7.62x39mmは、山径が7.62mm、谷径が7.87mmとなり、山径が口径です。
このように、弾薬の名称(または公称の口径)は実際の口径とは異なることがあります。
弾薬 | 公称の口径 (インチ) | 公称の口径 (mm) | 山径 (mm) | 弾頭直径 (mm) |
---|---|---|---|---|
.22LR | 0.22インチ | – | 5.51 mm | 5.623~5.728 mm |
.38SPL | 0.38インチ | – | 8.79 mm | 9.017~9.093 mm |
9×19 mm | – | 9 mm | 8.79 mm | 8.957~9.03 mm |
.357マグナム | 0.357インチ | – | 8.79 mm | 9.017~9.093 mm |
.40S&W | 0.4インチ | – | 9.91 mm | 10.097~10.173 mm |
.45ACP | 0.45インチ | – | 11.23 mm | 11.405~11.481 mm |
.223レミントン (5.56×45 mm) | 0.223インチ | 5.56 mm | 5.56 mm | 5.626~5.702 mm |
.308 ウィンチェスター (7.62×51 mm) | 0.308インチ | 7.62 mm | 7.62 mm | 7.773~7.849 mm |
7.62 mm NATO (7.62×51 mm) | – | 7.62 mm | 7.62 mm (NATO規格) | 7.83 mm (NATO規格) |
7.62×39 mm | – | 7.62 mm | 7.62 mm | 7.85~7.9 mm |
以下の記事では45口径について触れており、「なぜ戦艦大和の主砲も.45口径?」などの疑問も解説しています。
9mm弾を使用する銃の口径は8.79mm
9mm弾(9x19mm/9mmルガー/9mmパラベラム)を例にすると、この弾薬を使用する銃の口径は「9mm」と呼ばれています。
しかし、実際のサイズは異なります。
9mmを使用する銃の口径(山径)は8.79mmで、弾頭の直径は公差を含めて8.957~9.03 mmになります。
谷径は9.02mm、山径は8.79mmとなり、そこを直径8.957~9.03 mmの弾頭が通過します。
9mmの場合、0.355インチ(9.017mm)や0.356インチ(9.0424mm)の弾頭が多く利用されています。
一般的に0.355インチの弾頭はFMJやJHPといった鉛のコアを銅のジャケットで覆った「ジャケッテッドブレット」で使用され、0.356インチの弾頭は鉛のみの「レッドブレット」で使用される傾向があります。
補足:ボアダイアメーター vs ランドダイアメーター
私自身、「ランド・ダイアメーター」と記述された日本語の資料を見た事がありませんが、NRA発行の「NRA Firearms Sourcebook」など、いくつかの英文資料でまれに見られます。
これは私見ですが、ライフリングの説明をする際に、「ボア・ダイアメーター」が山径であることを知らない人に対しても、「ランド・ダイアメーター」といえばどこを指すのかストレートに意味が通じるため、状況次第で多用されている呼び方だと思われます。
通常は、口径またはボアダイアメーターと呼ぶのが一般的でしょう。
ショットガンの口径
ショットガン(散弾銃)の口径は、ゲージ(gauge / 番)で分類されます。
一般的に多く利用される口径は次のとおり。
- 10ゲージ(10番)
- 12ゲージ(12番)
- 16ゲージ(16番)
- 20ゲージ(20番)
- 28ゲージ(28番)
ゲージの場合、数字が小さいほど口径が大きくなります。
つまり、10ゲージは12ゲージよりも大口径です。
ゲージ | 内径 (mm) | 備考 |
---|---|---|
10 | 19.5 | 大型獣狩猟に使用される |
12 | 18.5 | 最も一般的で用途が広い |
16 | 16.8 | 小動物猟やクレー射撃に使用される |
20 | 15.9 | 小動物猟やクレー射撃に使用される |
28 | 14.2 | 小動物猟やクレー射撃に使用される |
.410 | 10.4 | 67.5番ゲージ相当で.410口径とも呼ばれる |
ゲージは、銃身の内径と同じ大きさの鉛球が何個で1ポンドの重さになるのかで決まります。
例えば、銃身の内径と同じ直径の鉛球が12個で重さ1ポンドになると、その銃身の口径は12ゲージです。
※1ポンド=453.592グラム
しかし、「.410」は例外で、410/1000インチ (約67.5ゲージ相当)となり、一般的には「.410」や「.410口径」と呼ばれます。
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