
この記事の要約:
- FN ARKAは、FN SCAR由来の信頼性とAR-15型の操作性を融合した新型軍用ライフルです。
- 完全両利き操作、着脱式ハンドガード、AR規格ストック、Smart Coreなど、現代の軍用小銃に求められる機能を備えています。
- 英軍の次期小銃計画Project GRAYBURN(プロジェクト・グレイバーン)への提案も想定され、将来の口径変更や英国内生産にも対応する構想です。
FNハースタルが発表した「FN ARKA」は、AR-15に近い操作系と、FN SCARから発展したショートストローク・ガスピストン機構を組み合わせた新型軍用ライフルです。
外観はAR-15系に見えますが、内部構造まで同じ設計を踏襲したものではありません。SCARで培った信頼性と耐久性を維持しながら、軍が求める操作性、装備互換性、整備性、生産性に対応するため、ほぼ全面的に再設計されています。

| 項目 | FN ARKAの内容 |
|---|---|
| メーカー | FN Herstal |
| 分類 | 軍・法執行機関向けモジュラー式ライフル |
| 使用弾薬 | 5.56×45mm NATO |
| 作動・閉鎖方式 | ショートストローク・ガスピストン、マルチラグ式ロータリーボルト |
| 基礎となる設計 | FN SCAR系の作動機構 |
| 操作系 | AR-15型、アンビ(完全両利き) |
| バリエーション | FN ARKA CQC、FN ARKA STD |
| 銃身長 | CQC:約285mm(11.25インチ) STD:約368mm(14.5インチ) 英軍向けに検討される銃身長:16インチ |
| 全長 | CQC:約735.2~820mm STD:約849.5~934.5mm |
| 重量 | CQC:約3.7kg STD:約3.9kg ※空マガジン装着時 |
| マガジン容量 | 30発 |
| 発射速度 | 毎分約600~700発 |
| ハンドガード | 短型・長型の着脱式M-LOK |
| ストック | AR規格ストックに対応 |
| ピストルグリップ | AR規格グリップに対応 |
| サプレッサー | 使用を想定 |
| 運用管理 | Smart Coreに対応 |
FN ARKAの開発背景
FNがSCARとは別のライフルを開発した理由

FN SCARは、米特殊作戦軍の要求に基づいて開発されたモジュラー式ライフルです。マルチラグ式ロータリーボルトとショートストローク・ガスピストンを採用し、交換式銃身や複数の銃身長に対応するなど、現代の軍用小銃に大きな影響を与えました。
しかし、FNがSCARを各国の軍や法執行機関向け入札に提案するなかで、性能とは別の問題が生じました。
多くの採用計画では、AR-15型のチャージングハンドル、セレクター、マガジンキャッチ、ストックなどが要求されます。兵士がすでにAR系火器に慣れている場合、異なる操作系を採用すると再訓練が必要になり、部品や装備の共通化も難しくなるためです。
その結果、SCARの信頼性が評価されていても、側面式チャージングハンドルや専用ストックのため、入札条件を満たせないケースがありました。FN ARKAは、SCARの長所を残しながら、この問題を解決するために開発されたライフルです。

FN SCARは、FNハースタルが米特殊作戦軍向けに開発したショートストローク・ガスピストン式の軍用ライフルです。5.56mm弾を使用するSCAR-Lと、7.62mm弾を使用するSCAR-Hを基本とし、任務に応じて銃身長や口径を変更できる高いモジュール性を備えています。
米特殊作戦軍はSCAR-Hと狙撃型のMk 20を採用しましたが、SCAR-Lは既存の5.56mmライフルに対する性能上の優位性が費用に見合わないとして、調達を中止しました。その後はSCAR-Hを5.56mm仕様へ変更する変換キットも開発されています。
本体はアルミ製の上部レシーバーとポリマー製の下部レシーバーで構成され、上面にはアクセサリーを装着できるレールを備えています。軍用モデルのほか、民間向けのSCAR 16S、17S、20Sなども展開され、複数の国で運用されています。

| 比較項目 | FN SCAR | FN ARKA |
|---|---|---|
| 主な設計対象 | 特殊作戦用途を重視 | 一般部隊を含む幅広い軍・法執行機関 |
| チャージングハンドル | 側面式 | 後部上面のT字型 |
| 操作系 | SCAR独自 | AR-15型 |
| 左右操作 | モデルや操作部により異なる | 完全両利き |
| ストック | SCAR専用 | AR規格に対応 |
| ピストルグリップ | 専用構成 | AR規格に対応 |
| ハンドガード | アッパーレシーバーと一体 | 独立した着脱式 |
| 銃身交換 | 訓練を受けた使用者による交換を想定 | 武器整備員による交換を想定 |
| 折りたたみ式ストック | 対応 | 後部構造の変更により対応可能 |
| 主な設計目的 | モジュール性と特殊作戦での信頼性 | SCAR系の信頼性とAR型操作性の両立 |
FNはARKAの内部機構を、SCARの「エンジン」を受け継いだものと説明しています。
ただし、既存のSCARにAR-15風の外装を加えただけではありません。SCARで得られた運用経験を基に、作動部品、レシーバー、ハンドガード、操作系などが改良されています。
FN側によれば、SCARとの設計上のつながりはあるものの、主要部品を共用する派生型ではなく、新たに設計されたプラットフォームです。
開発の契機となった英国のProject Hunter(プロジェクト・ハンター)
FN ARKAにつながる検討は、2022年半ばごろに始まりました。
きっかけのひとつが、英軍のProject Hunterです。この計画ではAR-15型の操作系が求められており、従来のSCARは条件に適合しませんでした。

Project Hunterは、英軍が特殊作戦部隊向けの新型小銃を導入するために進めた調達計画です。2023年には、Knight’s Armament Company(KAC)が開発した5.56mm口径のKS-1が選定され、L403A1 Alternative Individual Weapon(AIW)として制式化されました。13.7インチ銃身とアンビ操作系を備え、英国陸軍レンジャー連隊や英海兵隊で、L85A2/A3およびL119A1/A2を補完・更新する目的で導入されています。
FNはその後、各国軍に対して市場調査を行い、「SCARの信頼性を持ちながら、AR-15と同じように操作できるライフル」への需要を確認しました。
正式な開発プロジェクトは2024年1月に始まり、英軍やNATO加盟国の兵士から得た意見を反映しながら改良が進められました。
| 計画 | 概要 | FN ARKAとの関係 |
|---|---|---|
| Project Hunter | 英軍の一部部隊向け新型小銃調達 | AR-15型操作系を求める要求がARKAの構想に影響 |
| FN ARKA開発プロジェクト | FNによる新型ライフル開発 | 2024年1月に正式開始 |
| Project GRAYBURN | SA80系列の後継となる次期小銃体系の検討 | FN ARKAが候補として提案される計画 |
FN ARKAの開発年表
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年半ば | Project Hunterを背景に、FN内部で新型ライフルの検討を開始 |
| 2022~2023年 | 各国軍を対象に市場調査を実施 |
| 2023年 | 英国でProject GRAYBURNが公的に確認される |
| 2024年1月 | FN ARKAの正式な開発プロジェクトを開始 |
| 2024~2025年 | 試作・改良を進め、英軍などからのフィードバックを開発へ反映 |
| 2025年 | FN ARKAの商標出願や技術仕様の整備が進む |
| 2026年1月 | 英国政府がProject GRAYBURNの要求概要を産業界へ提示 |
| 2026年6月2日 | FN HerstalがFN ARKAを正式発表 |
| 2026年 | FN ARKAをProject GRAYBURN向け候補として提案 |
AR-15型の操作系と外装

- AR規格ストック
- AR規格バッファーチューブ
- T字型チャージングハンドル
- フォワードアシスト
- エジェクションポート
- 上部アクセサリーレール
- ガスレギュレーター
- アンビセレクター
- AR規格ピストルグリップ
- アンビボルトキャッチ/リリース
- アンビマガジンキャッチ
- 着脱式M-LOKハンドガード
AR-15型の完全両利き操作系

FN ARKAの外観上、最も大きな特徴は、レシーバー後部上面に配置されたT字型チャージングハンドルです。

SCARの側面式とは異なり、AR-15系ライフルに慣れた兵士が違和感なく操作できます。チャージングハンドルはFN独自設計で、左右どちらからでも操作できる完全両利き仕様です。
セレクター、マガジンキャッチ、ボルトストップ、ボルトリリースも左右両側に配置されています。射手は持ち手を大きく変えずに操作でき、左右の肩を切り替えて射撃する場合にも対応しやすくなっています。
アッパーレシーバーはアルミニウム製ですが、チャージングハンドルのラッチが接触する部分にはスチール製インサートが設けられています。長期間の使用でアルミニウムが摩耗することを防ぐための構造です。
ハンマーが落ちていてもセーフティを使用可能

FN ARKAのセレクターは、ハンマーが落ちている状態(コックされていない状態)でもセーフ位置に切り替えられます。一般的なAR-15の多くは、ハンマーが落ちているとセーフティを操作できません。
英軍では、放置された火器を確保する際などに、最初にセーフティを確認する手順があります。FN ARKAの仕様は、こうした既存の運用手順に合わせたものです。
AR-15型の操作感を採用しながら、内部構造までそのまま模倣していないことが分かります。
AR規格のストックとグリップに対応

FN ARKAは、AR-15規格のピストルグリップとストックを取り付けられます。
後部にはAR規格のバッファーチューブがありますが、内部にリコイルスプリングやバッファーは入っていません。作動機構はレシーバー内部で完結しており、チューブはストックを取り付けるためだけに使用されます。
そのため、後部構造を変更すれば折りたたみ式ストックにも対応できます。FNは用途に応じた折りたたみ式ストックを開発しています。
通常部隊では伸縮式ストック、車両搭乗員や海軍部隊では折りたたみ式ストックといった使い分けも可能になります。
着脱可能なフォワードアシスト

フォワードアシストは、ボルトが完全に閉じなかったときに、手動で前方へ押し込むための補助装置です。
T字型チャージングハンドルでは、SCARの側面式ハンドルのようにボルトキャリアを直接押し込めません。そのため、FN ARKAにはAR-15と同様のフォワードアシストが装備されています。
フォワードアシストはレシーバーと一体ではなく、ポリマー製の独立部品です。破損した場合は該当部分だけを交換でき、採用側が不要と判断すればカバープレートへの変更も可能です。
一方、独立したダストカバーはありません。FNは、閉鎖したボルトキャリアがエジェクションポートを平面状に塞ぐため、ボルトキャリア自体がカバーの役割を果たすと説明しています。
| 部位・機構 | AR-15規格との関係 |
|---|---|
| ストック | AR規格品に対応 |
| ピストルグリップ | AR規格品に対応 |
| バッファーチューブ | AR規格形状を採用 |
| チャージングハンドル | AR型配置だがFN独自設計 |
| セレクター配置 | AR型に近い |
| マガジンキャッチ配置 | AR型に近い |
| ボルトキャッチ配置 | AR型に近い |
| ロワーレシーバー | AR-15とは非互換 |
| トリガーメカニズム | SCAR系でAR-15とは非互換 |
| ボルトキャリア | FN独自設計 |
| リコイルスプリング | レシーバー内部に配置 |
| 作動方式 | SCAR系ショートストローク・ガスピストン |
モジュール構成と整備性

銃身とハンドガードの構成
FN ARKAには、11.25インチと14.5インチの銃身があります。



11.25インチ仕様は近接戦闘や車両内での運用に適した短銃身型です。14.5インチ仕様は、携帯性と弾道性能のバランスを重視した構成です。
ハンドガードにも短型と長型があり、用途に応じて組み合わせられます。14.5インチ銃身と短いハンドガードを組み合わせた場合は、着剣装置を取り付ける空間も確保されます。
英軍向けには、Project GRAYBURNの要求を想定した16インチ銃身も開発されています。
| 項目・構成 | FN ARKA CQC | FN ARKA STD | 用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| 銃身長 | 約285mm (11.25インチ) | 約368mm (14.5インチ) | CQCは近接戦闘や車両内など狭い空間での運用、STDは携帯性と弾道性能のバランスを重視 |
| 全長 | 約735.2~820mm | 約849.5~934.5mm | ストックの伸縮により全長が変化 |
| 重量 | 約3.7kg | 約3.9kg | 空マガジン装着時 |
| ショート・ハンドガード | 対応 | 対応 | 軽量で、銃身前部に装備用の空間を確保 |
| ロング・ハンドガード | 対応 | 対応 | 前方まで把持面とM-LOKスロットを確保 |
| 14.5インチ銃身+ショート・ハンドガード | ― | 対応 | バヨネットラグ(着剣装置)を装備できる構成 |
| 着脱式ハンドガード | 対応 | 対応 | 損傷時や仕様変更時に交換可能 |
着脱式でもゼロを維持するハンドガード

SCARでは、アッパーレシーバーとハンドガードが一体化されています。高い剛性を得られる一方、ハンドガードだけを交換することは困難です。
FN ARKAでは、ハンドガードを独立部品とし、左右のスクリューで固定しています。損傷時の交換や、異なる長さへの変更が容易になりました。
固定スクリューには1番と2番の番号があり、組み立て時には1番を先に締め、続いて2番を締めます。複数の位置決め面を使って装着位置を再現することで、レーザー照準器などを取り外し前のゼロに戻しやすい構造です。
主要なスクリューは脱落防止式で、分解中に紛失しにくくなっています。
銃身交換はアーマラー(武器整備員)が担当
SCARの銃身は、訓練を受けた射手が交換できる構造でした。
FN ARKAの銃身も取り外せますが、通常の兵士が任務ごとに交換することは想定されていません。交換は部隊の武器整備員が担当します。
銃身交換には、締め付けトルク、照準調整、部品管理などが伴います。一般部隊への大規模配備を想定したFN ARKAでは、使用者の自由度よりも、整備責任と運用の安定性が優先されています。
分解しやすく、部品を紛失しにくい構造

通常分解では、後部の固定ピンを引き出すと、ロワーレシーバーが90度以上開きます。
リコイルスプリングを取り外し、チャージングハンドルを少し後退させれば、ハンドル自体を外さずにボルトキャリアを引き抜けます。
さらに前側のピンを抜けば、ロワーレシーバーを完全に分離できます。
主要なピンやスクリューは脱落防止式ですが、ファイアリングピン・リテイニングピンなど一部の小部品は本体から完全に分離します。そのため、分解時には小部品の管理が必要です。
ガスシステムと内部機構

2ポジションながら同一設定のガスレギュレーター

FN ARKAには2ポジションのガスレギュレーターがありますが、現在は両方に同じ大きさのガスポートが使用されています。どちらを選んでも作動状態は変わりません。
FNは試験の結果、通常用と悪条件用の設定を分けなくても、ひとつのガス量で十分な信頼性を確保できると判断しました。
複数の設定があると、兵士が誤った位置に合わせ、かえって作動不良を起こす可能性があります。設定を実質的に一本化することで、操作時の判断を減らしています。
それでも2ポジション構造を残したのは、将来の弾薬やサプレッサーに対応するためです。必要になれば片方のガスポートだけを変更でき、ガスブロック全体を再設計する必要がありません。
サプレッサーへの対応

FN ARKAはサプレッサーの使用を想定しています。
FNは特定のメーカーに限定せず、複数のサプレッサーを試験し、採用側が選択できる方式を目指しています。
とくに、発射ガスを前方へ逃がし、サプレッサー装着時の背圧(発射ガスが抜けにくくなることで、銃身やガスシステム内に生じる圧力)を抑えるフロースルー型と相性がよいとされています。
一般的なサプレッサーでも作動しますが、背圧が高くなるため、射手側へ吹き戻すガスや機関部へ流入するガスが増え、作動部品への負荷が大きくなる可能性があります。
SCARから改良されたガスピストン機構

FN ARKAは、SCARと同じくショートストローク・ガスピストンとロータリーボルトを使用します。
ただし、作動部品の構成は変更されています。
SCARではボルトキャリアから前方へ長いオペレーティングロッドが延びていました。FN ARKAではボルトキャリア側を短くし、独立したピストンエクステンションを配置しています。
往復部品の重量を減らし、射撃時の衝撃を抑えることが目的です。
ピストン自体はSCARよりも太く、強度が高められています。SCARで得られた運用経験から、想定外の弾薬や構成でも曲がりにくい設計へ改良されました。
| 部位 | FN SCAR | FN ARKA |
|---|---|---|
| 作動方式 | ショートストローク・ガスピストン | ショートストローク・ガスピストン |
| ボルト閉鎖 | ロータリーボルト | ロータリーボルト |
| オペレーティングロッド | ボルトキャリアから前方へ長く延びる | ボルトキャリア側を短縮 |
| ピストンエクステンション | SCAR型の一体的な構成 | 独立部品として配置 |
| ピストン径 | 比較的細い | 太くして強度を向上 |
| 往復部品 | 長い作動部品を使用 | 重量と配置を見直し |
| 異物対策 | SCARの設計を基礎 | ピストン開口部の密閉性を向上 |
| ハンドガード | レシーバーと一体 | 着脱可能な独立部品 |
| 銃身交換 | 使用者による交換を想定 | 武器整備員による交換を想定 |
摩耗箇所にスチールを使用

アッパーレシーバーは軽量なアルミニウム製ですが、摩耗が集中する部分にはスチールが使用されています。

内部では、ボルトのカムピンがレールに沿って移動します。スチール製のカムピンをアルミニウムに直接接触させると、長期間の使用でレシーバーが摩耗します。
そのため、カムピンが通る部分にはスチール製レールが取り付けられています。チャージングハンドルの接触部にもスチール製インサートが配置されています。
軽量化と耐久性を両立するため、必要な箇所だけを補強した構造です。
アンチリバウンド機構を備えたボルトキャリア

ボルトキャリア上部の内部には、金属粉(メタリックパウダー)が収まる空間が設けられています。
ボルトが前進して閉鎖した際に金属粉が移動し、ボルトキャリアの跳ね返りを抑えます。ボルトが衝撃で再び開き、不完全閉鎖になることを防ぐアンチリバウンド機構です。
ボルトのロッキングラグには、ボルトストップが確実に噛み合うための切り欠きもあります。ボルトを後退位置で固定した状態で銃を落としても、衝撃でボルトが前進しにくい設計です。
内部はAR-15型ではない
FN ARKAはAR-15型の操作系を持ちますが、トリガーメカニズムはAR-15と異なります。
ロワーレシーバー内部には、SCAR系のファイアコントロールシステムが使用されています。AR-15用ロワーレシーバーやトリガーユニットを流用する構造ではありません。
互換性があるのは、主に操作感覚、ストック、ピストルグリップなどです。
FNが目指したのはAR部品の全面的な流用ではなく、AR系火器に慣れた兵士が同じ感覚で操作できることでした。
分解方法や内部機構の変更点は、以下の取材動画で詳しく紹介されています。
運用管理と射撃特性
射撃回数を管理するスマートコア(Smart Core)
FN ARKAのロワーレシーバー後部には、「Smart Core」と呼ばれる管理システムを搭載できます。

Smart Coreは、ハンマースプリングのガイドロッドの動きを検出し、射撃回数を記録します。実弾射撃、空包射撃、ドライファイアを区別できるとされています。
記録された情報を利用すれば、部品交換の時期を予測し、故障前に整備できます。部隊全体の使用状況や交換部品の在庫管理にも利用可能です。
軍用小銃を単体の装備ではなく、ライフサイクル全体で管理するための機能です。

FNは従来の銃器だけでなく、電子技術を組み合わせた「FN e-novation」というシステムも開発しています。これは、照準装置などの電子機器を小火器と連携させ、任務中の戦闘能力や通信を高めるとともに、整備や補給の管理をしやすくするものです。
その中の「FN SmartCore」は、発射回数を自動で記録する電子システムです。実弾と空包を区別し、一定時間あたりの発射数や連射速度も記録できます。
記録した情報は、整備・補給管理ソフトウェア「FN SAM」と連携して使用します。これにより、実際の使用状況に合わせて点検や部品交換の時期を判断しやすくなります。
その結果、必要以上に早く部品を交換したり、整備が遅れて故障したりするリスクを減らせます。複数の銃をまとめて管理する部隊では、整備費用を抑えながら、使用可能な銃をできるだけ多く維持することができます。
反動よりも悪条件での信頼性を優先
FN ARKAの射撃感覚は、一般的な5.56mm軍用小銃に近いと評価されています。
AR-15と比較すると、ピストンやボルトキャリアなどの往復部品が重いため、作動時の動きを感じやすくなっています。
重い作動部品は反動や振動を増やしますが、汚れや砂、低温、潤滑不足などの悪条件でも、慣性によって作動を継続しやすくなります。
競技用AR-15のような軽い反動ではなく、軍用火器としての信頼性を優先した設計です。
英軍の次期小銃計画との関係

英軍のProject GRAYBURN(プロジェクト・グレイバーン)
FN ARKAが注目される理由のひとつが、英軍のProject GRAYBURNです。
Project GRAYBURNは、SA80系列に代わる次期制式小銃と関連装備の導入を検討する計画とされています。
FN ARKAの開発には、英国陸軍本部の担当者や、第16空中強襲旅団、パラシュート連隊の兵士が参加しました。ベルギーでの実射試験から得られた意見が、操作系や構造の改良に反映されています。
開発段階から兵士を参加させることで、実際の使用環境に適した仕様を確認できるだけでなく、新装備への理解や信頼も得やすくなります。
| 提案項目 | 内容 |
|---|---|
| 標準小銃 | 一般部隊向けの基本構成 |
| 短銃身型 | 11.25インチなどのコンパクト構成 |
| 英国向け銃身 | 16インチ仕様を検討 |
| サプレッサー | 複数製品から選択できる構成 |
| 空包訓練 | 空包発射補助具を用意 |
| 訓練弾 | UTMやシミュニション用キットに対応 |
| 士官候補生用 | .22口径仕様を用意 |
| 将来口径 | 中間口径や高圧弾への発展を想定 |
| 国内生産 | 英国国内で90%以上の生産を提案 |
| 長期支援 | 整備、部品供給、産業協力を含む |
英軍内で進むAR型操作系への統一
英軍では、すでに複数のAR系火器が使用されています。
L129A1シャープシューターライフルはAR-10系で、特殊部隊向けのKS-1や、一部部隊が使用するSIG MCXもAR型の操作系を持ちます。
一般部隊の主力小銃にも同様の操作系を採用すれば、セレクター、マガジン交換、ボルト操作などの訓練を共通化できます。

SA80はブルパップ式で、左肩からの射撃や左右の持ち替えに制約があります。完全両利きのFN ARKAは、遮蔽物を利用して左右を切り替える現代的な運用にも適しています。
AR型操作系の採用は流行ではなく、英軍内の装備共通化やNATO諸国との相互運用性を考慮したものです。
将来の口径変更も想定
公開されているFN ARKAは、5.56×45mm NATO弾仕様です。
FNは他口径モデルの具体的な計画を公表していませんが、将来の中間口径や高圧弾への対応を視野に入れていると説明しています。
防弾プレートの普及により、5.56mm弾では十分な効果を得にくい場面が問題になっています。一方、強力な弾薬を採用すると、反動、重量、携行弾数、銃身寿命などに影響します。
FN ARKAは、将来の要求に応じて発展できるプラットフォームとして設計されています。
英国内生産を含む提案
Project GRAYBURNでは、小銃の性能だけでなく、国内生産、補給体制、雇用、輸出能力も評価対象になります。
FNは英国ケント州に製造拠点を持ち、英軍向けの機関銃などを長年生産してきました。
FN側は、Project GRAYBURN向けのFN ARKAについて、90%以上を英国国内で生産できると説明しています。条件が整えば、100%の国内生産も可能としています。
これは最終組み立てだけでなく、英国国内の供給網、製造設備、技術者、輸出体制まで含む提案です。
有事に国外からの供給が停止しても、国内で生産や修理を継続できる能力は、安全保障上の重要な要素です。
FNはライフルの納入だけでなく、英国国防省との長期的な産業協力を目指しています。
Project GRAYBURNについては、以下の記事でも解説しています。

まとめ

| 分野 | FN ARKAの特徴 |
|---|---|
| 操作性 | AR-15型の完全両利き操作系 |
| 信頼性 | SCAR系ショートストローク・ガスピストン |
| 外装互換性 | AR規格ストックとグリップに対応 |
| モジュール性 | 銃身長とハンドガードを用途別に選択 |
| 整備性 | 分解手順を簡素化し、主要部品を脱落防止化 |
| 耐久性 | 摩耗箇所をスチールで補強 |
| サプレッサー | 複数製品への対応を想定 |
| 運用管理 | Smart Coreで射撃履歴を記録 |
| 将来性 | 折りたたみ式ストックや異口径への発展を想定 |
| 調達面 | 英国を含む現地生産や長期支援に対応 |
FN ARKAは、AR-15型の完全両利き操作系やT字型チャージングハンドル、AR規格ストックを採用しながら、内部にはSCAR系のショートストローク・ガスピストン機構を備えています。AR-15との部品互換性を追求したライフルではなく、AR型の操作性とSCAR系の信頼性・耐久性を両立させることが設計の中心です。
着脱式ハンドガード、改良型ピストン、単純化されたガス設定、Smart Coreなど、変更は外観だけにとどまりません。英国軍兵士の意見を開発に反映し、Project GRAYBURNを想定した構成や訓練装備、英国内生産体制も準備されています。
採用はまだ確定していませんが、FN ARKAは、訓練の共通化、整備性、兵站、国内生産、将来の拡張性まで重視される現代の小銃調達に対応するため、SCARで培った経験を再構築した新世代の軍用ライフルといえます。
参考資料集
- FN Herstal — “FN EXPANDS RIFLE RANGE WITH NEW FN ARKA®”
- FN Herstal — “FN ARKA®”
- Forgotten Weapons — “FN’s New ARKA: Revamping the SCAR for Military Tenders”
- The Firearm Blog — “FN Unveils Their Next Generation Rifle – The ARKA”
- Army Recognition — “FN Herstal debuts Arka 5.56mm assault rifle for modern military and law enforcement forces”
- Army Recognition — “Belgium’s FN Herstal Unveils New FN ARKA 5.56mm Assault Rifle Based on AR-15 Architecture”
- European Security & Defence — “FN expands rifle range with new FN ARKA® 5.56x45mm NATO cal. Assault Rifle”
- UK Defence Journal — “UK sets out Project Grayburn rifle replacement to industry”
- Forces News — “Project Grayburn: The hunt is on for the British Army’s next assault rifle”
- Forces News — “SA80 out, new assault rifle coming in as quest begins to make Army more lethal”
- Forces News — “Breaching body armour: MOD issues requirements for SA80 family’s replacements”
- Forces News — “Project Grayburn: MOD still undecided on SA80 replacement so you had your say instead”
- EDR Magazine — “Enforce Tac 2026 – BDT UK comments on Project Grayburn, the UK MoD programme to replace British Army small arms”
- Janes — “Update: FN UK to begin expansion of small arms manufacturing capability”
- Financial Times — “Belgian gunmaker FN Browning to buy UK sniper producer”
- UK Defence Journal — “BDT UK’s Project Grayburn pitch to re-arm British industry”
- Youtube Royal Armouries — “Project GRAYBURN: FN’s Rifle Competing to Replace the SA80 with firearms expert Jonathan Ferguson”
- Youtube Forgotten Weapons — “FN’s New ARKA: Revamping the SCAR for Military Tenders”





