初心者の方や、銃の仕組みを深く理解したい方に向けて、ピストルやリボルバーの基本的な各部名称を解説する記事です。
さらに、弾薬の基本構造や、銃がどのように発射されるかといった基礎知識も含めて解説します。
※各部の呼称は製造メーカーによって異なることがあります。
ピストルの基本構造(コルト1911)
- マガジンの内部に弾薬が収納されています。
- スライドが前後することで、弾薬をバレル内部(薬室)に装填したり、空薬莢を薬室から排出します。
- トリガーを引くとハンマーが解放されます。
- ハンマーは、ばねの反発力で動作し、スライド内部のファイアリングピン(撃針)を叩きます。
- ファイアリングピンは、慣性力で弾薬の底部にあるプライマー(雷管)を叩き、撃発します。
- 弾薬内部の火薬が燃焼すると高圧ガスが発生し、ガス圧によって弾丸がバレル内を加速、発射されます。
弾薬の基本構造
1 | ブレット (弾頭) | 射出される弾丸。 運動エネルギーを持ち、用途に応じて形状や材質が異なる。 |
2 | ケース (薬莢) | 装弾の構造をまとめる筒状の部分で、装薬や雷管を保持する。 発射後は空薬莢として排出される。 |
3 | パウダー (装薬) | 雷管の点火によって燃焼し、高圧ガスを発生させて弾頭を押し出す。 |
4 | リム (起縁) | ケースの底部にある縁。 薬室やエキストラクターにより弾薬を装填・排出する際の固定や操作を助ける。 |
5 | プライマー (雷管) | 装薬を燃焼させるための起爆装置。 撃針衝突の圧力で点火し、装薬に火を移す役割を果たす。 |
ピストルの各部名称(ベレッタ92FS)
1 | マズル (銃口) | 弾の出口。反対側はブリーチ(銃尾)と呼ばれる。 |
2 | フロントサイト (照星) | 狙った場所に照準を合わせるための前部照準器。 |
3 | バレル (銃身) | 弾に加速とライフリングによる回転を与える部分。 |
4 | スライド (遊底) | 撃発装置や弾の装填、薬莢の排出を行うパーツ全体。 |
5 | リアサイト (照門) | 後部照準器。 |
6 | セイフティレバー (安全器) | 安全装置を操作することで物理的に発射を防ぐ装置。 |
7 | ハンマー (撃鉄) | ファイアリングピンを叩く部品。 ハンマーを持たない銃も多い。 |
8 | グリップ (銃把) | トリガーを引く手で握る部分。 ・前面:フロントストラップ ・後面:バックストラップ ・底部:グリップエンド |
9 | ランヤードリング (負い紐輪) | 軍用銃に装備される紐を取り付けるための金属の輪。 |
10 | マガジン (弾倉) | 弾を収納する部分。着脱式と非着脱式がある。 |
11 | マガジンキャッチ (弾倉止め) | マガジンを銃から取り外すためのボタン。挿入されたマガジンはこの部品で固定される。 「マガジンリリース」や「マガジンリリースボタン」とも呼ばれる。 |
12 | スライドリリースレバー (遊底止め) | スライドの後退状態を操作する部品。 |
13 | トリガー (引金) | シアー等の動きを制御する部品。 |
14 | トリガーガード (用心金) | 不意にトリガーを引くことを防止する安全部品。 |
15 | テイクダウンラッチ (分解レバー) | 銃を分解する際に使用する装置。 |
16 | ダストカバー (防塵カバー) | ピストルのフレーム先端部分。 ライフルでは遊底覆を指す。 |
17 | グリップパネル (側板) | 銃の握る部分「グリップ(銃把)」に装着されたパーツ。 英語では「ストック」とも呼ぶ。 |
18 | グリップスクリュー (側板ねじ) | グリップパネルを固定するネジ。 |
19 | マガジンフォロアー (送弾板/受筒板) | スプリングの押し上げる力を弾に伝える部品。 |
20 | マガジンリップ | マガジン先端で弾薬を保持する部分。 |
1 | リアサイト (照門) | 後部照準器。 |
2 | セイフティレバー (安全器) | 安全装置を操作することで物理的に発射を防ぐ装置。 |
3 | エジェクター イジェクター (蹴出器/殻蹴) | スライド後退時に薬莢が衝突し外へ蹴り出す部品。 |
4 | マガジンリップ | マガジン先端の弾薬を保持する場所。 |
5 | スライドリリースレバー スライドストップ (遊底止め) | スライドの後退状態を操作する部品。 スライド後退時に押し下げるとスライドが前進する。 |
6 | バレル(銃身) | バレル後端はブリーチ(銃尾)と呼ぶ。 |
7 | エキストラクター (排莢子/抽筒子) | 弾薬/薬莢をチャンバー(薬室)から引き抜く爪。 |
8 | ファイアリングピン (撃針) | 発射時に弾薬のプライマー(雷管)を叩く針。 撃針の穴はファイアリングピンホール(撃針孔)と呼ぶ。 |
9 | ブリーチブロック | チャンバー(薬室)を閉鎖する部分。 弾薬の底面が接する面をブリーチブロックフェイスと呼ぶ。 ボルトで閉鎖する銃ではボルトフェイス(遊頭)と呼ぶ。 |
10 | ファイアリングピンブロック ファイアリングピンキャッチ | 撃針の移動を制限する内蔵安全装置。 |
トリガー (引金) | シアー等の動きを制御する部品。 |
トリガーバー (引金かん/引金桿) | トリガーとシアーを接続する部品。 |
シアー (逆こう/逆鈎/掛金) | ハンマーの解放を制御する部品。 |
ハンマー (撃鉄) | ファイアリングピンを叩く部品。 |
ファイアリングピン (撃針) | 弾薬のプライマー(雷管)を叩く部品。 |
ピストルの各部名称(H&K VP9/SFP9)
1 | ストライカー(撃針)※ ファイアリングピン(撃針)※ | 弾薬のプライマー(雷管)を叩く撃発用の針。 |
2 | ブリーチ (銃尾) | 銃身の後端。 |
3 | チャンバー(薬室) チェンバー(薬室) | 弾薬を装填し撃発する場所。 |
4 | バレル (銃身) | 弾頭の加速に使用される。 銃身内に備わった溝はライフリングと呼ぶ。 |
5 | マズル (銃口) | 弾の出口。 |
6 | マガジンスプリング (弾倉ばね) | マガジン内の弾薬を押し上げるバネ。 |
7 | トリガー(引金) | シアー等の動きを制御する部品。 |
8 | トリガーセイフティ トリガーセイフティラッチ | 落下等の衝撃から暴発を防ぐ安全装置。 |
9 | リコイルスプリングガイド リコイルスプリングガイドロッド | リコイルスプリングを保持するガイド。 |
10 | リコイルスプリング (復座ばね) | 後退したスライドを前進させるバネ。 |
撃針は一般的にハンマー方式のモデルでは「ファイアリングピン」と呼ばれ、ハンマーを使用しないストライカー方式では「ストライカー」と呼ばれます。しかし、ストライカー方式でも「ファイアリングピン」と呼ばれることがあります。(H&K社はストライカーを「ファイアリングピン」と呼称しています)
ピストルの各部名称(ベレッタ93R)
ベレッタ93Rはトリガーを1回引くと3点射される「3点バースト機能」が備わっており、グリップ内に3点射をカウントするための機構があります。
リボルバーの各部名称(ルガーGP100)
1 | マズル (銃口) | 弾の出口。 マズルの反対側はブリーチ(銃尾)と呼ぶ。 |
2 | フロントサイト (照星) | 狙った場所へ照準させるのに重要な前部照準器。 |
3 | バレル (銃身) | 弾に加速とライフリングによる回転を与える場所。 |
4 | リブ | バレルの上の平らな部分。 |
5 | トップストラップ | フレームのシリンダーの上の部分。 |
6 | リアサイト (照門) | 後部照準器。 |
7 | ハンマー (撃鉄) | 弾薬のプライマーやファイアリングピンに打撃を与える部品。 |
8 | ハンマースパー | ハンマーの指を掛ける部分。 |
9 | サムピース シリンダーラッチ ラッチ クレーンラッチ | シリンダーを取り出すための装置。 S&W社では「サムピース」 コルト社では「ラッチ」 スタームルガー社では「クレーンラッチ」 |
10 | リコイルシールド | シリンダー内の弾が抜け落ちるのを防ぐ部分。 |
11 | フレーム (銃体) | トリガーやハンマーなどの機関部が収まる部品。 シリンダーが収まる部分はウィンドウ(シリンダーウィンドウ)と呼ぶ。 |
12 | グリップパネル (側板) | グリップの側面に装着されたグリップの大きさを調整する部品。 |
13 | グリップ バット (銃把) | 銃の握る部分。 ハンドガン(拳銃)のグリップの底はグリップエンド(台尻)と呼ぶ。 |
14 | トリガーガード (用心金) | 不意にトリガーを引くことを防止する安全部品。 |
15 | トリガー (引金) | ハンマーの動きや解放を制御する部品。 |
16 | シリンダー (弾倉/回転弾倉) | 弾薬が装填される部品。 |
17 | ヨーク クレーン | シリンダーとフレームを繋ぐ部品。 S&W社では「ヨーク」 コルト社では「クレーン」 |
18 | エジェクターロッド (蹴子棒) | エジェクターを後退させるための部品。 シリンダーから弾を抜き出すために操作する。 |
19 | エジェクターシュラウド シュラウド | 銃身の下でエジェクターロッドを収納している部分。 トップブレイクリボルバーではエジェクターハウジングと呼ばれる。 |
20 | ラグ | エジェクターロッドが収納される部分の前方部。 デザイン目的やマズルジャンプを抑えるための重量増加目的で利用される。 マズルまで伸びている場合はフルラグと呼ぶ。 |
21 | エジェクター (蹴出器) | シリンダー内の弾薬(薬莢)を排出するための部品。 |
22 | チャンバー チェンバー (薬室) | 弾薬を装填し撃発する場所。 |
23 | センターピン | シリンダーをフレーム(ウィンドウ)内の定位置に固定する部品。 |
24 | ラチェット ラチェットティース | シリンダーの回転に必要な歯。 ハンド(パウル)が接触しシリンダーが回転する。 |
※スタームルガー社は「パウル」と呼称し、S&W社やコルト社では「ハンド」と呼称しています。
「クレーンラッチ」も同様に、モデルによって「シリンダーラッチ」や「ボルト」と呼称します。
※シリンダーノッチに嵌るシリンダーの回転を止めるパーツは、S&W社では「シリンダーストップ」と呼称し、コルト社では「ボルト」と呼称しています。
コルト社とS&W社では「ボルト」は異なる部品を意味し、S&W社ではシリンダー内のセンターピンを押す、サムピースに接続された部品を「ボルト」と呼称します。
リボルバーの各部名称(レミントン1858)
レミントン1858はパーカッション式リボルバーです。
金属製薬莢を使用せず、シリンダー内に直接装薬と弾丸を装填して発射します。
装填方法は以下のとおり。
- 銃口を上に向けた状態でシリンダー内に装薬を流し込む。
- 弾丸をシリンダーに乗せる。
- ローディングレバーを下げ、「てこの原理」でプランジャーを弾丸に当ててシリンダー内に押し込む。
- ローディングレバーを元の位置に戻す。
- シリンダー後部のニップルにパーカッションキャップ(撃発用火薬)を嵌め込む。
- ハンマーを起こす。
- トリガーを引いて発射。
シリンダーを取り出すには、ローディングレバーを下げてからシリンダーピンを引き抜くとシリンダーが外れます。
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