
ポンプアクション・ショットガンとオートマチック・ショットガンの構造について解説します。
ポンプアクション・ショットガンの構造
ポンプアクション(スライドアクション)ショットガンは手動で排莢と装填を行うショットガンです。
レミントンM870
ポンプアクション方式を採用をしたショットガンの歴史上で最も知名度が高くロングセラーであるのが、レミントンM870シリーズ。
下の図はレミントンM870の内部構造と作動原理を表しています。

M870のマガジンはチューブ式で銃身の下に備わっています。
装填は銃の下側(ローディングポート)から一発ずつショットシェルをチューブマガジンに押し込んでいきます。
(専用のスピードローダーを使用すれば全弾を一気に装填することも可能です)

ショットシェルがチューブマガジン内に収まると、シェルラッチ(上図には描かれていない)がストッパーの役目を果たし、ショットシェルが後方へ飛び出すのを防いでいます。
シェルラッチはレシーバーの左右両面内側に存在し、ショットシェルの底面の端を後方から支えます。

フォアエンドを手動で後ろへスライドさせると、フォアエンドと連結したアクションバー(上図の黄色い長い板状パーツ)によりブリーチボルト(上図緑色の大きなパーツ)が後退します。
すると同時にシェルラッチが解除され、ショットシェルがマガジンスプリングによってチューブマガジンから後ろへ飛び出します。

続いてフォアエンドを手動で前進させるとエレベーター(オレンジ色の長いパーツ)が一旦上昇して下降します。
ブリーチボルトが前進するとショットシェルが押されて薬室内に装填されます。
フォアエンドを前後させるとハンマーが起きてロックされると同時に、アクションバー・ロック(上図紫色のパーツ)が持ち上がってアクションバーの後ろに接触します。
アクションバー・ロックはアクションバーが後退するのを防ぎ、これによりフォアエンドがロックされて後退できなくなります。これは薬室を完全閉鎖するための安全装置として機能します。

トリガーを引くとハンマーがシアーから解放されて落ち、ファイアリングピンを叩いて撃発します。
また同時にトリガーを引くことでアクションバー・ロックが解除され、フォアエンドが後退可能な状態に戻ります。
フォアエンドを後退させると薬莢が排莢されると同時に、次弾がエレベーターの上に飛び出します。
以上の繰り返しにより連続射撃が可能です。
モスバーグM500

モスバーグM500はレミントンM870と似た構造ですが、エレベーターの停止位置が異なります。
レミントンM870ではフォアエンドを前後させるとエレベーターが「下降」「上昇」「下降」という動作をしますが、モスバーグM500では「上昇」「下降」「上昇」という逆の動作をし、発射準備完了時のエレベーターは上昇状態を維持します。

フォアエンドを引くとエレベーターが下降し、フォアエンドを前進させるとエレベーターが上昇します。
ウィンチェスターM1897
以下はウィンチェスターM1897の内部構造を表しています。

撃発

排莢

次弾装填
オートマチック・ショットガン(自動式散弾銃)の構造
オートマチック・ショットガンは自動で排莢と装填を行う構造のショットガンです。
ベネリのイナーシャシステム(反動利用方式)

上のGIF画像はベネリ社ラファエロ(セミオートマチック・ショットガン)の構造を表しています。
反動を利用してロックを解除する仕組みですが、基本動作は手動式と似ています。
手動式とは異なり、ブリーチボルトの前進にはストック内に配置されたスプリングの力を利用しています。
サイガ12K(ガス圧利用方式)

サイガ12では発射ガスのガス圧を利用してボルトを後退させる構造です。
しかしショットガンのガス圧はライフルと比べると低圧なため、AK47のようなフルストロークのロングストロークピストンではなく、タペット式のガスピストンを利用しています。
USAS12コンバットショットガンのようにロングストロークピストンをショットガンで利用することも可能ですが、その場合バードショット等の軽い装弾を使用した際に必要なガス圧が得られず作動しない恐れがあるため、サイガ12ではより確実に作動しやすい方式を採用しています。

ガス圧がピストンを後退させるとボルトが後退し排莢されます。
ピストンはピストンロッドを勢いよく突き、ボルトとボルトキャリアは慣性で後退します。

後退したボルトはリコイルスプリングによって再び前進し、マガジン内の次弾が薬室内に装填されます。