ご質問を頂きました。
フルオートのショットガンは存在しますか?
フルオート射撃が可能なショットガンはいくつか存在し、近接戦闘用ショットガンとして開発されています。
ここでは現存する代表的なフルオートショットガンをご紹介したいと思います。
H&K OLIN CAWS
H&K社と米国のオリン・ウィンチェスター(Olin)社の共同開発による12ゲージ口径の反動利用式コンバットショットガンです。
CAWS (Close Assault Weapon System)と呼ばれ、米軍のJSSAP(Joint Service Small Arms Program)のために1980年代に開発されました。
形状はブルパップ方式がとられ、ボックス型マガジンの装弾数は10発。連射速度は毎分250発で、セミオートとフルオートを切り替え可能です。
従来のショットガンは有効射程距離が50メートル以下が通常でしたが、CAWSでは特殊弾薬によって100メートル以上を目指していました。
しかし残念ながら計画は終了し、プロトタイプのみが製造されました。
- メーカー:H&K
- 装弾数:10+1発
- 全長:764mm
- 重量:4.3kg
- 発射速度:毎分250発
S&W AS(アサルト・ショットガン)
米国のS&W社によって開発され、米軍のJSSAPを巡ってH&K CAWSのライバルとなったショットガンです。
AS-1(セミオート)、AS-2(セミオート/3点バースト)、AS-3(3点バースト/フルオート)の3タイプが製造されましたが、採用に至らずプロトタイプのみが製造され1985年に開発終了となりました。
- メーカー:S&W
- 装弾数:10+1発
- 重量:4.42kg
- 発射速度:毎分375発
AAI CAWS
Olin CAWSやS&W ASと共にJSSAPを争ったAAI社のCAWSです。
反動利用方式で作動し、12発のマガジン装弾数を持ちます。
また、使用弾薬にプラスチックケースとダーツ状のフレシェット弾を利用します。
口径が特殊で12ゲージより大きいため、チャンバーアダプターを利用して12ゲージの通常弾を使用することが可能です。
フルオートとセミオートを切り替え可能で、ストックとグリップがM16と互換性がある点がセールスポイントですが、プロトタイプのみで開発は終了しました。
- メーカー:AAI
- 装弾数:12+1発
- 全長:984mm
- 重量:4.08kg
- 発射速度:毎分450発
USAS12
一見するとアサルトライフルのようですが、装弾数10発のボックスマガジンと装弾数20発のドラムマガジンを使用可能です。
排莢口とコッキングハンドルを左右どちらにでも変更可能な設計で、米国のジョン・トレバーJrによって設計され、韓国のS&Tモーティブ(大宇)社が軍や法執行機関向けに製造しています。
欠点を挙げるならその6.2kgという重さですが、逆に重さのおかげで反動が軽減され速射時でもコントロールしやすくなっているとも言えます。
スティーブン・セガール主演映画の「沈黙の要塞」で登場したことでも有名です。
私はUSAS12の射撃経験がありますが、銃の重さと頻発するFTF(装填不良)に悩まされたことから、残念ながらあまり良い印象がありません。
- メーカー:S&Tモーティブ(大宇)
- 装弾数:10 / 20+1発
- 全長:960mm
- 重量:6.2kg
- 発射速度:毎分360発
AA-12(オート・アサルト・12)
1972年、米国のマックスウェル・アッチソンによってAAS(アッチソン・アサルト・ショットガン)が開発され、長い年月をかけて2005年にようやく完成形となったAA12オープンボルト・ショットガンです。
AASはM16のハンドガードやストック、ブローニングBARのトリガーグループなどを利用したシンプルな構造で、近接戦闘を目的に開発された軍や法執行機関向けショットガンでした。
AASではボルトにファイアリングピンを固定していましたが、AA12ではハンマーを利用した撃発構造となっており、USAS12の原型にもなりました。
AA12は軍や法執行機関向には採用されず、民間市場でセミオートバージョンが販売されています。
- メーカー:MPS(ミリタリーポリスシステム)
- 装弾数:8 / 20 / 32+1発
- 全長:966mm
- 重量:5.2kg
- 発射速度:毎分300発
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