皆さんからいただいた、「銃の疑問」に回答します。
ベネリM4ショットガンのセミオート・ポンプアクション切り替えの部品はどこにあるのですか??
ベネリショットガンの切り替えスイッチとは?
ベネリM4は「セミオートオンリー」のショットガンです。
「ポンプアクション」への切り替えはできません。
一方、ベネリM3は「セミオート」と「ポンプアクション」の切り替えが可能です。
モデル | アクション | 作動方式 | 口径 | 光学機器用レイル |
---|---|---|---|---|
ベネリM4 | セミオート | ガス作動 | 12ゲージ | あり |
ベネリM3 | セミオート ポンプアクション | 反動利用 | 12ゲージ 20ゲージ | なし |
ベネリM2 | セミオート | 反動利用 | 12ゲージ 20ゲージ | なし |
ベネリM1 | セミオート | 反動利用 | 12ゲージ 20ゲージ | なし |
ベネリM3の切り替え方法
ベネリM3にはフォアエンドの前方に回転式のレバーがあり、レバーを回すとロックが解除されます。
レバーを回しながらフォアエンドを引くと「ポンプアクションモード」になり、レバーを回しながらフォアエンドを前へ動かすとフォアエンドがロックされて「セミオートモード」になります。(回転式レバーはバネの反発力により自動的に元の位置に戻ります)
また、一般的なポンプアクション・ショットガンではフォアエンドを自由に前後させることができますが、M3では残弾がない状態でフォアエンドを引くと、ボルトがホールドオープン状態で保持され、フォアエンドを前進させることができません。
ホールドオープン状態時、排莢口の下に配置されたボタン(キャリアリリース)を押すと、ボルトとフォアエンドが自動的に前進します。
ベネリM4でポンプアクションが廃止された背景
ベネリM3はセミオートとポンプアクションを切り替え可能な仕組みを採用しました。
これは、反動を利用して作動するM3において、反動が少ない弾薬(低致死性弾や装弾重量が軽い弾薬等)を使用した際に作動不良になりやすいことから、手動で装填と排莢を行う必要があったからです。
しかし、軍が「暗視装置などの重い光学機器を搭載可能な性能」を要求した結果、ガス作動採用によってポンプアクション廃止に繋がりました。
反動利用式では、発射時の反動によって銃が後退することで薬室閉鎖が解除され、ボルトが後退する仕組みです。
これに光学機器やライトなどの重いアクセサリー類を追加搭載すると、銃の総重量が増加することによって反動が軽減され、作動の信頼性が低下する原因となります。
そこでM4ではガス作動を採用し、反動に依存せず、銃の総重量に関わらず確実に作動する信頼性を得ました。
M4は「オート・レギュレーティング・ガス・オペレーテッド(ARGO)」と呼ばれる「デュアル・ショートストローク・ピストン」によるガスシステムを採用しています。
ARGOはセルフクリーニング機能があるため大量発射でも作動の信頼性が高く、軽い装弾でも作動しやすい特徴があります。
ベネリM3が不人気になった理由
M3はベネリショットガンのなかでは「中途半端」な位置にあります。
価格については、セミオートとポンプアクションを切り替え可能な構造により、M2よりも高価になっています。
民間でスポーツ射撃を楽しむユーザーにとって「切り替え機能」にメリットはなく、軽量で価格が安いM2の方が人気があります。
一方、軍や法執行機関においては、反動が軽く、セルフクリーニング機能がありメンテナンス性が高いM4の方が人気があります。
セミオートとポンプアクションを切り替えられることは一見すると良いように思えますが、市場においてはデメリットにもなっています。
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