PR

クリスベクターのライフル化における問題点とは?

クリスベクターの画像
Photo via Wikipedia

皆さんからいただいた、「銃の疑問」に回答します。

クリスベクターでは、5.56ミリといったライフル弾に対応したモデルが作られませんでしたが、実際の所、スーパーシステムを自動小銃で対応させる上で、どのような問題が予想されるでしょうか?

クリスベクターのライフル化における問題点とは?

クリスベクターのライフルモデルを実現するにはハードルがあります。

これは入門者向け動画としては、内容が少し難しくなるかもしれませんが、できるだけ分かりやすく解説したいと思います。

クリスベクターの画像
Photo via Wikipedia

クリスベクターは、ピストル弾を使用するサブマシンガンとして設計されました。

.22LR弾から10mmオート弾まで、複数の弾薬に対応しますが、ライフル弾には対応していません。

ライフル弾は高圧を発生させるため、低圧のピストル弾と同じ構造では、問題が生じやすいといえます。

その問題のひとつとして考えられるのは、クリスベクターの作動方式であるディレードブローバックの構造にあります。

G3ライフルの画像
Photo via Wikipedia

例を挙げると、H&K社ではディレードブローバックのライフルを製造していますが、これは、ローラーの移動を妨げることで薬室の解放時間を遅らせる構造となっています。

そのため、ローラーディレードブローバックと呼ばれます。

ローラーディレードブローバックは、発射時にロッキングピースがローラーの動きを妨げることで薬室の解放を遅らせ、高圧なライフル弾でも、安全かつ、スムーズな排きょうを実現しています。

一方、クリスベクターのディレードブローバックは構造が異なり、ボルトと接触するスライダーの傾斜と、スプリングの抵抗によって、薬室の解放を遅らせる仕組みです。

ライフル弾は発射時に大きな反動が発生するため、これに対処するには、さらに大きな抵抗でボルトの後退を抑える必用があります。

クリスベクターのディレードブローバック構造で抵抗を増加させる方法として、最も単純な解決法は、リコイルスプリングの反発力を増加させることです。

しかし、スプリングの力で抵抗を増加させると、チャージングハンドルを引くために大きな力を必用とするため、扱いづらい銃になってしまいます。

おまけに、リコイルスプリングの強化だけでは薬室閉鎖時間がふじゅうぶんで、高圧ガスが薬室から漏れる可能性もあります。

また、構造上の問題の他には、マーケットの需要を考慮する必用もあるでしょう。

クリスベクターは、フルオート時の跳ね上がりの少なさが大きなセールスポイントとなっています。

フルオートで発射されることが少ないライフルで、しかもクローズドボルトのクリスベクターに、ライフル弾に対応させるメリットがどれほどあるでしょうか。

回答をまとめると、ライフル弾に対応させるには、構造上の問題と、需要の問題というハードルがあります。