
ガトリング砲、バルカン砲、ミニガン、マイクロガンの違いについて解説します。
バルカン砲やミニガンの構造についてはこちらの記事をご覧ください。
ガトリング砲

ガトリング砲(ガトリングガン)は1862年にリチャード・ガトリングによって開発された回転式多銃身機関銃です。
クランクを手動で回して銃身の回転と発射を行う構造で、1903年まで製造されていました。
複数の派生モデルが開発され、主に.30~45口径の口径バリエーションが存在します。
バルカン砲やミニガンも、総称として「ガトリング砲」と呼ばれることがあります。
有効射程距離は約200~300m

現代ではチップマンアーモリー社からグロックピストルのマガジンを使用可能な9mm口径のガトリングガンが販売されています。
バルカン砲 / M61バルカン

低速のプロペラ機から高速のジェット機の時代となり、従来の航空機用マシンガンの発射速度ではターゲットに有効弾を命中させることが困難となったため、高速発射可能なマシンガンの開発を進める「バルカン計画」が1946年に始動しました。
そして数々の試作を経て1959年に完成したのがM61バルカン(バルカン砲)です。
戦闘機の機銃としてだけではなく、CIWSやVADSなど陸海空のあらゆる兵器で使用されています。

航空機で使用されるM61バルカンは油圧で銃身を回転させ、電気でプライマー(雷管)を撃発しています。
ファイアリングピン(撃針)で撃発するマシンガンを航空機で使用するとG(重力)を受けて不発が発生しやすいため、M61バルカンで使用される20x102mm弾ではエレクトリックプライマー(電気雷管)を利用しています。
発射速度は毎分6,000発、有効射程距離は約1,500~2,000mです。
ミニガン

ベトナム戦争当時(1963年)、高速移動する兵員輸送ヘリコプターから地上を射撃する目的で開発された、バルカン砲のミニバージョンがM134ミニガンです。
M61バルカンは20x102mm弾を使用するのに対し、M134ミニガンでは7.62x51mm NATO弾を使用します。
M134Dミニガンでは28Vモーターとバッテリー(鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリー)を使用して銃身を回転させ、ファイアリングピンによって撃発する構造です。
発射速度は毎分2,000~6,000発、有効射程距離は約1,000mです。
ミニガンの射程距離が長い理由
通常サイズのミニガンの銃身長は21.85インチですが、7.62x51mmを使用する同等サイズのライフルと比較しても、最大射程距離は殆ど同じです。
ミニガンだから特別に弾の飛距離が長いということはありません。
しかし、大量の弾を短時間に発射することが可能なため、ライフルより長い有効射程距離を持ちます。
マイクロガン
7.62x51mm弾を使用するミニガンを更に小型化し、5.56x45mm弾を使用する「マイクロガン」が複数存在します。
一つは、1970年代にゼネラルエレクトリック社によって試作されたXM214マイクロガンです。

マイクロガンは5.56x45mmを使用することから射程が短くパワーも小さいため、航空機から地上を射撃したり、地上から航空機を射撃するには能力不足でした。
そのため軍に採用されることなく、1990年にカタログから消えることとなりました。

そして2016年、エンプティーシェル社によってコンパクトなXM556マイクロガンが開発されました。
銃身長10インチまたは16インチと、コンパクトさが特徴です。
5.56x45mm弾を使用し、毎分2000/6000発の発射速度が可能となっています。