なぜ日本の警察は装弾数5発のリボルバーを携帯しているのでしょうか?
6発ではなく5発の理由とは?
今回は装弾数が5発の理由について解説します。
日本警察で採用されるリボルバーの装弾数とは?
戦後日本では1960年まで米軍から拳銃の供与を受けており、装弾数6発のリボルバーが使用されていた過去があります。
ところが1960年に装弾数5発のニューナンブM60が採用されると、装弾数6発のリボルバーはほとんど使用されなくなりました。
現在でも銃器対策部隊など一部の警察組織において装弾数6発のリボルバーが使用されている例があるものの、私たち一般人が目にする制服警察官は装弾数5発のリボルバーを携帯しています。
かつて日本の警察が「装弾数5発のリボルバーを採用している理由」について公式見解を述べたことはないと思われますが、装弾数5発のリボルバーを採用する合理的な理由を推測することができます。
シリンダー(回転弾倉)の容量
リボルバーの装弾数は「シリンダー(回転弾倉)の容量」と、「弾薬の直径(口径)」によって決定されます。
多い装弾数は大きなシリンダーが必要になり、大きなシリンダーには大きなフレームが必要です。
フレームが大きくなれば銃全体のサイズが大きくなるため、重量も重くなります。
もし銃のサイズを維持したまま装弾数を増やそうとすれば、口径を小さくする必要があります。
S&W社のリボルバーではJ、K、L、N・・・といったサイズに分類され、異なる大きさのフレームが用意されています。
小さなフレームのJフレームは.38スペシャルや.357マグナムといった、直径約9mmの弾薬が5発装填可能なシリンダー容量を持ちます。
一方、大きなフレームのNフレームでは、.38スペシャルや.357マグナムが6~8発装填可能なシリンダー容量を持ちます。
JフレームのS&W M36の場合、重さは約553グラムになりますが、NフレームのS&W M27は約1.2kgになり、かなりの重量差があります。
使用する材質にチタン合金を利用したり、銃身長を短くすることで軽量にすることも可能ですが、チタンは価格が高価になるため警察組織の大量採用には予算の都合上不向きといえます。
フレームサイズ | モデル | 装弾数 | 銃身長 | 重量 | 材質 |
---|---|---|---|---|---|
J | M36 | 5発 | 2インチ | 553g | カーボンスチール |
N | M27 | 6発 | 4インチ | 1,194g | カーボンスチール |
N | M327 | 8発 | 2インチ | 641g | チタン合金 |
※フレームサイズの違いについては記事「リボルバー(回転式拳銃)のフレームサイズと種類」をご覧ください。
日本警察が採用するリボルバーの弾薬
日本の警察はJフレームに相当する軽量コンパクトなリボルバーを採用しており、.38スペシャルを5発装填可能です。
.38スペシャルは9mmや.40S&Wなどより反動が小さく、扱いやすい弾薬です。
大きな反動は速射時の命中精度低下に影響し、流れ弾による二次被害の恐れもあるため、必要最低限のパワーを持ちつつ命中率の高い.38スペシャルは銃に不慣れな一般的な日本人でも扱いやすいと言えます。
※.38スペシャルについては関連記事の「9mm弾と.38スペシャル弾の実力差とは?」もご覧ください。
装弾数が5発の理由
「なぜ日本の警察が装弾数5発のリボルバーを採用しているのか」という理由については、小型化により重量を軽くすることで携帯性を向上させ、現場の現状から多弾数を必要としないと判断されたからと思われます。
アメリカの法執行機関もリボルバーを採用していた時代があり、様々なフレームサイズが利用されていましたが、1970~1980年代頃から信頼性の高いハイキャパシティーピストルの登場やホローポイント弾の一般化といった時代の変化を切っ掛けとして装弾数の多いピストルに交替されています。
一方、日本はアメリカの事情とは異なり、一般人は銃を所持していないため銃撃戦で弾数が必要になる状況は想定しにくいと言えます。
装弾数が5発もあればほとんどのケースで対応可能と考えられます。
また、毎日携帯する銃は可能な限り軽量な方が身体への負担が軽減されます。
重い銃を常時携帯するのは腰痛の原因にもなるため、使用頻度の低い銃は軽量であるほど快適かつ合理的です。
以上の理由から、必要最小限の装弾数(5発)と軽量な銃の組み合わせにより、日常の職務に取り組みやすくなるといった利点があります。
とはいえ、日本においても麻薬取締官、銃器対策部隊、海上保安庁など、より大きなリスクを伴う現場ではピストルも採用されており、職務内容によっても携帯する銃の装弾数が異なります。
※日本の警察が採用している銃については記事「日本の警察が使用している銃とは?」をご覧ください。
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