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ダムダム弾とホローポイント弾の違いとは?戦争で禁止されている?

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ダムダム弾とは、どんな弾でしょうか?

ダムダム弾とホローポイント弾の違いとは?

この記事ではダムダム弾について解説します。

ホローポイント弾とは?

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ホローポイント弾とは、弾頭の先端に穴/凹み(hollow)が備わっている弾薬です。

「先端(ポイント)」に「凹み(ホロー)」があることから、「ホローポイント」と呼ばれます。

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フェデラルHST Image courtesy of handgunsmag.com

人体など、ソフトターゲットに着弾すると流体によって穴が拡張します。

拡張した弾頭によって運動エネルギーが消費され、ターゲットに大きなダメージを与える仕組みです。

鉄板などの硬い物体に着弾した場合も、弾頭はある程度拡張しますが、この場合は意図された大きさに拡張せず、ホローポイント弾はあくまで人や動物に対して最大の効果が得られるよう設計されています。

ホローポイント弾は警察などの法執行機関の他、狩猟(小~中型の獲物)にも使用されています。

ダムダム弾とホローポイント弾の違いとは?

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Image courtesy of rebelgunworks.com.au

ホローポイント弾はダムダム弾です。

「ダムダム弾」とは、着弾時に弾頭直径が大きく拡張する設計の弾頭を意味する通称です。

着弾時に拡張する弾薬には、先端に凹みがある「ホローポイント弾」の他、先端に鉛が露出した「ソフトポイント弾」などが存在し、これらはダムダム弾です。

ソフトポイントは先端の柔らかい鉛が着弾時に大きく変形、拡張することでターゲットに大きなダメージを与える設計です。

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弾頭全体を「ジャケット(銅合金)」で被ったものは「フルメタルジャケット(FMJ)」と呼ばれ、フルメタルジャケット弾はダムダム弾ではありません。

なかにはEFMJと呼ばれる着弾時に拡張するフルメタルジャケット弾も存在しますが、こうした特殊な弾薬は一般的にダムダム弾とは呼ばれていません。

「先端に穴がある」「先端に鉛が露出している」「先端に切込が入っている」・・・といった加工が施されている弾薬がダムダム弾と呼ばれています。

ダムダム弾の由来と歴史

インドのカルカッタ近く(現在の西ベンガル州)にダムダム(Dum Dum)という街があり、19世紀にイギリス軍が管理していた「ダムダム兵器工廠」が存在しました。

ここで製造されたソフトポイント弾頭の.303ブリティッシュ弾(Mk II スペシャル)は「ダムダム弾」と呼ばれ、これが由来となっています。

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Image courtesy of quora.com

ダムダム弾(Mk II スペシャル)は1896年にダムダム兵器工廠の監督者であるイギリス軍将校ネビル・バーティ・クレイによって発明されました。

従来の軍用ライフル弾は弾頭をジャケットで覆うフルメタルジャケット弾でしたが、ダムダム弾では弾頭の先端からジャケットを排除し、鉛が剥き出しとなったソフトポイント弾頭に改良されています。

これにより着弾時に弾頭が大きく潰れて拡張し、人体に対して大きなダメージを与えます。

当時、フルメタルジャケット弾を6発被弾したにもかかわらず病院で回復した事例があり、イギリス軍はストッピングパワーの高い弾薬を求めていた背景があります。

ところが、ダムダム弾は弾頭の底(ベース)をジャケットで覆っていなかったため、発射時に鉛のコアだけが銃口から発射され、ジャケットが銃身内に残されるというトラブルが起こりました。

そのため、弾頭の底をジャケットで覆い、弾頭の先端に穴を開けてホローポイント弾に改良された弾薬(Mk IV)がイギリス本国で製造されました。

しかし、この弾薬はダムダム兵器工廠で製造されていないにも関わらず「ダムダム弾」と呼ばれ、「着弾時に拡張される弾頭=ダムダム弾」というイメージが広がっていました。

Image courtesy of wikipedia.org
ドイツによるダムダム弾のプロパガンダ Image courtesy of wikipedia.org

そして1898年、ドイツがイギリスに対して「ダムダム弾(Mk IV)は非人道的である」と異議を申し立て、1899年のハーグ条約において使用が禁止されることとなります。

その後イギリス軍は使用弾頭をフルメタルジャケットに変更し、「ダムダム弾」の在庫は射撃練習用として消費されました。

ホローポイント弾は戦争で禁止されている?

1899年のハーグ条約にて「ダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言」に署名した国はダムダム弾の使用が禁止されました。

この宣言の正式名は、「外包硬固なる弾丸にして其の外包中心の全部を蓋包せず若は其の外包に裁刻を施したるものの如き人体内に入て容易に開展しまたは扁平と為るべき弾丸の使用を各自に禁止する宣言書(Déclaration concernant l’interdiction de l’emploi de balles qui s’épanouissent ou s’aplatissent facilement dans le corps humain)」であり、着弾時に拡張する弾頭の使用を制限するものです。

1899年のハーグ条約は1899年7月29日に署名され、1900年9月4日に発効。

3つの条約と3つの宣言から成ります。

  • 1条:国際紛争平和的処理条約
  • 2条:ハーグ陸戦条約
  • 3条:1864年8月22日 「ジェネヴァ」条約の原則を海戦に応用する条約
  • 4条、宣言1:気球の利用またはその他の新しい類似の方法による投射体及び爆発物の放出の禁止に関する宣言
  • 4条、宣言2:毒ガス禁止宣言(窒息性毒ガスを放出することを単一目的とする投射体の禁止に関する宣言)
  • 4条、宣言3:ダムダム弾禁止宣言(外包硬固なる弾丸にして其の外包中心の全部を蓋包せず若は其の外包に裁刻を施したるものの如き人体内に入て容易に開展しまたは扁平と為るべき弾丸の使用を各自に禁止する宣言書)
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9x19mm ホローポイント弾

しかし、現在のアメリカ陸軍は一部ホローポイント弾を採用しており、M17ピストルで使用されています。

これには2つの理由があります。

ひとつは、アメリカはハーグ条約の1~3条に署名していますが、4条には署名していません。

もうひとつの理由は、仮に4条に署名していたとしても、この宣言は締約国の間でのみ成立するからです。

以下は4条の宣言3の内容です。

締約国は、芯を完全に覆わない硬い外皮を持つ弾丸や、切り込みを入れて貫通させた弾丸など、人体内で容易に膨張したり、平らになったりする弾丸の使用を控えることに同意する。

この宣言は、締約国のうち2国以上の間で戦争が起こった場合にのみ締約国を拘束する。

この宣言は、締約国間の戦争において、交戦国の一方に非締約国が加勢したときから、拘束力を失う。

この宣言は、できる限りすみやかに批准されなければならない。

批准書は、ハーグに寄託しなければならない。

各批准書の受領については、プロセス・バーバルが作成されるものとし、その写しは、正当に証明されて、外交上の経路を通じてすべての締約国に送付されるものとする。

非署名国は、この宣言を支持することができる。そのためには、それらの国は、オランダ政府に宛てた書面による通知によってその遵守を締約国に知らせ、それによって他のすべての締約国に伝達されなければならない。

締約国のひとつがこの宣言を破棄した場合には、その破棄は、オランダ政府に宛てた書面による通知が他のすべての締約国に直ちに伝達された後1年を経過するまでは効力を生じない。

この否認は、通告国にのみ影響を及ぼすものとする。

全権大使は、この宣言を信頼して、この宣言書に署名し、これに印を押した。

この宣言は、1899年7月29日にハーグで行われ、1部がオランダ政府の公文書館に保管され、その写しは、正当に証明された上で、外交ルートを通じて締約国に送付される。

https://avalon.law.yale.edu/19th_century/dec99-03.asp

つまり、これは締約国の間で成立する宣言のため、仮に署名していたとしても締約国以外のテロリスト、ゲリラ、海賊といった不法戦闘員(※)に対してホローポイント弾を使用することは国際法上合法と解釈できます。

※不法戦闘員とは、戦闘を行う戦闘資格のない文民です。

国際法上、敵対行為に直接参加するためには戦闘員資格の条件を満たしている必要がある。戦闘員資格のない者が敵対行為に直接参加し、その結果敵の権力内に陥った場合、「不法戦闘員」(unlawful combatant)もしくは「敵性戦闘員」(enemy combatant)と呼ばれる。武力紛争法においては、あらゆる人は必ず戦闘員か文民かのいずれかに属するのであり、戦闘員資格がない以上は、不法戦闘員は文民である。

文民であるにもかかわらず敵対行為に直接参加したことは犯罪であり、抑留国はその点につき刑事責任を追及することができる。ただし、不法戦闘員が敵の権力内に陥った場合はジュネーブ諸条約共通3条が適用され、人道的に処遇しなければならない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/戦闘員#不法戦闘員

まとめ

ハーグ条約とジュネーブ条約が混同されることがありますが、ダムダム弾規制はハーグ条約による規制です。

ハーグ条約は「戦闘の方法」について規制しており、ジュネーブ条約は「捕虜や非戦闘員などの保護」を目的とした規制です。

「ダムダム弾(ホローポイント弾)は戦争で禁止されている」と語られることが多いですが、それは一定の条件下のみに該当します。

条約に署名した正規軍を除き、実際の紛争地では戦闘にホローポイント弾も使用されています。

しかし、軍用としてのホローポイント弾にはデメリットがあり、製造コストが高いことや、他国と協力する世界情勢において、条約に署名した国とそうでない国が同じ弾薬を共有できないのは問題となる場合があります。

そのため、ホローポイント弾を使用しても国際法上問題のないアメリカ(NATO軍)も、大規模にホローポイント弾を使用しない現状があります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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