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防弾チョッキ(ボディーアーマー)を合法的に輸入する方法とは?:基礎知識と必要な手続き

faq_qアメリカの防弾チョッキ規制一覧において「アメリカ政府に許可なく防弾チョッキを国外に輸出したり持ち出すのは違法」と書いてありますが、プレートを取り外したプレートキャリアなども違法になるのでしょうか?

又、日本のショップでたまに実物新品のアーマーが売られていることがありますが、どのように輸入しているのでしょうか?

もしアーマーをアメリカで購入し、日本に持ち帰るとしたらどのように許可を取れば良いですか?

 

faq_a防弾ベスト(防弾チョッキ)をアメリカから輸出する場合はアメリカ政府の許可が必要ですが、日本では輸入時に許可不要です。

しかし、業者の中には許可を得ずにアメリカから輸出しているところもあるので、この場合はアメリカの法律上密輸になるので注意が必要です。(規制されていることを知らない業者も多いようです)

一方、日本では輸入規制はありませんが、一般的な商品と同様に商品価格次第で課税されます。

 

 

犯罪者は所持や売買が禁止されている

アメリカでは未成年者や犯罪歴(重罪歴/Felony)がある人物が防弾ベストやプレートキャリアを所持/売買することは禁止されています。

前提条件として、購入者/販売者は法で規制されていない成人でなければなりません。

また、ワシントンDCやその他一部の地域では、防弾ベストの購入に免許(ボディーアーマーライセンス)が必要なので要注意です。

 

 

アメリカから輸出する際の手続き

アメリカでは防弾ベストが犯罪者や敵国の手に渡ることを防ぐため、国際武器取引規則(ITAR / International Traffic in Arms Regulations) で規制されており、輸出時にアメリカ政府へ申請が必要です。

レベルIVライフルプレートやバリスティック・ヘルメット(レイル付き)を輸出する場合は、国務省国防貿易管理局( DDTC / Directorate of Defense Trade Controls )に許可申請し、レベルIII以下の防弾ベストやバリスティック・ヘルメット(レイルなし)商務省産業安全保障局 ( BIS / Bureau of Industry and Security ) に許可申請します。

※戦場など危険地域において自分で防弾ベストを着用する目的の場合は、「一時的な持ち出し」としてDDTCへの申請は免除されます。この場合、持ち出した防弾ベストを再びアメリカ国内に持ち帰ることが条件です。ただし、アメリカ合衆国税関・国境警備局 (U.S. Customs and Border Protection)へ申請する必要があり、Form 4457  (Certificate of Registration for Personal Effects Taken Abroad)の申請書を使用して申請します。

 

管轄省 アメリカ合衆国 国務省国防貿易管理局
( DDTC / Directorate of Defense Trade Controls )
アメリカ合衆国 商務省産業安全保障局
( BIS / Bureau of Industry and Security )
法律 武器輸出管理法
(AECA / Arms Export Control Act)
輸出管理法
( EAA / Export Administration Act)
規則 国際武器取引規則
(ITAR / International Traffic in Arms
Regulations)
輸出管理規則
(EAR / Export Administration
Regulations)
品目 レベルIV防弾ベスト
レベルIVライフルプレート
バリスティック・ヘルメット(レイル付き)
レベルIII以下の防弾ベスト
レベルIII以下のライフルプレート
バリスティック・ヘルメット(レイルなし)

 

概要は以上の通りで、品目によって管轄や法律が異なります。

意外とシンプル?と思われるかもしれませんが、DDTCの許可が必要なレベルIVの防弾ベストやライフルプレートは、基本的に輸出できないと考えた方が良いでしょう。そもそも、誰でも簡単に輸出できるのであればITARに意味が無くなってしまいます。

一方、BISの許可が必要なレベルIII以下の防弾ベストやライフルプレートは輸出可能ですが、輸出先によっては許可されません。

輸出許可を得て個人輸入する場合、または商用で輸入する場合は注意が必要です。

参照:GPO(eCFR — Code of Federal Regulations)

 

 

レベルIII以下の防弾ベスト輸出規制

レベルIII以下の防弾ベストは規制品目リストECCN 1A613.dに分類されます。ECCNとは品目分類番号のことで、輸出規制リストに記載されている製品にはECCN番号があります。1A613の1桁目の「1」は「材料/化学物質/細菌/有毒物質」を表し、2桁目の「A」は「装置/アッセンブリ/コンポーネント」を表します。その下の「613」は管理番号です。

ECCNについて詳しくは安全保障貿易情報センター やCommerce Control List (CCL)を参照ください。

 

Photo via bis.doc.gov

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上の表は輸出規制品の国別チャートです。

日本を見ると、化学兵器(CB1)、安全保障(NS1)、ミサイル技術(MT1)、地域安定規制(RS1)にXの印があり、これら理由によって規制品がアメリカから日本への輸出されるのを規制しています。

このうち、レベルIII以下の防弾ベストは「NS1」と「RS1」の理由によって日本への輸出が規制されていますが、例外として一回の発送で合計1,500ドルまでは許可されます。

詳しくはBISのSupplement No. 1 to Part 774をググってください。(適当なリンクが見つからないので)

 

Photo via bis.doc.gov

Photo via bis.doc.gov

因みに、中国への輸出はXが多く規制理由が多岐に渡ります。

 

Photo via bis.doc.gov

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北朝鮮に至っては「別紙」という扱いで、韓国は日本と比べると犯罪防止規制(CC1/CC3)が追加されています。

 

 

購入者がBISの輸出許可を持つ業者から購入する場合は購入者が輸出許可を得る必要はないため、例えば日本から通販でアメリカの業者経由で購入することは可能です。

しかし、個人や業者として輸出手続きをする際は、BISの輸出許可を得る必要があります。

アメリカで現地購入し手荷物としてアメリカを出国するのは避けた方が良いでしょう。

 

 

日本へ輸入する場合

今回の記事を書く前に、東京税関に電話して税関相談官の方から詳しく教えていただきました。

結論を申しますと、日本では防弾ベストやライフルプレートに輸入規制はなく輸入可能です。

私がライフルプレートについて質問した際、担当の税関相談官は「機動隊が持つ盾」を想像したそうですが、詳しく説明した後に他の専門部署の方とも相談した結果、ライフルプレートでも防弾盾でも通関は問題ないことが確認できました。

防弾ベストは関税定率法の第93類「武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品」にも該当しないとのことで、ヌンチャクのような攻撃武器は規制があるが、防御する製品は該当しないそうです。防弾ベストは洋服と同じ扱いのようです。

もし日本から輸出する場合は経済産業省に申請が必要ですが、輸入は申請不要です。

 

 

日本の空港での通関

日本に持ち込む場合は、個人か商用かによって手続きが異なります。

例えば、個人が海外で防弾ベストを購入し成田空港から入国する場合、防弾ベストの価格が20万円以下は免税ですが、20万円を超える場合は課税されます。

もし30万円を超える場合は、成田航空貨物出張所に移動して手続きを行います。

商用の場合は、空港到着前に機内または空港で黄色い用紙の「携帯品・別送品申告書」に記入する際に「商業貨物」にチェックして申告します。

参考:海外旅行者の免税範囲

 

 

国際郵便の通関

国際郵便で輸入する場合は、宅配業者が代行して申告/納税を行うため簡単です。

課税される場合は、税金が1万円以下では国際郵便物課税通知書と郵便物が届き、1万円を超え30万円以内の場合は郵便事業株式会社から電話連絡があり、30万円を超える場合は国際郵便物課税通知書のみが先に届きます。

Photo via customs.go.jp

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詳しくは個人輸入通関手続をご覧ください。

 

 

まとめ

  • レベルIVの防弾ベストやライフルプレート:日本に輸入可能。アメリカから輸出不可。
  • レベルIII以下の防弾ベストやライフルプレート:日本に輸入可能。アメリカから輸出可能だが原則輸出許可が必要。
  • ライフルプレートキャリア:日本に輸入可能。アメリカから輸出可能。

アメリカから購入する場合は、アメリカで輸出許可を得ている業者から購入し発送してもらうのが良いでしょう。

アメリカ観光ついでに現地で購入し、飛行機で持ち帰るのは避けた方が無難です。出国時にみつかるとトラブルになりかねません。規制品目の不正輸出は重罪になる可能性があります。

アメリカ以外の国で購入し、防弾ベスト輸出規制がない場合は、日本入国時に問題とならないので安全でしょう。

ただし、私は法律の専門家ではないので、実行する際は全て自己責任でお願いします。

まずは現地の法律を調べることをお勧めします。

 

 

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