「リボルバーにサイレンサーをつけても消音、減音 しない。シリンダーとヨークの間の接触面から発射ガスが漏れるから。」と聞きました。 本当のところはどうなんでしょうか?
シリンダー(弾倉)と銃身の間(シリンダーギャップ)から発射ガスが漏れるため、サプレッサーによって銃口から発せられる音を抑えることができても、減音はしません。
これはリボルバーの構造上の問題で、ピストルとは異なり、銃身と薬室が独立しているためガス漏れが避けられないからです。
シリンダーギャップから放出される高温高圧のガスに触れることは危険を伴うため、銃を握る際は指がシリンダー・ギャップより前に出ないように注意する必要があります。
しかし過去にはサプレッサーを使用するリボルバーが製造されたことがありました。

Peters PSDR III Photo via modernfirearms.net
ドイツのガンスミス、ジョー・ピーターによって開発されたピーターズPSDRリボルバーは、S&W625(.45ACP)をベースとし、シリンダーをカバーで覆うことで減音を試みました。
このリボルバーはドイツ警察特殊部隊(SEK)に採用された実績がありますが、再装填に時間が掛かるといった難点があります。

ナイツ・サプレッスド・リボルバー Photo via modernfirearms.net
また、アメリカのナイツ・アーマメント社は.44マグナムのルガー・レッドホークをベースとしたサプレッサー内蔵リボルバー・ライフルを製造し、これは口径7.62mmの特殊専用弾が使用されました。
この専用弾は先端部分にアルミのインサートで弾頭周囲を覆う構造で、銃身後部(ブリーチ)にアルミインサートを接触させることでシリンダーギャップを埋めてガス漏れを防いでいます。
シリンダーギャップが埋まることで弾速が上がりますが、最大の減音効果を得るために亜音速になるよう調整されています。
実際の使用実績は謎ですが、アメリカ政府のある機関の依頼により製造され、薬莢が証拠として残らないように「排莢しないサプレッサー付ライフル」を求められた結果、この様な形で完成しました。

ナガン1895リボルバー Photo via imgur.com
なかには、シリンダーギャップからのガス漏れが無いリボルバーも存在します。
ロシアのナガンM1895はユニークな構造を持ち、トリガーを引くと同時にシリンダーが押されて前進し、銃身にシリンダーが押しつけられてガス漏れを防ぎます。
このメカニズムはサプレッサーを利用するためのものではなく、発射ガスを無駄なく利用する目的で設計されました。当時は現在ほど火薬の性能が良くなかったため、使用弾薬を7.62mmと小口径にし、弾速を向上させようと試みられました。
しかし、この特徴を利用してサプレッサーを装着したモデルも製造されています。