ご質問を頂きました。
小説「極大射程」で出てきたペーパーパッチング(弾丸を紙やプラスチックで包んで装填する)について教えてください。
弾を紙で包む「ペーパーパッチング」は、1800年代後期からポピュラーとなり、ノンクリーニングでの発射可能弾数の増加、発射ガスの無駄を削減、命中精度向上などの目的のために行われました。
初期のカートリッジは弾頭と装薬を紙で包んだ構造でしたが、金属カートリッジが発明された以後も、弾を紙で包むことでレッディング(ライフリングの溝が鉛カスで埋まる状態)を防止し、何発も撃ったあとでもバレル内の汚れを最小限に抑えて命中精度の低下を防ぐ目的で利用されました。
現代の弾頭は銅で鉛を覆うことで問題を解決していますが、ペーパーパッチングは現在でも愛好家の間で広く楽しまれているジャンルのひとつです。
ペーパーパッチングで使用される弾は鉛100%のキャストブレットを使用し、個人で弾を製造するユーザーはペーパーパッチング専用のモールド(弾丸製造金型)を使用して製造します。
ペーパーパッチングの方法は次の通り。
- 水で湿らせた短冊状の紙(乾燥した紙でもOK)で弾頭の周囲を2巻きほどする。
- 底部の余った紙の部分をネジって切り落とし弾頭を完成させます。
- その後、完成した弾頭と装薬の間にワッドをかませてローダーでカートリッジに挿入されます。
ペーパーパッチングされた弾は銃口を飛び出た瞬間に紙が裂けて弾頭から分離されます。
弾頭に紙がくっついたままだと命中精度に影響するため、できるだけ早く紙が分離されるのが望ましいといえます。
発射された弾頭表面にはライフルマーク(施条痕)が残るため、犯罪に利用しやすいということはありません。
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