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【口径解説】45口径は何ミリ?測り方から1911ピストルの魅力まで徹底解説

.45口径は何ミリ?

.45口径の1911ピストルに人気があるのは.45口径神話の影響?

なぜ戦艦大和の主砲も.45口径?

今回は口径の測り方など、このような疑問に回答します。

.45口径は何ミリ?

1911ピストルの構造

口径とは、銃身(バレル)の内径を指します。

1911ピストルなどで使用される.45ACPの場合、.45口径は0.45インチ(11.43mm)を意味します。

ここで「.45ACPの場合」と述べた理由は、同じ.45口径でも弾薬の種類によって口径が異なる場合があるためです。

Image courtesy of Wikipedia

銃の多くにはライフリングが備わっています。

ライフリング」とは、銃身内に備わっている溝で、弾に回転を与えて直進性を高める目的があります。

銃身の内径を測るとき、対面する山の内径を山径(ボアダイアメーター/ランドダイアメーター)と呼びます。

そして、対面する溝の内径を谷径(グルーブダイアメーター)と呼びます。

以下は.45口径の代表的なサイズを表しています。

弾薬山径
(mm)
谷径
(mm)
弾頭直径
(mm)
.45ACP11.2311.4311.405~11.481
.45コルト11.2311.4311.43~11.582
.45GAP11.2311.4311.405~11.481
.45ウィンチェスターマグナム11.2311.4311.405~11.481
.45オートリム11.2811.4611.329~11.481
.454カスール11.2511.4811.418~11.494
弾頭直径はジャケッテッドブレットの例です

口径とは例外を除いて一般的に「山径」を指しますが、.45ACPは「谷径」が口径です。

さらに詳しい説明は、以下の記事をご覧ください。

.45口径の種類

45ACPの画像

.45口径といっても色々な種類の弾薬が存在します。

以下はその一例です。

種類弾薬弾頭重量
(gr)
銃口初速
(ft/s)
マズルエナジー
(ft·lb)
拳銃弾.45ロングコルト200~255800~1200300~600
拳銃弾.45 ACP174~2301025~1200406~500
拳銃弾.45 GAP185~2001050~1150543~573
拳銃弾.45オートマグ135~2301600~18001000~1300
拳銃弾.45ウィンチェスターマグナム185~3001200~1600600~1200
ライフル弾.458 SOCOM300~5001800~22002500~4500

これらはどれも.45口径ですが、弾頭重量(弾頭の長さ)や装薬量などが異なるため、弾速やエナジーに差が生じています。

戦艦大和の大砲も45口径?

戦艦大和画像

戦艦大和の主砲は「45口径46cm砲」と呼ばれます。

当然ながら、戦艦大和の主砲と1911ピストルは同じ口径ではありません。

大砲と銃は、異なる表記が利用されています。

砲身の内径

大砲における「口径」とは、砲身の内側の直径を指します。

45口径46cm砲の場合、砲身の内径(山径)が46cmであることを意味します。

砲身の長さ

45口径46cm砲の場合、砲身の長さが口径(46cm)の45倍であることを意味します。

計算すると砲身の長さは46 cm x 45 = 20.7 メートルとなります。

日本海軍では、これらを組み合わせて「45口径46センチ砲」のように表現されました。

つまり、「45口径46cm砲」とは、こういうことです。

  • 46cmは砲身の内径
  • 45口径は砲身の長さが口径の45倍の長さ

例えば、アメリカ海軍のアイオワ級戦艦の主砲は「16インチ/50口径」と表されますが、これは、口径が16インチ、砲身の長さが800インチ(16×50=800)であることを意味します。

また、戦車の砲身を例にすると、パンター戦車に使用される「75 mm L/70」という数字は、口径が75mmで、砲身の全長が75 x 70 = 5,250 mm(5.25メートル)であることを意味します。

現在、陸上自衛隊の10式戦車で使用される「44口径120mm滑腔砲」も同様に、口径が120 mm、砲身の全長が120 x 44 = 5,280 mm(5.28メートル)です。

(10式戦車の主砲は、ドイツ・ラインメタル社の「120 mm L/44」を参考にして設計されました)

1911ピストルの人気は45口径神話の影響?

1911ピストルの画像

話を大砲から銃へ戻します。

アメリカで.45口径の銃(1911ピストルなど)に人気があるのは、「.45口径神話があるため」と語られることがあります。

なぜそれほどまでアメリカで.45口径に人気があるのか?

これには、以下の背景が影響しています。

歴史的に馴染が深い

銃の画像
コルトSAA Image courtesy of bckinsey.com

.45口径はアメリカの歴史において深い馴染と親しみがあります。

西部開拓時代には、.45コルト弾(別名.45ロングコルト)が1872年にコルトシングルアクションアーミーリボルバーのために開発されました。

アメリカ陸軍は1873~1892年に.45コルトを採用し、19年間制式な軍用ハンドガンカートリッジとして使用された歴史があります。

1892年に.38ロングコルトに置き換えられましたが、.45コルトは、インディアン戦争、米西戦争、米比戦争などの様々な紛争で使用されました。

そして、20世紀初頭からは.45口径の.45ACP弾がアメリカ軍や法執行機関で広く使用されてきました。

.45ACP弾を使用する1911ピストルは1911年から1985年まで、アメリカ軍のサイドアームとして採用され、アメリカの歴史に深く関わってきたといえます。

米海兵隊での出来事
1911年アメリカ陸軍がオリジナルのM1911を採用
1926年M1911A1が導入され、改良が加えられる
1985年ベレッタM9がアメリカ軍全体の標準サイドアームとして採用される
1986年海兵隊がM1911A1ピストルを改良し、MEU(SOC)ピストルとして配備を開始
2002年アメリカン・ハンドガナー誌が海兵隊のM1911アップグレード部品の購入についての記事を発表
2002~2003年頃海兵隊がKimber社製のICBQピストルを購入
2012年コルト社製の新しいM1911がM45A1として選定される
2016年MARSOCがM45A1をグロックに置き換え始める
2017年アメリカ陸軍がSIG SauerのMHS(Modular Handgun System)を採用
2019年海兵隊が標準サイドアームをM18(9mm)に置き換える計画を発表
2019年海兵隊がグロック19Mピストル(M007)を一部の部隊に支給
2019年スコット・ミラー将軍がカスタムM1911を携行している姿が確認される
2022年10月M45A1(.45ACP)からM18(9mm)への置き換えが完了

ストッピングパワーの優位性

.45ACPは、強力なストッピングパワーがあると信じられてきた背景があります。

ストッピングパワーとは、対象を無力化する力です。

一般的に185~230グレインの重い弾頭が使用され、着弾時に大きなエネルギーを伝達するため、護身用としてや、法執行機関で信頼されました。

また、口径が大きいため、「穴が大きい=出血が多い=ストッピングパワーがある」という考えをもつユーザーが多いのも事実です。

.45ACPが他の拳銃弾と比較してストッピングパワーに優れるという点については議論がありますが、信頼を持つ人が多いのは間違いないでしょう。

ストッピングパワーの実際については、以下の記事をご覧ください。

信頼性が高い

ピストルとマガジンの画像

特に1911ピストルは、信頼性と耐久性で定評があり、これは.45ACP人気に影響しています。

私自身もアメリカで.45口径の1911ピストルを所持していたため、その信頼性の高さは身をもって感じています。

もちろん、大量生産品であるため一部不良品も存在しますが、元となる設計は優秀です。

正しく管理していればジャム(装填不良・排莢不良)は無く、多少グリップが甘くても確実に作動します。

.45ACPは反動が大きいため、反動を利用して作動するセミオートピストルとの相性が良いといえるでしょう。

精度とコントロール

大きなサイズにもかかわらず、.45 ACP弾は精度とコントロール性で知られています。

1911ピストルの場合、スライド式のシングルアクショントリガーを利用していることもあり、一貫して短いトリガープルとシャープな切れ味が高い命中率に貢献しています。

9mmピストルなどと比較すると反動が大きいのがデメリットですが、反動に慣れた経験豊富な射手は問題なくコントロール可能です。

射撃競技におけるメリット

射撃する女性のイメージ画像

.45ACPは、USPSA(United States Practical Shooting Association)やIDPA(International Defensive Pistol Association)などの射撃競技でも人気があります。

USPSAのシングルスタック部門では、「メジャー」スコアリングシステムを適用するために、パワーファクター165以上を必要とします。

射撃競技における「パワーファクター (PF)」 とは、反動が大きい弾薬を優遇するために使用されるランキングシステムで、反動が大きく弾頭重量が重い.45ACPはメジャーパワーファクター」の追加ポイントを得られます。

このシステムでは、「Aゾーン」外に命中した場合に追加ポイントが与えられます。

例えば、「B」や「C」のゾーンに命中した場合、メジャーパワーファクターでは4ポイント、マイナーパワーファクターでは3ポイントが与えられます。

また、「Dゾーン」に命中した場合、メジャーパワーファクターでは2ポイント、マイナーパワーファクターでは1ポイントが与えられます。

ただし、「メジャー」を使用する場合、標準の8連マガジンのみが許可されており、「マイナー」は最大10連マガジンを使用することができます。

.45ACPを使用することに「装弾数が少ない」「反動が大きいため次弾発射までに時間を要する」などのデメリットもありますが、上手く利用すれば高得点を得られます。

一方、IDPAにおいては、カスタム防衛ピストル部門があり、こちらは45ACP口径の銃にメジャーパワーファクターを必要としており、この部門では1911ピストルのカスタムが認められ、最大8連マガジンが使用可能です。

サプレッサー使用時の減音効果が高い

Image courtesy of Wikipedia

サプレッサーを使用しても、超音速の弾薬を使用するとソニックブームの大音響により減音効果が十分に得られません。

しかし、.45ACPのほとんどは亜音速であるため、サプレッサー(消音器)に最適です。

.45ACPは低速でありながらマズルエナジーが大きいため、これが最近の人気の高まりにつながっています。

1911のサムセイフティは即応性がある?

銃の画像
Image courtesy of raptorweaponssystems.com

「1911ピストルをホルスターから抜いて射撃する際、セイフティを解除する時間的余裕はあるのか?」と質問を受けることがあります。

セイフティ解除はホルスターから銃が抜かれて銃口がターゲットに向く流れの中で行われるため、セイフティ解除に追加の時間は必要ありません。

もし追加の時間が必要なのであれば、それはトレーニング不足か、セイフティのデザイン上の問題なのか、別の不具合が問題なのか、問題点を把握して改善が必要です。

1911の場合、ホルスターの銃に手を掛けグリップした時点で親指がサムセイフティに掛かり、マズルがホルスターから抜けて前方方向へ角度が付いた時点でセイフティ解除されるのが理想です。その理由は、射線上に自分の身体がないことと、ターゲットの距離が近い場合は腰の位置で撃つ必要があるためです。(射撃競技では、シューターによっては銃を前へ突き出す寸前に解除することもあります)

その後、セイフティに掛けた親指はそのままセイフティの上に掛けたまま撃つか、または滑らせてセイフティの下に置くかは個人の好みによります。米国の警察が発行するトレーニングマニュアルの多くには、サムセイフティに親指を掛ける撃ち方を推奨していることが多いのですが、これはジェフ・クーパーの影響かもしれません。

マニュアルセイフティがない方が有利?

1911ピストルに限定する話題ではありませんが、マニュアルセイフティの必要性について議論されることがあります。

かつて法執行機関においてSIGやグロックを好んで採用した理由のひとつが、マニュアルセイフティを持たない点でした。リボルバーを使用していた警官にとって、外部セイフティの扱い方を新たに覚えるより、スムーズに馴染めるという理由があったようです。

しかし、法執行機関によってはトレーニングが不十分な状況もあり、誰もがピストルの扱い方に長けているわけではありません。

「射撃時以外ではトリガーガード内に指を入れない」と教育しても、実際にそれを実践していないことも多く、その結果、誤射事故が多数発生しています。

こういった事故を防ぐ目的もあり、多くの法執行機関でマニュアルセイフティが備わっているピストルを採用しています。

誤射事故が起こりやすい状況の例としては、テーブル上などに置かれた銃を取ろうとして指がトリガーを引いてしまうケースや、ホルスターから抜く際にトリガーに触れてしまうケース、銃を手渡しする際にトリガーに触れてしまうなど、射撃時以外の状況での誤射が多くあり、マニュアルセイフティはそういった事故をある程度予防する効果があります。

しかし当然ながらマニュアルセイフティですべて解決することはなく、最終的には使用者の意識や教育が重要になります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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