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ベレッタM84:ベレッタ社の小型拳銃「シリーズ80」の種類と見分け方

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ベレッタ81 Image courtesy of dkfirearms.com

日本では「ベレッタM84」で有名なベレッタ社の小型拳銃「シリーズ80」には様々なモデルが存在します。

仕様の違いや見分け方は混乱しやすいため、「どんな点が異なっているのか」といった詳細について解説します。

ベレッタM84 ベレッタ社の小型拳銃シリーズ80の種類

シリーズ80のモデル名には一定の規則性があります。

まず数字の意味についてですが、これは大まかに「口径と仕様の違いで分類されている」と理解するとわかりやすいかもしれません。

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Image courtesy of luckygunner.com
使用弾薬モデル
.32ACP
(7.65×17mmSRブローニング)
ベレッタ81
ベレッタ82
.380ACP
(9x17mm)
ベレッタ83
ベレッタ84
ベレッタ85
ベレッタ86
.22LR
(5.6×15mmR)
ベレッタ87
ベレッタ89

81、82では.32ACPを使用し、83~86では.380ACPを使用します。

また87~89は競技用または射撃練習用として特化されており、.22LRが使用されます。

ベレッタ社はベレッタ81/84を発表した後、新たなモデルを続々開発し、Bモデル、BBモデル、Fモデル、FSモデルといった「アップグレード版」を開発しました。

※ベレッタ88はどのモデルにおいても存在しません。

ベレッタ81/84/87

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ベレッタ社は1975年にベレッタ81ベレッタ84を発表し、シリーズ80の歴史が始まりました。

銃身長3.8インチのコンパクトなピストルです。

※81/84の発売後、1980年に22LRを使用するベレッタ87が登場しました。

 使用弾薬装弾数
ベレッタ81.32ACP12+1発
ベレッタ84.380ACP13+1発
ベレッタ87.22LR10+1発

81/84/87はラウンドトリガーガード、ローデッドチャンバー・インディケーターが備わっており、トリガーはシングルアクションとダブルアクションが可能です。

銃の両側にアンビマニュアルセイフティがあり、セイフティレバーを押し上げるとセイフティ・オンになります。

コックアンドロックが可能で、ハンマーを起こした状態でセイフティ・オンにし携帯することが可能です。

グリップパネルはウォールナットグリップ、またはプラスチックグリップです。

Bモデル

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ベレッタ84B Image courtesy of budsgunshop.com

1980年、ベレッタ社はシリーズ80にBモデルを登場させました。

それぞれ81/84/87がBモデルに更新され、新規モデルに82B85Bが追加されています。

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ベレッタ86B Image courtesy of modernfirearms.net

また、Bモデル登場から10年後の1990年にチップアップバレルを採用する86Bが追加され、このモデルはスライドを操作することなく初弾を薬室に装填可能です。

 使用弾薬装弾数
ベレッタ81B.32ACP12+1発
(ダブルカラム)
ベレッタ82B.32ACP9+1発
(シングルカラム)
ベレッタ84B.380ACP13+1発
(ダブルカラム)
ベレッタ85B.380ACP8+1発
(シングルカラム)
ベレッタ86B.380ACP8+1発
(シングルカラム)
ベレッタ87B.22LR8+1発
(シングルカラム)

Bモデル以降は内蔵安全装置にAFPB(オートマチック・ファイアリングピン・ブロック)が追加され、落下時の衝撃でも暴発しない安全対策が取られました。

そしてフロントストラップ(グリップ前面)とバックストラップ(グリップ後面)に滑り止めのグルーブが追加され、エキストラクターが短くなっています。

※Bモデルに83Bは存在しません。

BBモデル

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ベレッタ84BB Image courtesy of egunner.com

1982年、ベレッタ社はBBモデルを登場させ、Bモデルから更新されました。

スライド幅が大きくなり、それに伴ってリコイルスプリングとリコイルスプリングガイドロッドが大口径化されています。

また、スライドのセレーション本数が多くなり、グリップできる面積が大きくなったことでスライドを引きやすくなっています。

その他、フロントサイトとリアサイトにホワイトドットが追加され、サイトの視認性が向上しました。

BBモデルはスライドが肉厚で、耐久性が向上しています。

 使用弾薬装弾数
ベレッタ81BB.32ACP12+1発
ベレッタ82BB.32ACP9+1発
ベレッタ84BB.380ACP13+1発
ベレッタ85BB.380ACP8+1発
ベレッタ87BB.22LR8+1発
ベレッタ87BB
ロングバレル
.22LR8+1発
ベレッタ87チーター.22LR8+1発
ベレッタ87チーター
ロングバレル
.22LR8+1発

※BBモデルに83BBと86BBは存在しません。

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ベレッタ87BBロングバレル Image courtesy of gunsamerica.com

ベレッタ87BBロングバレルはBBモデルがベースとなり、5.9インチバレルとシングルアクション・オンリーのトリガーが備わっています。

Fモデル

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ベレッタ84F Image courtesy of icollector.com

1988年、ベレッタ社はFモデルを登場させ、新規に83F(4インチバレル/シングルスタック)が追加されました。
また同年、87BBのロングバレルバージョンが(シングルアクションオンリー)が登場しています。

Fモデルではセイフティレバーがセイフティとデコッカーを兼用するセイフティ・デコッカーとなり、ハーフコックは廃止されています。
この変さらによりコックアンドロックでの携帯が不可となっています。

フレームはコンバットトリガーガードを採用し、サポートハンドでトリガーガードをグリップ可能になりました。

また、スライドとフレームはブルニトンフィニッシュとなり耐腐食性が向上し、銃身はクロムメッキバレルのためクリーニングが容易になっています。

全体的にベレッタ92Fの仕様に近づきました。

 使用弾薬装弾数
ベレッタ81F.32ACP12+1発
ベレッタ82F.32ACP9+1発
ベレッタ83F.380ACP7+1発
ベレッタ84F.380ACP13+1発
ベレッタ85F.380ACP8+1発
ベレッタ87F.22LR8+1発

※Fモデルに86Fは存在しません。

FSモデル

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Beretta 84FS Image courtesy of Beretta

1996年、FSモデル83FSが登場します。
そして1998年に他のモデルにもFSモデルが追加されました。

FSモデルの外観やフィニッシュはFモデルと全く同じですが、安全装置の内部に改良が加えられました。

F/FSモデルではセイフティ・デコッカーを押し上げるとハンマーがデコックされてセイフティがオンになる仕様です。
しかし、Fモデルでは完全に押し上げられる少し手間の位置(レッドドットがほとんど隠れている状態)でレバーが停止し、セイフティオンのように見えつつもハンマーがデコックされないことがあり、セイフティがオンだと勘違いした射手がトリガーを引くと撃発してしまう状態になることがあります。
そのためFSモデルではより簡単にレバーが最上部まで押し上げられるように、デコック位置に入りやすくなる改良が施されています。

これはFモデルの欠陥とはいえませんが、万が一の事故に備えてFSモデルでリスクを排除しました。

 使用弾薬装弾数
ベレッタ81FS.32ACP12+1発
ベレッタ82FS.32ACP9+1発
ベレッタ83FS.380ACP7+1発
ベレッタ84FS.380ACP13+1発
ベレッタ85FS.380ACP8+1発
ベレッタ86FS.380ACP8+1発
ベレッタ87FS.22LR8+1発

その他のモデル

ブローニングBDA380

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ブローニングBDA380 Image courtesy of gunsinternational.com

1977年、ブローニングBDA380(.380ACP/装弾数13+1発)が登場。

ベレッタ84をベースとし、ブローニング社の依頼によりベレッタ社で製造されました。

「BDA」は「ブローニング・ダブルアクション・オート」を意味します。

ダブルアクションとシングルアクションが可能で、マニュアルセイフティはスライド上に配置されています。

またブローニングBDAと同様にFN 140 DA(.32ACP/.380ACP)もベレッタ社が製造しています。

89スタンダード / 89ゴールド・スタンダード

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ベレッタ89スタンダード Image courtesy of durysguns.com

1985年にターゲットモデルである89スタンダードが登場し、1994年に89ゴールドスタンダードが登場しています。

.22LRを使用し、装弾数は8+1発です。

アジャスタブルトリガーが備わっていますが、ファイアリングピンセイフティーやハーフコックなど内蔵安全装置が備わっていないため、扱いには注意が必要となる競技用ピストルです。

87ターゲット

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ベレッタ87ターゲット Image courtesy of Beretta

1999年には.22LRを使用するベレッタ87ターゲットが登場。

装弾数は10+1発、5.9インチバレルが備わっています。

89スタンダードと似た仕様ですが、上部にウィーバーレイルが備わっており、光学機器などを搭載可能です。

フレームサイズなどグリップフィーリングが92Fと似ており、シリーズ80よりシリーズ92に近い仕様です。

銃身長の違い

シリーズ80はサイズが似ていますが、銃身長が僅かに異なり、83は81などより長くなっています。

モデル銃身長
81/81B/81BB/81F/81FS
82B/82BB/82F/82FS
84/84B/84BB/84F/84FS
85B/85BB/85F/85FS
87/87B/87BB/87F
3.81インチ
(97 mm)
83F/83FS4インチ
(102 mm)
86B4.37インチ
(111 mm)
87ターゲット5.9インチ
(150 mm)
895.98インチ
(152 mm)

まとめ

以上、ベレッタ社のシリーズ80の見分け方について解説しました。

息の長い人気モデルであり、現在もイタリアで製造され、アメリカには「チーター」の名で81FS/84FS/85FSが輸出されているピストルです。

フルサイズのベレッタ92FSをコンシールドキャリー(隠匿携帯)するのは人を選びますが、シリーズ80であれば誰でも携帯しやすいサイズと重量を兼ね備えています。
(例:84FSは全長172mm、全高122mm、全幅35mm、重量660g)

また、シングルスタックとダブルスタックや口径などの選択肢が多いことも人気の理由と言えるでしょう。

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ベレッタ80 Olimpionica Image courtesy of berettaweb.com

因みに、ベレッタ80は81などとは全く異なる競技用ピストルのため、いわゆる「シリーズ80」からは除外されます。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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