皆さんからいただいた、「銃の疑問」に回答します。
Youtube動画にて、1911系サブコンパクトモデルはうまく動作をしないとありました。
コメント欄は様々な意見が飛び交っているようです。否定するものの例としては
・整備不良が原因
・マガジンが原因
・ホローポイントを使用しなければ問題はなかった
といったものが確認できました。
HB-PLAZA様として、1911サブコンパクト特有の何かがあるのか考えられる原因をお聞かせ願いたく。よろしくお願いいたします。
サブコンパクト1911ピストルはジャムが多い?
サブコンパクトとジャムに因果関係や相関関係はあるのか?と問われると、これはYESでもあり、NOでもあります。
なぜなら、同じサブコンパクト1911ピストルでも、作動の調子が良いものと、悪いものがあるからです。
しかし、一般的にサブコンパクトはフルサイズより作動時のトラブルが多い傾向があり、それは以下の原因によって起こります。
ガス圧不足
銃身長4~5インチの.45口径1911ピストルは調子が良いのに、銃身長が3インチになると不調が起きやすい場合があります。
銃は弾薬の燃焼によって発生したガス圧で弾頭を発射しますが、短い銃身長では長い銃身長よりも短い時間で発射されるため、弾頭が銃口から離れることで圧力低下によって装薬が不完全燃焼になる場合があります。(発射時のスロー映像を見ると未燃焼の装薬が飛び散る様子が確認できることがあります)
装薬の燃焼には高圧環境が必要なため、圧力を失うと瞬時に燃焼できなくなります。
この場合、スライドを後退させるために必要な反動を作るガス圧が不足するため、スライドの後退量が短くなり、装填と排莢ができずジャムになります。
これを解決する方法として、ショートバレル専用弾を使用する方法があります。
やや高圧な弾薬によりスライドをしっかり後退させることで、ジャムを防ぐことができます。
スライド後退量と後退速度の問題
先述の通り、高圧な弾薬を使用すると解決する場合がある反面、高圧だからこそ問題が起こる場合もあります。
サブコンパクトはスライドが短く、構造上フルサイズのピストルと比較してスライド後退量が短くなります。
サブコンパクトのスライドは軽量でストロークが短いことから高速で前後するため、発射時には大きなマズルジャンプ(銃口の跳ね上がり)が起こります。
一般的に、高圧な弾薬を使用すればマズルジャンプが大きくなる傾向があります。
マズルジャンプが大きいと、スライドとフレームの後退量が大きくなるため、スライドの後退量が相殺されてスライドが十分に後退できず、排莢と装填ができなくなりジャムが発生します。
サブコンパクトピストルを快調に作動させるには、フルサイズピストルよりも弾薬の選択に注意が必要です。
フルサイズであれば少しのスライド後退量不足は許容できても、余裕のない設計のサブコンパクトは使用弾薬との相性によって作動が不安定になりやすいといえます。
相性問題の解決法として何がベストであるかは使用する銃や弾薬の各メーカーやブランドによって異なるため一概に言えませんが、弾頭重量や腔圧の異なる複数種類の弾薬を実際に試射することをおすすめします。
.45口径1911ピストル場合、230グレイン弾頭のFMJであれば問題なく作動することが多いですが、180グレインであっても腔圧が高めの弾薬を選択すると改善する場合もあります。(その逆の場合もあります)
誤ったグリップ
サブコンパクトピストルを確実に作動させるには、射手がしっかりグリップし、マズルジャンプを軽減する必要があります。
グリップが甘いと銃が大きく跳ね、スライドの後退量がフレームの後退量と相殺されます。
このように、ジャムの原因として銃に問題がある場合がある一方、射手に原因がある場合もあります。
マガジン不良とスプリングの問題
「ジャムの原因は銃身長が短いから」と思っていたら、本当の原因はマガジン不良だったということがあります。
サブコンパクトピストルに限らず、ジャムの原因で最も多いパターンはマガジン不良やスプリング不良です。
もちろん銃身長が短いことが原因の場合もありますが、まずはマガジンとスプリングに原因があるという前提でパーツ交換を行うのも良いでしょう。
特に多いのは、「マガジンリップの変形」「マガジンスプリングの反発力不足」「リコイルスプリングの反発力不足」です。
また、マガジン内で弾薬を押し上げるマガジンフォロアーの不良で、スムーズに上昇しないことがジャムの原因となっている場合もあります。
ピストルで作動が安定しない場合は、「弾薬」「マガジン」「リコイルスプリング」を手始めに確認することをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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