
アサルトライフルとマシンガンの違いについて解説します。
アサルトライフル(突撃銃)とは?

アサルトライフル(突撃銃)は以下の条件が揃っています。
- セレクティブファイア セミオート(単発)とフルオート(連発)を切り替え可能
- 着脱式マガジン 簡単に交換可能なボックスマガジン(箱型弾倉)を使用
- インターミディエートカートリッジ(中間弾薬)を使用
- 有効射程距離300メートル以上(米軍による定義)
インターミディエートカートリッジとは、有効射程距離300~600メートルなど、中距離射程を持つ銃で使用される弾薬です。

インターミディエートカートリッジを使用する銃は有効射程距離がハンドガンやサブマシンガンより長く、反対にハイパワーなフルサイズカートリッジを使用するライフルやマシンガンより短い傾向があります。
インターミディエートカートリッジの例 | フルサイズカートリッジの例 |
---|---|
5.45x39mm | 7x57mmマウザー |
5.56x45mm NATO | 7.62x51mm NATO |
.30カービン (7.62x33mm) | 7.62x54mmR |
7.62x39mm | .30-06 スプリングフィールド (7.62x63mm) |
7.92x33mmクルツ | .303ブリティッシュ (7.7x56mmR) |
カテゴリー | 使用弾薬 | 最大有効射程距離 |
---|---|---|
ヘビーマシンガン ミディアムマシンガン GPMG | フルサイズカートリッジ (ライフル弾) | 1400~2000m |
ライトマシンガン | フルサイズカートリッジ or インターミディエートカートリッジ (ライフル弾) | 500~800m |
バトルライフル | フルサイズカートリッジ (ライフル弾) | 300~800m |
アサルトライフル | インターミディエートカートリッジ (ライフル弾) | 300~600m |
サブマシンガン | ピストルカートリッジ (拳銃弾) | 50~200m |
ピストル | ピストルカートリッジ (拳銃弾) | 25~50m |
アサルトライフルは重量が3~5kg程度と軽量なため歩兵が素早く移動することが可能で、移動しながらの射撃も容易です。
また使用弾薬がフルサイズカートリッジより軽量なため、同じ重量でもより多くの弾薬を携行可能です。

アサルトライフルで有名なものに米国のM16、ロシアのAK47などがあります。

1944年にアドルフ・ヒトラーがMP43/MP44ライフルを「アサルトライフル44(Sturmgewehr 44 / StG44)」と名付け、これが英語に翻訳されて同種のライフルは「アサルトライフル(突撃銃)」と呼ばれるようになりました。
マシンガン(機関銃)とは?

マシンガン(機関銃)は、ライフル弾をフルオートで射撃することを前提に設計された銃です。
アサルトライフルはフルオート射撃が可能なものの、主にセミオートで射撃されることを前提に設計されており、フルオートによる連続射撃時には銃身の過熱などにより命中精度低下、作動停止、破損等のリスクが高くなります。
一方、マシンガンは肉厚のある銃身(ヘビーバレル)やオープンボルト方式による空冷機能、銃身交換機能などが備わっており、連続射撃時の耐久性が高い特徴があります。
使用弾薬はインターミディエートカートリッジとフルサイズカートリッジの両方が使用されます。
主にインターミディエートカートリッジはライトマシンガン(LMG / 軽機関銃)で使用され、フルサイズカートリッジはGPMG(汎用機関銃)やミディアムマシンガン(MMG / 中機関銃)で使用されます。
※かつてライトマシンガンはフルサイズカートリッジが利用されていましたが、近年はインターミディエートカートリッジが多く利用されています。
また、口径12.7mm以上の弾薬はヘビーマシンガン(HMG / 重機関銃)で使用されます。
使用弾薬の違いによって射程距離や貫通力などが異なりますが、高威力な弾薬を使用すると銃や弾薬が重くなるため行動の制限や携行可能弾数減少などのデメリットもあり、運用方法や目的に応じて適切な銃や弾薬が選択されます。

一般的に口径が20mmを超えるものはオートキャノンやマシンキャノン(機関砲)と呼ばれ、いわゆる「マシンガン」ではありません。
マシンガンの運用

ライトマシンガンやGPMGの多くは分隊支援火器として使用され、歩兵で構成される分隊につき1~2丁のマシンガンで歩兵の支援射撃を行います。
マシンガンは制圧射撃が可能で、敵を連続して射撃することで敵の移動や反撃を封じ、その間にアサルトライフルを持つ味方が回り込んだり展開するといった戦術が可能になります。
ライトマシンガンで有名なものにロシアのRPKやベルギーのFN Minimiなどがあります。
またGPMGで有名なものにアメリカのM60、ベルギーのFN MAG、ドイツのMG42などがあります。

ヘビーマシンガンは三脚など専用マウントを使用し、大口径の弾を連続発射します。
ヘビーマシンガンは重く、その殆どは1人では運用できないため、支援火器として使用する場合は1丁のヘビーマシガンにつき1組2~3人の歩兵が射撃と携行を担当しますが、現代では車両、ヘリコプター、艦船などに搭載されるのが一般的です。
有名なものにロシアのDShKや米国のブローニングM2などがあり、現代では口径が12.7mm以上のものを指します。
ヘビーマシンガンは強力なためブロック塀などの遮蔽物を貫通させたり、車両や航空機に対する攻撃にも有効です。
マシンガンの歴史的背景

歴史上成功を収めた最初期のマシンガンは1861年に開発されたガトリング砲や、1884年に開発されたマキシム・マシンガンでした。
日露戦争(1904~1905年)でロシア軍はマキシム・マシンガンを使用し、日本軍はフランスのホチキスマシンガンのコピーである保式機関砲(6.5x50mmSR有坂)を使用しました。
その後、マキシムやヴィッカースより大きなマシンガンが登場し、これらのヘビーマシンガンはミディアムマシンガン(中機関銃)に再分類されています。

第一次世界大戦によってマシンガンは最も発展を遂げ、1900年代初頭には近接戦闘を目的としたサブマシンガン(SMG)であるドイツのMP18やイタリアのOVP1918などが登場しました。
世界初のサブマシンガンは2つの銃身を持つイタリアのヴィラ・ペロサと言われていますが、MP18は運用方法が現在のサブマシンガンに近いもので、より実用的なサブマシンガンです。
第二次世界大戦を経て拳銃弾を使用するサブマシンガンが発展し、更にサブマシンガンとフルサイズカートリッジを使用するライフルの中間の射程距離を持つ「アサルトライフル」が開発されました。
マシンガンやサブマシンガンなどフルオート火器の詳しい違いについては記事「ライトマシンガンとサブマシンガンの違いとは?GPMG?PDWとは?」をご覧ください。