
この記事の要約
- 世界の軍では9×19mmを使用するピストルが主流で、M17/M18、グロック17、P8、K5、VIS 100など多数の制式モデルが存在します。
- 近年はストライカー方式とポリマーフレームを組み合わせたモデルが増え、ドイツ、日本、オーストラリアなどでは新世代ピストルへの更新が進んでいます。
- 「制式拳銃」が必ず全軍共通の1モデルを意味するとは限らず、ウクライナ、イスラエル、トルコ、イタリアなどでは複数モデルが用途や部隊によって併用されています。
軍で使用される拳銃は、ライフルや機関銃と比べて使用機会が限られる一方、将校、車両乗員、航空要員、機関銃手、特殊部隊員などが携行するサイドアームとして運用されています。
軍が正式に採用する制式拳銃には、長期間にわたって使用されるモデルがある一方、新型への更新に伴って旧型と新型が同時に配備される場合もあります。陸軍、海軍、空軍で異なるモデルを使用したり、一般部隊と特殊部隊で装備を分けたりする例もあります。
戦時下のウクライナのように、国産ピストル、旧ソ連製ピストル、外国から供与されたピストルが同時に使用されるケースもあります。このため、「制式拳銃」が、必ずしもその国の全軍で一種類の拳銃だけが使用されていることを意味するわけではありません。
本記事では公開情報を基に、各国で正式採用が確認できるモデルを優先して紹介します。新旧モデルが併用されている場合や、軍種・部隊によって使用する拳銃が異なる場合は、その運用状況もあわせて解説します。
アメリカ:SIG SAUER M17/M18

アメリカ軍では、シグ・ザウエル(SIG SAUER)のM17とM18が主力ピストルとして配備されています。米陸軍が進めたモジュラー・ハンドガン・システム計画で採用されたモデルで、長年使用されてきたベレッタM9やSIG M11などを順次置き換えています。
M17とM18は、民間・警察市場向けのP320をベースに開発されました。2017年には第101空挺師団への配備が始まり、その後、陸軍だけでなく空軍、海兵隊、海軍にも導入が広がりました。M17はフルサイズ、M18はコンパクトモデルで、2026年には両モデルを合わせて40万丁以上が運用される規模となっています。
使用する弾薬は9×19mm NATO弾です。作動方式はショートリコイル、撃発機構にはストライカー方式を採用しています。銃身長はM17が4.7インチ、M18が3.9インチで、標準マガジン容量はいずれも17発です。左右どちらの手でも操作できるマニュアルセーフティとスライドストップを備えています。
構造面で特徴的なのが、P320系列に採用されたモジュラー構造です。撃発機構などをまとめた内部ユニットと、外側のグリップモジュールを分離しており、同じ基本機構を使用しながら異なるサイズのグリップに対応できます。
安全機構については、ストライカーセーフティやディスコネクターなどの内部機構に加え、軍用のM17とM18には左右から操作できる外部マニュアルセーフティが装備されています。
前任のM9は、金属製フレームとハンマー方式、ダブルアクション/シングルアクション機構を採用していました。一方、M17とM18はポリマー製グリップモジュール、ストライカー方式、モジュラー構造を採用しています。制式ピストルの更新は機種変更にとどまらず、アメリカ軍が採用する拳銃の基本構造そのものが大きく変わったことを示しています。
ロシア:MP-443 グラッチ(PYa)/6P72 ウダフ

ロシア軍では、MP-443「グラッチ」、軍制式名PYa(ПЯ:Пистолет Ярыгина/ピストレット・ヤリギナ)が代表的な制式ピストルとして使用されています。ウラジーミル・ヤリギンを中心に開発されたモデルで、1993年に始まった「グラーチ」計画を経て、2003年にロシア軍などで採用されました。本格的な量産は2011年から行われています。
開発当初は9×18mmマカロフ弾や7.62×25mmトカレフ弾など、複数の弾薬に対応する構想も検討されましたが、最終的には9×19mm弾を使用する仕様にまとめられました。従来のPMマカロフから、より大容量のマガジンを備えた9×19mmピストルへ移行する流れの中で採用されたモデルです。

MP-443は全長約198mm、銃身長約112mm、重量約950gのフルサイズピストルです。フレームやスライドの主要部分にはスチールが使用されており、ポリマーフレームを採用するピストルと比べると重量があります。
作動方式はショートリコイルで、発射後にバレル後部が下降してスライドとのロックを解除するティルトバレル方式を採用しています。撃発機構はハンマーを使用するダブルアクション/シングルアクション方式で、左右から操作できるマニュアルセーフティも備えています。
マガジン容量は初期型が17発で、その後は18発仕様も登場しました。8発装填のPMマカロフと比べると、装弾数は大幅に増えています。また、MP-443は一般的な9×19mm弾だけでなく、ロシア軍で使用される9×19mm系弾薬も想定した設計となっています。

ロシア軍ではその後、新世代のピストルとして6P72「ウダフ(Udav)」も導入されました。ウダフは9×21mm弾を使用するフルサイズピストルで、18発入りマガジンを備えています。フレームにはポリマー系素材を採用し、作動方式はショートリコイル、撃発機構はハンマー方式です。
ロシア軍の制式ピストルは、PMマカロフからMP-443、さらにウダフへと一種類ずつ全面的に置き換わったわけではありません。現在は9×19mm弾を使用するMP-443系列と、9×21mm弾を使用するウダフ系列など、用途や弾薬体系の異なるピストルが併存する構成となっています。
イギリス:グロック17 Gen4

イギリス軍では、グロック17 Gen4が制式ピストルとして広く使用されています。軍での名称はL131A1で、2013年に2万5,000丁以上が調達され、陸軍、海軍、空軍に配備されました。
それまで主力として使用されていたL9A1は、ブローニング・ハイパワーをベースとする9×19mmピストルです。イギリス軍では40年以上にわたって使用されてきましたが、L131A1の採用によって、金属製フレームとハンマーを備えた従来型のピストルから、ポリマーフレームとストライカー方式を採用するピストルへ移行しました。
グロック17は9×19mm弾を使用するフルサイズピストルで、標準マガジン容量は17発です。L9A1の13発から装弾数が増えた一方、ポリマーフレームの採用によって銃本体の重量は抑えられています。作動方式はショートリコイルで、撃発機構にはストライカー方式を採用しています。
外部にハンマーを持たず、一般的なマニュアルセーフティも備えていません。代わりに、トリガーセーフティをはじめとする複数の自動安全機構を組み合わせた「セーフ・アクション」機構を採用しています。発射時の基本操作が一貫していることも、この構造の特徴です。
イギリス軍が採用したGen4では、交換式バックストラップ、大型化されたマガジンキャッチ、変更されたグリップ表面などが採用されました。使用者の手の大きさに合わせてグリップ形状を調整できるほか、デュアルリコイルスプリングも導入されています。
L9A1とL131A1では、構造や操作方式に大きな違いがあります。L9A1が金属製フレーム、ハンマー方式、外部セーフティを備えていたのに対し、L131A1はポリマーフレーム、ストライカー方式、自動安全機構を採用しています。イギリス軍の制式ピストル更新は、装弾数や重量だけでなく、基本構造と操作体系の変更を伴うものとなりました。
フランス:グロック17 Gen5 FR

フランス軍では、グロック17 Gen5をベースとするグロック17FRが制式ピストルとして使用されています。2019年に約7万4,600丁の調達が決まり、陸軍を中心に海軍、航空宇宙軍などへの配備が進められました。2022年には、当初契約分の納入が完了しています。

グロック17FRは、長年使用されてきたMAC Mle 1950と、ベレッタ92系列をフランスで生産したPAMAS G1の後継として導入されました。これにより、フランス軍では複数世代にまたがって使用されていた制式ピストルの更新が進められました。
使用弾薬は9×19mmで、標準マガジン容量は17発です。基本構造はグロック17系列と共通しており、ポリマーフレーム、ストライカー方式、ショートリコイル作動を採用しています。外部ハンマーは備えておらず、発射に必要な操作を比較的単純な構成にまとめています。

ベースとなったGen5では、「グロック・マークスマン・バレル」と呼ばれるバレルが採用されました。ライフリングや銃口部の形状などが変更されています。また、それまでの世代に見られたフィンガーグルーブを廃止し、交換式バックストラップと組み合わせることで、異なる手の大きさに対応できるグリップ形状としています。
操作系にもアンビ対応の変更が加えられており、スライドストップは左右両側に配置され、マガジンキャッチも左右の使用者に対応します。マガジンウェルの入口は広げられており、マガジンを挿入しやすい形状となっています。フランス軍仕様では、スライド前方にもセレーションが設けられています。
前任のMAC Mle 1950はオールスチール製のシングルアクション式ピストルで、PAMAS G1は金属製フレームとダブルアクション/シングルアクション機構を採用していました。これに対し、グロック17FRはポリマーフレーム、ストライカー方式、17発入りマガジン、左右から操作しやすい操作系を採用しています。フランス軍の制式ピストル更新では、旧型二機種から構造と操作体系の異なるグロック17FRへの移行が行われました。
ドイツ:H&K P8/CZ P13

ドイツ連邦軍では、ヘッケラー&コッホ(Heckler & Koch)のP8が長年にわたって標準ピストルとして使用されてきました。P8はUSPを軍用向けに変更したモデルで、1994年にワルサーP1などの後継として導入されました。
使用弾薬は9×19mmで、全長は約194mm、銃身長は約108mmです。空マガジンを含まない重量は約770gで、マガジン容量は15発となっています。
フレームにはポリマー、スライドにはスチールを使用しています。撃発機構はハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式で、作動方式はショートリコイルです。バレルとスライドのロックには、ブローニング系のティルトバレル方式を採用しています。
ベースとなったUSPからは、軍の要求に合わせていくつかの仕様が変更されました。半透明のマガジンを採用したほか、セーフティとデコッキング機能を備えた操作レバーの配置も変更されています。バレルには通常型のライフリングが使用されています。
その後継として採用されたのが、CZ P-10 C ORをベースとするP13です。P-10 Cは2017年に登場したコンパクトサイズのポリマーフレーム・ストライカー式ピストルで、9×19mm仕様では15発入りマガジンを使用します。全長は約190mm、銃身長は102mm、重量は約740gで、P8より小型・軽量の構成です。

P-10 Cでは交換式バックストラップを採用し、使用者に合わせてグリップ形状を調整できます。操作系も左右どちらの手でも扱いやすい構成となっています。OR仕様は光学サイトの搭載を前提としており、スライド上部に小型の光学照準器を装着できる設計です。

ドイツ軍仕様はP13と呼ばれ、フラットダークアース系の外装が採用されています。P8と比較すると、撃発機構はハンマー方式からストライカー方式へ変更され、光学サイトへの対応も加わりました。
P8が採用された1990年代とP13では、軍用ピストルに求められる装備にも違いがあります。P13への更新では、光学サイトへの対応、左右から操作しやすい操作系、交換式バックストラップなどが取り入れられ、ドイツ連邦軍の標準ピストルは約30年ぶりに基本設計が更新されることになります。
ウクライナ:PMマカロフ/フォート14/フォート17

ウクライナ軍では、ソ連時代から引き継いだPMマカロフに加え、独立後に国内で開発されたフォート系列のピストルが使用されてきました。2022年以降は外国から供与された9×19mmピストルも加わり、複数の弾薬規格と機種が併存する構成となっています。
PMマカロフは9×18mmマカロフ弾を使用するコンパクトピストルで、マガジン容量は8発です。作動方式はストレートブローバックで、撃発機構には外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式を採用しています。小型で部品構成も比較的単純ですが、装弾数やアクセサリーへの対応は後発の軍用ピストルと比べて限定されています。

ウクライナ国内で開発されたモデルの一つがフォート14です。2000年代初頭に登場した大型ピストルで、フォート12より長いバレルとサイトレディアスを備えています。9×18mmマカロフ弾仕様ではストレートブローバック方式を採用し、スチール製のフレームとスライド、外部ハンマー、ダブルアクション/シングルアクション機構を組み合わせています。標準型のマガジン容量は14発で、PMの8発から増加しています。
フォート14TPは、この系列から派生した軍・治安機関向けのモデルです。延長されたバレルやアクセサリーレールなどを備え、照準器や各種装備の使用を考慮した構成となっています。

フォート系列には、より軽量なフォート17もあります。フォート17はポリマーフレームを採用し、空の状態で約680gです。交換式バックストラップを備え、使用者に合わせてグリップ形状を調整できる構造となっています。
2022年以降は、外国から供与されたグロック17やH&K SFP9などの9×19mmピストルもウクライナ側で使用されています。このため、ウクライナ軍のサイドアームは、9×18mmマカロフ弾を使用する旧ソ連系のピストル、国内開発のフォート系列、9×19mm弾を使用する西側製ピストルが併存する体系となっています。
ポーランド:VIS 100(PR-15 Ragun)

ポーランド軍では、新世代の制式ピストルとしてVIS 100の導入が進められています。ラドムのファブリカ・ブローニが開発した国産の9×19mmピストルで、開発段階ではPR-15 Ragunと呼ばれていました。
開発は2009年ごろに始まり、2016年から本格的な試験が行われました。2017年に開発を終え、2018年には軍向けの調達契約が締結され、2019年から納入が始まっています。「VIS」の名称は、第二次世界大戦前にポーランドで使用されたVIS wz.35に由来し、「100」はポーランドが独立を回復してから100周年を迎えたことを表しています。
VIS 100は全長197mm、銃身長110mmで、マガジンを除く重量は約695gです。9×19mm弾を使用し、マガジン容量は15発です。作動方式にはショートリコイルを採用し、撃発機構は外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式となっています。

フレームはアルミニウム合金製で、スライドにはスチールを使用しています。スライドを支える部分にはスチール製インサートが配置され、フレーム前部には各種装備を取り付けるためのピカティニーレールを備えています。金属部品には、摩耗や腐食に対する耐性を高めるための表面処理も施されています。
操作系は左右どちらの手でも扱いやすいアンビ構成です。マガジンキャッチ、スライドストップ、デコッキングレバーなどの主要な操作部を左右から使用できるようにし、右利きと左利きの双方に対応しています。
VIS 100は、ポーランドが進める次世代兵士装備「ティタン(Tytan)」の一部として開発されました。ピストル単体の更新ではなく、ライフル、サイト、通信装備、防護装備などを含む個人装備全体の更新計画に組み込まれています。
ポーランド軍ではP-64やP-83など、9×18mm弾を使用する旧ワルシャワ条約機構時代のピストルも長く使用されてきました。VIS 100の導入によって、制式ピストルでもNATO標準の9×19mm弾への移行が進み、弾薬規格と個人装備の双方でNATO体系との共通化が図られています。

ポーランドが進める「ティタン(Tytan)」は、兵士が使用する武器、防護装備、通信機器、照準・観測装置、戦闘服などを一体化する次世代兵士装備計画です。正式には「先進個人戦闘システム(ZISW)Tytan」と呼ばれ、兵士個人を一つの戦闘システムとして近代化することを目的としています。
装備体系には、5.56×45mm弾を使用するFB MSBS Grotライフル、9×19mm弾のVIS 100ピストル、40mmグレネードランチャーのほか、無線機、暗視装置、熱画像装置、防弾ヘルメット、戦術ベスト、戦闘服などが含まれます。
VIS 100は、開発段階ではPR-15 Ragunと呼ばれ、ティタンの武器サブシステムを構成する拳銃として開発されました。ポーランド軍では、完成した装備から順次調達が進められており、GrotライフルやVIS 100はすでに実戦部隊への配備が進んでいます。
ティタンは、単一の新装備を導入する計画ではなく、兵士が携行・装着する装備全体を統合して更新する長期的な近代化計画です。
イタリア:ベレッタ92FS/APX

イタリアを代表する軍用ピストルの一つが、ベレッタ92系列です。基本設計は1970年代半ばに完成し、ベレッタがそれ以前に製造していたM1951などの技術を発展させる形で開発されました。
92FSは9×19mm弾を使用するフルサイズピストルです。アルミニウム合金製フレームとスチール製スライドを組み合わせ、撃発機構には外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式を採用しています。標準的なマガジン容量は15発で、その後はより大容量のマガジンも登場しています。
外観上の特徴となっているのが、バレル上部を大きく露出させたオープンスライドです。この構造はベレッタの戦前型ピストルから受け継がれており、スライド上部を大きく開放した形状となっています。
バレルとスライドのロックには、上下に作動するロッキングブロック方式を採用しています。一般的なティルトバレル方式とは異なり、発射時にもバレルは大きく傾斜せず、ほぼ水平を保ったまま前後します。

これに対し、ベレッタが新世代の軍・警察市場向けに開発したのがAPX系列です。APXでは92系列とは異なり、ポリマーフレームとストライカー方式を採用しています。9×19mm仕様では17発入りマガジンを使用し、標準モデルの銃身長は4.25インチです。
スライドには前後にわたって大型のセレーションが設けられています。操作系は左右どちらの手でも扱いやすい構成とされ、交換式バックストラップによってグリップ形状も調整できます。
内部構造にも92系列との違いがあります。APXでは撃発機構とスライドレールを内部シャーシにまとめ、外側のポリマー製グリップ部分と分離しています。このため、内部機構を中心としてグリップ部分を交換できるモジュラー構造となっています。
92系列が金属製フレーム、外部ハンマー、ダブルアクション/シングルアクション、ロッキングブロック方式を採用しているのに対し、APX系列はポリマーフレーム、ストライカー方式、内部シャーシを中心とした構造を採用しています。
日本:H&K SFP9

自衛隊は2020年、長年使用してきた9mm拳銃の後継として、ヘッケラー&コッホのSFP9を採用しました。従来の9mm拳銃はSIG P220をベースとして国内で生産されたモデルで、1982年から配備されてきました。SFP9の採用により、自衛隊の制式拳銃は金属製フレームと外部ハンマーを備えたP220系から、ポリマーフレームとストライカー方式を採用する構成へ移行しました。
SFP9は9×19mm弾を使用するショートリコイル式ピストルです。バレルとスライドのロックにはブローニング系のティルトバレル方式を採用しています。撃発機構はストライカー方式で、ヘッケラー&コッホは「フルプリコック・ストライカー」と呼んでいます。トリガーを引く前の段階でストライカーがあらかじめコックされており、各射で同じ方式のトリガー操作を行う構造となっています。
グリップは使用者に合わせて調整できる構成です。バックストラップに加え、左右のサイドパネルも交換でき、複数の組み合わせから手の大きさに合わせて選択できます。スライドストップなどの操作系も左右から扱えるよう設計されています。スライド後端には、スライドを引く際の補助となるチャージングサポートも設けられています。
安全機構としては、トリガーセーフティやストライカーセーフティなどが組み込まれています。フレーム前部にはアクセサリーレールを備え、ウェポンライトなど各種装備を取り付けることができます。

従来の9mm拳銃は、金属製フレーム、外部ハンマー、シングルカラムマガジンを採用したP220系列の設計でした。これに対し、SFP9はポリマーフレーム、ストライカー方式、大容量マガジン、調整式グリップを採用しています。自衛隊の制式拳銃としては、約40年ぶりに基本構造が大きく変更される更新となりました。
中国:QSZ-92-5.8

中国人民解放軍では、QSZ-92が代表的な制式ピストルとして使用されています。1990年代前半から開発が進められ、1990年代末に登場しました。軍用のQSZ-92-5.8は、中国で開発された5.8×21mm弾を使用するモデルです。
5.8mm仕様は20発入りのマガジンを使用します。5.8×21mm弾はボトルネック形状の薬莢に小口径の弾頭を組み合わせた弾薬で、各国の軍用ピストルで広く使用されている9×19mm弾とは異なる規格となっています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 5.8×21mm DAP92 |
| 開発国 | 中国 |
| 開発時期 | 1990年代初頭 |
| 弾薬形式 | センターファイア |
| 薬莢形状 | リムレス・ボトルネック |
| 弾頭径 | 5.8mm |
| 標準弾頭重量 | 約3g |
| 弾頭構造 | スチールコアを含む弾頭 |
| 銃口初速(QCW-05) | 約530m/s |
| 銃口初速(QSZ-92) | 約480m/s |
| マズルエナジー(QCW-05) | 約420J |
| 貫通性能 | 100mで厚さ1.3mmの鋼板または厚さ50mmの松板 |
| 1発あたりの重量 | 約6g |
| バリエーション | 通常弾、亜音速弾 |
| 主な使用銃 | QSZ-92拳銃、QCW-05短機関銃 |
5.8×21mm DAP92は、中国人民解放軍で使用されていた7.62×25mmトカレフ弾の後継を目的として開発された軍用弾薬です。拳銃と短機関銃の双方で使用できるサイズに収めながら、ソフトボディアーマーに対する貫通能力を持たせることが設計上の目的の一つでした。
基本的な考え方は、FN 5.7×28mm弾やH&K 4.6×30mm弾と同じく、小口径弾頭を高速で発射することで貫通力を確保するものです。ただし、5.8×21mmでは拳銃での使用も重視されており、西側の同種弾薬とは異なるバランスで設計されています。
比較的重い弾頭を使用することで、極端に高い初速に頼らず、反動や発射炎を抑えながら飛翔中のエネルギーを保持しやすくする考え方が採られています。また、弾薬そのものを軽量化することで、同じ携行重量でより多くの弾数を持ち運べることも軍用弾薬としての利点です。

QSZ-92系列には9×19mm仕様もあり、輸出向けのCF98やNP42などにも発展しました。5.8mm型と9mm型は外観が似ていますが、仕様や内部構造には違いがあります。9mm型ではショートリコイル方式を採用し、バレルを回転させてスライドとのロックを解除するローテイティングバレル方式が使用されています。
フレームはポリマー製で、内部には撃発機構やスライドレールなどをまとめた金属製ユニットが収められています。外側のポリマーフレームと内部機構を分けた構成となっている点も、QSZ-92系列の特徴です。
撃発機構には外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式を採用しています。セーフティ/デコッカーも備え、フレーム前部にはライトなどの装備を取り付けるためのレールが設けられています。
マガジンの構造にも特徴があります。一般的なダブルカラム式ピストルでは、二列に並んだ弾薬をマガジン上部で一列に近い状態へ絞って給弾する方式が多くみられます。QSZ-92では、二列に配置した弾薬を左右から交互に送り出すダブルフィード方式が採用されています。
QSZ-92系列は、5.8×21mm弾を使用する軍用型と9×19mm仕様が存在し、ポリマーフレーム、外部ハンマー、内部の金属製ユニットなどを組み合わせた構成となっています。とくに5.8mm仕様は、弾薬規格や20発入りマガジンなどの点で、9×19mm弾を使用する多くの軍用ピストルとは異なる特徴を持っています。

韓国:K5

韓国軍では、国産ピストルのK5が制式拳銃として使用されています。大宇精密工業によって1980年代半ばから開発が進められ、1989~1990年ごろに実用化されました。現在はSNT Motivが生産しています。
韓国軍では、それ以前からM1911A1などのピストルが使用されていました。K5は9×19mm弾を使用する国産ピストルとして開発され、韓国軍や治安機関に採用されました。民間向けにはDP51の名称で米国市場などにも輸出されています。
K5はショートリコイル方式で作動し、バレルとスライドのロックにはブローニング系のティルトバレル方式を採用しています。フレームは7075-T6アルミニウム合金製、スライドはスチール製です。全長は約178mm、銃身長は約104mm、重量は約730gで、13発または15発入りのダブルカラムマガジンを使用します。

K5の特徴が、「ファストアクション」と呼ばれるトリガー機構です。基本的な撃発機構は外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式ですが、これに独自の機構が加えられています。
ファストアクションでは、ハンマーをコックした後に前方へ押し戻して携行し、その状態からトリガーを引くとハンマーが再びコック位置へ移動して発射に至ります(ハンマーを倒してもハンマースプリングは圧縮された状態を維持する)。長いトリガーストロークを確保しながら、通常のダブルアクションとは異なるトリガー特性を持たせた構造です。この機構は「トリプルアクション」や「ダブルアクション・プラス」と呼ばれることもあります。
K5は、アルミニウム合金製フレーム、外部ハンマー、ダブルカラムマガジンに加え、独自のファストアクション機構を組み合わせた設計となっています。1980年代末に実用化されて以降、韓国軍の国産制式ピストルとして運用が続いています。
北朝鮮:白頭山ピストル

北朝鮮軍では、9×19mm弾を使用する白頭山(ペクトゥサン)ピストルが代表的な軍用拳銃の一つとして知られています。1980年代後半に登場し、それまで使用されていた68式などのピストルに代わる形で配備が進みました。名称は朝鮮半島北部の白頭山に由来します。
白頭山ピストルは、チェコスロバキアで開発されたCZ 75と外観や基本構造が酷似しています。原型となったCZ 75は1975年に登場した9×19mmピストルで、15発入りのダブルカラムマガジンと、外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式を採用しています。白頭山ピストルも、これと同じ基本構成を採用しています。

作動方式はショートリコイルで、バレル後部を下降させてスライドとのロックを解除するブローニング系のティルトバレル方式を使用します。フレームとスライドはスチールを主体とした構成で、撃発機構には外部ハンマーを備えています。
CZ 75系列では、スライドがフレーム外側を覆う一般的な構造とは異なり、フレーム内側に設けられたレールに沿ってスライドが前後します。このため、外側に露出するスライド部分が比較的小さい形状となっています。

北朝鮮では白頭山ピストル以前にも、64式、68式、70式など複数の国産ピストルが使用されてきました。68式はトカレフ系の設計をベースとし、70式は小型のブローバック式ピストルでした。これに対し、白頭山ピストルは9×19mm弾、ダブルカラムマガジン、ダブルアクション/シングルアクション機構を組み合わせた構成となっています。
白頭山ピストルの登場によって、北朝鮮の軍用拳銃には、それまでのトカレフ系などとは異なるCZ 75系の設計が加わりました。弾薬、装弾数、撃発機構の面でも、それ以前の北朝鮮製ピストルの流れとは異なる構成となっています。
インド:ピストル・オート9mm 1A

インド軍では、「ピストル・オート9mm 1A」が長年にわたって使用されてきました。9×19mm弾を使用する国産ピストルで、設計のベースとなったのはブローニング・ハイパワーです。
第二次世界大戦中、カナダのジョン・イングリス社は連合国向けにブローニング・ハイパワーを大量生産しました。戦後、この生産に使用されていた金型などの製造機器の一部がインドへ渡ったとされています。これらは、インド東部のイシャポールにある国営兵器工場「ライフル・ファクトリー・イシャポール(Rifle Factory Ishapore)」で、ハイパワー系ピストルを国産化する際に利用されました。
インドでは1970年代初頭から国内生産に向けた準備が進められ、1977年に9mm 1Aの生産が確立されました。その後、1980年代初頭から本格的な量産が進み、インド軍や治安機関に広く配備されました。

使用弾薬は9×19mmで、作動方式はショートリコイルです。撃発機構には外部ハンマーを備えたシングルアクション方式を採用しています。標準マガジン容量は13発で、フレームとスライドはいずれもスチールを主体とした構成です。重量は約935g、全長は約205mm、銃身長は約120mmとなっています。
原型となったブローニング・ハイパワーは、ジョン・ブローニングとディードネ・サイーブの設計を経て1935年に登場しました。9×19mm弾と13発入りのダブルカラムマガジンを組み合わせたモデルで、第二次世界大戦後には各国の軍や警察で広く使用されました。9mm 1Aも、この基本構成を受け継いでいます。
操作方式は、現在広く見られるストライカー式ピストルとは異なります。外部ハンマーを使用するシングルアクション方式で、マニュアルセーフティとマガジンセーフティを備えています。

インド軍では、その後グロックなどの新しいピストルも一部で使用されるようになりましたが、9mm 1Aは長期間にわたって軍や治安機関で運用されてきました。インドの軍用拳銃としては、ブローニング・ハイパワー系の設計を国内生産によって継続してきた代表的なモデルとなっています。
パキスタン:ベレッタ92F

パキスタン陸軍では、ベレッタ92Fが代表的な軍用ピストルの一つとして使用されています。9×19mm弾を使用するフルサイズのピストルで、1970年代に登場したベレッタ92系列を発展させたモデルです。
パキスタン軍では、SIG P226やP229、グロック17や19なども一部の部隊で使用されていますが、ベレッタ92系列も軍用ピストルとして長く運用されてきました。
ベレッタ92の基本設計は1975年に完成しました。それ以前のM1951で採用されていたロッキング機構、ベレッタ製ピストルに見られるオープンスライド、大容量のダブルカラムマガジンなどを組み合わせた構成です。
92Fではアルミニウム合金製フレームとスチール製スライドを使用しています。撃発機構は外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式で、ハンマーを下ろした状態からの初弾はダブルアクション、その後はスライドの作動によってハンマーがコックされ、シングルアクションで発射します。

作動方式はショートリコイルです。バレルとスライドのロックには、一般的なティルトバレル方式ではなく、バレル下部のロッキングブロックを使用します。発射後にバレルとスライドがショートリコイル(短距離後退)するとロッキングブロックが下降し、ロックが解除された後はスライドだけが後退を続けます。このため、作動時のバレルは大きく傾斜しません。
スライド上部を大きく開放したオープンスライドも92系列の特徴です。バレル上部が広く露出する構造で、排莢口も大きく確保されています。
標準的な92Fでは15発入りのダブルカラムマガジンを使用します。スライド上のレバーはマニュアルセーフティとデコッカーを兼ねており、ハンマーがコックされた状態から安全に前方へ戻すことができます。
ベレッタ92系列は米軍のM9をはじめ、各国の軍や治安機関で採用されてきました。パキスタン軍でも、アルミニウム合金製フレーム、外部ハンマー、ダブルアクション/シングルアクション、ロッキングブロック方式を組み合わせた軍用ピストルとして運用されています。
イスラエル:ジェリコ941/グロック17・19

イスラエルでは、国産のジェリコ941に加え、グロック17やグロック19など複数の9×19mmピストルが軍や治安機関で使用されています。その中で、イスラエル製の軍・警察向けピストルとして知られているのがジェリコ941です。
ジェリコ941はイスラエル・ミリタリー・インダストリーズによって開発され、1990年に登場しました。その後、事業再編を経て、現在はイスラエル・ウェポン・インダストリーズ(Israel Weapon Industries)がジェリコ系列を製造しています。
基本設計はチェコスロバキアで開発されたCZ 75の影響を受けています。作動方式はショートリコイルで、撃発機構には外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式を採用しています。スライドがフレーム内側のレールに沿って前後する構造もCZ 75系列と共通しています。
9×19mmのフルサイズ仕様では16発入りのダブルカラムマガジンを使用します。スチールフレーム仕様では重量が1kgを超え、ポリマーフレームを使用するピストルと比べると重い構成です。ジェリコ系列には、その後ポリマーフレーム仕様も加わっています。

「941」という名称は、開発当初に9×19mm弾と.41 AE弾の双方に対応していたことに由来します。初期の輸出モデルには両口径が用意されましたが、.41 AE弾はその後広く普及せず、ジェリコ系列は9×19mm仕様を中心に展開されています。
米国市場では「ベビーイーグル」などの名称でも販売されました。ただし、名称に「イーグル」が含まれていても、デザートイーグルとは基本構造が異なります。ジェリコ941がショートリコイル式であるのに対し、デザートイーグルはガス圧作動方式を採用しています。
一方、イスラエルの軍や特殊部隊などでは、グロック17やグロック19も使用されています。ジェリコ941が金属製フレームと外部ハンマーを基本とするのに対し、グロック17/19はポリマーフレームとストライカー方式を採用しています。同じ9×19mmピストルでも、両系列ではフレーム素材、撃発機構、重量、操作方式などに違いがあります。
サウジアラビア:SIG SAUER P226

サウジアラビア陸軍では、シグ・ザウエルP226が代表的なサイドアームの一つとして使用されています。P226は1980年代に登場した9×19mmのフルサイズピストルで、その後、各国の軍や警察、特殊部隊などに採用されました。サウジアラビアではグロック系列などのピストルも使用されていますが、P226も軍用拳銃として長く知られているモデルです。
P226はSIG P220をベースに、ダブルカラムマガジンへ対応する形で開発されました。1980年代初頭、米軍の新型制式ピストル選定に向けて開発が進められ、1984年のXM9試験ではベレッタ92系列と最終段階まで残りました。米軍の主契約はベレッタが獲得しましたが、P226はその後、各国の軍や警察、米国の政府機関などで採用されました。
作動方式はショートリコイルで、バレル後部の薬室周辺(バレルフード)をスライドの排莢口とかみ合わせてロックする方式を採用しています。発射後はバレルとスライドが短距離後退した後、バレル後部が下降してロックが解除されます。複数のロッキングラグを備えた従来型の構造を簡略化した方式で、後の多くの自動拳銃でも同様の構成が採用されています。
標準的なP226はアルミニウム合金製フレームとスチール製スライドを組み合わせています。9×19mm仕様では15発入りのダブルカラムマガジンが基本となっています。
撃発機構は外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式です。フレーム左側には独立したデコッキングレバーがあり、コックされたハンマーを安全に下ろすことができます。一般的な仕様では、手動で操作するマニュアルセーフティは備えていません。
P226は、金属製フレーム、外部ハンマー、ダブルアクション/シングルアクション、デコッキングレバーという構成を採用した軍・警察向けピストルです。サウジアラビアを含む複数の国や機関で使用され、1980年代に登場した設計が現在まで運用されています。
トルコ:SAR9/TP9 SF METE

トルコでは、国産メーカーが開発したSAR9系列とTP9系列のピストルが、軍や治安機関で使用されています。SAR9を開発したサルシルマズ(Sarsılmaz)は、1880年創業のトルコの銃器メーカーで、拳銃、歩兵銃、機関銃などを製造しています。同社のSAR9系列に加え、CanikのTP9系列も軍や国家憲兵などで運用されています。
トルコではかつて、外国で開発された設計をベースとするピストルも広く使用されていましたが、現在は国内メーカーが9×19mm弾を使用するポリマーフレーム・ストライカー式ピストルを量産しています。
SAR9 METEは、トルコの国産制式ピストル開発計画から生まれたモデルです。9×19mm弾を使用し、ポリマーフレームとスチール製スライド、ストライカー方式を組み合わせています。フレーム前部にはピカティニーレールを備え、ライトなどの装備を取り付けることができます。
グリップは使用者に合わせて調整できる構造です。バックストラップに加え、左右のグリップパネルも複数のサイズから交換でき、手の大きさに応じて形状を変更できます。

もう一つの系列がCanik TP9です。TP9系列はポリマーフレームとストライカー方式を採用する9×19mmピストルで、ワルサーP99の影響を受けた設計から発展しました。METE系列では操作系やグリップなどに変更が加えられています。
TP9 SF METEは全長約182mm、銃身長約103.5mm、重量約745~760gのモデルです。15発または18発入りのマガジンを使用し、交換式バックストラップ、左右から操作しやすいスライドストップ、アクセサリーレールなどを備えています。
派生型のTP9 SF METE-Sにはマニュアルセーフティが追加されています。基本構造はTP9 SF METEと共通しながら、外部から操作できる安全装置を備えた仕様となっています。
SAR9系列とTP9系列はいずれも、9×19mm弾、ポリマーフレーム、ストライカー方式を採用しています。一方で、異なる国内メーカーがそれぞれ独自の系列を軍や治安機関向けに供給しており、トルコでは複数の国産ピストルが並行して使用されています。
イラン:PC-9 Zoaf

イランでは、国産の9×19mmピストルとしてPC-9 Zoafが軍や警察で使用されています。1990年代に登場したモデルで、SIG Sauer P226をベースにした無許可コピーとされ、基本構造や外観もP226とよく似ています。ただし、イラン国内での生産に合わせて一部の仕様や製造方法には変更が加えられています。
イランではこのほか、CZ 75、FNハイパワー、M1911A1、グロック系列など複数のピストルが使用されています。PC-9は、こうした装備体系の中で国内生産された軍・警察向けピストルの一つです。
使用弾薬は9×19mmで、15発入りのダブルカラムマガジンを使用します。重量は約750gとされ、軍用型では暗色の表面仕上げが施されています。撃発機構には外部ハンマーを備えたダブルアクション/シングルアクション方式を採用しています。
基本構造の参考となったP226は、ショートリコイル方式で作動するフルサイズピストルです。バレル後部の薬室周辺をスライドの排莢口とかみ合わせてロックし、発射後はバレル後部が下降することでロックを解除します。従来のピストルに見られた複数のロッキングラグを使用しない構造となっています。
P226ではアルミニウム合金製フレームとスチール製スライドを組み合わせ、外部ハンマーとダブルアクション/シングルアクション機構を採用しています。PC-9にも、こうしたP226系列に近い構成が取り入れられています。
イランでは、小火器を国内で生産する過程で外国製兵器の設計を取り入れた例があり、G3系列のライフルやMP5系列のサブマシンガンなども国内で生産されてきました。PC-9も、国外で開発されたピストルの設計を参考に国内生産されたモデルの一つです。
その後は、グロック系列に近い構成を持つKaveh 17など、ポリマーフレームとストライカー方式を採用したピストルも登場しています。このため、イランでは金属製フレームと外部ハンマーを備えたPC-9のようなモデルに加え、構造の異なる新しいピストルも開発されています。
オーストラリア:F9 サイドアーム・ウェポン・システム

オーストラリア国防軍では、新しい制式ピストルとしてF9サイドアーム・ウェポン・システムの導入が進められています。F9はシグ・ザウエルP320 X-Carry Proをベースとしており、長年使用されてきた9mmブローニングMk3の後継として採用されました。
配備は2024年から始まり、陸軍では2025年から本格的な展開が進められました。ブローニング・ハイパワー系列からP320系列への更新により、オーストラリア軍の制式ピストルは基本構造と操作方式が大きく変更されています。
P320 X-Carry Proは9×19mm弾を使用するポリマーフレームのストライカー式ピストルです。P320系列では、トリガーや撃発機構などをまとめたファイアコントロールユニットを独立した内部ユニットとして構成しています。外側のグリップモジュールと内部機構を分離した構造で、米軍のM17とM18も同じP320系列をベースとして開発されています。
F9はピストル本体だけを単独で調達するのではなく、関連する装備や訓練用機材などを含む「ウェポン・システム」として導入されています。このため、拳銃本体に加え、携行や運用に必要となる周辺装備を含めた形で配備が進められています。

従来の9mmブローニングMk3は、ブローニング・ハイパワー系列の設計を受け継ぎ、スチール製フレーム、外部ハンマー、シングルアクション方式、13発入りマガジンを採用していました。これに対し、F9はポリマーフレーム、ストライカー方式、独立した内部ユニットを中心とするモジュラー構造を採用しています。
F9への更新では、ピストル本体の構造だけでなく、周辺装備や訓練体系も含めて新しい装備体系へ移行しています。オーストラリア国防軍にとって、長年使用してきたブローニング系ピストルから異なる構造を持つP320系へ移る大規模な装備更新となっています。
インドネシア:Pindad G2 Combat

インドネシア軍では、国産メーカーのピンダッド(Pindad)が製造するG2 コンバットが使用されています。G2系列は、それまで使用されていたPindad P1やP2などの後継として2010年ごろから開発され、2011年に量産が始まりました。
名称の「G2」は、インドネシア語で「正確」を意味する「jitu」の発音に掛けたものとされています。軍や警察向けに開発された9×19mmピストルで、インドネシア国内で生産されています。
G2 コンバットは15発入りのダブルカラムマガジンを使用します。全長は約202mm、銃身長は4.5インチ、重量は約930gで、フルサイズに分類されるモデルです。
作動方式はショートリコイルで、バレルとスライドのロックにはブローニング系のティルトバレル方式を採用しています。発射後はバレルとスライドが短距離後退した後、バレル後部が下降してロックが解除され、スライドが後退を続けます。
撃発機構には外部ハンマーを備えたシングルアクション方式を採用しています。発射時にはハンマーがコックされた状態となり、マニュアルセーフティも備えています。照準器は固定式のフロントサイトとリアサイトで構成され、ピンダッドは有効射程を25mとしています。

G2系列には複数の派生型があります。バレルを延長したG2 エリートや、競技用途を想定したG2 プレミアムなどが用意されています。G2 コンバット A1ではフレーム前部にピカティニーレールが追加され、ライトなどのアクセサリーを装着できる構成となっています。
ピンダッドはその後、ポリマーフレームを採用するARMO系列のピストルも開発しています。このため、インドネシアではG2系列のような金属製フレームと外部ハンマーを備えたピストルに加え、異なる構造を持つ新しい国産ピストルの開発も進められています。
よくある質問
- 世界の軍で最も多く使われている拳銃弾は何ですか?
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9×19mm弾が広く使用されています。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、韓国など、多くの国の軍用ピストルで採用されています。一方、中国の5.8×21mm弾やロシアの9×21mm弾など、独自の弾薬規格を使用する例もあります。
- 制式拳銃は一つの国につき1種類だけですか?
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必ずしも1種類だけではありません。新型への更新途中では旧型と新型が同時に使用されるほか、軍種や部隊、用途によって異なるピストルを使用する場合があります。
- 新しい制式拳銃が採用されても旧型が残るのはなぜですか?
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大量の拳銃を一度に更新するのではなく、調達や配備を段階的に進める場合があるためです。そのため、新型が正式採用された後も旧型が一定期間使用され、複数世代のピストルが併用されることがあります。
- 現在の軍用ピストルにはどのような傾向がありますか?
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近年は、ポリマーフレームとストライカー方式を組み合わせたピストルの採用例が増えています。グロック17、SFP9、M17/M18、P13などがその例です。一方で、ハンマー方式や金属製フレームを採用したピストルも引き続き使用されています。
- アメリカ軍のM17とM18は何が違いますか?
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どちらもSIG SAUER P320をベースとする9×19mmピストルですが、M17はフルサイズ、M18はコンパクトサイズです。M17の銃身長は4.7インチ、M18は3.9インチで、標準マガジン容量はいずれも17発です。
- 自衛隊の現在の制式拳銃は何ですか?
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自衛隊は2020年にヘッケラー&コッホのSFP9を採用しました。1982年から使用されてきたSIG P220系の9mm拳銃の後継で、ポリマーフレームとストライカー方式を採用しています。
- 中国軍のQSZ-92はなぜ5.8mm弾を使用するのですか?
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中国人民解放軍向けのQSZ-92-5.8は、中国独自の5.8×21mm弾を使用するよう設計されています。この弾薬は小口径弾頭を高速で発射する軍用弾薬で、QSZ-92では20発入りマガジンと組み合わせて使用されます。
- ドイツ軍のP8とP13は何が違いますか?
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P8はH&K USPをベースとするハンマー式ピストルで、P13はCZ P-10 C ORをベースとするストライカー式ピストルです。P13では光学サイトへの対応や交換式バックストラップなどが採用され、P8とは基本構造や装備が大きく異なります。
- ウクライナ軍ではどのようなピストルが使用されていますか?
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PMマカロフや国内開発のフォート14、フォート17に加え、2022年以降はグロック17やH&K SFP9などの外国製ピストルも使用されています。そのため、9×18mmマカロフ弾と9×19mm弾を使用する複数の機種が併存しています。
- ベレッタ92FSとAPXはどのように違いますか?
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92FSは金属製フレーム、外部ハンマー、ダブルアクション/シングルアクション機構を採用しています。一方、APXはポリマーフレームとストライカー方式を採用し、内部シャーシとグリップ部分を分離したモジュラー構造を備えています。
まとめ
| 国 | 主な制式・軍用ピストル | 主な弾薬 | 備考 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | M17/M18 | 9×19mm | 4軍で主力 |
| 中国 | QSZ-92-5.8 | 5.8×21mm | 人民解放軍の標準 |
| ロシア | MP-443、6P72 ウダフ | 9×19mm 9×21mm | MP-443を広く運用、ウダフも導入 |
| インド | ピストル・オート9mm 1A | 9×19mm | 陸軍の代表的制式モデル |
| イギリス | グロック17 Gen4 | 9×19mm | 3軍共通 |
| フランス | グロック17 Gen5 FR | 9×19mm | 3軍共通 |
| ドイツ | P8/P13 | 9×19mm | P13への更新開始 |
| 日本 | H&K SFP9/9mm拳銃 | 9×19mm | SFP9へ更新中 |
| 韓国 | K5 | 9×19mm | 陸軍を中心に運用 |
| ウクライナ | PM/フォート14TPなど | 9×18mm 9×19mm | 多機種を併用 |
| イスラエル | ジェリコ941/グロック17・19 | 9×19mm | 部隊・任務別に運用 |
| サウジアラビア | SIG Sauer P226 | 9×19mm | 公開資料上の代表モデル |
| トルコ | TP9 SF METEなど | 9×19mm | 国産モデルを採用 |
| ポーランド | VIS 100 | 9×19mm | 旧型から更新中 |
| オーストラリア | F9 | 9×19mm | 2024~2026年に更新 |
| イラン | PC-9 Zoafなど | 9×19mm | 公開資料上の代表モデル |
| パキスタン | ベレッタ92F | 9×19mm | 公開資料上の代表モデル |
| 北朝鮮 | 白頭山ピストル | 9×19mm | 外部資料で標準とされる |
| イタリア | ベレッタ92FS/APX | 9×19mm | 両系列を運用 |
| インドネシア | G2 コンバット | 9×19mm | 軍で広く使用 |
世界各国の軍用拳銃を見ると、使用弾薬では9×19mm弾が広く採用されています。一方、拳銃本体の構造や採用方針には国ごとの差があります。アメリカ、フランス、オーストラリアなどでは、ポリマーフレームとストライカー方式を採用した新しい拳銃への更新が進んでいます。
その一方で、韓国のK5やイタリアの92系列のように、外部ハンマーを備えた既存のピストルが引き続き使用されている例もあります。また、中国の5.8×21mm弾やロシアの9×21mm弾のように、9×19mmとは異なる弾薬を使用する軍用拳銃も存在します。
新型拳銃が制式採用されても、旧型がすぐに姿を消すとは限りません。軍では拳銃本体に加え、予備部品、ホルスター、整備器材、弾薬、教育や訓練なども含めて装備体系を更新する必要があります。このため、新旧の装備が一定期間併用されることがあります。
同じ国の軍隊でも、所属する部隊や任務、配備時期によって使用する拳銃が異なる場合があります。制式採用されているモデルと、実際に各部隊で使用されているモデルが必ずしも一種類に統一されているとは限らず、複数の拳銃が並行して運用される例も見られます。
参考資料
- U.S. Army
M17/M18 9mm Modular Handgun System - U.S. Army
Department of War Confirms Modular Handgun System (MHS) is Safe and Reliable - U.S. Army ODIN
QSZ-92 (Type 92) Chinese 9mm/5.8mm Semi-Automatic Pistol - U.S. Army
People’s Liberation Army Ground Forces Equipment - Rostec
6P72 Udav qualification and production information - Rostec
Vladimir Yarygin / PYa information - Government of India / Police Training Material
Pistol Auto 9mm 1A Specifications - UK Ministry of Defence
New pistols for UK Armed Forces - Ministère des Armées / DGA
GLOCK 17FR - Ministère des Armées / DGA
Réception par la DGA des 9 600 derniers pistolets semi-automatiques - Bundeswehr
Die Pistole P8 - Colt CZ Group
CZ to supply pistols to the German Army - 防衛省
新小銃・新拳銃の選定に関する説明 - SNT Motiv
Defense Products Full Line-Up Small Arms - Ministry of Defence of Ukraine
White Book 2014 - RPC Fort
FORT-14TP 2025 Catalogue - Israel Defense Forces
Carrying and Securing Weapons Outside IDF Facilities - Safariland
IWI Handguns: They Just Run - Turkish Presidency of Defence Industries
Turkish Defence Industry Product Catalogue - Ministerstwo Obrony Narodowej
VIS 100 - Australian Department of Defence
New ADF pistol unveiled - U.S. Army ODIN
Baek-Du San - Esercito Italiano / Ministero della Difesa
Beretta 92FS and APX procurement documents - PT Pindad
G2 COMBAT - Komite Kebijakan Industri Pertahanan
G2 COMBAT Kal. 9 mm






