ショットガン(散弾銃)はスラグ(一発弾)や散弾を発射させる銃であり、狩猟、スポーツ、軍/警察の各分野で幅広く使用されています。
その起源は定かではありませんが、主に狩猟の世界で発展したショットガンは近距離で絶大な威力を発揮し、軍用としては第一次世界大戦以降、塹壕戦やジャングルなど接近戦で活躍しました。
現在でも狩猟やスポーツ用途は勿論、軍用としても世界で使用され続けています。
ショットガン登場の歴史
ショットガンは散弾を発射可能ですが、人が手に持って射撃可能な「銃」が誕生した1300年代のマズルローディング・ライフルでも散弾を発射可能なため、歴史上最初に散弾を使用した銃は定かではありません。
しかし、1700年代には散弾を撃つことを目的として設計されたショットガンが存在し、1800年代後半には短時間に装填と排莢を行えるリピーティング・ショットガンが米国で登場しています。
代表的なものに1883年に登場したグリップ部をスライドさせて操作するバージェス・ショットガン(Burgess Shotgun)や、1884年に登場したポンプアクション方式のスペンサー・ショットガン(Spencer Shotgun)などがあります。
初期のリピーティング・ショットガンで成功を収めたのは、1887年に登場したレバーアクション方式を採用しジョン・M・ブローニングによる設計のウィンチェスターM1887でした。
ショットガンの射程距離
ショットガンの有効射程距離はおおむね50m以下と、ハンドガンとほぼ同様の距離ですが、最大射程距離(最大到達距離)は弾薬によって大きく異なります。
口径12ゲージのショットガンを使用した場合、直径0.08インチ(2.032mm)のNo.9(9号)は約190mから200mまで到達します。
対人用としても使用される直径約0.33インチ(8.382mm)の00Buck(ダブルオーバック)では、約537mから約558mまで到達します。
2,000mから6,000m以上の最大射程距離を持つライフル弾と比較するとショットガンの最大射程距離は短く感じられますが、日本でもハンティングやスポーツ用途で使用されることも多いので、シューターはこの距離を頭に置きながらターゲットの向こう側に注意して安全に射撃を楽しんでいただきたいと思います。
ポンプアクション(スライドアクション)・ショットガン
レバーアクション方式で最初に成功したショットガンはウィンチェスターM1887ですが、ポンプアクション(スライドアクション)ショットガンで最初に成功を収めたのはウィンチェスターM1893であり、ウィンチェスター社が初めて製品化したポンプアクション・ショットガンでした。
フォアエンドを前後にスライドさせるだけで連続して撃てるシステムは速射性に優れ、M1887は改良を続けられた後に第一次世界大戦時ではトレンチガン(トレンチ=塹壕)と呼ばれ、塹壕戦で活躍しました。
ポンプアクションは確実な作動に定評があり、製造コストが安いことや、強力な弾薬にも耐えられるタフさを持つというメリットがある反面、ポンピングの作動音が大きいというデメリットがあります。これは使用する状況によっては注意を必要とするでしょう。
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