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ウェブリー・フォズベリー・オートマチック・リボルバー:歴史と構造を動画付きで徹底解説

ウェブリーフォスベリー画像

ウェブリー・フォズベリー・オートマチック・リボルバーは、1896年に特許が取得され、1901年から1924年にかけてウェブリー&スコット社によって製造されました。

このリボルバーは、イギリスのジョージ・ヴィンセント・フォズベリー中佐の発案によるもので、彼はインドで長年軍務に就いていた経験を持ち、1863年にヴィクトリア十字勲章を受賞しています。

フォズベリーは銃器開発に情熱を注ぎ、ウェブリー・フォズベリー以外にも、「パラドックスガン」など、いくつかの製品で成功を収めました。

パラドックスガンとは、現在の「ライフルドチョーク」に似た構造のショットガンで、銃身の先端5センチほどの部分だけにライフリングが備わっています。
主に大型獣の狩猟に利用されました。

この記事はウェブリーフォスベリーの構造を動画付きで解説します。

反動によるセミオート作動

ウェブリーフォスベリー内部の作動

ウェブリー・フォスベリーは通常のリボルバーとは若干構造が異なり、発射時の反動によって自動的にハンマーを起こしてシリンダーを回転させます。

そのため、「セルフ・コッキング・リボルバー」とも呼ばれます。

フォズベリーは、オートマチックピストル並みの発射速度とシャープなトリガーをリボルバーに持たせようと考え、イギリス軍の.455口径リボルバーの重量弾と組み合わせる設計を目指しました。

1890年代後半のオートマチックピストルは小口径の弾薬がほとんどで、フォズベリーは大口径の弾薬が戦闘に適していると考えたのです。

重い弾頭重量の弾薬を使用することで反動が大きくなるため、反動エネルギーを利用してハンマーをコックし、シリンダーを回転させる方法を考案しました。

シリンダーの回転構造

ウェブリーフォスベリーのシリンダー回転構造

ウェブリー・フォズベリーの構造は、フレーム上部(シリンダーアッセンブリー)がフレーム下部(フレームアッセンブリー)とは独立して動くことで成り立っています。

シリンダーにはジグザグの溝が彫られており、この溝が銃のフレーム部分と接しています。

発射時にフレーム上部が後方に滑り、シリンダーを1/12回転させます。

後退し終えると今度は前進を始め、前進の際にまたシリンダーを1/12回転させることで計1/6回転し、次弾を撃てる状態となります。

このシステムはシリンダーが汚れていない状態であれば非常に効果的に動作し、.455弾のパワーと高速連射を実現しました。

ウェブリー・フォスベリーはリボルバーでありながらオートマチックと同様の動作をすることで常にシングル・アクションでの射撃が可能となっており、速射が容易です。

ところが、銃本体質量の大半が素早く後退するため、そのリコイルは増大され、知覚する反動が強い銃となりました。

マニュアルセイフティ

ウェブリーフォスベリーのセイフティ構造

一般的なリボルバーには手動操作するマニュアル・セイフティが備わっていません。

しかし、ウェブリーフォズベリーには、セイフティレバーが装備されています。

レバーを上へ押し上げるとセイフティがオンになり、発射不能になります。

ウェブリーフォスベリーのトリガーはシングルアクショントリガーのため、ハンマーがレスト状態にあるときにトリガーを引いても発射されません。

迅速に発射するには、あらかじめハンマーを起こしておく必要があるため、ハンマーをコックしてセイフティを掛ける「コック&ロック」が必要とされました。

セイフティレバーを使用してトリガーと可動フレームを固定することで安全性を確保しています。

装填と排莢

ウェブリーフォスベリーの再装填構造

使用済みの薬莢を排出し再装填する手順は、通常のウェブリーリボルバーと同様でした。

ハンマーの左側にあるレバーを操作してアクションを開き、オートマチックエジェクターで空のケースをすべて排出します。

.455モデルの場合、一度に1発ずつ、またはムークリップを使用して再装填できます。

ムーンクリップとは、板状の円盤を切り出した部品で、複数の弾薬を1つにまとめる機能があります。

軍事用途と実際の使用

ウェブリー・フォズベリーは主に騎兵用の軍用サイドアームとして開発されましたが、正式に採用されることはありませんでした。

しかし、一部のイギリス軍将校が個人的に購入し、ボーア戦争や第一次世界大戦で限定的に使用されています。

特にイギリス王室空軍パイロットが、航空機用機関銃が普及する前に使用していました。

弾薬バリエーション

ウェブリー・フォズベリーは、.455ウェブリーMkIIと、.38ACPを使用するモデルが開発されました。

.38口径の銃は1900年にアメリカ市場で導入された.38 ACPを使用。

.38 ACPモデルは装弾数8発で、.455モデルは装弾数6発です。

.455ウェブリーMkIIは銃口初速約180~200m/秒(600~650 fps)と、現在の.45ACP弾の約250m/秒(830 fps)と比べても遅いのがわかります。

生産は1901年から1924年まで行われ、総生産数は※約4,200丁でした。

(※シリアルナンバーは4500までありますが、実数とシリアルナンバーは一致していません)

そのうち、.38 ACPモデルは417丁のみ製造され、その多くが分解され部品として使用されました。

.38 ACPモデルのうち少なくとも72丁が工場で.455口径モデルに変換されています。

ウェブリーフォスベリーのほとんどが.455口径モデルであり、.38口径モデルはレアな存在です。

まとめ

ウェブリー・フォズベリーはターゲットシューターや軍将校に人気がありました。

しかし、その独特なメカニズムと大きさ、汚れに弱いという欠点から、広く普及することはありませんでした。

シリンダーの溝に泥や砂などの異物が付着すると作動が停止するため、軍用としては致命的な欠陥といえます。

イギリス王室空軍ではシングル・アクションの利点を活かしてコックピットから敵航空機を狙うために使用されましたが、結果として目的は達成されず失敗に終わっています。

また、しっかりと銃を保持しなければ確実な作動が行われず、常に不安定な作動に悩まされ、ユニークな構造ながら実用上のメリットが見られないリボルバーといえるでしょう。

とはいえ、その革新的な設計は銃器の歴史において特筆すべきものであり、多くのファンを持つ今なお魅力的な存在となっています。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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