現代のS&Wリボルバーの多くには三つの内蔵型安全装置が組み込まれていますが、それはどんな構造で、どうやって作動するのでしょうか?
その構造について解説します。
リバウンドブロック・セイフティ
トリガーの後ろにはリバウンド・スライドというパーツがあります。これはトリガーに押されて前後に動き、ハンマーの最下部と接触しています。
この画像の状態だとハンマーはリバウンド・スライドに阻止されてこれ以上前進できないため、ハンマーがファイアリングピンや弾薬のプライマーを叩いて撃発する心配はありません。
トリガーを引くとリバウンド・スライドが後退し、同時にトリガーがハンマーを押し上げてコックします。そして、リバウンド・スライドの後退によりハンマーとの接触位置がズレるため、ハンマーが前進可能になります。
トリガーを引くとハンマーが完全にコックされた状態となり、リバウンド・スライドも後退しています。
トリガーを最後まで引き切るとハンマーがトリガーから解放され、ハンマー・スプリングの反発力によりハンマーが前進。ファイアリングピンやプライマーを叩き撃発します。
これはトリガーを最後まで引き切り、ハンマーが落ちて撃発した状態です。
リバウンド・スライドはトリガーに押されて後退した状態にあるため、リバウンド・スライドはハンマーに接触していません。
この状態からトリガーを元の位置に戻すと、リバウンド・スライドが前進し、一枚目の画像の状態に戻ります。
このセイフティは、トリガーを引いたときだけセイフティが解除される「インターナル・セイフティ(内蔵型安全装置)」であることが分かるかと思います。
ハンマーブロック・セイフティ
ハンマーブロック・セイフティは細長い棒状のパーツ、「ハンマー・ブロック」を使用した安全装置です。
これはハンマーとフレームの間に挟まれることでハンマーの前進を阻止します。
ハンマーブロックはリバウンド・スライドに連結されおり、リバウンド・スライドが後退するとハンマーブロックが下方へ引っ張られます。するとハンマーブロックはハンマーとフレームの間から引き抜かれてハンマーが前進し、プライマーを叩いて撃発します。
このセイフティもトリガーが引かれたときだけ作動し、セイフティを解除する構造となっています。
ハンマーストップ・セイフティ
ハンマーストップ・セイフティは、ボルトと呼ばれるパーツの後端がハンマーの動きを止める安全装置です。
シリンダーをスイングアウトしてリロードする際にサムピースを押しますが、サムピースはこのボルトにネジ止めされています。
サムピースを動かすとボルトが前後に動く構造です。
ボルトが前進すると、ハンマーの動きを邪魔してハンマーをロックします。
このセイフティは、トリガーの動きとは無関係に作動します。
サムセイフティを前進させるとハンマーがロックされ、シリンダーがスイングアウト可能となります。
シリンダーの中心にはセンターピンがあります。
センターピンはシリンダー収納時にボルトを後ろへ押します。
シリンダーをスイングアウトさせた状態ではボルトが前進しているため、ボルト後端がハンマーの動きを邪魔をしてハンマーとトリガーが動けなくなります。
しかしシリンダーをフレーム内に収納すると、シリンダーのセンターピンがボルトを後退させ、ロックが解除されてハンマーがコック可能となり、トリガーも引けるようになります。
こうしてシリンダーが所定の位置に収まっている時だけ射撃可能な構造となっています。
勿論、シリンダーがスイングアウトされていても意図的に手動でサムピースを後退させればロックは解除されるため、トリガーやハンマーを動かすことも可能です。
以上、三つの内蔵型安全装置の解説でした。
以下の動画だとさらに動きが分かりやすいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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