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スコープ搭載ハンドガンは実用的?:光学機器搭載拳銃の利点と問題点とは?

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ルガーブラックホーク Image courtesy of fieldandstream.com

ピストルやリボルバーにスコープを搭載するのは実用的なのでしょうか?

ハンドガンにスコープを搭載するとライフルの代わりになるのでしょうか?

今回はハンドガンによる遠距離射撃と命中精度について解説します。

ライフルとハンドガンの違い

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AR15 M4E1 Complete Rifle, 16″ 5.56 NATO Mid-Length Image courtesy of aeroprecisionusa.com

ライフルにはストックが備わっており、両手、肩、頬の4点で銃を保持可能です。

そのため射撃時に銃を安定させ静止させやすく、より精密な射撃が可能です。

また使用される弾薬は秒速600~900m以上といった高速なものが多く、弾道がフラットで遠距離でも命中させやすい特徴があります。

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S&W M&P Image courtesy of smith-wesson.com

一般的にピストルはストックが備わっておらず、両手、または片手で射撃されます。

ライフルと比較すると安定性が悪く、精密射撃に適していません。

使用される弾薬は秒速300~400m以上といったライフルより低速な弾薬が多く使用されています。

弾速が遅いということは、弾道曲線が大きくなります。

つまり、遠距離のターゲットを狙うと弾が大きな放物線を描いて飛ぶため、より命中が困難になります。

ハンドガンにスコープ搭載は実用的?

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Image courtesy of gunsandammo.com

一般的なハンドガンの有効射程距離は約50m以下ですが、スコープを装備することで有効射程距離を100m以上に延長することが可能です。

スコープやダットサイトを使用することは、ハンティングやアクション・シューティングなど競技射撃では一般的に行われており、命中精度の向上手段として非常に有効です。

また、ライフル弾を使用するハンティング用ハンドガンも広く利用されています。

私自身、自分が所有する9mmピストルにダットサイトを載せて射撃していましたが、命中率は驚くほど格段に向上しました。

光学機器はハンドガンでも非常に有効といえます。

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Trijicon RMR Type 2 Image courtesy of Trijicon

近年、技術向上により軽量コンパクトな光学機器が開発され、軍においてもハンドガンに光学機器を利用する機会が増えてきました。

USSOCOM(アメリカ特殊作戦軍)はTrijicon RMR Type 2をハンドガンに採用しています。

ハンドガンに光学機器を利用した場合の問題点

Image courtesy of us.glock.com
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ターゲットと距離の限界

ハンドガンに光学機器を搭載すると有効射程距離が延長されます。

ターゲットを狙いやすくなることで命中率が向上します。

弾速が遅いため弾道曲線が大きくなり、遠距離においてはライフル弾より命中が困難になることは変わりませんが、距離と弾道が一定の場合、弾の落下量をあらかじめ知っていれば静止ターゲットに命中させやすくなります。

9mm口径ハンドガンで1000ヤード(約914メートル)の距離を狙うことも不可能ではありません。

しかし、対人やハンティングの場面においては命中の難易度が高くなります。

ターゲットまでの距離が一定ではない場合、短い時間で距離を元に弾道計算を行う必要があります。

スコープに使用弾薬に対応したBDCレティクルが備わっている場合は命中させやすくなりますが、予測した距離を間違えると命中せず、ライフルでBDCレティクルを使用した場合より命中困難になります。

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.338ラプアマグナムと9mmの弾道 Image courtesy of gundata.org

これは.338ラプアマグナム(ライフル弾)と9x19mm(拳銃弾)の弾道を比較しています。

1000ヤード離れたターゲットを狙ったとき、.338ラプアマグナムは距離600ヤード付近で頂点に達し、高さ約2メートルまで上昇します。

そして残り約400ヤードを落下しながら飛び、ターゲットに着弾します。

一方、9x19mmは距離575ヤード付近で頂点に達し、高さ約25メートルまで上昇します。

そして残り約425ヤードを落下しながら飛び、ターゲットに着弾します。

発射から着弾までの飛翔時間は、.338ラプアマグナムで約1.3秒、9x19mmで約4.4秒となります。

高速のライフル弾と比較すると低速の拳銃弾は圧倒的に落下量が大きいため、予測距離の誤差が命中率に大きな影響を与えます。

つまり、弾道の特性と正確な距離を把握していなければ、拳銃弾で遠距離のターゲットに命中させるのは非常に困難です。

例えば、仮に1000ヤード先のターゲットを「距離900ヤード」と誤解したとします。

この場合.338ラプアマグナムは狙点から約90cm下に着弾しますが、9x19mmでは狙点から約10メートル下に着弾します。

また、飛翔時間が長くなるほど風の影響を受けやすくなるため、実際にはさらに命中が困難な条件になります。

この差を見るだけでも精密射撃において実用上ハンドガンはライフルの代わりにならないことが理解していただけるかと思います。

ホルスターの問題

一般的な軍用ホルスターはスコープやダットサイトを装備したハンドガンを安全に収納することが困難な場合があります。

もちろん、光学機器に対応したホルスターでは問題ありませんが、一般兵士まで装備するとなれば膨大な予算が必要となるため、特殊部隊など少数部隊で利用されるのが一般的です。

ピストルとリボルバー、どちらが命中精度が高い?

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一般的にピストルよりリボルバーの方が命中精度が高いと言われています。

これはリボルバーのバレル(銃身)が非可動式で固定されており、サイトはバレルに固定されているためです。

そのためスコープはオートピストルよりもリボルバーで利用されることが多く、標的射撃やハンティングにも利用されます。

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オートマグ M600 Image courtesy of amtguns.net

しかし、ピストルでもバレルが固定され、サイトがバレルやレシーバーに固定されていればリボルバーと同等の高い命中精度を持つことが可能です。

とはいえ実際には使用弾薬、トリガープル、グリップのデザインなど様々な要素が命中精度に影響するため、ピストルとリボルバーのどちらが命中精度が高いとは一概に言えません。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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