銃のジャムとは?:装填不良と排莢不良の種類と名称

銃におけるジャム(Jam)とは、何らかの原因で銃が正常に作動しない状態を指します。

装填不良、排莢不良、回転不良、マルファンクション(Malfunction)などとも呼ばれ、どんな銃でも必ずジャムは起こり得ます。

火薬とバネの力で自動的に装填と排莢を行う銃では、主に装填時のジャムと、排莢時のジャムが問題となりますが、今回はこうしたジャムの種類と原因について解説します。

装填不良(FTF / Failure to feed)

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フィーディングジャム(ローディングジャム)とも呼ばれるジャム。

弾薬がマガジンから薬室(チャンバー)へ装填される途中で詰まり、薬室が閉鎖されずに止まってしまうジャムです。

原因

薬室やフィードランプの汚れによる抵抗、マガジンリップの変形、マガジンフォロアー不良、リコイルスプリングのヘタリ、甘いグリップ・・・などの原因が考えられます。

特に古い銃(サープラス品)ではリコイルスプリングやマガジンスプリングなどスプリング類が原因のジャムが多い傾向があります。

排莢不良(FTE / Failure to eject)

ストーブパイプ

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スライド後退後もケースが排莢されず、スライドやボルトとバレル(ブリーチ)の間に挟まれるジャム。

煙突のように見えることからストーブパイプと呼ばれます。

原因

弾薬不良、薬室の汚れによる抵抗、エキストラクター不良、エジェクター不良などが考えられますが、反動によって銃(フレーム)が後退することでスライド後退量と相殺されたことが原因の可能性もあります。

グリップが甘い可能性があるため、銃をしっかり保持することで解決可能な場合もあります。

ダブルフィード(ダブルフィーディングジャム)

Photo via robarguns.com
Photo via robarguns.com

発射後に排莢されないままスライドやボルトが次弾を薬室に送り込もうとして停止するジャム。

ダブルフィーディングにはいくつかの原因があります。

原因1

発射後にケースが排莢されず、薬室内にケースが残った状態のまま次弾が装填されることでダブルフィードになります。

汚れによってケースが薬室内に張り付いてしまう、あるいは薬室内の圧力が下がらないタイミングで薬室から引き抜こうとした結果、エキストラクターでは引き抜けずにそのままスライド/ボルトが後退し、次弾が装填されることで発生します。

(通常、ブローバック方式ではエキストラクターに頼らなくてもガス圧と慣性だけで排莢されます)

これは薬室内のクリーニング、エキストラクター変更、リコイルスプリング変更、弾薬変更、グリップ方法の確認・・・などで解決可能です。

原因2

ボルト後退時にマガジンの上から弾薬が飛び出してしまい、ボルト前進時に飛び出した弾薬とマガジン内の弾薬を同時に薬室へ送り込みダブルフィードになります。

アサルトライフルのマガジンの様なダブルフィード・マガジンで、マガジンの外装やマガジンリップが開いて変形したマガジンで起こりやすい現象です。

マガジンに問題があるため、高品質なマガジンに交換すると解決可能です。

原因3

スライド後退時にマガジンから弾薬が薬室に滑り込んでダブルフィードになります。

銃の反動によって銃全体が後退する際、スライドと共にフレームも後退し、慣性によってマガジン内の弾薬が前進(その場に留まる)することで薬室内に滑り込み、その後スライド前進時にマガジン内の次弾を薬室に送り込んでダブルフィードになります。

これはマグナムピストルや弱ったマガジンスプリングによって起こることが多いため、グリップ方法の確認やマガジンスプリングの交換で解決可能です。

原因4

発射時に薬室内のケースが前後に破断して後部だけ排莢され、ケース先端を薬室内に残した状態で次弾が装填されてダブルフィードになります。

ガス作動のライフルでは、薬室内の圧力が下がらない状態でケースを引き抜こうとしてケースの破断(ケース・セパレーション)が起こることがあります。

原因は発射サイクルのタイミングの不具合で、ショートバレル化による設定ミス、ガスチューブのサイズが不適当、サプレッサーとの相性問題、弾薬との相性問題・・・などが影響しています。

ですが汚れによる薬室内の張り付きも考えられるため、銃や弾薬など総合的に確認して判断する必要があります。

ジャムの解決方法

ジャムが起こったとき、その解決(ジャムクリア/クリアリングジャム)にはいくつかのテクニックや方法があります。

ですが、解決の可能性が高い方法はシンプルです。

その方法とは、「マガジンを抜いてスライド(ボルト)を引く」・・・これだけです。

ジャムの原因によっては、もっと速く簡単に解決できる場合もあれば、一方で「マガジンが抜けない」、「スライド(ボルト)が引けない」などの深刻なジャムもあり得ますが、マガジンを抜いてスライドを引くことができれば解決できる可能性が高いでしょう。

装填不良による閉鎖不良

HK VP9 ピストル ジャム

発射後にスライドが後退し、スプリングの力で再び前進する際にマガジン内の弾薬を押して薬室に自動装填されますが、薬室装填中に停止することがあります。

この場合、スライド後部を前に向かって手で叩き、スライドが閉鎖されると発射準備完了になります。

しかし、弾薬の角度によっては叩いても解決せず、マガジンを抜いて詰まった弾薬を排出後に再びマガジンを挿入しスライドを引く必用がある場合もあります。

ダブルフィードのクリアリング

HK VP9 ピストル ジャム

スライドが後退し排莢に失敗すると、前進中のスライドが発射済みの薬莢と未発射の次弾を同時にブリーチ(銃身後部)に挟んでしまい停止します。

手でスライドを引きながら銃のエジェクションポート(排莢口)を下に向け、薬莢だけが落下すればスライドを掴んだ手を離しスライドを前進させると次弾が装填され発射準備完了となります。

しかし、次弾がうまく薬室に装填されなかったり、マガジン内の弾薬を送り込んでダブルフィードになる可能性もあり、マガジンを挿入したまま操作すると却って手間と時間が掛かる場合もあります。

確実性という意味では一度マガジンを抜いてからスライドを引いた方が良いですが、交戦中など時間が無い場面ではそれが困難な場合も想定されます。

ノーズダイブが原因のジャム

HK VP9 ピストル ジャム

正常時、弾薬(カートリッジ)はマガジン内で整列していますが、弾薬の先端(弾頭側)が前のめりに沈みこみ、マガジン内で上昇が停止することがあります。これを「ノーズダイブ」と呼びます。

マガジン内で詰まって弾薬が上昇しなければ、いくらスライドを操作しても次弾は薬室に装填されません。

この場合、マガジンの底を手の平で強く叩き上げると解消することが多いと言えます。

タクティカルシューティングに興味のある方は「タップ、ラック、バン(Tap, rack, bang/TRB)」という用語を聞いたことがあるかもしれません。

「タップ」はマガジンを叩くことを意味し、銃に挿入したマガジンを下方から叩いてマガジンが確実に銃に装填されロックされた状態にすると同時に、マガジン内の弾薬を整列させ確実に上昇できる状態にします。(マガジンを銃に挿入する際に勢いよく叩きこむのはマガジンリップの変形や破損の原因になるため、あくまで挿入後のマガジンを下から叩きます)

「ラック」はスライドを引くことを意味し、「バン」は銃声(発射)です。

ジャムが発生したら先ずは「タップ、ラック、バン」の一連の動作を行って対処すると良いでしょう。

それでも解決しなければマガジンを抜いてスライドを引き、再びマガジンを挿入しスライドを引いて発射準備完了です。

ライフルのクリアリング

AK-74 Photo via Wikipedia

ライフルも基本的な対処法はピストルと同じです。

マガジンを抜いてボルトハンドル(チャージングハンドル)を引き、再びマガジンを挿入しボルトハンドルを引いてマガジン内の弾薬を薬室に装填すると発射準備完了です。

しかしライフルはピストル比較すると高圧であったり、発射弾数が多いことから薬室内が激しく汚れ、薬室に張り付いて薬莢が排出できないジャムが起こりやすいと言えます。

これに対処する方法は、例えばAK系ライフルの場合、マガジンを抜いてボルトハンドルに親指を掛けたまま(銃口の向きに注意しながら)ストック後端を地面に叩きつけるとボルトが後退し排莢することが可能です。

或いは、同じく銃口の向きに注意しながらストック後端を地面に接地した状態でボルトハンドルを足で勢いよく踏み下ろす方法もあります。

AR15などボルトハンドルが無い構造のライフルでも、銃を垂直に落としストックを地面に叩きつける方法は有効です。

とはいえ、これは軍用銃など頑丈なライフルが前提です。

銃を傷つけたくない場合は、銃身長より長い金属棒を銃口から入れてハンマーで叩いたり、ブロークン・シェル・エキストラクター(Broken shell extractor)といった薬室内の薬莢を取り出すための専用工具が販売されているため、そういった工具を使用することをおすすめします。

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