皆さんからいただいた銃に関する質問にお答えします。
今回いただいた質問はこちら。
マズルエナジーと反動の強さは比例しますか?
マズルエナジーと反動の関係について解説します。
マズルエナジーと銃の反動の関係
銃を撃つと反動が生じます。これは、弾頭が前進すると同時に、銃に後退する力が生じるためです。
いわゆるニュートン力学の「作用反作用の法則」です。
2つの物体が互いに作用し合うとき、その作用と反作用は大きさが等しく、方向が反対になります。
つまり、ある物体が別の物体を押すとき、押された物体も同時に同じ大きさの力で押し返します。
銃の内部で火薬が燃焼し、燃焼によって発生した高圧ガスが、弾頭と銃を互いに反対方向へ押す力が働いています。
そして、銃口の位置が「力点」となり、銃を支える手が「支点」となることで、発射時に自然と銃口が跳ね上がる動作(マズルジャンプ)をします。
強力な弾薬を使用するほど、大きな反動が生じる傾向があります。
しかし、マズルエナジーと反動の大きさに一定の相関関係があるものの、比例はしません。
銃の反動の大きさを決定する条件とは?
銃の反動の大きさは、主に次の要素が影響しています。
- 弾頭重量
- 弾頭の速度
- 銃の重量
- 銃の構造や設計
- 射撃姿勢
例として、7.62x39mm弾を使用するAK-47ライフルと、.357マグナムを使用するコルトパイソンを比較しましょう。
AK-47のマズルエナジーは約1488ft-lbfに対し、コルトパイソンのマズルエナジーは約630ft-lbfになります。
マズルエナジーの比較ではAK-47の方が圧倒的に大きいですが、反動の大きさはコルトパイソンの方が大きくなります。
なぜなら、AK-47の総重量は約3.5kgに対し、コルトパイソンは約1.2kgと軽量なため、射手が受ける反動の大きさに差が生じるからです。
特にライフルの場合は、両手、頬、肩の4点で銃を支えるため、片手や両手で支えるハンドガンよりも反動の処理が容易で、コントロールしやすいといえます。
マズルエナジーが同一のとき、銃の総重量が重いほど反動が軽くなる傾向があります。
一方、銃の総重量が同一のとき、マズルエナジーが大きいほど反動が強くなる傾向があります。
そして、銃の構造によっても射手が知覚する反動の大きさが変化します。
例を挙げると、力点となる銃口の高さと、支点となる手の高さの差が大きいとマズルジャンプが大きくなり、反動を強く感じます。
また、発射後にスライドやボルトが後退する際、これら可動部の質量が大きい場合も、射手が大きな反動を知覚しやすくなります。
その他、マズルブレーキやサプレッサーなどのマズルデバイスの有無や、射撃姿勢の違いや射手の体重差等々、様々な条件によって知覚する反動の大きさに違いが現れます。
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