マグナム弾を徹底解説|.357マグナムと.44マグナムの違い・意味・語源

357マグナムリボルバーの画像

この記事の要約:

  • 「マグナム弾」は明確な定義がなく、メーカーごとに基準が異なる。
  • .357マグナムは反動が少なく汎用性が高く、護身や法執行に適する。
  • .44マグナムは威力が大きく、狩猟や大型獣への対処に向いている。

「マグナム弾=強力な弾薬」というイメージを持っている方も多いでしょう。

しかし、実はマグナム弾には明確な基準がなく、弾薬メーカーによって定義が異なります。

この記事では、「マグナム弾とは何か?」という基本から、「.357マグナムと.44マグナムの違い」まで徹底解説します。

目次

マグナム弾とは?

銃の画像
画像出典:guns.com

マグナム弾とは、一般的に従来の同系の弾薬よりケース(薬莢)が大きく、装薬量が多い弾薬です。

例を挙げると、.44マグナム(.44レミントンマグナム)は、.44スペシャルの装薬量を増量した結果誕生したものです。

しかし、「マグナム」の名称は弾薬メーカーによって定義が異なるため、必ずしも「マグナム=装薬量が多い=強力」とは限りません。

弾の画像
7.62x51mm、.300ウィンチェスターマグナム、.338ノルママグナム、.338ラプアマグナム 画像出典:308ar.com

.338ラプアマグナムを例にすると、この弾薬は.416リグビーのケースを.338口径にネックダウンした弾薬ですが、ケース容量は.416リグビーの方が大きくなっています。

.338ラプアマグナムと.416リグビーのマズルエナジーを比較した場合でも、実際に使用されている装薬量や弾頭重量によって異なり、.338ラプアマグナムの方が大きなマズルエナジーになる傾向がある一方、その逆の場合もあります。

「マグナム」とは、「装薬量が多い」という意味だけではなく、あくまでメーカーや市場におけるブランド名の一部として使用されることが多いため、明確な規定は存在しません。

そのため、あるメーカーが「マグナム」と名付けた弾薬が、他メーカーの同等の弾薬より強力であるとは限りません。

「マグナム」という名称は、一般的に「高い威力や性能を持つ弾薬」という印象を与えますが、その具体的な定義や規定には幅があるため、あまり深く考えずに「強力な弾薬」と理解しておくことが現実的かもしれません。

マグナムの語源

銃の画像
.375 H&H Magnum 画像出典:surplusammo.com

マグナムはラテン語で「大きい」「巨大」「強力」「重大」などを意味します。

語源を遡るとラテン語のmagnus(マグナス)、古代ギリシア語のmegas(メガ)、ペルシア語のmeh、ヒッタイト語のmēkkis・・・まで辿りますが、これらは「大きい」や「沢山」といった意味があります。

英語圏では1788年以降のラージサイズのワインボトル(容量2クォート)はマグナムと呼ばれており、これが元となって1912年に開発された強力なライフル弾である.375H&Hマグナムが登場するとマグナム弾が広く知られるようになりました。

そして1935年にS&W社が同社のM27リボルバーとその弾薬に「マグナム」と命名したことで、ハンドガンの世界でもマグナムの名称が一般化しています。

.357マグナムと.44マグナムの違い

拳銃弾比較画像
Image courtesy of Wikipedia

有名なマグナム弾に「.357マグナム」と「.44マグナム」が存在します。

これらの違いを比較します。

弾頭直径:

  • .357マグナム: 9.07mm(.357インチ)
  • .44マグナム: 10.9mm(.429インチ)

一般的な弾頭重量:

  • .357マグナム: 8.1グラム~11.7グラム(125から180グレイン)
  • .44マグナム: 11.7グラム~19.4グラム(180から300グレイン)

マズルエナジー:

  • .357マグナム: 542~1,084ジュール(400~800フットポンド)
  • .44マグナム: 1,084~2,034ジュール以上(800~1,500フットポンド以上)

反動:

  • .357マグナム: 約15.6ジュール(11.5フットポンド)
  • .44マグナム: 約25.1ジュール(18.5フットポンド)

一般的な用途:

  • .357マグナム: 護身用、法執行機関、標的射撃
  • .44マグナム: 中型から大型の獲物の狩猟、大型獣に対する護身用

結論

.357マグナムと.44マグナムイメージ画像
.357マグナム(左).44マグナム(右)
項目.357マグナム.44マグナム
弾頭直径9.07 mm
(.357インチ)
10.9 mm
(.429インチ)
一般的な弾頭重量8.1~11.7 g
(125~180 gr)
11.7~19.4 g
(180~300 gr)
マズルエナジー542~1,084 J
(400~800 ft-lbf)
1,084~2,034 J
(800~1,500 ft-lbf以上)
反動約15.6 J
(11.5 ft-lbf)
約25.1 J
(18.5 ft-lbf)

.44マグナムはより大きな口径と重い弾頭により、高い威力とストッピングパワー(対象を無力化する能力)が備わっています。

一方、.357マグナムは汎用性が高く、威力、精度、扱いやすい反動のバランスが優れます。

.357マグナムは.44マグナムよりも反動が小さいため、平均的な射手にとって正確な射撃を実現しやすい傾向があります。速射性は.357マグナムの方が優位といえます。

これらを総合すると、.44マグナムは圧倒的パワーによって狩猟に適していますが、.357マグナムは護身用や標的射撃を含む様々な用途に利用可能で、汎用性に優れているといえます。

  • .357マグナム → 反動が少なく、護身用・法執行機関向けに最適。
  • .44マグナム → 威力が高く、狩猟や大型獣への対処に適している。
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代表的なマグナム弾の開発年と特徴

弾薬の画像

マグナム弾と、その開発された年、概要を紹介します。

.454カスールは1957年開発となっていますが、市販されるようになったのは1997年からでした。

拳銃弾のマグナム弾

  • .357マグナム: 1934年開発、強力な貫通力で護身用や法執行機関に使用。
  • .41マグナム: 1964年開発、.357と.44の中間で、狩猟や護身用向け。
  • .44マグナム: 1955年開発、大型ゲーム狩猟やターゲットシューティングに適する。
  • .454カスール: 1957年開発、.45コルトを基に大型動物狩猟向けの強力弾。
  • .480ルガー: 2003年開発、.475ラインボウに近いパワーで狩猟に適する。
  • .500 S&W: 2003年開発、最強クラスの弾薬で大型獣狩猟用。

ライフル弾のマグナム弾

  • .300ウィンチェスター・マグナム: 1963年開発、狩猟や長距離射撃に適するフラットな弾道。
  • .338ラプア・マグナム: 1989年開発、1000メートル以上の長距離狙撃向け。
  • 7mmレミントン・マグナム: 1962年開発、北米での狩猟で人気。フラットな弾道。
  • .375 H&Hマグナム: 1912年開発、大型獣狩猟向けで長距離射撃も可能。
  • .458ウィンチェスター・マグナム: 1956年開発、象や水牛など大型動物用。
  • .338ウィンチェスター・マグナム: 1958年開発、大型のシカやクマ猟向け。安定弾道。
  • .300ウェザビー・マグナム: 1944年開発、高速弾速とフラット弾道で長距離向け。

マグナム弾とその基となった弾薬

S&W M500の画像
画像出典:Wikipedia

マグナム弾は従来の同口径の通常弾を延長し、装薬量を増量したものが多く見られます。

例えば、.44スペシャル弾の装薬量を増量し、.44マグナム弾が登場しました。

しかし、.500S&W弾のように、強力な.500S&W弾が登場した後、装薬量を減らした.500スペシャル弾が登場した例もあります。

また、.454 カスールや.480 ルガーは名称に「マグナム」が含まれませんが、一般的にマグナム弾として扱われています。

拳銃弾のマグナム弾とその基となった弾薬

  • .357 マグナム (基となった弾薬: .38 スペシャル)
  • .41 マグナム (基となった弾薬なし)
  • .44 マグナム (基となった弾薬: .44 スペシャル)
  • .454 カスール (基となった弾薬: .45 コルト)
  • .480 ルガー (基となった弾薬: .475 ラインボー)
  • .500 S&W (基となった弾薬なし)

ライフル弾のマグナム弾とその基となった弾薬

  • .300 ウィンチェスター マグナム (基となった弾薬: .30-06 スプリングフィールド)
  • .338 ラプア マグナム (基となった弾薬: .416 リグビー)
  • 7mm レミントン マグナム (基となった弾薬: .30-06 スプリングフィールド)
  • .375 H&H マグナム (基となった弾薬: .300 H&H マグナム)
  • .458 ウィンチェスター マグナム (基となった弾薬: .375 H&H マグナム)
  • .338 ウィンチェスター マグナム (基となった弾薬: .458 ウィンチェスター マグナム)
  • .300 ウェザビー マグナム (基となった弾薬: .300 H&H マグナム)

マグナム弾とその基となった弾薬のデータ

マグナムリサーチBFR画像
BFR 454カスール 画像出典:Magnum Research

マグナム弾とその基となった弾薬のデータの一覧です。

(※)はマグナム弾です。

以下のデータは目安であり、実際の数値は弾薬のブランド、弾頭重量、装薬の種類、銃身長などによって異なります。

弾薬名弾丸重量
(グレイン)
銃口初速
(フィート毎秒)
マズルエナジー
(フットポンド)
.357 マグナム ※1581,235535
.38 スペシャル158755200
.41 マグナム ※2101,300785
.41 スペシャル200900360
.44 マグナム ※2401,350971
.44 スペシャル200870336
.454 カスール ※2501,8001,799
.45 コルト250860410
.480 ルガー ※3251,3501,315
.475 ラインボー ※4001,3001,500
.500 S&W ※3501,8002,519
.500 スペシャル3501,100940
.300 ウィンチェスター マグナム ※1802,9603,501
.30-06 スプリングフィールド1802,7002,913
.338 ラプア マグナム ※2503,0004,999
.416 リグビー4002,4005,115
7mm レミントン マグナム ※1753,0003,494
.375 H&H マグナム ※3002,5304,263
.300 H&H マグナム ※1802,8803,317
.458 ウィンチェスター マグナム ※5002,0404,614
.338 ウィンチェスター マグナム ※2502,6603,918
.300 ウェザビー マグナム ※1803,1203,889

マグナム弾を使用する有名な銃

コルトパイソン .357マグナム

コルトパイソン 画像出典:rockislandauction

1935年に市場に登場した .357マグナムは、最も成功したマグナム弾のひとつとして知られています。.38スペシャルと同じ口径でありながら、ケース容量を拡大することで装薬量を増やし、高速な弾速と強いパワーを実現しました。

.357マグナムは法執行機関のリボルバーに広く採用されたほか、デザートイーグルなど一部のオートピストルにも使用されています。

この .357マグナムを使用する代表的なリボルバーとして挙げられるのが、コルト社が開発した「パイソン」です。パイソンは装弾数6発のリボルバーで、高い命中精度と、ガンスミスによって丁寧にポリッシュされた美しい外観が特徴です。その品質の高さから「高級リボルバーの代表格」として多くのファンに支持されてきました。

1980年には、命中精度の高さを活かし、8インチ銃身のパイソンにスコープを搭載した「パイソンハンター」が発売され、狩猟や射撃競技でも活用されました。

日本では、アニメ・マンガ『シティーハンター』に登場したこともあり、一般層にも高い知名度を持つモデルとなっています。

S&W M29 .44マグナム

S&W 29 画像出典:S&W

.44マグナムは1954年に登場したマグナム弾で、その強力な性能から現在まで高い人気を維持しています。

この .44マグナムを使用するリボルバーとして特に有名なのが、S&W M29です。映画『ダーティハリー』シリーズでクリント・イーストウッドが使用したことで世界的に知名度が高まり、象徴的なモデルとなりました。

M29は圧倒的なパワーと高い命中精度を兼ね備えており、狩猟やターゲットシューティングなど幅広い用途で支持されています。.44マグナムは反動が大きく、誰にでも扱いやすいとはいえませんが、M29は約1.2kgという重量とバランスの良いデザインによって反動が軽減され、比較的撃ちやすいリボルバーと評価されています。

ウィンチェスター M70 .300ウィンチェスターマグナム

ウィンチェスターM70 画像出典:outdoorlife.com

.300ウィンチェスターマグナムは1963年に登場し、狩猟やターゲットシューティングで広く利用され、高い人気を獲得しました。.300ウィンチェスターマグナムは同口径の他のライフル弾と比較して高速かつ高いパワーを持ち、長距離射撃に適していることから米軍にも採用されています。

ボルトアクションライフルであるウィンチェスターM70は1936年に登場し、複数の口径に対応する汎用性を備えていますが、.300ウィンチェスターマグナムを使用するモデルとしても高い評価を得ています。

M70は命中精度の高さに加え、操作性が良くジャムが少ないなど信頼性にも優れており、狩猟から射撃競技まで幅広い用途で人気のあるライフルとなっています。

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アキュラシーインターナショナルAWM .338ラプアマグナム

アキュラシーインターナショナルAWM 画像出典:Wikipedia

.338ラプアマグナムは、米海兵隊によるライフル開発の過程で誕生したライフル弾です。長距離射撃といえば .338ラプアマグナムが代表的な存在として挙げられるほど、弾道がフラットで高速であり、遠距離での精密射撃に適した性能を備えています。

.338ラプアマグナムを使用するライフルは多数存在しますが、その中でも特に知られているのがアキュラシーインターナショナル社の AWM です。同社の最新モデルである AXMC(マルチキャリバーライフル)でも .338ラプアマグナムが使用可能ですが、AWM は1996年の採用以降、イラク戦争から近年のウクライナ紛争に至るまで実戦で使用されており、「バトルプルーフされたライフル」と評価されています。

AWM は悪環境下でも変化しにくい強固なストックを備えているため、安定した射撃が可能です。さらに、高精度なレシーバーとフリーフローティングバレルを採用することで、精密射撃に特化した設計となっています。

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