銃弾は一体、どんなものを貫通できるのでしょうか。
拳銃弾とライフル弾では威力が大きく異なり、同じ壁や防具でも貫通できるかどうかは弾種によって変わります。
本記事では、代表的な実弾の貫通力を弾種別に整理し、弾の威力に影響を与える要因まで詳しく解説します。
※専門用語は記事の最後で解説しています。
貫通力に影響する要因
貫通力を理解するためには、弾薬そのものだけでなく、複数の物理的要因を考慮する必要があります。
弾頭の形状と構造
弾頭の設計は、標的に当たったときの振る舞いに大きく影響します。
フルメタルジャケット(FMJ)
軍用や射撃競技で広く使用されるフルメタルジャケット(FMJ)弾は、鉛などのコア(弾芯)全体が、銅などの金属のジャケット(被甲)で覆われています。この構造により、着弾しても変形しにくいため、標的内部を直進しやすく、高い貫通力が備わっています。
ホローポイント
狩猟や法執行機関で使用されるホローポイント(HP)やソフトポイント(SP)弾は、弾頭先端に穴が開いているか(HP)、またはジャケットが露出しているか(SP)という特徴があります。これらは、着弾時に弾頭が大きく変形・拡張(エクスパンション)するように設計されています。
標的内で運動エネルギーを効率良く放出してダメージを与える一方で、大きく変形するため貫通力は低くなります。
徹甲弾断面図 画像出典:Grasyl, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
装甲や硬い標的を貫通するために設計された徹甲弾(アーマーピアシング / AP弾)は、内部にタングステンや焼入れ鋼などの極めて硬質なコアが備わっています。この特殊な構造により、極めて高い貫通性能が備わっています。
弾速と運動エネルギー
貫通力には、弾薬が持つ運動エネルギーが重要な要素となります。
運動エネルギーは、弾頭の質量と速度の二乗に比例します。一般的に、弾速が速いほど、より多くの運動エネルギーが備わっており、貫通力も高まる傾向にあります。
しかし、貫通力は単純にエネルギーだけで決まるわけではありません。高速で飛翔するライフル弾などの場合、標的に着弾した際に、弾頭が激しく破砕・飛散(フラグメンテーション)したり、標的内部で横転(タンブリング)したりすることがあります。これらが発生すると、弾頭が効率よくエネルギーを伝えることができなくなり、かえって貫通力が低下する場合があります。
このような現象から、弾速が遅くなり安定した状態で着弾する遠距離の方が、至近距離よりも貫通力が高いというケースが理論上あり得ます。
※弾頭の横転によって殺傷力を高める設計も存在しており、実際の効果は各弾薬の設計によって異なります。
標的の材質と密度
貫通が成功するかどうかは、「弾頭の性能」だけでなく、「標的の抵抗力」によっても決まります。
- 軟らかく弾力がある標的:
- 木材や分厚いゴムなど、弾力性のある軟らかい材料は、着弾時に大きく変形することで弾頭の勢いを奪います。
- 弾頭も変形や減速を起こしやすく、貫通にはより多くのエネルギーが必要になります。
- この種の材料はエネルギーを吸収しやすいと言えます。
- 硬くて脆い標的:
- ガラスやコンクリート、セラミックなど、硬くてもろい材料は、衝撃で砕けたりヒビが入ったりします。(例:複合装甲板や防弾プレートなど)
- 材料が粉々になる際、その破砕にエネルギーが使われるため、弾の勢いが失われ、貫通が阻止される場合があります。
- この種の材料はエネルギーを散乱させやすいと言えます。
単純に「硬い=貫通しにくい」や「速い弾=貫通する」とは限らない点が、貫通力を理解するうえで重要です。
アーマー(防弾装備)の基礎知識
弾が防弾装備をどの程度貫通できるか?
これをを理解するために防弾規格について解説します。
防弾の仕組み
人が着用するアーマーには「ソフトアーマー」と「ハードアーマー」があります。
両者は構造と防護対象が異なります。
ソフトアーマーとは?
レベルIIIAボディアーマー 画像出典:PMullahaa, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
ソフトアーマーは、拳銃弾からの防護を目的とした、柔軟性と軽量性が特徴の防護材です。
- 構造: アラミド繊維などの高強度繊維を重ねた布状のシートが備わっています。
- 原理: 繊維の網で弾頭を「捕獲」し、摩擦抵抗を利用して運動エネルギーを広範囲に拡散・吸収することで貫通を防ぎます。
- 特徴: 身体の動きを妨げにくく、衣服の下に着用可能です。
ハードアーマーとは?
7.62x54Rが被弾したセラミックプレート 画像出典:User:VitalyKuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ハードアーマーは、主にライフル弾などの高速・高エネルギー弾からの防護を目的とした硬質プレートです。
- 構造: 表面にセラミックや金属などの硬質層、裏側に繊維製のバッキング材を組み合わせた複合構造が備わっています。
- 原理: 表面の硬質層で高速弾の弾頭を破砕し、運動エネルギーを散乱させます。その残骸を裏側のバッキング材が吸収することで貫通を阻止する、二段構えのシステムです。
- 特徴: 重量があり、主に専用のプレートキャリアなどに挿入して使用します。
防弾規格の種類
防弾装備の規格は国ごとに定められ、どの弾薬に耐えられるかを示しています。
規格ごとに特徴や試験条件が異なり、特定の地域でのみ想定される弾薬も含まれることがあります。
以下のような規格が存在します。
- VPAM(国際規格)
- レベル1〜14で、1〜5がソフトアーマー、6〜14がハードアーマー。
- 3発命中後の裏面変形(BFD)が25 mm以内であることが条件です。
- 拳銃弾から大口径ライフル弾や徹甲弾までカバーします。
- TR(ドイツ)
- SK L〜SK 4の5段階で、耐刃保護仕様もあり、VPAMに基づく試験が主。
- NIJ(アメリカの規格)より多くの特殊弾や至近距離射撃シナリオを評価します。
- HOSDB(イギリス)
- HG1/A〜RF2、SG3までのクラスがあり、拳銃弾からライフル弾、ライフルスラッグ弾まで対応。
- 裏面変形はHG1/Aで44 mm、それ以外は25 mm以内です。
- GOST(ロシア)
- 旧規格はレベル1〜6A、新規格はBR1〜BR6。
- 拳銃弾からライフル弾、徹甲焼夷弾まで対応。
- 裏面変形は16 mmで固定。
- NIJ(アメリカ)
- 2024年以前はレベルIIA〜IVで拳銃弾から徹甲弾まで対応。
- 2024年4月以降はHG(ハンドガン)、RF(ライフル)の分類に変更され、コンディショニングアーマー※の試験も導入されました。耐刃は最大7 mm。
- 米軍規格
- NIJ規格とは独立しており、ソフトアーマーやSAPI/ESAPI/XSAPIプレートで拳銃弾から徹甲弾まで対応。
- 裏面変形は44 mm以内です。
各規格は想定する弾薬や試験条件が異なるため、防護力を比較する際には対応弾薬や裏面変形制限を確認する必要があります。
コンディショニングとは、NIJ(全米司法研究所)の防弾試験で用いられる前処理のことです。防弾装備のサンプルを温度変化、湿度、曲げやねじりといった機械的ストレスにさらし、その後に弾道試験を行います。これにより実際の使用や経年劣化を再現し、装備が新品の状態だけでなく使用後も規格を満たすかを確認できます。
NIJ規格の防弾レベル分類
NIJ(全米司法研究所)の防弾レベルは、想定される弾種と速度に応じて防護性能を分類した規格です。
Level IIA(ソフトアーマー)
Level IIAは、低速度の拳銃弾を主に想定した防護レベルです。日常的な軽度の拳銃弾に対応します。
- 対応弾薬の代表例
- 9mm FMJ RN(124 gr)
- 初速:約373 m/s(約1,224 ft/s)
- マズルエナジー:約412 ft-lbf
- .40 S&W FMJ(想定例 180 gr)
- 初速:約352 m/s(約1,155 ft/s)
- マズルエナジー:約533 ft-lbf
- 想定用途
- 日常的な警備業務や一般職務、安価で軽量な個人防護を必要とする場面
- 制限事項
- 高威力拳銃弾やライフル弾には対応できません。
- 耐刃性や多発命中時の性能は製品ごとに差があります。
交通機動や機動性を優先する場面には向いていますが、屋外でライフル弾による脅威が想定される場合は上位レベルを選択する必要があります。
Level II(ソフトアーマー)
Level IIは、中〜高速の拳銃弾に対応するソフトアーマーの一段上の防護レベルです。警察や保安、私設警護など、やや高エネルギーの拳銃弾が想定される業務に適しています。
- 対応弾薬の代表例
- 9mm FMJ RN(124 gr)
- 初速:約398 m/s(約1,305.8 ft/s)
- マズルエナジー:約470 ft-lbf
- .357マグナム JSP(想定例 158 gr)
- 初速:約436 m/s(約1,430.4 ft/s)
- マズルエナジー:約718 ft-lbf
- 想定用途
- 警察・保安・私設警護など、やや高エネルギーの拳銃弾使用が想定される業務での着用を想定します。
- 制限事項/備考
- .44マグナム級や一部の極高威力拳銃弾、ライフル弾には対応できません。
- 多発被弾時の耐性や耐刃性は製品により差があります。
衝撃吸収により裏面での非致死的損傷(打撲など)が生じる場合があるため、着用時はフィット感を適切に調整します。
Level IIIA(ソフトアーマー)
Level IIIAは、ソフトアーマーとしては最高レベルで、ほとんどの非徹甲拳銃弾とサブマシンガンに用いられる高圧の拳銃弾に対応する防護レベルです。市街地でのハイリスク任務や近接戦闘に適しています。
- 対応弾薬の代表例
- .357 SIG FMJ(想定例 125 gr)
- 初速:約448 m/s(約1,469.8 ft/s)
- マズルエナジー:約600 ft-lbf
- .44 マグナム SJHP(想定例 240 gr)
- 初速:約436 m/s(約1,430.4 ft/s)
- マズルエナジー:約1,091 ft-lbf
- 想定用途
- 高リスクの市街地任務、個人護衛、SWAT的な近接対処任務などでの柔軟性重視の防護
- 制限事項/備考
- .50口径や一部の極超高エネルギー拳銃弾、徹甲弾には対応できません。
- 至近距離での散弾や高エネルギーライフル弾には適しません。
体の可動域を維持しつつ最大限の保護を得るには、ポケットにハードプレートを挿入する併用を検討すると良いです。ただしソフトアーマー本来の快適性や可動性は低下します。
Level III(ハードアーマー)
Level IIIは、ハードプレートを用いることで非徹甲のライフル弾を阻止することを目的とした防護基準です。野外や戦術行動でのライフル弾に対応する用途に適しています。
- 対応弾薬の代表例
- 7.62×51mm NATO FMJ(M80、147 gr)
- 速度:約847 m/s(約2,778.9 ft/s)
- マズルエナジー:約2,521 ft-lbf
- 想定用途
- クリアリング、野外任務、ライフル弾使用が現実的に想定される状況でのプレートキャリア運用を想定しています。
- 制限事項/備考
- Level IIIは非徹甲ライフル弾を前提としているため、徹甲弾(AP)や一部の高性能ライフル弾には対応できません。
- 重量が増すため長時間運用では疲労が蓄積します。
- プレート破損時は防護性能が低下するため、定期的な点検と交換が必要です。
胸部への一撃の阻止が主要目的ですが、スプレッドショットやマルチヒット(多発被弾)では裏面での破片侵入や二次ダメージが発生する可能性があります。側面や腹部の防護も検討し、運用時には可動性と防護力のバランスを考慮する必要があります。
Level III+(ハードアーマー、業界非公式)
Level III+は、NIJ(全米司法研究所)の正式な区分には含まれない、業界で使われる用語であり、Level IIIの基準を上回るがLevel IVには達しない強化型ハードプレートを指します。
メーカーが独自試験や民間ラボ試験で「5.56×45mm NATO M855(グリーンチップ)」など、通常のLevel IIIでは信頼性が低い高初速・貫通力のある弾種に対処できる性能を検証したプレートに対して用いる表現です。
- 対応弾薬の代表例(例示)
- 7.62×51mm NATO FMJ(M80、147 gr)
- 速度:約847 m/s(約2,778.9 ft/s)
- マズルエナジー:約2,521 ft-lbf
- 5.56×45mm NATO M855(グリーンチップ、62 gr)
- 速度:約921 m/s(約3,020 ft/s)
- マズルエナジー:約1,256 ft-lbf
- 5.56×45mm NATO M193(FMJ、55 gr)※一部のIII+仕様で想定される高初速弾
- 速度:約991 m/s(約3,250 ft/s)
- マズルエナジー:約1,290 ft-lbf
- 想定用途
- 標準的なライフル弾に加え、M855のような高初速で貫通傾向のある中間弾を想定した任務や警護、治安任務に適しています。
- 制限事項/備考
- Level III+はNIJの公式区分ではなく、認証制度の対象でもありません。したがって「III+」と表記された製品はメーカーや第三者機関の試験結果に基づいた性能表示であり、メーカーごとに試験条件や想定弾種が異なります。購入時にはメーカーの試験報告書を確認してください。
- 徹甲弾や.50 BMG、.338 ラプアマグナムなどの大口径徹甲弾に対しては引き続き脆弱です。製品によってはM855を想定していても、他の徹甲仕様弾には耐えられません。
- 強化性能を得るために重量や厚み、価格が増す場合があります。運用時は可動性とのバランスを考慮する必要があります。また、プレートの経年劣化や使用時の損傷により性能が低下するため、定期的な点検とメーカー推奨の使用期間内での交換が必要です。
Level III+は「より高い実戦的脅威」に備えるための業界的な目安であり、有効性は製品ごとの試験内容に依存します。NIJ公式のLevel III/IVと比較すると位置づけが明確でない点があるため、導入の際は試験条件、ヒット数、環境試験の有無などを確認し、想定する脅威に対して十分な検証がなされているかを確認することが重要です。
Level IV(ハードアーマー)
Level IVは、最も高い防護レベルで、アーマーピアシング(徹甲)ライフル弾を単発で阻止することを基準とした装甲です。特殊部隊や重武装状況での防護を想定しています。
- 対応弾薬の代表例
- .30-06 M2 AP(166 gr、徹甲弾)
- 速度:約878 m/s(約2,880.6 ft/s)
- マズルエナジー:約3,059 ft-lbf
- 想定用途
- 耐徹甲が必要な特殊部隊任務、戦術的突入、重武装が予想される戦場環境での使用を想定します。
- 制限事項/備考
- Level IVは徹甲弾1発の阻止を基準としているため、複数発の連続被弾やより高性能な徹甲弾に対しては限界があります。
- 非常に重量が増すため、可動性や持久力に大きく影響します。
- 定期的な点検と、損傷が疑われる場合の即時交換が必要です。
プレートの損傷やクラックは防護性能を著しく低下させるため、落下や衝撃を避け、使用前後の点検を徹底する必要があります。
NIJ規格比較
弾薬名 | Level IIA | Level II | Level IIIA | Level III | Level IV |
---|
9mm FMJ | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
.40 S&W FMJ | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
.357マグナム JSP | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
.357 SIG FMJ | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
.44マグナム SJHP | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
5.56mm(非徹甲) | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 |
.50 AE | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 |
.500 S&W | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 |
7.62×51mm NATO FMJ | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 |
.30-06 M2 AP(徹甲弾) | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 |
.50 BMG | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 貫通 |
- 補足事項
- ソフトアーマー(IIA、II、IIIA)は主に可動性と着心地を重視しており、日常業務やそれに準ずる任務で有効です。一方、ハードアーマー(III、IV)は高エネルギー弾薬に対処しますが重量と運動性のトレードオフがあります。
- 防弾プレートの寿命は5〜7年程度であり、劣化すれば性能が低下します。
- マズルエナジーの数値は試験条件や弾薬の実測値により変動します。ここで示したエネルギーは代表的な試験値を基に計算した概算(単位:ft-lbf)です。
- 最新規格や各国の互換性については規格更新が行われるため、購買や運用前にメーカー認証書とNIJ最新版の確認を行う必要があります。
- 特殊用途(爆発物片、防刃耐性、複数発被弾)など、NIJレベルだけではカバーできない運用要件があります。必要に応じて追加の試験結果や製品仕様を確認します。
NIJの新規格(2024年4月以降)
NIJは2024年4月に規格を改定し、試験手順を定める「NIJ Standard‑0101.07」と防護レベルを定める「NIJ Standard‑0123.00」を採用し、旧規格(0101.06)を更新しました。
HGはハンドガン、RFはライフルを対象とする分類です。
- HG1(旧Level II相当)は拳銃弾阻止を想定しています。
- 代表例:
- 9mm ルガー FMJ
- 弾頭重量:124 グレイン(約8.0 g)
- 初速:約1,305 ft/s(約398 m/s)
- マズルエナジー:約469 ft-lbf
- .357 マグナム JSP
- 弾頭重量:158 グレイン(約10.2 g)
- 初速:約1,430 ft/s(約436 m/s)
- マズルエナジー:約718 ft-lbf
- HG2(旧Level IIIA相当)は高エネルギー拳銃弾阻止を想定しています。
- 代表例:
- 高速度9mm(HG2試験条件例)
- 弾頭重量:124 グレイン(約8.0 g)相当
- 初速:約1,470 ft/s(約448 m/s)
- マズルエナジー:約595 ft-lbf(目安)
- .44 マグナム JHP
- 弾頭重量:240 グレイン(約15.6 g)
- 初速:約1,430 ft/s(約436 m/s)
- マズルエナジー:約1,090 ft-lbf
- RF1(旧Level III相当)はライフル弾阻止を想定しています。
- 代表例:
- 7.62×51mm NATO M80 FMJ
- 弾頭重量:147±3 グレイン(約9.5 g)
- 初速:約2,780 ft/s(約847 m/s)
- マズルエナジー:約2,523 ft-lbf
- 7.62×39mm MSC(代表値)
- 弾頭重量:約123 グレイン(約8.0 g)代表値
- 初速:約2,400 ft/s(約732 m/s)
- マズルエナジー:約1,574 ft-lbf(代表値)
- 5.56×45mm NATO M193
- 弾頭重量:56±2 グレイン(約3.6 g)
- 初速:約3,250 ft/s(約990 m/s)
- マズルエナジー:約1,314 ft-lbf
- RF2(RF1にM855を追加)はRF1基準に加え5.56mm M855を含みます。
- 代表例(追加):
- 5.56×45mm NATO M855
- 弾頭重量:61.8±1.5 グレイン(約4.0 g)
- 初速:約3,115 ft/s(約950 m/s)
- マズルエナジー:約1,332 ft-lbf
- RF3(旧Level IV相当)は徹甲弾阻止を想定しています。
- 代表例:
- .30‑06 M2 AP
- 弾頭重量:165.7±7 グレイン(約10.7 g)
- 初速:約2,880 ft/s(約878 m/s)
- マズルエナジー:約3,053 ft-lbf
弾薬名 (弾頭重量・弾種) | HG1 | HG2 | RF1 | RF2 | RF3 |
---|
9mm(124gr FMJ) | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
.357 マグナム(158gr JSP) | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
.44 マグナム(240gr JHP) | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
5.56×45mm NATO M193(56gr) | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
7.62×39mm スチールコア | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
7.62×51mm NATO M80(147gr FMJ) | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 | 阻止 |
5.56×45mm NATO M855(61.8gr) | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 | 阻止 |
.30-06 M2 AP(165.7gr AP) | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 貫通 | 阻止 |
NIJ規格は主に法執行機関向けの基準であり、米軍装備は必ずしもNIJ試験を受ける必要はありません。
ソフトアーマー(繊維系アーマー)は貫通抵抗だけでなく、着用者へ伝わる衝撃エネルギーも評価されます。
拳銃弾の貫通能力
拳銃弾(ハンドガン用弾薬)は.22口径から.50口径まで多様ですが、その威力は大きく異なります。.22ショートのような小型弾では25ミリ厚の木製合板を貫通する程度で、ガラスを介した場合には致命的なダメージを与えることは難しいといえます。
一方で9×19mm弾は合板を複数枚貫通でき、住宅の薄い壁(コンクリートを除く)、木製やプラスチックのドア、車のドア、窓ガラス、さらには人体を容易に貫通します。
リボルバーで使われる.44マグナムも、自動車のドアは貫通しますが、エンジンブロックに致命的な損傷を与えるほどの貫通力はありません。さらに強力な.500S&Wマグナムであっても、エンジンの両面を完全に貫通させるのは不可能です。
※以下、貫通の可否はフルメタル・ジャケット弾(FMJ)を基準としています。
9x19mmパラベラム(9mmルガー)
世界で最も広く採用されているセミオートピストル用の弾薬です。軽量で反動が少なく、扱いやすい特性が備わっています。
- 9mm弾で貫通可能な標的の例
- 自動車のボディ、ドア、ガラス、タイヤ
- 農業用トラクターのタイヤ
- 軍用車(HMMWV)のタイヤ
- 厚さ0.6mmの鉄板13枚
- 厚さ38mmの木板3枚
- 厚さ25mmの合板8枚
- コピー用紙約500枚
- 住宅の壁7枚(石膏ボード14枚)
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- 住宅用中空コンクリートブロック
- 家具類(冷蔵庫、テーブル、デスク、本棚、ロッカー、ベッド、ソファー)
- 電子機器(TV、PC、携帯電話)
- キッチン用品(鍋、フライパン)
- 鋳鉄フライパン(1枚)
- 2L炭酸ジュースボトル6本
- 陶器の植木鉢(4個)
- バスケットボール(12個)
- ココナッツ(3個)
- 板チョコレート(16枚)
- 旅客機のドア
- ドラム缶(空)
- 満水のドラム缶(1本)
- バイク用ヘルメット
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- バリスティックゼラチン(71cm)
- 9mm弾で貫通できない標的の例
- 自動車のエンジン
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス、ボディ、ドア、ガラス
- ボディーアーマーや軍用ヘルメット(NIJレベルIIA以上)
- 1980年代の米軍ケブラーヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍防弾ヘルメット
- 海上輸送用コンテナの側壁(コルゲート鋼板)
- 旅客機のフロントガラス
- 旅客機のコックピットドア
- 厚さ1インチ(25.4mm)のA7075アルミ板
- 酸素ガスボンベ
- 土嚢
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- ATM(現金自動預け払い機)
- 南京錠
- 満水のドラム缶(2本以上)
.45ACP
HK45C Ckindel, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
9x19mmパラベラム弾と並んで人気の高い拳銃弾です。弾速は遅いものの、弾頭が大きいため、エネルギーの放出効率に優れています。
- .45ACP弾で貫通可能な標的の例
- 自動車のボディ、ドア、ガラス、タイヤ
- 農業用トラクターのタイヤ
- 軍用車(HMMWV)のタイヤ
- 厚さ0.6mmの鉄板13枚
- 厚さ38mmの木板3枚
- 厚さ25mmの合板8枚
- 住宅の壁7枚(石膏ボード14枚)
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- 住宅用中空コンクリートブロック
- 家具類(冷蔵庫、テーブル、デスク、本棚、ロッカー、ベッド、ソファー)
- 電子機器(TV、PC、携帯電話)
- キッチン用品(鍋、フライパン)
- 2L炭酸ジュースボトル6本
- 陶器の植木鉢4個
- 旅客機のドア
- ドラム缶(空)
- バイク用ヘルメット
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- バリスティックジェル(FMJで71cm)
- バリスティックジェル(JHPで12〜15インチ/約31〜38cm)
- .45ACP弾で貫通できない標的の例
- 自動車のエンジン
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス、ボディ、ドア、ガラス
- ボディーアーマーや軍用ヘルメット(NIJレベルIIA以上)
- 1980年代の米軍ケブラーヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- 海上輸送用コンテナの側壁(コルゲート鋼板)
- 旅客機のフロントガラス
- 旅客機のコックピットドア
- 厚さ1インチ(25.4mm)のA7075アルミ板
- 酸素ガスボンベ
- 土嚢
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- ATM(現金自動預け払い機)
- 南京錠
7.62x25mmトカレフ
7.62x25mm CZ52 画像出典:Anonymous, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
- 7.62x25mmトカレフ弾で貫通可能な標的の例
- ソフトアーマー(NIJ II/IIA相当)
- バリスティックジェル:約11.5〜12インチ(約292〜305mm)
- 2.5mm鋼板(軟鋼)
- 粘土ブロック(厚さ25cm)
- 自動車ドア(単層鋼板)
- 石膏ボード(2枚以上貫通)
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- ドラム缶(空)
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- 7.62x25mmトカレフ弾で貫通できない標的の例
- NIJ IIIAソフトアーマー:多くの場合阻止されるが例外あり
- NIJ III以上のハードプレート
- 現代の自動車ドア(多層構造)
- 厚い広葉樹材(厚さ5cm以上)
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
.44マグナム
S&W M629 .44マグナム 画像出典:Mesinge2, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- .44マグナム弾で貫通可能な標的の例
- 4.5インチ(約114mm)厚の合板
- ソフトアーマー(NIJ Level IIAなど)
- バリスティックジェル(12インチ/約305mm)
- 自動車のドア(厚さ1.5~3mm)
- コピー用紙153枚
- 鋳鉄フライパン(3枚)
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- ドラム缶(空)
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- .44マグナム弾で貫通できない標的の例
- ソフトアーマー(NIJ Level IIIA以上)
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- ATM(現金自動預け払い機)
- 1980年代の米軍ケブラーヘルメット
.50AE
デザートイーグル.50AE 画像出典:DeepThunder, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- .50AE弾で貫通可能な標的の例
- 自動車のドア
- ソフトアーマー(NIJ Level IIA相当)
- コピー用紙834枚
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- 鋳鉄フライパン(3枚)
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- 満水のドラム缶(1本)
- .50AE弾で貫通できない標的の例
- ソフトアーマー(NIJ Level IIIA相当)
- 鋼板3〜6mm以上
- ATM(現金自動預け払い機)
- 満水のドラム缶(2本以上)
ライフル弾の貫通能力
ライフル弾は拳銃弾に比べてはるかに高い弾速を持ち、ソフトボディアーマーを貫通することが一般的です。防御にはハードアーマーの追加が不可欠となります。
7.62x51mm弾を使用するFALやG3、M14などのライフルはコンクリートブロックを破壊・貫通する力を持ちますが、自動車のエンジンを完全に貫通させることは不可能です。エンジンブロックに致命的な損傷を与えるには、12.7x99mm(.50BMG)などの大口径徹甲弾が必要ですが、両面を貫通させることはできません。
また、5.56×45mmのような軽量高速弾は、近距離で着弾すると弾頭が分裂(フラグメンテーション)や横転(タンブリング)を起こしやすく、貫通力が低下する場合があります。これは殺傷力を重視した設計であり、必ずしも貫通力と比例するわけではありません。
5.56x45mm NATO
M4カービン 画像出典:US Air Force from USAStaff Sgt. Michael Hughes/180th Fighter Wing Ohio National, Public domain, via Wikimedia Commons
現代の軍用アサルトライフルに広く採用されている弾薬です。高速・小口径であり、近距離では着弾時の破砕効果により高い殺傷能力が備わっています。
5.56mm NATO弾 画像出典:Clément Dominik, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- 5.56mm NATO弾で貫通可能な標的の例
- 自動車のボディ、ドア(2枚)、ガラス、タイヤ
- 軍用車(HMMWV)のタイヤ
- 厚さ38mmの木板4枚
- コピー用紙2,166枚
- 350m離れた厚さ9.5mmの硬鋼(M855A1)
- 住宅の壁7枚(石膏ボード15枚)
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- 住宅用中空コンクリートブロック(M855A1)
- 家具類(冷蔵庫、テーブル、デスク、本棚、ロッカー、ベッド、ソファー)
- 電子機器(TV、PC、携帯電話)
- キッチン用品(鍋、フライパン)
- 鋳鉄フライパン(3枚)
- ココナッツ(3個)
- 海上輸送用コンテナの側壁(コルゲート鋼板)
- 旅客機のフロントガラス
- 旅客機のコックピットドア
- 旅客機のドア
- ドラム缶(空)
- 酸素ガスボンベ(片面のみ貫通)
- バイク用ヘルメット
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- バリスティックゼラチン(33cm)
- NIJレベルIIIA以下のボディーアーマーや軍用ヘルメット
- 1980年代の米軍ケブラーヘルメット
- 南京錠
- 5.56mm NATO弾で貫通できない標的の例
- 自動車のエンジン
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス、ボディ、ドア、ガラス
- 住宅用中空コンクリートブロック(グリーンチップ)
- NIJレベルIII以上のボディーアーマーや軍用ヘルメット
- バリスティックプレート(NIJレベルIII)
- 人体(弾頭の種類による)
- 厚さ1インチ(25.4mm)のA7075アルミ板
- 土嚢
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- ATM(現金自動預け払い機)
- 満水のドラム缶
7.62x39mm
AK47 / AKM 画像出典:English: Lance Cpl. M. C. Nerl, Public domain, via Wikimedia Commons
AK-47などに採用されている弾薬です。5.56x45mm弾と比較して弾頭が重く、弾速は遅いものの、安定した貫通性能が備わっています。
特に、スチールコアが含まれる弾頭は高い貫通力を持ちます。
名称 | 国 | 芯材 | 先端色 |
---|
M43(57‑N‑231) | ソ連/ロシア | 軟鋼 | なし |
Type 56 | 中国 | 軟鋼 | なし |
7N23(AP) | ロシア | 硬化鋼 | 黒 |
- 7.62x39mm弾で貫通可能な標的の例
- 距離300mで約6mm(0.24インチ)厚の鋼板
- バリスティックジェル:約9〜10インチ(約230〜254mm)
- 自動車のボディ、木材
- NIJレベルIIIA以下のソフトアーマー
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- ドラム缶(空)
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- 7.62x39mm弾で貫通できない標的の例
- 車両のエンジンブロック
- NIJレベルIII以上の防弾プレート
- パワーショベルのバケット
7.62x51mm NATO(.308 ウィンチェスター)
M240B 画像出典:U.S. Navy photo by Construction Electrician 1st Class Anthony Castillo, Public domain, via Wikimedia Commons
スナイパーライフル、バトルライフル、マシンガンなどに採用されているライフル弾です。
長距離射撃でも安定した性能を維持します。
.308ウィンチェスター 画像出典:JHobbs, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
7.62mm NATO弾と.308ウィンチェスター弾の貫通力は、実用上ほぼ同等です。両者は寸法や性能が非常に似ており、圧力仕様や薬莢設計にわずかな差があるのみです。
両者の違いはこちらの記事で解説しています。
- 7.62mm NATO弾で貫通可能な標的の例
- 軟鋼板:約3mm〜6mm(0.12〜0.24インチ)
- 距離100mの軟鋼板:AP弾使用でRHA換算約12mm(0.47インチ)
- 薄い装甲板
- 車両のボディ
- コピー用紙約1,000枚
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- ドラム缶(空)
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- 7.62mm NATO弾で貫通できない標的の例
- 車両のエンジンブロック
- NIJレベルIVの防弾プレート
- ハードプレート(RHA換算で12mmを超える鋼/セラミック等)
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- ATM(現金自動預け払い機)
- 満水のドラム缶
.338 ラプアマグナム
アキュラシー・インターナショナルAWM.338ラプアマグナム
画像出典:Source: Vitaly V. KuzminDerivative: User:MathKnight, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
長距離狙撃に用いられる高威力弾薬です。
遠距離でも高いエネルギーを保持し、優れた貫通性能が備わっています。
.300ウィンチェスターマグナム(左).338ラプアマグナム(右)
画像出典:Grasyl, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- .338ラプアマグナム弾で貫通可能な標的の例
- 5.56x45mmで貫通可能な物すべて
- 厚さ1インチ(25.4mm)の本15冊
- 厚さ1インチ(25.4mm)の松板24枚
- 厚さ1.5インチ(38.1mm)の木板7枚
- 装甲鋼板 Hardox 450 等の10mm鋼板(近距離、FMJ弾で貫通する例あり)
- HB500 換算で12mm相当の鋼板(AP弾での貫通報告あり)
- 約15.9mm(5/8 inch)相当の鋼板(AP弾使用での貫通例あり)
- 1ガロン(3.78L)のウォーターボトル3個
- A4用紙約2,000枚
- 住宅用中空コンクリートブロック
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- ドラム缶(空)
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス(AP弾)
- バリスティックゼラチン(81cm以上)
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- .338ラプアマグナム弾で貫通できない標的の例
- 厚さ15mm〜20mmを超える硬質鋼板
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス(FMJ)
- バリスティックプレート(NIJレベルIV以上)
- 厚さ1インチ(25.4mm)の銅板
- 土嚢
- パワーショベルのバケット
12.7x99mm NATO(.50 BMG)
M2ブローニング 画像出典:Lance Cpl. Karim D. Delgado, Public domain, via Wikimedia Commons
対物ライフルやヘビーマシンガンに採用されている、極めて強力な弾薬です。
軽装甲車両や建材、通信機器などを破壊できます。
- 12.7mm NATO弾で貫通可能な標的の例
- 5.56x45mmで貫通可能な物すべて
- 約19mm〜25mmの鋼板
- 距離200mの厚さ23mmの浸炭処理済装甲
- 距離200mの厚さ1インチ(25.4mm)のRHA(均質圧延鋼装甲)
- 1500ヤード(1372m)離れた厚さ19mmの装甲(M903)
- 厚さ1.3mmの鉄板16枚
- 厚さ1インチ(25.4mm)の松板23枚
- コピー用紙3,187枚
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス(AP弾)
- 軍用車(HMMWV)のボディ、ドア、ガラス、タイヤ
- ボディーアーマー
- 軍用ヘルメット全般
- 第二次世界大戦時のアメリカ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時のドイツ軍ヘルメット
- 第二次世界大戦時の日本軍ヘルメット
- バリスティックプレート(NIJレベルIV)
- 住宅用中空コンクリートブロック3個
- 1ガロン(3.78L)のウォーターボトル5個
- バリスティックゼラチン(81cm以上)
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- ドラム缶(空)
- 満水のドラム缶(1本)
- 12.7mm NATO弾で貫通できない標的の例
- 厚さ約40mmを超える鋼板
- 自動車のエンジン
- 軍用車(HMMWV)のフロントガラス(FMJ)
- 戦車(MBT)のボディや履帯
- .50BMG対応多層セラミック+複合プレート
- 土嚢
- 満水のドラム缶(2本以上)
- 二枚重ねたNIJレベルIV防弾プレート
ショットシェルの貫通能力
ショットシェルは散弾銃に用いられる弾薬で、その効果は弾種によって大きく異なります。
対人用として一般的な00バックや000バックは直径8〜9ミリの鉛球を複数発射し、その一粒一粒の威力は9mm弾に近いものです。
これに対し、スラッグ弾は単発弾で極めて強力な貫通力と破壊力を持ち、ドアの蝶番やノブを破壊できます。
施錠されたドアの突破には、鉄粉を固めた特殊スラッグ弾が使用されることもあります。
12ゲージスラッグ
ベネリM4ショットガン 画像出典:Eric A. Clement (U.S. Navy), Public domain, via Wikimedia Commons
一発弾のスラグ弾は、強力な破壊力と貫通力が備わっています。
ドアのヒンジやノブを破壊するために採用されることもあります。
ライフルドスラッグ弾 画像出典:diamanco.gr
- 12ゲージスラッグ弾で貫通可能な標的の例
- 自動車のボディ、ドア、ガラス、タイヤ
- 木材:厚さ約100〜150mm(4〜6インチ)
- 厚さ13mmの合板5枚
- コピー用紙約500枚
- 住宅用中空コンクリートブロック
- 住宅用レンガ壁
- 住宅玄関用木製ドア
- 住宅玄関用スチールドア
- 家具類(冷蔵庫、テーブル、デスク、本棚、ロッカー、ベッド、ソファー)
- 電子機器(TV、PC、携帯電話)
- キッチン用品(鍋、フライパン)
- ドラム缶(空)
- バイク用ヘルメット
- バリスティックゼラチン(33cm)
- 軍用ヘルメット(NIJレベルIIIA)
- 南京錠(南京錠の種類によっては貫通不可能)
- 12ゲージスラッグ弾で貫通できない標的の例
- 硬質鋼の厚板(数mmを超える硬化鋼)
- 自動車のエンジン
- 軍用車(HMMWV)のボディ、ドア、ガラス
- ボディーアーマー(NIJレベルIIIA)
- バリスティックプレート(NIJレベルIII)
- 土嚢
- パワーショベルのバケット
- 格闘技用サンドバッグ(100ポンド)
- 満水のドラム缶
- 南京錠(南京錠の種類によっては貫通可能)
まとめ
貫通力は口径の大小のみでは決まらず、弾頭の構造、弾速と運動エネルギー、標的の材質という三要素の複合的な影響で決まります。特に、フルメタルジャケット(FMJ)や徹甲弾(AP弾)のように変形しにくい構造の弾頭は貫通力が高く、弾速が速いほど貫通力は増大する傾向が備わっています。一方で、軽量な高速弾は着弾時の破砕(フラグメンテーション)や横転(タンブリング)により、貫通力が低下する場合があります。
拳銃弾は、木製のドア、窓ガラス、自動車のドアなどの比較的薄い構造物や、ソフトアーマー(NIJ Level IIA相当まで)を貫通する能力が備わっています。しかし、自動車のエンジンブロック、海上輸送用コンテナの側壁、厚い鋼板、NIJ Level IIIA以上のボディーアーマーといった強固な標的を貫通する力は、マグナム弾(.44マグナム、.50AEなど)であってもほとんど備わっていません。例外として、7.62x25mmトカレフ弾は小口径ながら高速であるため、一部のソフトアーマーに対する貫通力が他の一般的な拳銃弾よりも高い特性が備わっています。
ライフル弾は、拳銃弾と比較して圧倒的に高い弾速と運動エネルギーが備わっているため、NIJ Level IIIA以下のソフトアーマーを容易に貫通し、住宅の複数枚の壁や旅客機のコックピットドアなど、より強固な構造物を貫通します。5.56x45mm NATOのような軽量高速弾は、近距離で破砕効果による殺傷能力が優れている一方で、貫通力が低下する場合があります。しかし、.338ラプアマグナムのような大口径マグナム弾は、遠距離でもエネルギーを保持し、一部の硬質鋼板や軽装甲に対する貫通性能が格段に優れています。ただし、ライフル弾であっても、自動車のエンジンブロックやNIJ Level IVの防弾プレートといった極めて強固な標的の貫通は困難です。
書籍・論文・技術資料
- Ammunition Store, 各種弾薬比較資料
- Electronics and Books, Barrett Firearms Manufacturing 50 BMG Ammunitionマニュアル
- AimT 論文「.338 Lapua Magnum」
- Hornady, 5.56mm NATO 弾道資料
- Ballistic Studies, 各種弾薬弾道データ
- CloseFocus Research, 弾薬性能比較資料
- Pivotal Body Armor, 防弾ベスト性能資料
ウィキ・オンライン百科事典
- Wikipedia, Shotgun Slug
- Wikipedia, .50 BMG
- Wikipedia, .338 Lapua Magnum
- Wikipedia, 7.62×51mm NATO / .308 Winchester
- Wikipedia, 7.62×39mm
- Wikipedia, 5.56×45mm NATO
- Wikipedia, .50 Action Express
- Wikipedia, .45 ACP
- Wikipedia, .44 Magnum
- Wikipedia, 7.62×25mm Tokarev
専門情報サイト・技術解説
- Ammo.com, 各種弾薬比較・弾道性能
- ProArmory, 7.62×51mm vs .308 Win 比較
- SniperCentral, .308 Win / 7.62×51mm データ
- Mark1Ammo, 7.62×39mm 弾薬ガイド
- RecoilWeb, 弾薬性能解説
- BrassFetcher, 弾薬データベース
- Forgotten Weapons, 小口径弾と防弾性能実験
- ModernWar / Inetres / Military-History Fandom, 軍用弾薬性能データ
実験・検証動画(YouTube)
- Edwin Sarkissian, 各種銃器の耐久性・貫通力テスト
- Yee Yee Life, 弾薬の貫通力・耐久性テスト
- その他専門チャンネルによる弾薬貫通実験動画