上下二連散弾銃(中折れ式)の構造と仕組み

クレー射撃イメージ画像

この記事の要約:

  • 上下二連ショットガンの内部構造と、ハンマー・シアー・トリガーの連動を図解で解説。
  • イナーシャブロック方式により、左右のハンマーが独立して作動する仕組みを説明。
  • TOZ34の構造比較や、安全装置が折り曲げ動作でリセットされるかという疑問にも回答。

上下二連や水平二連といったブレイク・アクション(中折れ式)の銃は多種多様で、外見が似ていても内部構造が異なることがあります。

そのため一概に説明できませんが、一般的にどのような構造なのかをご紹介します。

目次

上下二連ショットガンの基本構造

銃の画像
Beretta 692 画像出典:gunsamerica.com

モデルによって操作方法が異なりますが、上下二連ショットガンの多くはセレクターを有しており、上の銃身と下の銃身のどちらから先に発射するかを選択することができます。

画像出典:shootinguk.co.uk
画像出典:shootinguk.co.uk

画像は上下二連ショットガンでよく見られるタイプのトリガーメカです。

銃を折るとヒンジの部分から繋がる棒状のコッキングロッド/コッキングスライドが後退し、それに連結されたハンマーが起こされます。

そしてハンマーはシアーに引っ掛かることでハンマーが起きた状態を維持します。

トリガーやシアーは銃を折った段階でセットされるので、弾を装填して折った銃を元に戻せば発射準備完了です。

画像ではハンマーやシアーが1つしか確認できませんが、反対側にもハンマーとシアーがあります。

ハンマーとシアーは対に2個セットで並んでおり、トリガーを引けばそれぞれ独立して順番にハンマーが落ちて撃発します。

「トリガーを引いて両方のハンマーが同時に落ちないのか?」と疑問に思われるかもしれませんが、上の画像のショットガンはイナーシャ・ブロックが備わっており、これにより別々にハンマーが落ちる仕組みです。

つまり、トリガーを1回引くと1個のハンマーが落ち、もう一度トリガーを引くと、残りのハンマーが落ちます。

このイナーシャブロックはセレクターによって移動可能で、上下の銃身のどちらから先に発射するか選択することができます。

イナーシャ・ブロック・システムとは?

イナーシャ(inertia)とは「慣性」という意味です。

イナーシャ・ブロック・システムは発射時に発生するリコイル(反動)を利用して左右のハンマーが別々に落ちるように切り替えています。

銃の画像
画像出典:世界の銃パーフェクトバイブル (3)

画像は書籍「世界の銃パーフェクトバイブル (3)」で解説されている上下二連ショットガンの構造です。

一見分かりにくいかもしれませんが、構造は非常にシンプルです。

起こされたハンマーはシアーによって保持されており、シアーがハンマーを解放するとハンマーが落ちます。

そして、シアーはイナーシャブロックの接触によって可動します。

銃のセレクターを操作すると、イナーシャブロックの位置が変わります。

位置が変わると2個のシアーのうち1つのシアーと接触し、もう1つのシアーとは接触しません。

イナーシャブロックが接触しているシアーは、トリガーを引くとイナーシャブロックが上昇してシアーを動かし、ハンマーを解放して撃発します。

一発目(初矢)の発射により発生したリコイルの慣性でイナーシャブロックが後退しますが、再び前進すると今度は残ったもう一方のシアーに接触します。

これによりトリガーを再度引くと、またイナーシャブロックが上昇してシアーを動かし、ハンマーが落ちて二発目(後矢)を発射します。

銃の画像
画像出典:世界の銃パーフェクトバイブル (3)

上図はショットシェルのエジェクション(脱包)について解説した図です。

「銃を折るとコッキングロッドが後退する」と説明しましたが、ハンマーが落ちるとコッキングロッドが前進します。

前進したコッキングロッドは、銃を折る際にエジェクターシアーを固定し、エジェクターシアーはエジェクターを引っ掛けます。

そして銃を続けて折っていくと、やがてエジェクターはエジェクターシアーから解放され、スプリングによってエジェクターがショットシェルを排莢します。

エジェクターシアーはハンマーが落ちていないとエジェクターを引っ掛けないため、銃を折ると発射済みのショットシェルだけが排莢され、未発射のショットシェルは排莢されずにチャンバー(薬室)の中に残ります。

書籍「世界の銃パーフェクトバイブル」は、全くの入門者の方には内容が難しいかもしれませんが、銃のパーツ名をある程度知っている方には良い参考書だと思います。

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TOZ34の構造

こちらはロシアの上下二連ショットガン「TOZ 34」の構造です。

銃の画像

トリガー、ハンマー、ファイアリングピンがそれぞれ対になっています。

前のトリガーを引くと右のハンマーが落ち、下のファイアリングピンを叩いて撃発します。

後ろのトリガーを引くと左のハンマーが落ち、上のファイアリングピンを叩いて撃発します。

こうしたダブルトリガーは水平二連のライフルやショットガンで多く見られますが、上下二連でも存在します。

銃の画像

ロッキングブロックによって薬室が閉鎖されています。

銃を折って装填/排莢を行うには、トップレバーを右へ動かします。

銃の画像

トップレバーを右に動かすとロッキングブロックが後退し、ロックが解除されます。

銃の画像

銃を折るとコッキングレバーがシーソーの様に動くことでハンマーが起こされます。

コッキングレバーは左右にあり、それぞれが2つのハンマーを同時に起こします。

あとは手動で排莢と装填を行い銃身を元に戻せば発射準備完了です。

質問と回答

上下2連散弾銃はバレルを折り曲げるとハンマーやトリガー機能がリセットされますが、この時セーフティも一緒にリセットされるのですか。

通常、セーフティは構造上独立しているため、銃を折ってもセーフティは解除されません。

上下二連散弾銃とはどういう銃ですか?

上下二連散弾銃とは、2本の銃身が上下に配置されたブレークアクション式の散弾銃を指します。

英語圏ではオーバーアンダーショットガン(over‑under shotgun)と呼ばれ、クレー射撃や狩猟において最も一般的な形式の一つとして広く使用されています。

  • 上下に縦配置された2本の銃身を持ち、順番に発射できる構造です。
  • ブレークアクション方式を採用しており、銃を折って装填・排莢を行います。
  • 上側の銃身のみが視界に入るため、照準がシンプルで視界が広いという利点があります。
  • 各銃身に異なるチョークを装着でき、射程や散弾の広がりを使い分けられる点が評価されています。
  • トラップ、スキート、スポーティングクレーなど、競技射撃で最も一般的な選択肢とされています。
上下二連の長さは?

上下二連散弾銃の銃身長は、26〜32インチ(約66〜81cm)が標準的とされています。

特にクレー射撃用では30〜32インチ(約76〜81cm)が最も一般的です。

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この記事を書いた人

・1998年:実銃解説サイトを開設
・2001年~2007年:米国に居住し実弾射撃を学ぶ
・エアガンメーカー勤務経験や実銃経験を活かした情報を発信中

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