
この記事の要約:
- 空に向けて銃を撃つと弾は終端速度で落下し、頭蓋骨を貫通するほど危険。
- 垂直発射より斜め発射の方が速度を維持しやすく、広範囲に致命的被害を及ぼす。
- 世界各地で祝砲による死傷事故が多数発生しており、多くの国で違法行為として規制されている。
銃を空に向けて発射する行為は、映画やドラマで見かける祝砲や威嚇射撃のシーンで印象的ですが、実際には非常に危険です。
発射された弾は上昇後に落下し、人や物に致命的な被害を与えることがあります。
本記事では、空に向けた射撃によって落下する弾の速度や威力、事故例、さらには各国の規制までを詳しく解説し、なぜこの行為が避けるべき危険な行為であるかを科学的・法的な観点から整理します。
※用語解説と参考文献は記事の最後にまとめています。
空に向けて銃を撃つと、どうなる?

発射された弾は非常に高速で大きな運動エネルギーを持っています。
運動エネルギーは物体の質量と速度の二乗に比例するため、弾の質量が小さくとも速度が高ければ大きな破壊力を生じます。
垂直に発射された弾は一度上昇して速度が落ち、最高点で停止した後に再び落下しますが、落下中は空気抵抗の影響を受けます。空気抵抗は弾の形状や断面積、速度に依存して落下速度を低下させる要因となります。
垂直発射の場合、落下中にタンブリング(横転して姿勢を失う現象)が生じやすく、これにより空気抵抗が増えて終端速度※は発射直後の速度よりかなり遅くなります。
終端速度(Terminal velocity)とは、物体が自由落下する際に、空気抵抗と重力が釣り合い、以降速度が変わらなくなる状態のことを指します。この速度に達すると、物体は一定の速度で落下し続けます。
弾の自由落下速度と危険性

米陸軍のジュリアン・ハッチャー少将の研究によると、.30口径ライフル弾は終端速度として約200マイル毎時(約毎秒90メートル)に達するとされています。
また、別の情報では、落下する弾の速度は毎秒90〜180メートルに達すると報告されています。
プエルトリコでの調査では、空に向かって撃たれた「祝砲」による弾は毎秒200フィート(約毎秒61メートル)を超える速度で落下し、頭蓋骨を貫通するのに十分な力を持つとされています。
プエルトリコの事例では、落下速度が毎秒約61メートルを超える弾によって死傷者が発生しました。
研究によれば、「落下する弾による負傷者の多くは頭部に被弾しており、一般の銃創よりも死亡率が高い傾向がある」とされています。

研究では、1985年以降に治療された落下する弾による負傷者118人のうち、77%が頭部に被弾し、死亡率は32%と、一般的な銃創による負傷よりも有意に高いことが示されています。
参考:Spent bullets and their injuries: the result of firing weapons into the sky
以下は弾の自由落下速度を比較した一例です。
| 使用弾薬 | ベース(※1) フィート/秒 | ベース(※1) メートル/秒 | タンブリング(※2) フィート/秒 | タンブリング(※2) メートル/秒 |
|---|---|---|---|---|
| .22ショート | 168 fps | 51 m/s | 134 fps | 41 m/s |
| .22LR | 198 fps | 60 m/s | 142 fps | 43 m/s |
| .25ACP | 191 fps | 58 m/s | 146 fps | 45 m/s |
| .32ACP | 187 fps | 57 m/s | 158 fps | 48 m/s |
| .380ACP | 187 fps | 57 m/s | – | – |
| 9mm | 219 fps | 67 m/s | – | – |
| .38spl | 237 fps | 72 m/s | – | – |
| .44マグナム | 249 fps | 76 m/s | – | – |
| .45ACP | 228 fps | 70 m/s | – | – |
| .223rem | 244 fps | 74 m/s | 141 fps | 43 m/s |
| 7.62x39mm | 264 fps | 81 m/s | 158 fps | 48 m/s |
| .30-30 | 282 fps | 86 m/s | – | – |
| .30-06 | 294 fps | 90 m/s | 171 fps | 52 m/s |
| #4ショット | 134 fps | 41 m/s | – | – |
| 00バック | 157 fps | 48 m/s | – | – |
これを時速に変換すると以下のようになります。
| 使用弾薬 | ベース (時速) | タンブリング (時速) |
|---|---|---|
| .22ショート | 184 km/h | 147 km/h |
| .22LR | 217 km/h | 156 km/h |
| .25ACP | 209 km/h | 160 km/h |
| .32ACP | 205 km/h | 173 km/h |
| .380ACP | 205 km/h | – |
| 9mm | 240 km/h | – |
| .38spl | 260 km/h | – |
| .44マグナム | 273 km/h | – |
| .45ACP | 250 km/h | – |
| .223rem | 268 km/h | 155 km/h |
| 7.62x39mm | 289 km/h | 173 km/h |
| .30-30 | 309 km/h | – |
| .30-06 | 323 km/h | 188 km/h |
| #4ショット | 147 km/h | – |
| 00バック | 172 km/h | – |
弾は球形ではなく横長の形状をしているため、横倒し状態で落下すると自由落下速度が遅くなります。
しかし、弾が先端や後端から落下すると速度が増し、致命的な速度になります。
以下は、「雨」や「ひょう」と比較した終端速度の違いを表しています。

| 落下物 | 大きさ | 質量 | 比重 | 終端速度 |
|---|---|---|---|---|
| 雨 | 0.5~6 mm | 0.0000654 g ~0.113 g | 1.0 g/cm³ | 25~36 km/h |
| ひょう | 5 mm | 0.06 g | 0.85 g/cm³ | 36 km/h |
| 鉄球 | 10 mm | 4.1 g | 7.85 g/cm³ | 47 km/h |
| ひょう | 10 mm | 0.45 g | 0.85 g/cm³ | 50 km/h |
| ひょう | 50 mm | 56 g | 0.85 g/cm³ | 115 km/h |
| ひょう | 70 mm | 153 g | 0.85 g/cm³ | 140 km/h |
| 9x19mm弾 | D:9 mm L:13.9 mm | 7.5 g | 10 g/cm³ | 160~240 km/h |
終端速度は、「形状」「重量」「空気の密度」に依存し、9mm弾が自由落下した場合は時速約160~240kmになります。
9mm弾は時速約1,300kmで発射されるため、これと比較すると低速ですが、それでも依然として危険な速度です。
頭部に当たった場合、重傷や死亡の可能性は否定できません。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC / Centers for Disease Control and Prevention)や関連する外傷研究では、落下物の速度と人体への影響について言及されています。
弾頭のような小型で高密度、かつ空力的形状を持つ物体では、終端速度が60m/秒前後に達する可能性があります。この速度域では、人間の皮膚を損傷、条件次第では貫通する危険性があるとされています。さらに高い運動エネルギーを持つ場合、頭部などの脆弱な部位に深刻な損傷を与えるおそれもあります。
一方、日本で流通しているエアガンは、主に重さ0.2g~0.25gのプラスチック製BB弾を、初速およそ60~90m/秒で発射します。これと比較すると、実弾の弾頭は質量が大きく、例えば9×19mm弾の115グレイン弾頭では約7.5gになります。仮に同程度の速度であっても、質量差により運動エネルギーはBB弾を大きく上回ることがわかります。
※9×19mm弾、弾頭重量115グレイン(約7.5グラム)の場合
こちらのシミュレーターで落下の時間や速度を体験することができます。

射角の違いによる影響とは?

「垂直に近い角度で発射された場合」と、「斜めに発射された場合」で、弾の速度や安定性が異なることが様々な研究から明らかになっています。
弾が垂直に落下する速度(自由落下速度)は危険な速度ですが、実際に空に向かって撃った場合の落下速度はもっと危険な速度になります。
なぜなら、実際に空に向かって射撃した場合、90度の角度で真上に撃つケースは稀だからです。
もし射角が80度、70度と小さくなれば、弾は放物線を描いて飛ぶため、弾の飛翔高度が頂点に達しても弾速は高速を維持します。
この場合、高速の弾が数キロ離れた場所に落下し、人に命中すれば死傷する可能性が高くなります。
斜めに発射された弾は、垂直に発射された場合よりも射程が長くなり、発射地点から遠く離れた場所に落下します。
研究によれば、ほぼ完全に垂直に発射された弾が最も速度を失うのに対し、角度をつけて発射された弾は、皮膚を貫通する速度を維持する可能性があると指摘されています。
結論として、どんな角度であっても、空に向けて銃を発射する行為は非常に危険であり、避けるべきです。
祝砲や祝賀の目的であっても、空に向けての発射は人命を危険にさらす行為と認識するべきでしょう。
ディスカバリーチャンネルのテレビ番組「MythBusters」は、「空に向けて発射された弾 Bullets Fired Up(シーズン4エピソード7)」(初放送日:2006年4月19日)の回で、弾の自由落下の危険性を検証しました。
終端速度と同じ速度で発射されるエアガンを使用し、9mm弾と.30-06弾を豚の頭に発射する実験や、実際に砂漠で上空に向けて発射し検証した内容です。
タンブリング(横倒し)状態での9mm弾の自由落下速度は146 fps(時速約160km)、.30-06弾は151 fps(時速約166km)と計算し、この条件では致死速度以下になることを確認しました。しかし、実際に空に向けて撃った場合は、ライフリングによる弾の回転によって姿勢が維持され、致命的な終端速度で落下する可能性が高いと結論付けました。

実際の事例
祝賀や祭事で空に向けて発射された弾丸は、落下時や弾道上で第三者に命中し、死亡・負傷事故を引き起こしてきました。被害は人だけでなく、航空機などに及ぶこともあります。
以下は、海外で報告された祝砲に関連する主な事故・事件です。
| 年月日 | 場所 | 被害 | 概要 |
|---|---|---|---|
| 1819年12月26日 | インドネシア プニェンガット島 | 5人死亡 (その後の衝突) | 酋長の結婚式を祝ってブギス人が発砲したところ、オランダ当局が参加者の一部を拘束。対立が激化して酋長を含む5人が殺害され、翌1820年にはブギス人とオランダ側の戦争へ発展した。 |
| 1859年12月 | インド | 1人死亡 | 男性が遠方から飛来した弾丸に当たり死亡。検視では、弾丸が肩や肋骨、肺、心臓、横隔膜を貫通していたことが確認された。 |
| 1950年7月4日 | アメリカ ニューヨーク | 1人死亡 | ポロ・グラウンズでニューヨーク・ジャイアンツの試合を観戦していた男性が銃弾に当たり死亡。離れた集合住宅から独立記念日の祝賀として発射された弾丸とみられた。 |
| 1994年12月31日 | アメリカ ニューオーリンズ | 1人死亡 | フレンチ・クォーターのリバーウォークを歩いていた観光客の女性が、祝砲による落下弾に当たり死亡した。 |
| 1999年1月1日 | アメリカ フィラデルフィア | 1人負傷 | 新年の祝賀中、男性が頭部に流れ弾を受けた。弾丸は脳幹に残り、右半身に麻痺が残った。 |
| 1999年6月14日 | アメリカ アリゾナ州 | 1人死亡 | 自宅の庭にいた14歳の少女が頭部に流れ弾を受けて死亡。この事件を契機として、2000年に発砲規制を強化する「シャノン法」が制定された。 |
| 2003年7月22日 | イラク | 20人以上死亡 | サダム・フセインの息子ウダイとクサイの死亡を祝う発砲により、20人以上が死亡した。 |
| 2003年10月12日 | セルビア ベオグラード | 人的被害なし | 結婚式の参加者による発砲で、小型航空機が誤って撃墜された。 |
| 2005年1月1日 | 北マケドニア スコピエ | 1人死亡 | 新年の祝賀中に少女が流れ弾に当たり、2日後に死亡。この事件を受け、祝砲の危険性を訴える啓発活動が行われた。 |
| 2007年2月25日 | パキスタン ラホール | 5人死亡 | 凧祭りの際に発射された流れ弾により、6歳の少年を含む5人が死亡した。 |
| 2007年7月29日 | イラク バグダッド | 4人以上死亡 17人負傷 | サッカーのアジアカップ優勝を祝う発砲により、多数の死傷者が発生した。 |
| 2008年1月7日 | モンテネグロ ポドゴリツァ | 人的被害なし | 着陸中のモンテネグロ航空機が銃撃を受け、機体尾部から弾痕が発見された。原因は不明だが、正教会のクリスマスを祝う発砲による可能性が指摘された。 |
| 2010年1月1日 | アメリカ ジョージア州 | 1人死亡 | 教会内にいた4歳の少年が銃弾に当たり死亡。弾丸は屋根を貫通した可能性があるとみられた。 |
| 2010年8月 | ヨルダン | 2人死亡 13人負傷 | 中等教育修了試験「タウジヒ」の結果発表を祝う発砲により死傷者が発生した。 |
| 2012年7月4日 | アメリカ カリフォルニア州 | 1人死亡 | 家族と花火を観賞していた34歳の女性が頭部に銃弾を受けて死亡。警察は、約1マイル離れた場所から発射された可能性があるとみていた。 |
| 2012年10月30日 | サウジアラビア | 23人死亡 | 結婚式の祝砲によって電線が切断・落下し、参加者23人が感電死した。 |
| 2012年11月21日 | ガザ地区 | 1人死亡 3人負傷 | イスラエルとの停戦成立後に行われた祝賀発砲により、1人が死亡し、3人が負傷した。 |
| 2012年12月25日 | パラグアイ アスンシオン | 1人死亡 | クリスマスの祝賀に関連するとみられる流れ弾により、3歳の少女が死亡した。 |
| 2013年1月1日 | アメリカ メリーランド州 | 1人死亡 | 花火を観賞していた10歳の少女が後頭部に流れ弾を受け、2日後に死亡した。 |
| 2013年6月6日 | パキスタン | 1人死亡 1人重傷 | 首相選出を祝う発砲による流れ弾で42歳の女性が死亡し、19歳の姪も被弾して重傷を負った。 |
| 2013年7月4日 | アメリカ バージニア州 | 1人死亡 | 花火大会の開始前、父親と歩いていた7歳の少年が頭部に流れ弾を受けて死亡した。 |
| 2014年4月6日 | レバノン シドン | 1人死亡 | 近隣で行われていた結婚式から飛来した流れ弾が20歳の妊婦の頭部に当たり、死亡した。 |
| 2015年1月1日 | アメリカ ヒューストン | 1人死亡 | 家族と花火を観賞していた43歳の男性が頭部に銃弾を受けて死亡した。 |
| 2016年11月16日 | インド ハリヤーナー州 | 1人死亡 3人重傷 | 結婚式で行われた祝賀発砲により、新郎の叔母が死亡し、親族3人が重傷を負った。 |
| 2017年1月1日 | アメリカ テキサス州 | 1人負傷 | 新年の祝賀中、テキサス州議会議員が頭部に流れ弾を受けて負傷した。 |
| 2019年12月31日 | アメリカ テキサス州 | 1人死亡 | 61歳の看護師が大晦日に銃弾を受けて死亡。警察は祝賀発砲による可能性が高いとみていた。 |
| 2020年1月1日 | アメリカ フロリダ州 | 1人被弾 | セントピーターズバーグのレストランで食事をしていた客に、祝賀発砲による弾丸が当たった。 |
| 2021年1月2日 | レバノン ベイルート | 1人死亡 航空機にも被害 | 祝賀発砲による流れ弾がシリア人難民の頭部に当たり死亡したほか、ベイルート国際空港に駐機していた複数の旅客機も損傷した。 |
| 2021年9月4日 | アフガニスタン カブール | 17人以上死亡 41人負傷 | タリバンがパンジシール渓谷の制圧を祝って行った発砲により、多数の死傷者が発生した。 |
| 2023年1月1日 | アメリカ ミシガン州 | 2人死亡 | ローレンス・タウンシップのパーティーで祝賀発砲が行われ、40歳と35歳の男性が死亡。62歳の男が現場で逮捕された。 |
| 2023年12月31日 | アメリカ テネシー州 | 1人死亡 | メンフィスで、集合住宅の窓を貫通した祝賀発砲とみられる弾丸が3歳の男児に命中。男児は2024年1月3日に死亡した。 |
| 2024年12月12日 | シリア | 少なくとも6人死亡 | アサド政権崩壊後の祝賀発砲により、少なくとも民間人6人が死亡したと報告された。 |
| 2025年8月14日 | パキスタン カラチ | 3人死亡 109人負傷 | 独立記念日の祝賀で行われた空中への発砲により、子ども1人を含む3人が死亡し、109人が負傷した。 |
TVドラマなどでは警官が空に向けて威嚇射撃をするシーンがありますが、これは非常に危険な行為といえます。
アメリカの多くの法執行機関は独自のポリシーとして威嚇射撃を禁止しているものの、まれに(または偶発的に)威嚇射撃を行った例があります。
しかし、そういった場合は空に向けてではなく、跳弾を考慮しながら安全に弾が停止する場所(地面など)に向けて発射されることがほとんどです。

各国の規制

空に向けた発砲は、落下した弾丸によって第三者を死傷させる危険があるため、各国・地域で規制の対象となっています。
アメリカでは、州法や自治体条例によって規制内容が異なりますが、公共の場所や住宅地などで無謀に銃を発砲する行為が違法となる場合があります。また、祝賀行事での発砲による事故を防ぐため、法規制だけでなく啓発活動や取締りも行われてきました。
- アメリカ合衆国:
- ロサンゼルスでは、1989年頃から年末年始などの祝賀時に行われる発砲を減らすため、警察による取締りや啓発活動が強化されました。さらに1990年には、独立記念日と年末年始の前に一定期間、弾薬の販売を禁止する条例が導入されています。
- 1994年に発表されたロサンゼルスの研究では、1985年以降に落下弾で負傷した118人が調査され、こうした事故を防ぐには法律だけでなく、危険性についての教育と法執行の強化が必要と指摘されました。
- CDCが調査したプエルトリコの2003年大晦日から2004年元日にかけての事例では、祝砲による可能性が高い負傷者が19人確認され、このうち1人が死亡しました。CDCは、既存法の積極的な執行と住民への啓発が事故防止に必要としています。
- トルコ:
- 2014~2023年にトルコの3病院で確認された祝賀時の発砲による負傷例を分析した研究では、銃器免許の審査強化、弾薬販売の厳格な管理、夏季や祝祭イベント時の取締り強化、無許可の銃器使用に対する罰則の見直しなどが対策として提言されています。
- 落下弾による死亡事件については、トルコ最高裁判所の判例で、状況によって「未必の故意」による殺人として刑事責任を問う判断がみられます。特に住宅地などで無差別に発砲した場合、弾丸が第三者に命中して死傷させる可能性を予見できたかどうかが重要になります。
- 研究者からも、落下弾による死亡事故について、単なる過失として扱うのではなく、発砲時の状況や結果の予見可能性を考慮して刑事責任を判断する必要があると指摘されています。
以下は各国の法律と罰則一覧です。
| 国・地域 | 規制の概要 | 主な罰則・補足 |
|---|---|---|
| 北マケドニア | 祝賀行事などでの発砲が処罰対象となる。 | 重大な刑事罰が科される場合がある。 |
| イタリア | 刑法703条は、居住地域やその周辺などで許可なく銃を発砲する行為を規制している。花火やロケットなどの危険な点火・爆発行為にも適用される。 | 発砲した場所や状況に応じて、罰金または拘禁刑の対象となる。 |
| パキスタン | 地域や時期に応じて、刑事訴訟法144条に基づく命令などによって空中への発砲が禁止されることがある。 | 違反した場合は刑事手続きの対象となる可能性がある。規制内容は地域や命令によって異なる。 |
| アメリカ・アリゾナ州 | 州法13-3107条(通称「シャノン法」)により、自治体内または自治体内へ向けて犯罪的過失によって銃を発砲する行為を禁止。 | 原則としてクラス6重罪。射撃場、正当防衛、適法な狩猟などには例外がある。 |
| アメリカ・カリフォルニア州 | 刑法246.3条により、人の負傷または死亡につながり得る重大な過失を伴って故意に銃を発砲する行為を処罰。 | 事件の状況によって軽犯罪または重罪として扱われる可能性がある。 |
| アメリカ・ミネソタ州 | 州法609.66条により、自治体内で銃を無謀に発砲する行為などを禁止。公共交通施設内などには別の規定もある。 | 自治体内での無謀な発砲は重罪で、通常は最大2年の拘禁または最大5,000ドルの罰金。場所や状況によっては最大5年・10,000ドルとなる。 |
| アメリカ・オハイオ州 | 州法2923.162条により、墓地、学校・教会・住宅などに付随する土地、公道などでの発砲を規制。 | 場所や被害の程度によって軽犯罪から重罪まで異なる。人に重大な身体的危害を与えた場合は第1級重罪となり得る。 |
| アメリカ・テキサス州 | 刑法42.01条により、公共の場所で銃を発砲する行為は原則として治安紊乱行為となる。また、人口10万人以上の自治体内での無謀な発砲は42.12条の対象となる。 | 公共の場所での発砲は原則クラスB軽犯罪で、最大180日の拘禁および最大2,000ドルの罰金。42.12条に該当する場合はクラスA軽犯罪で、最大1年および最大4,000ドル。 |
| アメリカ・ウィスコンシン州 | 発砲の状況や結果に応じて、危険行為、無謀な危険行為、殺人など複数の刑罰規定が適用され得る。 | 死傷者の有無や行為者の認識などによって適用罪名と刑罰が大きく異なる。 |
無謀な殺人(Reckless murder)とは、殺す意図はなくても、他人の生命を無視した極めて危険な行為によって人を死なせた場合に適用される米国の法律用語です。飲酒運転での致死事故や、群衆に向けた無差別発砲、危険運転や違法レースでの死亡事故などが典型例です。
意図的な殺人と違い計画的な殺意はありませんが、重大な危険を理解しつつ無視した点で責任が重く、州によっては「Reckless homicide」や「Involuntary manslaughter」と呼ばれ、重罪として長期の懲役刑が科されます。
質問と回答(Q&A)
- 真上に撃つと、弾はどうなるのでしょうか?
-
真上に撃つと、減速して最高点で止まり、終端速度で落下します。発射時より遅いものの、秒速61〜91mに達し皮膚や頭蓋骨を貫通する危険があります。
真上よりも斜めに撃たれた弾は速度を保ちやすく、さらに致命的です。都市部では被害の可能性が高く危険です。
- 垂直に落下する弾は危険ですか?
-
はい、致命傷になりえます。
以下の理由で危険です。
- 高速で落下し、90〜180m/sに達する可能性があります。
- 60m/s未満でも頭蓋骨を貫通することがあるという医師の見解があります。
- 頭部への被弾が多く、死亡率が高いとされています。
- 落下する弾は、人に当たるとどの程度の威力があるのですか?
-
例えば150グレイン(約9.7g)の弾が終端速度で落下すると20〜40ジュール以上のエネルギーを持ち、条件次第では致死的となります。
これは発射直後の銃弾(数百〜数千ジュール)より小さいものの、人の頭部や首に当たれば致命傷を与える威力です。
- 真上に撃った弾は、撃った人がいる真下に落ちてくるのですか?
-
真上に撃っても、発射地点にそのまま落ちてくることはほとんどありません。
上昇中に弾は安定を失って回転しながら落下し、風や発射時のわずかなずれ、さらには地球の自転の影響によって軌道が乱れるためです。その結果、弾は広い範囲に散らばって落下し、実験でも射手の真下に戻ることは確認されていません。
わずかでも角度がついていれば銃弾は弧を描き、離れた場所に落下して致死的な速度を保つ場合もあります。
したがって、真上に撃たれた弾の落下地点を正確に予測することはできません。
- 海外では落下する弾による事故は発生しているのですか?
-
世界各地では落下弾による事故が多数報告されており、負傷や死亡につながる事例が後を絶ちません。特に祝砲や無差別発砲による落下弾が深刻です。
- アメリカでは2024年1月から9月の間に、流れ弾(落下弾を含む)によって34人が死亡し62人が負傷しました。
- 1985年から1992年のロサンゼルスでは118人が落下弾で治療を受け、その致死率は32%に達しています。
- 2007年のイラクではサッカー勝利後の祝砲で3人が死亡し、クウェートでも湾岸戦争終結時に20人が犠牲となりました。
- プエルトリコ(2003〜2004年)では19件の負傷と1件の死亡が報告されています。
- インド・ハイデラバード(2006〜2010年)では165人の負傷と13人の死亡が確認されています。
- 警察の威嚇射撃は安全なのでしょうか?
-
警察による威嚇射撃は、その安全性と有効性をめぐって議論が分かれる行為です。多くの警察機関では歴史的に安全上の理由から禁止されてきましたが、近年では厳格な条件下で認める方針を導入する例も見られます。
最大の懸念は安全性です。空に撃てば落下弾の危険があり、地面に撃てば跳弾の恐れがあります。また、威嚇射撃が実際の攻撃と誤認されて状況が悪化する可能性も否定できません。調査では約8割の警察関係者が「危険が大きく実用性が低い」として否定的な立場を示しています。
一方で、サンノゼ市警のように、訓練と規則を整えた上で限定的に許可している機関も存在します。
ただし多くの法域では、威嚇射撃は法的責任を問われる可能性があります。国際警察首脳協会(International Association of Chiefs of Police)なども、デッドリーフォース(銃など致死性の武器)の使用が正当化される状況かつリスクを最小化できる場合に限り、慎重に許容する方針を示しています。
- 弾は落下時にライフリングが与えた回転が維持される?
-
真上に発射直後は急速に回転して姿勢を維持しますが、速度がほぼゼロに近づくと空力安定性を失い、下降中に横転(タンブリング)することが多いです。回転自体は続くものの、上昇時のような一貫した軸安定は保たれません。
しかし、斜め上に発射され角度がついている場合はジャイロ効果により姿勢を維持し、高速落下します。
- 落下する弾による被害者には女性や子供が多い?
-
はい、女性や子供が関与する暴力事件が少ないため、相対的に犯罪統計上の女性や子供の被害割合が多くなります。
プエルトリコでの調査では、祝砲による負傷者のうち15歳未満の子供が21%、女性が37%、39.6%が17歳以下の子供でした。
- 真上に撃った場合、空気抵抗で速度がゼロになるのでしょうか?
-
はい、最終的に上昇しきった時点でその速度はゼロになります。
その後の自由落下では空気抵抗が影響し、最終的に弾は終端速度で高速落下します。
斜め上に撃たれた場合は速度を維持しやすく、より致命的です。
- 雨や霰が落ちてきても人を傷つけないのはなぜですか?
-
雨や霰は非常に軽くて柔らかく、落下速度も低速なため、重大な被害を与えることはありません。
これに対して、鉛弾のように密度が高く硬い物体は、落下速度が速く、人体に致命傷を与えるリスクが大きいといえます。
- 仮に氷や水の塊が弾と同じ速度で撃ち出された場合、危険なのでしょうか?
-
はい、氷や水の塊が弾と同じ速度で落下すれば、それも一定の脅威になる可能性があります。
例えば、「ひょう」のような氷の塊が落下すると、直径5mmで時速約36km、直径70mmで時速約140kmに達することがあります。
しかし、鉛弾の方が質量と速度が大きく、より危険です。
- 雨の落下速度はどのくらいですか?
-
雨の落下速度は時速25~36km程度とされています。
これに対して、鉛弾の落下速度ははるかに速く、場合によっては時速200km以上にもなります。
- すべての物体は同じ加速度で落ちる?
-
空気抵抗がなければ、すべての物体は同じ加速度で落ちます。
空気抵抗がある現実の地上では、形や軽さによって落ち方が変わります。
ガリレオ・ガリレイは1589年から1592年の間、ピサの斜塔から異なる質量の物体を同時に落とし、落下時間が質量に依存しないことを示したとされています。この実験で、物体は同じ加速度で落下し、アリストテレスの重力理論が誤りであることが証明されました。
しかし、実際に行われたかどうかは不確かで、多くの歴史家はガリレオの実験が実際の実験ではなく、思考実験であったと考えています。
現代の物理学では、空気抵抗を除いた真空中で、物体は質量に関係なく同じ加速度で落ちるとされています。
まとめ(結論)

空に向けて銃を撃つ行為は、いかなる場合であっても非常に危険であり、避けるべきです。
その理由は以下の通りです。
祝砲や威嚇射撃など、いかなる目的であっても、空に向けて銃を発射する行為は、人命を危険にさらす可能性があり、絶対に避けるべきであると結論付けられます。
アメリカにおける研究
1985年以降に落下弾による負傷で治療を受けた118例を対象とした研究では、負傷者の77%が頭部に被弾し、死亡率は32%に達していました。これは、同一医療センターで治療された一般的な銃創患者と比較して、明らかに高い死亡率と報告されています。
プエルトリコにおけるCDCの調査
CDCが実施した、2003年の新年に発生した祝砲による銃撃事件の調査では、2日間で19件の負傷(うち1件は死亡)が確認されました。 これらの事例は主に12月31日深夜に特定の公営住宅地で発生し、被害者には子どもや女性が多いという特徴が見られました。
報告書によれば、空中に発射された弾丸は、200フィート/秒以上の速度で落下し、人間の頭蓋骨を貫通して重傷または死亡を引き起こす可能性があるとされています。 なお、プエルトリコでは2012年以降、啓発キャンペーンの効果により、新年の祝砲に伴う流れ弾による死亡事故は確認されていません。
トルコにおける研究
2014年から2023年の10年間に、トラブゾンおよびイスタンブールの3病院で治療された祝砲関連負傷(CGRI)を遡及的に分析した研究では、48件のCGRIが確認され、そのうち8件(16.7%)が死亡例でした。
負傷者の64.6%は男性で、39.6%は0〜17歳の子どもでした。最も多い負傷部位は頭頸部・顔面(39.6%)であり、事件の87.5%が農村部で発生していました。また、発生頻度は6〜8月に高い傾向が認められました。 発砲理由としては、特定できた事例の中で結婚式が最も多くを占めています。
さらに、2013〜2022年にトラブゾン法医学グループ議長室で実施された銃創剖検695件のうち、9件が落下弾による死亡と特定されました。これらの事例では、7例が頭部、1例が眼、1例が鼠径部に被弾しており、8例で弾道が上方から下方へ向かっていました。
加えて、2022年1月〜2023年6月にトルコ国内の全国紙ウェブサイトを調査したところ、落下弾に関連する54件の事件が報道され、23件が負傷、16件が死亡、15件が物的損害につながっていました。 負傷部位は頭部、背部、肩、頸部、胸部、手、腕、脚など多岐にわたり、住宅街、庭、テラス、バルコニー、祭り、結婚式、遊び場など、さまざまな環境で被害が発生していました。 なお、トルコでは落下弾による死亡事件において、最高裁判所が加害者を未必の故意による殺人罪で処罰した事例が報告されています。
落下弾の物理的特性
医師の見解によれば、発射後に落下する弾丸は90〜180メートル/秒の速度で地上に到達し、60メートル/秒未満であっても頭蓋骨に致命的損傷を与える可能性があります。
米陸軍少将ジュリアン・ハッチャーによる実験では、標準的な.30口径弾を垂直に発射した場合、弾丸は約2,743メートルまで上昇し、落下時の終端速度は約91.4メートル/秒に達すると計算されています。 別の報告でも、.30口径弾の終端速度は約89.4メートル/秒(約200マイル/時)とされ、皮膚を貫通するのに十分な速度であると指摘されています。
用語集
- .22LR:小口径ライフル弾の一種で、民間用途および競技射撃で広く使用される。
- .223 Remington(.223rem):民間・軍用ライフルに用いられる小口径弾で、5.56×45mm NATO弾とほぼ同等の性能を有する。
- .30-06 Springfield:米国で広く使用される.30口径ライフル弾の代表的な弾薬。
- .30-30 Winchester:米国製の中型ライフル弾で、主にレバーアクションライフルに使用される。
- .38 Special(.38spl):セミオートピストルおよびリボルバーで使用される中口径拳銃弾。
- .380 ACP:軽量なセミオートピストル向けの弾薬で、主に護身用途として用いられる。
- .44 Magnum:大型リボルバー用のマグナム弾で、高威力と強い反動が特徴。
- .45 ACP:大口径セミオートピストル用弾薬で、米軍の制式弾薬として長く採用されてきた。
- 5.45×39mm:旧ソ連製アサルトライフル向けの小口径弾。
- 5.56×45mm NATO:米軍をはじめとするNATO諸国の標準アサルトライフル弾で、.223 Remingtonと高い互換性を持つ。
- 7.62×39mm:旧ソ連系アサルトライフル用の中口径弾で、AK-47などに使用される。
- 7.62×51mm NATO:NATO標準のライフル弾で、各種ライフルおよび機関銃に使用される。
- 7.62×54mmR:ロシア・旧ソ連のライフルおよび機関銃で使用されるリム付き弾薬。
- 9mm(9×19mmパラベラム):民間・軍用で最も広く普及している中口径セミオートピストル弾。
- 終端速度(Terminal velocity):物体が自由落下中に、空気抵抗と重力が釣り合い、それ以上速度が増加しなくなる際の速度。
- 自由落下速度:物体が重力のみを受けて落下する際の速度。
- タンブリング(Tumbling):弾丸が飛翔または落下中に回転軸を失い、横転しながら不安定に落下する現象。
- ライフリング(Rifling):銃身内に刻まれた螺旋状の溝で、弾丸に回転を与え飛翔を安定させるための加工。
- ジャイロ効果:回転体が角運動量により姿勢を安定させる物理的作用。
- 跳弾(Ricochet):弾丸が地面や硬い物体に衝突し、跳ね返る現象。
- 祝砲(Celebratory gunfire):祝い事などで空に向けて発射される銃弾。公的行事では通常、空砲が使用される。
- 威嚇射撃(Warning shot):対象に命中させる意図なく、威嚇目的で行われる発砲。
- Reckless Discharge:無謀または危険な発砲行為を指す法的用語。
- CDC(Centers for Disease Control and Prevention):アメリカ疾病予防管理センター。公衆衛生、事故防止、疫学調査などを担う機関。
- ft-lbf(フットポンド):マズルエナジーを表す単位で、弾丸が銃口を離れる瞬間の運動エネルギーを示す。
- マズルエナジー(Muzzle energy):弾丸が銃口を離れた瞬間に持つ運動エネルギーで、弾薬の威力指標として用いられる。
- 弾頭重量(Bullet weight):弾丸の質量で、発射速度や運動エネルギーに影響を与える要素。
- 発射角度(Elevation angle):銃を構えた際の水平線に対する角度。
- 実弾(Live ammunition):火薬と弾頭を備え、発射可能な状態にある弾薬。
参考文献
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- What Happens to a Bullet Shot Straight Up in the Air?




