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移動目標の狙撃で使用する二つのテクニック

移動する目標(ムービング・ターゲット)を狙撃する方法を解説するために作った動画をボツにしようと半年間放置していましたが、折角なので公開します。

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狙撃は距離や環境によって撃ち方を変えるのが一般的です。現実とゲームの世界は全く別ですが、「見越し撃ち(リード/Lead)」をする点は同じといえるでしょう。発射から着弾までの弾道とターゲットの移動速度を計算し、ターゲットの移動先に着弾するよう射撃します。ということで、今回はゲーム動画を利用して解説します。

 

.338ラプアマグナムを使用した場合

例えば、スナイパーの北方向500ヤードにターゲットが存在し、そのターゲットは時速4kmで東から西に進んでいるとします。気温は15度、無風、スナイパーとターゲットの位置は同じ標高(海抜ゼロ)です。スナイパーが使用する弾薬は.338ラプアマグナム(シエラ・マッチキング)で、弾頭重量250グレイン(弾頭の種類はBTHP)。初速はおよそ2900fpsで発射され、500ヤード地点で2157fps、飛行時間は約0.6秒です。時速4kmのターゲットが0.6秒で移動する距離は約67cmなので、ターゲットの進行方向67cm先を狙って発射すれば命中する計算です。

同じ条件でターゲットが時速4kmで北東から南西に移動している場合は、スコープを通して見ると東から西への移動スピードが半分の時速2kmとなるので、狙うポイントもターゲットから西側へ33.5cmを狙うことになります。

 

.308Winの場合の参考データ

.308Win 168グレイン マッチブレット
距離(ヤード) 0 100 200 300 400 500 600 800 1000
弾速(fps) 2650 2460 2278  2130 1936 1778 1631 1369 1167
ドロップ(インチ) -1.5 2.1 0 -8.8 -25.6 -51.6 -88.6 -205 -398.1
ドリフト(インチ) 0 0.8 3.1 7.3 13.6 22.1 33.2 64.1 108.1

 

.308Winを使用した場合に必要なリードの距離

同一距離で比較した場合、ターゲットの移動速度が速くなるほど狙点とターゲットの間隔が長くなります。

.308Win 168グレイン マッチブレット
距離(ヤード) 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
徒歩(インチ) 7 13 21 29 37 46 56 68 80 93
急ぎ足(インチ) 13 26 42 57 74 92 113 135 158 185
ダッシュ(インチ) 21 44 68 95 122 154 187 224 264 306
飛行時間(秒) 0.11 0.24 0.38 0.53 0.70 0.87 1.06 1.27 1.50 1.75

 

トラッピング(Trapping)

トラッピングとは「待ち伏せして撃つ方法」です。ターゲットの移動先を予測し、予め狙う場所を固定してターゲットが狙点に入った瞬間に射撃します。銃を固定してターゲットの動きを利用する方法なのでブレが少なく、長距離射撃に適しています。また、近距離~中距離では、ターゲットが遮蔽物に隠れようとする瞬間など、ターゲットが何をしようとしているか行動が予測できる場合に命中率が高まります。

 

トラッキング(Tracking)

トラッキングとは「ターゲットと一緒に動き、リードの距離を維持しながら狙う方法」です。近距離~中距離で利用されますが、距離が近いほどマズルの移動距離が大きくなるため、射撃姿勢に注意が必要です。本来、銃を静止させることが狙撃の基本であるところを、左右に振るという動作を加えるのは難易度の高い射撃テクニックが要求されることはいうまでもありません。

米海兵隊のスナイパー教官John Plaster曰く、「何度もドライファイア(空撃ち)して練習しろ」だそうです。また、「右利きの射手が右から左へ移動するターゲットを狙う場合、リードを1~2倍増やすと良い」とする教官もいるようです。

動画ではトラッピングとトラッキングを併せた狙撃もしています。途中までターゲットと一緒にレティクルが移動し、少し追い越したところで静止して射撃する方法です。わかりにくい動画かもしれませんが、トラッピングとトラッキングの違いが伝われば幸いです。

普段ARMA2で遊んでいるときはスムーズなのに、録画すると少しカクカクします。古いマシンなのでそろそろグレードアップしたい・・・。

 

 

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