マシンピストルの構造【前編】

ベレッタM93Rの3点バーストと、G18のようなフルオートの拳銃の仕組みを教えてください。

vp70のようなストックを取り付けることで射撃モードが変わる銃の構造はどうなっているのでしょう。

マシンピストルについてご質問を頂いたので、フルオートの構造について解説したいと思います。

ベレッタM93Rの基本構造

93Rはトリガーを一回引いて一発発射するセミオートと、一回引いて三発発射する3点バーストの機能が備わっています。

三点バーストの構造を解説する前に、まずセミオートの構造を確認したいと思います。

以下は内部構造です。

ハンマーはハンマースプリングによって回転しようとしますが、シアーによって回転を阻止されています。

トリガーを引くとトリガーバーが前進し、それによってシアーが前へ引っ張られてハンマーを解放します。

解放されたハンマーは回転し、ファイアリングピン(図:緑の棒状パーツ)を叩いて弾が発射されます。

シアーとトリガーバーの接触部に注目すると、シアーの「出っ張り部分」にトリガーバーが接触しているのが分かります。トリガーバーは、この突起部でシアーを引いています。

引っ張られたシアーはハンマーを解放し、発射によってスライドが後退するとトリガーバーが下方へ落ちます。

すると、シアーがトリガーバーから解放され、ハンマーの回転を再度阻止します。

これにより、トリガーを一回引くと一発発射される動作が繰り返されます。

93Rのバーストメカ

続いて3点バーストの構造です。

セミオートより少し複雑な構造に見えますが、内容はシンプルです。

フルオートで撃つ場合、トリガーが引いている間はシアーがハンマーの回転を阻止しない必要があります。

そのため、フルオート専用シアーであるオートシアーを追加し、セミオート時に使用するシアーは、最終弾発射後に作動する構造に設計されています。

図1番のオートシアーは、1発目と2発目を発射後にハンマーを停止させます。オートシアーはスライドが前進するたびにハンマーを解放しますが、セミオート時は通常のシアーがハンマーを停止させるため、その間オートシアーは無意味に動き続けます。(オートシアーは常にスライドの動きと連動する)

図2番のトランスファーレバーは、スライドが後退すると、スライド内の溝の傾斜によって上下に移動します。(スライド後退中は下降する)

図3番のディスエンゲージャー・ロッカーレバーは、2番に押されて4番を押し下げるためのパーツです。

図4番のコントロールレバーは、トリガーバーを下方へ落としてシアーを解放するためのパーツです。

図5番のアレストレバーは、下降した4番を上昇させないように固定する「ストッパー」の役目を果たします。

1発目発射直後

1発目はセミオート時と同様に、トリガーバーがシアーを引いてハンマーを解放し撃発します。

スライドが後退を始めると、ディスエンゲージャー・ロッカーレバーの爪がコントロールレバーを押し下げます。

するとアレストレバーの爪が一段下降したコントロールレバーを引っ掛け、上昇しないように固定します。(コントロールレバーはスプリングによって上昇しようとするテンションが常に掛かっています)

この時点では、まだコントロールレバーとトリガーバーの間に隙間があり、トリガーバーはシアーを前へ引っ張ったままです。※中央、楕円形の穴に注目。

一方、オートシアーはスライド後退によってハンマーの回転を阻止する位置についています。

2発目発射直後

作動内容は1発目と同じですが、コントロールレバーがもう一段下降しました。

コントロールレバーとトリガーバーが接触しますが、この段階ではまだトリガーバーは下降していません。

3発目発射直後

コントロールレバーが更にもう一段押し下げられると、コントロールレバーがトリガーバーを下方へ引っ張ります。

トリガーバーが下降すると通常のシアーが解放され、ハンマーの回転を阻止します。

これにより、通常のシアーがオートシアーより手前の位置でハンマーの回転を阻止し、オートシアーはストッパーとしての役目を果たさなくなります。

トリガーから指を離してトリガーが前進した状態

トリガーが前進するとトリガーバーが後退し、スプリングの力によってトリガーバーが上昇します。

すると通常のシアーの出っ張り部分と接触し、トリガーを再度引けばシアーを引いてハンマーを解放します。

トリガーバーの後退によりコントロールレバーも後退するため、アレストレバーから解放されてコントロールレバーが上昇し、3点バーストのカウントがリセットされます。

3点バーストとセミオートの比較

セミオートではディスエンゲージャー・ロッカーレバーが前進し、爪がコントロールレバーから離れています。

この状態でトリガーを引いても両者の爪は接触しないので、トリガーを一回引けば一発発射されて停止します。

トリガーは、スライドの前後運動によるトランスファーレバーの上下運動によってリセットされます。

グロック

続いてグロックの構造ですが、グロックは非常にシンプルです。

発射準備完了状態

グロックでは、トリガーを引くとトリガーバー(図赤)が後退します。

シアーはトリガーバーと同一パーツです。

シアーがストライカー(図紫)を直接押し下げてストライカーを解放し、撃発に至ります。

ストライカーが解放され、前進した状態

ストライカーを解放する際、後退したトリガーバーはコネクター(図ピンク)の傾斜に沿って下降します。

この下降によってストライカーとの接触が断たれます。

スライドが後退を始めると、スライド内側に設けられた傾斜によってコネクターが内側へ傾きます。

コネクターが傾くと、トリガーバーがコネクターから解放されて上昇し、スライド前進時にシアーがストライカーをストップさせます。

これで次弾の発射準備が完了します。

では、この構造でフルオート化させるにはどうすれば良いでしょうか?

答えは簡単です。スライド側に突起を追加し、スライドが前進する度にシアー(トリガーバー)を押し下げるとフルオート化します。

Photo via DHgate.com

Photo via US5705763

これは通常のグロックピストルをフルオート化するフルオートスイッチです。

スライドの後部(バックプレート部)に装着し、スライドが前進するとフルオートスイッチから突き出た傾斜付ディスコネクターがシアーを押し下げるというシンプルな構造です。

一方、グロック18ではスライドに備わったセレクターにより、スライドの下側から突起を出してフルオート化させています。

両者の方法は異なりますが、いずれも原理は同じです。

トリガーが前進すると、トリガーバーも前進して突起と接触が断たれ、発射が停止します。

因みに、アメリカではグロック用フルオートスイッチをネット上で購入可能ですが、所持にはライセンスが必要(80%スイッチも含む)ですので、安易に購入しないようご注意ください。

次回の「マシンピストルの構造【後編】」では、H&K VP70Mのバースト構造について解説します。


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