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アメリカの警察が使用している銃とは? ピストルの種類や採用条件を解説

アメリカ警察の銃サムネイル画像

1980年代後半までアメリカの法執行機関は主にリボルバー(.38スペシャルや.357マグナム)を採用していました。リボルバーは構造がシンプルで誰でも扱いやすく、信頼性の高さが評価されていました。

しかし、1980~1990年代に信頼性の高い大容量のハイキャパシティー・マガジンが備わったセミオートピストルが普及するようになると、それまで法執行機関で使用してきたリボルバーの装弾数(5~6発)では不十分となり、リボルバーからセミオートピストルへと置き換えるようになりました。

アメリカの法執行機関で装備近代化のきっかけとなった事件には、「ノルコ銃撃事件(1980年)」「FBIマイアミ銃撃事件(1986年)」「ノースハリウッド銃撃事件(1997年)」などがあり、多くの被害を出した事件の教訓から火力を増強した歴史があります。

現在、アメリカの法執行機関ではGlock、S&W、H&Kなどの有名銃器メーカーの製品を採用し、使用弾薬には9mm弾や.40S&W弾が多く利用されています。

この記事では、こうした銃器を中心に、アメリカの法執行機関が現在採用しているピストルを詳しく紹介します。

この記事(全4ページ)では、次のことを学べます:

  • いろいろな銃の特徴:(1~3ページ目で解説)
    • GlockS&WSIG SauerH&KFN HerstalBerettaSpringfield Armoryなど、アメリカの法執行機関で使われている銃について、その特徴を知ることができます。
    • それぞれの銃がどんな特徴を持っているのかを詳しく紹介します。
  • どんな組織が使っているのか:(1~3ページ目で解説)
    • 各銃がどんな法執行機関で使われているのか、具体的な例を通して知ることができます。
    • 銃を選ぶ理由や背景を理解することができます。
  • 警察が銃を選ぶ基準:4ページ目で解説)
    • 日本とアメリカの警察の違いを解説。
    • 銃と弾薬の選定方法、カスタマイズ規制、メンテナンス、ルールなどについて学べます。
  • なぜ同じ銃を使うのか:4ページ目で解説)
    • 警察がなぜ同じ銃を使うことが多いのか、その理由とメリットについても説明します。
  • すべてを網羅するものではありません。代表的な一部のみの紹介です。
  • 装弾数は標準的なマガジンの装弾数です(薬室装填は含まない)。

Glock(グロック)

グロック社画像
GLOCK Inc. Smyrna, GA – USA 画像出典:eu.glock.com

Glock(グロック)は、オーストリアの銃器メーカー「Glock Ges.m.b.H.」が製造するブランドです。

1980年にオーストリア軍が新しい制式採用ピストルの入札を発表したため、銃器設計の経験がなかったガストン・グロック氏(1929~2023年)がポリマー素材の知識を活かしてGlockピストルを開発しました。

このピストルはGlock社の製品で17番目の特許となったことから「Glock 17」と名付けられました。

Glockピストルは、ポリマー製フレーム、ショートリコイル、ストライカー式、ロックドブリーチという特徴があります。

  • ショートリコイル:
    • 銃の発射時に、銃身とスライドが短い距離を同時に後退し、その後に銃身が停止してスライドだけが後退を続ける作動方式。反動を利用して次弾の装填を行う構造。
  • ストライカー式:
    • ハンマーを使わず、内部のバネで圧縮されたストライカー(撃針)を解放して撃発する方式。部品が少なくシンプルな構造で、軽量化や小型化が容易な設計。
  • ロックドブリーチ:
    • 発射時の高圧ガスに耐えるため、スライドと銃身を一時的にロックし、圧力低下後にロックを解除する機構。これにより強力な弾薬に対応可能。

Glockピストルは1982年に「P80(ピストル80)」としてオーストリア軍に採用。高い信頼性と安全性により、軍の他、法執行機関や民間市場でも高く評価されています。

現在では少なくとも48か国の軍や警察で採用され、競技や自衛目的での民間利用も広がっており、1992年までに350,000丁以上を販売。特にアメリカ市場で大きな成功を収めています。

Glockピストルは第一世代から第五世代まで発展しています。

世代主な特徴
第1世代 (Gen 1)スムーズな「ペブルフィニッシュ」のグリップ
フィンガーグルーブなしのフレーム
ペンシルバレル(細い銃身)
「タッパーウェア」スタイルのプラスチックガンケース (初期モデル)
第2世代 (Gen 2)チェッカー仕様グリップ
銃身の肉厚増加
第3世代 (Gen 3)アクセサリーレール採用(ユニバーサルグロックレール)
レーザーやタクティカルライトの装着が可能に
第4世代 (Gen 4)反動を抑えるデュアルリコイルスプリングシステム
モジュラーバックストラップシステム (グリップサイズ調整可能)
大型化したマガジンキャッチ
粗いテクスチャーのフレーム
改良されたトリガーハウジング
第5世代 (Gen 5)アンビ(両利き対応)のスライドストップ
グリップのフィンガーグルーブ廃止
フレア加工されたマグウェル (マガジン挿入が容易に)
マッチグレードの「グロックマークスマンバレル」(命中精度向上)
スライドとバレルに耐久性の高いnDLCフィニッシュ

Glock 17

銃の画像
Glock17 画像出典:Glock
使用弾薬装弾数
9x19mm17発

Glock 17は、1982年に登場した9mm弾を使用するセミオートピストルです。当初は民間モデルとして「Glock 82」という名称が検討されましたが、最終的に「Glock 17」と命名されました。

スタンダードなマガジン装弾数は17発ですが、様々なバリエーションが展開されています。「+2ベースプレート(エクステンション)」を利用することで19発まで増量可能で、装弾数規制のある地域向けには10連マガジンも用意されています。さらに、装弾数24発や33発のマガジンも使用できます(33連マガジンはフルオートモデルのGlock 18用として知られていますが、他の9mm仕様Glockピストルとも互換性があります)。

Glock 17の特徴の一つは、豊富なカスタマイズ性です。サプレッサーに対応するスレッドバレル、光学機器搭載に対応するモジュラーオプティックシステム(MOS)対応スライド、ウェポンライト搭載に対応するユニバーサルGlockレールなど、豊富なアクセサリー類に対応した選択肢が用意されています。

また、Glock 17には複数の派生モデルが存在します。

  • Glock 17L(1988年): ロングスライドモデル。初期モデルにはポーテッドバレル装備
  • Glock 17C(1996年): ポーテッドバレルによってマズルジャンプを軽減
  • Glock 17M(2016年): FBI仕様モデルとして開発され、その仕様が第四世代に引き継がれた
  • Glock P80(2020年): 初代Glock 17の記念復刻版
筆者
筆者

Glockピストルはボアアクシス(銃身軸)が低く配置されているため速射性が高く、とても撃ちやすい銃です。トリガープルがMGCのGlock(ガスガン)と似ていると思うのは私だけでしょうか・・・。Glock 17の長所は、「装弾数が多い」「信頼性が高い」「命中精度が高い」「マズルジャンプが小さい」「カスタマイズ性に優れる」です。短所は、「サイトが貧弱」「トリガープルが並レベル」ですが、手が大きいユーザーにはスライド後退時にスライドが手に接触する「スライドバイト」の問題や、フィンガーグルーブが備わったモデルでは、万人の手にフィットしないなどの問題があります。

Glock 17 採用組織例

  • 連邦捜査局 (FBI)
  • アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局 (ATF)
  • 麻薬取締局 (DEA)
  • ボルチモア市警察 (メリーランド州)
  • コロラド州立大学警察 (コロラド州)
  • カンザス州ハイウェイパトロール (カンザス州)
  • ニューヨーク市警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州立大学警察 (ニューヨーク州)
  • サウスカロライナ州ハイウェイパトロール (サウスカロライナ州)
  • ダラス警察 (テキサス州)
  • ヒューストン警察 (テキサス州)

Glock 19

銃の画像
グロック19 画像出典:us.glock.com
使用弾薬装弾数
9x19mm15発

Glock 19は、1988年にGlock 17のコンパクトバージョンとして登場したモデルです。

銃身とグリップを約12mm短縮することで携帯性を高め、軍や法執行機関で広く採用されています。

スタンダードマガジンの装弾数は15発ですが、ニーズに応じて様々なマガジンを使用できます。10連マガジンの他、+2ベースプレートを装着することで17発まで増量可能。さらに、Glock 17やGlock 18用のマガジン(17発、19発、24発、33発)との互換性もあります。

スライドを除く多くのパーツがGlock 17と互換性があり、スレッドバレルやMOS(モジュラーオプティックシステム)対応スライドカットなど、カスタマイズオプションに対応しています。

主要な派生モデル

  • Glock 19X
    • アメリカ軍XM17モデルの民間バージョン
    • Glock 19のスライドとGlock 17のコヨーテカラーフレームを採用
    • Gen 4マガジンに対応
    • ナイトサイトと複数のマガジンを標準装備
    • 発売から6ヶ月で10万丁以上の販売実績
  • Glock 19M(2016年)
    • FBI仕様のコンパクト9mmモデル
    • フィンガーグルーブを排除
    • アンビスライドストップを採用
    • フレアマガジンウェルを装備
    • アメリカ海兵隊でM007として採用

その他、カナダ市場向けに製造された「Glock 19 カナディアン」は、106mmバレルを採用し、スライド右側にメープルリーフのレーザー刻印が施されています。

Glock 19は、コンパクトなサイズながら高い拡張性を持ち、Glockシリーズの中でも特に高い人気を誇るモデルです。

筆者
筆者

G19はコンパクトでありながら十分な装弾数を持ち、各国の軍や特殊部隊でも採用されています。個人的にGlockシリーズで最もおすすめのモデルです。

Glock 19 採用組織例

  • アメリカ陸軍特殊作戦コマンド (USSOCOM)
  • アメリカ海兵隊特殊作戦コマンド
  • アメリカ海軍シールズ
  • アメリカ税関・国境警備局
  • アメリカ沿岸警備隊
  • 連邦捜査局 (FBI)
  • アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局 (ATF)
  • 麻薬取締局 (DEA)
  • コロラド州立大学警察 (コロラド州)
  • ニューヨーク市警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州立大学警察 (ニューヨーク州)
  • ニュージャージー州警察 (ニュージャージー州)
  • 港湾局警察 (ニュージャージー州/ニューヨーク州)
  • ダラス警察 (テキサス州)

Glock 22

銃の画像
Glock22 画像出典:Glock
使用弾薬装弾数
.40S&W15発

Glock 22は、1990年に登場した.40 S&W弾対応のフルサイズピストルです。

.40 S&Wのサイズと威力に対応するよう調整され、信頼性とパワーを兼ね備えたモデルです。

スタンダードマガジンの装弾数は15発ですが、他にも装弾数の選択肢が用意されています。

  • スタンダードモデル:15発
  • 弾数規制対応モデル:10発
  • +1ベースプレート装着時:16発
  • 拡張マガジン:22発
  • 拡張マガジン+1:最大23発

Glock 22は、.40 S&W弾の高いストッピングパワーとGlockブランドならではの堅牢な設計により、法執行機関から高い評価を得ています。

豊富なカスタマイズオプションと実用的な性能を備え、第一線で活躍し続けている信頼性の高いモデルです。

筆者
筆者

1993年の映画「逃亡者」でトミー・リー・ジョーンズ(連邦保安官補役)が装備していたのがGlock 22(Gen2)でした。Glock 22はトリガーリセットやグリップの大きさに不評があり、手の小さい射手には向かないかもしれません。しかし、法執行機関で採用されるなど、一定の評価を受けています。

Glock 22 採用組織例

  • 連邦捜査局 (FBI)
  • アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局 (ATF)
  • 麻薬取締局 (DEA)
  • アラスカ州警察 (アラスカ州)
  • ボルチモア市警察 (メリーランド州)
  • ニューヨーク市警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州立大学警察 (ニューヨーク州)

Glock 26

Glock 26画像
Askild Antonsen, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
使用弾薬装弾数
9x19mm10発


Glock 26は、1995年に登場した9mm弾を使用するサブコンパクトピストルです。

民間市場向けに開発されながら、その優れた性能によりアメリカ海軍ではMK 26として採用されています。

従来モデルからの単純な小型化ではなく、以下の要素を再設計することで、コンパクトながら高い性能を実現しています。

  • 2本指でグリップされる新設計フレーム
  • 専用設計のロッキングブロック
  • 改良型スプリングアセンブリ
  • デュアルリコイルスプリング採用

Glock 26はGlock 19よりもさらにコンパクトな設計ながら、豊富なマガジンオプションも用意しています。

  • スタンダードマガジン:10発
  • +2エクステンション装着時:12発
  • 互換マガジン:Glock 17、19、18用(最大33発)まで使用可能

MOSオプション対応ですが、ユニバーサルレールは備わっていません。(携帯性重視設計)

アメリカ税関・国境警備局向けGen 5モデルでは、以下の特徴があります。

  • フレア付きマガジンウェル
  • 延長グリップ
  • 11連マガジン対応

Glock 26は、高い携帯性と拡張性を両立し、コンシールドキャリー(隠匿携帯)用ピストルとして確固たる地位を築いています。

コンパクトなサイズながら本格的な性能を備え、実用性の高さから高い評価を得ています。

筆者
筆者

コンパクトで予備のバックアップガンとしても利用されます。映画「ジョン・ウィック」に登場していることでも有名です。携帯性を重視した設計のため、「レール類が無い」「装弾数が少ない」「グリップが安定しにくい」「有効射程距離が短い」などの妥協点があります。

Glock 26 採用組織例

  • アメリカ特殊作戦軍 (USSOCOM)
  • アメリカ海兵隊特殊作戦コマンド
  • アメリカ海軍シールズ
  • アメリカ税関・国境警備局
  • アメリカ沿岸警備隊 (国土安全保障省)

Glock 27

銃の画像
Glock27 画像出典:Glock
使用弾薬装弾数
.40S&W9発

Glock 27は、Glock 26の.40口径バージョンです。

.40S&Wを使用し、スタンダードマガジンでは装弾数9発ですが、+1ベースプレートで10発に増やすことも可能です。さらに、Glock 22や23のマガジンを使えば、13発から22発まで対応します。

小型ながらも高い火力を持ち、専用のスペーサーを使えば長いマガジン使用時でも快適なグリップを実現可能。

携帯性と拡張性を両立させたGlock 27は、コンシールドキャリー(隠匿携帯)用ピストルとして、法執行機関や民間のユーザーに支持されています。

筆者
筆者

Glock 27はメディアへの露出も少なく、Glock 26と比較すると知名度が低いところがありますが、バックアップとして利用する場合にメインの.40口径ピストルと共通の弾薬を使用したいユーザーには重宝されます。

Glock 27 採用組織例

  • ケンタッキー州警察 (ケンタッキー州)
  • トリッグ郡保安官事務所 (ケンタッキー州)
  • ニューヨーク市警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州警察 (ニューヨーク州)
  • ニューヨーク州立大学警察 (ニューヨーク州)

S&W(スミス&ウェッソン)

スミスアンドウェッソン社画像
S&W社1908年 Detroit Publishing Co., Public domain, via Wikimedia Commons

S&W(スミス&ウェッソン / Smith & Wesson Brands, Inc.)は、1852年に創業されたアメリカの有名銃器メーカーで、ホレース・スミス氏とダニエル・B・ウェッソン氏によって設立されました。

リボルバーやピストルをはじめ、ライフル、ピストルカービン、レバーアクションライフル、手錠、サプレッサー、その他の銃器関連製品を製造しており、「Smith & Wesson」「M&P」「Gemtech」などのブランド名で販売されています。

S&W 5946

S&W 5946画像
S&W 5946 72stormer, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
使用弾薬装弾数
9x19mm15発

S&Wモデル5946は、法執行機関向けに設計されたピストルで、過酷な環境にも耐えられる耐久性が備わっています。1990年から1999年まで製造されていました。

最大の特徴は、オールステンレススチール製のボディです。これにより、サビや摩耗に強く、長期間にわたって機能を維持します。

また、ダブルアクションオンリー(DAO)トリガーを採用しており、トリガーを引くことで連動してハンマーがコックされ、発射される仕組みになっています。この設計により、誤射のリスクが低減して安全性が向上した他、高い背即応性を持ちます。

主な特徴は以下の通り。

  • 装弾数: 15+1発
  • グリップ: 手のサイズを問わず快適に握れるデザイン。滑り止め加工により、濡れた手でも安定したグリップが可能
  • スリードットサイト: 視認性が高く、初心者にも扱いやすい設計
  • 重量:約1kgの重量があり、他の9mmピストルよりも反動が軽い

S&Wモデル5946は法執行機関に求められる耐久性、安全性、精度を兼ね備えた優れたピストルで、同シリーズのモデル5906は日本の海上保安庁でも採用されています。

S&W 5906 Image courtesy of dorotheum.com

モデル5900シリーズは、スミス&ウェッソン社が1989年から1999年にかけて製造した人気のシリーズです。シリーズにはいくつかのバリエーションがあり、それぞれに特徴があります。

  • モデル5903:
    • 1990年から1997年まで製造され、アルミ合金のフレームとステンレススチール製のスライドを特徴とし、15発のダブルスタックマガジンを装備しています。
  • モデル5904:
    • アルミ合金フレームとスチールスライドを採用し、15発のマガジンを装備しています。このモデルは、後にModel 915とModel 910という2つの派生モデルに影響を与えました。
  • モデル5905:
    • 1991年にごく少数生産された、スチール製(ブルーフィニッシュ)のスライドとフレームを装備したモデルです。
  • モデル5906:
    • 1989年から1999年まで製造されたオールステンレススチール製のモデルで、アルミフレームのモデルに比べてかなり重くなっています。
  • モデル5946:
    • 1990年から1999年にかけて製造されたステンレススチール製のダブルアクション専用バリアントで、セーフティーレバーを省略した設計が特徴です。カナダ王立騎馬警察やオースティン警察などで使用されています。
  • モデル5967:
    • 1990年に限定500丁のみ生産された特別なエディションで、3914のカーボンスチール製スライドを5906のステンレススチール製フレームに組み合わせ、2トーンのタンポリマーフィニッシュとHogue製グリップを装備しています。
モデル製造期間特徴
59031990年〜1997年アルミ合金フレーム
ステンレススチール製スライド
15連ダブルスタックマガジン
59041989年〜1998年アルミ合金フレーム
スチール製スライド
15連マガジン
59051991年のみスチール製スライドとフレーム
限定生産
59061989年〜1999年オールステンレススチール製
アルミフレームモデルより重い
59461990年〜1999年ステンレススチール製
ダブルアクション専用
セーフティーレバーなし
59671990年のみ特別エディション
500丁限定
2トーンのタンポリマーフィニッシュ

筆者
筆者

ビデオゲーム「バイオハザード」では、ジルバレンタインが「Beretta 92FSサムライエッジ」を装備していましたが、映画版ではS&W 5946とBeretta 92FSを装備していました。S&W 5946は現在では古い銃となりましたが、トリガープルのスムーズさと信頼性は高く評価されています。

S&Wモデル5946 採用組織例

  • ニューヨーク市警察 (ニューヨーク州)

S&Wモデル5906 採用組織例

  • ロサンゼルス警察(カリフォルニア州)
  • シカゴ警察(イリノイ州)
  • コロラド州警察(コロラド州)

S&W M&P9

銃の画像
画像出典:nrawomen.com
使用弾薬装弾数
9x19mm17発

S&W M&Pは、2005年に登場したポリマーフレームのピストルで、もともとは法執行機関向けに設計されましたが、現在では民間市場でも広く販売されています。(金属フレーム版も存在します)

S&W シグマ(Sigma)およびSW99の設計を進化させたハイブリッド型で、改良されたトリガーとエルゴノミクス※によりカスタマイズが可能。グリップは18°の角度で設計されており、より快適な操作感を実現しています。

銃におけるエルゴノミクス(人間工学)とは、ユーザーが銃を快適かつ効果的に使用できるように設計することです。手にフィットするグリップ、バランス、反動の吸収、自然な照準位置、アクセサリの配置などが含まれます。これにより、射撃の精度が向上し、長時間の使用でも疲れにくくなります。

M&Pには以下の特徴があります。

  • ストライカー式トリガーシステムを採用し、トリガーを完全に引かない限り発射されない安全設計
  • Zytelポリマー製フレームにステンレ製シャーシを組み込み、軽量ながら高い剛性を確保
  • スライドとバレルにはメロナイト処理を施し、耐摩耗性と硬度が向上
  • 低く設計されたスライド配置によりマズルジャンプを抑え、速射が容易
  • スライドはフレームと4点で接触し、非接触部分から異物が落とされる「セルフクリーニング機能」搭載
  • トリガーはGlockシリーズと類似した部分的テンション型のストライカーシステムを採用
  • モデルによってトリガープルの抵抗が異なり、競技向けには軽めのトリガープルを採用
  • アイアンサイトはスリードットで、スライドにドーブテールで取り付けられ、ウィンデージ(左右)調整が可能
  • 前部フレーム下にピカティニーレイルを搭載し、タクティカルライトやレーザーなどのアクセサリーを装着可能
  • 10連マガジン版や、ノバックのトリチウムナイトサイトなどのオプションを用意

M&Pは、安全性、耐久性、操作性を兼ね備えた多用途なピストルであり、法執行機関だけでなく、一般市場でも高い評価を得ています。

現在ではバージョンアップされたM&P M2.0が販売され、以下の改善点があります。

  • トリガー改善: 軽いトリガープル(5.2ポンド→4.4ポンド)と明確なリセット感。
  • グリップテクスチャ: より滑りにくいアグレッシブなデザイン。
  • スライド操作: 引き操作の負担が軽減(23.3ポンド→21ポンド)。
  • 分解安全性: トリガーを引かずに分解可能なシステム搭載。
筆者
筆者

映画「ダイ・ハード/ラスト・デイ」やアニメ「リコリス・リコイル」で有名なピストルです。M2.0登場によるトリガープル改善で評価が上がりました。グリップの滑り止め効果も強化されましたが、逆に効果的過ぎて「携帯時に衣服が傷む」という声もあります。

S&W M&P9 採用組織例

  • ロサンゼルス市警察 (LAPD)
  • ロサンゼルス郡保安官事務所 (LASD)

S&W M&P40

銃の画像
画像出典:academy.com
使用弾薬装弾数
.40S&W15発

S&W M&P .40 S&Wは、法執行機関、軍、民間向けに設計された.40 S&W弾を使用するストライカー式セミオートピストルです。

基本性能は9mm版と同じですが、フルサイズモデルを比較すると以下の違いがあります。

項目.40 S&W9mm
弾頭重量135〜180グレイン115〜147グレイン
マズルエナジー350〜500 ft-lbf320〜420 ft-lbf
反動大きめ小さめ
射撃速度と精度反動の影響で速射が遅れがち速射性が高く、高い命中率
マガジン装弾数15発17発
銃の重量687g(M&P40)680g(M&P9)
弾薬のコストと流通やや高価で入手が難しい安価で入手しやすい

.40口径版と9mm口径版はどちらも優れた性能ですが、最終的な選択は、射手の好み、スキルレベル、用途によります。

筆者
筆者

.40S&Wは9mmよりも反動が大きいですが、平均的な日本人の私でも15ヤード離れたターゲットに速射で命中させることは容易でした。S&W M&P40は撃ちやすくバランスの良いピストルです。言葉で表現するのが難しいですが、シャープにキビキビ作動するというよりも、スライドやトリガーがヌルっと作動する「粘り」のような感覚があります。装弾数、命中率、コストなどを総合的に判断すると、個人的には9mm版モデルの方がおすすめです。

S&W M&P40 採用組織例

  • オースティン警察 (APD) (テキサス州)
  • コロンバス警察 (CPD) (オハイオ州)
  • コロラド州警察 (CSP) (コロラド州)
  • サンアントニオ警察 (SAPD) (テキサス州)
  • バーモント州警察 (VSP) (バーモント州)
  • ノースカロライナ州矯正局 (NCDOC) (ノースカロライナ州)

次のページでは「SIG Sauer」と「H&K」を紹介します。