.338ラプアマグナムという弾薬についてなのですが、「TRG-42等で使われ各国軍関係者の評価も高い」と耳にしました。良く知られている.308ウィンチェスター等と比べてどのような特徴があるのでしょうか?
.338ラプアマグナム(8.58x71mm)は強力なパワーを持つライフル弾です。

.338ラプアマグナム Photo via midwayusa.com
誕生の歴史
1982年、米国のリサーチ・アーマメント社(RAI)が米海兵隊の依頼で1500mの有効射程距離を狙えるロングレンジ・スナイパーライフルの開発を始め、それに対応する弾薬を模索しました。この過程で.50BMG口径のハスキンズ・ライフル(RAI M500)と.300ウィンチェスター・マグナム口径のM300が試作されますが、これらの弾薬では軍の要求する貫通力を満たしていませんでした。その後、.378ウェザビー・マグナムのケースを.338口径にネックダウンした弾薬が試されますが、これもフィーディングに問題があり採用されませんでした。
次に試作されたのは、ブラス・エキストルージョン社(Brass Extrusion Lab., Ltd. )が製造する.416Rigbyのケースを.338口径にネックダウンしたケースです。これはテストの結果、要求する性能を満たしたため採用されることとなります。弾頭はホーナディー(Hornady)社が担当し、新規設計された弾頭(弾頭重量250グレインのHPBT)が採用されました。
ところが、米陸軍による次のテストが予定されるなか、軍はシエラ社(アメリカ・カリフォルニア州)またはラプア社(フィンランド)のどちらかの弾頭を要求したため、最終的にRAI社はラプア社の弾頭を選択し、.338ラプアマグナムが完成。テストを経てその後も改良を重ね現在に至ります。
性能
.338ラプアマグナムは1500mの有効射程距離を持つ能力があり、1200mまでは音速以上のスピードを保ちます。高速で強力なパワーを持つため、対人用途だけでなく軽装甲に対しても有効とされています。
.308ウィンチェスターと比較した場合、ほぼ2倍のパワーがあると考えて良いでしょう。また、.308より速く弾頭重量も重く空気抵抗による減速率が低いため、より長距離射撃に適した弾薬といえます。
弾薬 | 弾頭重量 gr | 初速 MV fps | エナジー ME ft-lbf |
.338 ラプアマグナム | 250 | 2950 | 4830 |
.338 win | 250 | 2650 | 3899 |
.338 A-Square | 250 | 3120 | 5403 |
.338Rem ウルトラマグナム | 250 | 2860 | 4540 |
8.59mm (.338) Lazzeroni Titan | 250 | 3150 | 5510 |
.338 フェデラル | 210 | 2630 | NA |
.338-378 ウェザビー | 250 | 3009 | 5030 |
.308 win (7.62x51mm NATO) | 185 | 2495 | 2558 |