
この記事の要約:
- SHOT Show 2015 で展示された、珍品から最新モデルまで多様な銃器をピックアップ。
- Korth Sky Marshal や AF-2011A1 デュエラーなど、特徴的な構造や用途を持つモデルが多数登場。
- 中国製ショットガンや復刻 MP40 など、国際色豊かなラインナップが会場を賑わせた。
毎年ラスベガスで開催される SHOT Show は、世界中の銃器メーカーが最新モデルや独創的な試作品を披露する一大イベントです。2015 年も例外ではなく、復刻から奇抜な新設計まで、多彩な銃器が会場を埋め尽くしました。
本記事では、その中でも特に目を引いたモデルを厳選し、特徴や背景とともに紹介します。
コース・スカイマーシャル(Korth Sky Marshal)

ドイツのKorth社が発表したリボルバー「スカイマーシャル」は、装弾数6発、重量560gの軽量モデルです。
リボルバーでありながら、弾薬にはオートピストル用の9mm Paraを採用しており、シリンダーを含めた全長は13cmと非常にコンパクトに設計されています。

ポリゴナル・ライフリングに加え、バレル右側面にはMIL-STD-1913ピカティニレイルを備えており、レーザーなどのアクセサリーを装着することが可能です。

サムピースには上向き30度の角度が付けられており、不用意にシリンダーが開放されることを防ぐ目的があるとされています。ただし、この構造が操作性にどのような影響を与えるかは気になるところです。
確かに、リボルバーではホルスターへ収納する際にサムピースを押してしまう可能性も否定できません。
アーセナル・ファイアーアームズ ストライク・ワン
International Firearms Corporation Arsenal Firearms Strike One Speed

AF-1(ストライク・ワン)は2012年に初登場したため、最新モデルではありませんが、2015年には.40 S&Wおよび.357 SIGの口径バリエーションが追加される予定とされています。同社はロシア人とイタリア人の二名のオーナーによって運営されており、ロシア工場では地元の公的機関向けにAF-1(Strizh)ピストルを供給しています。一方、イタリア工場では公的機関と民間市場の双方に向けてAF-1ピストルを販売しています。さらに、2015年からはアメリカ市場において、オクラホマ州のインターナショナル・ファイアーアームズ・コーポレーション名義で民間向け販売が開始されました。
「ロシアン・グロック」と呼ばれることもありますが、グロックと同様にストライカー方式を採用しており、ファイアリングピンが開放されるまでの時間が短いことから、撃発スピードはピストルの中でも最高レベルといわれています。「ストライク・ワン」という名称も、この特徴に由来するとされています。また、グリップデザインを見るとわかるように、非常にハイグリップが可能な形状となっており、マズルジャンプを抑制する効果が期待できます。競技向けモデルとして、「ストライク・ワン・スピード」というバリエーションも用意されています。
アーセナル・ファイアーアームズ AF-2011A1デュエラー
Arsenal Firearms AF-2011 A1 Dueller

1911モデル誕生から100周年を記念して登場したダブルバレル1911ピストルは、世界中に大きな驚きを与えましたが、今回は新たにロングスライド・モデルが追加されました。「最高のストッピングパワー」と宣伝されていますが、「一度に二発発射されるのだから当然ではないか」と思わずツッコミを入れたくなるところです。
本モデルはSUS416ステンレスを使用した6.5インチのポーテッド・バレルを備えており、ポートは45度の角度で左右にガスが噴射される設計となっています。
ワルサー・HK G36 (.22LR)

ワルサー(ウマレックス)社がG36を.22LR口径で市場に投入しました。「ワルサーG36」という名称にはやや違和感を覚えるものの、同社は「世界中の銃を.22LR化して販売するつもりなのか」と思うほどの勢いでライセンスモデルを展開しています。これまでにUZI、MP5、1911、M4、HK416といったモデルを次々と.22LR仕様で製品化しており、今回G36が加わったことからも、市場で一定の需要があることがうかがえます。
.22LR弾は価格が安く、リコイルも小さく扱いやすいため、射撃を楽しむうえでは最適な弾薬といえるかもしれません。しかし、日本国内ではほとんどといってよいほど人気がないのが現状です。
湖南兵器工业责任有限公司 JD01 / M412
Hunan Ordnance JD01 and M412

中国・湖南省の资江机器有限责任公司(Zijiang Machinery)の傘下とみられる湖南兵器工业责任有限公司(Hunan Ordnance)が製造・販売している、アサルトライフル風のオートマチック・ショットガンです。同社は人民解放軍への納入実績もある企業であり、日本の立場から見ると、ある意味で複雑な印象を受ける存在といえるかもしれません。なお、この製品はガンパーツを輸入販売しているADCO社のブースで展示されていたようです。
JD01(画像手前)は12ゲージ(2-3/4、3インチシェル)に対応し、全長1088mm、バレル長480mm、重量3.8kg、装弾数5+1発という仕様です。一方、M412(画像奥)は同じく12ゲージ口径で、全長1050mm、バレル長538mm、重量4.3kg、装弾数5+1発となっています。JD01はサイドフォールディング・ストックを備えており、携行性の高さが特徴ですが、アメリカ市場ではM4スタイルの外観に加え、MIL-STD-1913ピカティニレイルを装備したM412の方が人気を得る可能性が高いと考えられます。

近距離で見ると黒いラッカー塗装のようにも見えますが、詳細は不明です。このあたりの“謎めいた仕上げ”は、中国製品らしい特徴ともいえるかもしれません。かつて仕事で中国の工場に通った際に受けたカルチャーショックを思い出させる部分もあります。この銃については不明点が多いため、今後、中国在住のガンマニアの友人にも確認してみたいと思います。
1月28日追記:
中国の友人にJD01について確認したところ、正式名称は「2010式18.4毫米半自动防暴枪」であると教えてもらいました。日本語に訳すと「2010式18.4mm半自動暴徒鎮圧銃」といったところでしょうか。英語資料ではハンティングやスポーツ用途として紹介されていますが、中国国内では暴徒鎮圧用として警察が使用しており、催涙弾や非致死性弾の発射に加え、38mm口径のランチャーを装着して運用される場合もあるようです。これは「97式18.4毫米防暴枪」の後継モデルにあたるとのことです。97式がポンプアクション方式であったのに対し、2010式ではセミオート方式へと変更されています。
私自身、以前に上海駅を訪れた際、警官が97式を携行しているのを目撃したことがあります。駅や空港といった重要インフラの警備において、主要装備のひとつとして位置づけられているのかもしれません。

湖南省资江机器有限责任公司と湖南兵器工业责任有限公司の関係についても尋ねたのですが、関係性は分からないということでした。英語資料だと傘下企業のようですが、私にはよくわかりません。
GSGシュマイザーMP40

個人的には非常に驚きました。GSG(ジャーマン・スポーツ・ガン)社が.22LR仕様のMP40やStG44、AK47などを販売していることは広く知られていますが、まさか9×19mm口径でMP40を復活させるとは思いませんでした。
ただし、販売開始は2016年以降になる見込みです。ヨーロッパ向けモデルでは、オリジナル同様のバレル長216mmとアンダーフォールディング・ストックが再現される一方、アメリカ向けモデルでは法規制に対応するため、カービン仕様として16インチバレルとサプレッサー風のバレルジャケットが装備される予定です。また、ピストルモデルではストックを省き、9.9インチバレルが採用される計画となっています。
CZ 1911 A1

CZが1911A1をモデルアップするというニュースについては以前ツイートしましたが、価格は849ドルに設定されたようです。ノリンコ製の1911A1であれば200ドル台で購入できますが、CZモデルはオリジナルよりもタイトなフィッティングによる高精度な仕上げが施されており、さらにステンレス・バレルを装備するなど、スペック面で上位に位置づけられています。
アングスタ・アームズ UDP-9
Angstadt Arms UDP-9

グロック用マガジンを使用できるSMGスタイルのピストル、UDP-9(9mm Para口径)が登場しました。本モデルはピストルカテゴリーに分類されるためストックは装備されておらず、セミオートのみの動作となっています。AR-15スタイルのレイルシステムを備えているため、各種アクセサリーの装着にも困らない構成です。価格は1,249ドルで、4月から発売される予定です。
ハイザー・ディフェンス .45ACP
Heizer .45ACP

以前、ハイザー・ディフェンスのPS1やPAR1について触れましたが、同社が新たに.45ACP口径のセミオート・ハンドガンを発表しました。業界最薄の.45ACPピストルを目指して設計されたモデルだけに、外側へ張り出したパーツがほとんどなく、携帯性を重視した銃であることがよくわかります。
.45ACPでありながらストレート・ブローバック方式を採用しているため、重量のあるスライドが搭載されていますが、リコイルスプリングはそれほど強くないとされています。マガジンは5発と7発(ロングマガジン)の2種類が用意され、価格は700ドル台での販売が予定されています。
デザートイーグル1911

マグナムリサーチ社がデザートイーグル1911を発表したのは、同社がKahr社の傘下に入った2010年のことでしたが、今回はその最新モデルが展示されました。ラインナップとしては、フルサイズモデルの1911G、4.33インチバレルを備えた1911C、そして3インチバレルを採用した小型の「アンダーカバー」モデルである1911Uが用意されています。

一方、デザートイーグルXIXは大阪のオバちゃんのような姿で展示。

アニマル柄だけでなく、マズル・コンペンセイターとレイルを装備したXIXもあります。
カー・アームズ GEN.2 プレミアム

カー・アームズ(Kahr Arms)社は、GEN.2プレミアムシリーズとして、同社のTP-9、TP-40、TP-45といったピストルをグレードアップし、競技用ピストルとして展開する計画を進めているようです。トリガーはストロークを30%短縮し、マガジンキャッチはリバーシブル仕様、さらにグロックスタイルのトリガーセイフティ、MIL-STD-1913ピカティニレイル、TRU-GLO製サイトなどを装備する予定とされています。
トーラスTCP “ウイング”

トーラスTCPのスライドに、いわば“羽”のような補助パーツが追加されました。小型スライドは掴みにくいという弱点がありますが、このパーツによりスライド側面に爪状の突起を設け、左右から開けやすくした構造となっています。市販状態のピストルにチャージングハンドルが装備されている例は珍しく、興味深い仕様といえるでしょう。握力の弱い女性や子どもでも扱いやすい点は大きな利点です。
口径は.380ACPで、装弾数は6+1発となっています。
トーラスM85

トーラスのもう一つのユニークな製品として、モデル85リボルバーが挙げられます。本モデルは、ハンマー・スパーを90度回転させることで取り外せる構造となっており、携帯時にはスパーを外すことでスナッグフリーのリボルバーとして使用できます。一方、射撃場ではスパーを装着することで、シングルアクションを楽しむことが可能です。
MULE・アダプティブ・ストレージ・ストック

ストック内部にピストルを収納するというアイデアは非常に興味深いものです。「後部が重くなることでバランスが悪化しそう」「結果としてメインウェポンが重くなるだけではないか」といったデメリットも思い浮かびますが、趣味の領域であれば十分に成立するコンセプトだと思います。創作の世界であれば、主人公に持たせたくなるような魅力的なギミックといえるでしょう。
コバルト・キネティクス BAMF

FourGuysGunsがFacebookにアップしていたAR-15ライフルのBAMFがギラギラしていました。同社はデュアル・ボルト・リリースを装備したAR15レシーバーを製造していたりとユニークな企業です。
まだ触れるべきモデルは沢山あると思いますが、ひとまず今回は以上です。
まとめ
SHOT Show 2015 は、単なる新製品展示にとどまらず、各国メーカーの思想や市場戦略が垣間見える場でもありました。
軽量化や高精度化を追求したモデル、クラシックの復刻、さらには中国メーカーの独自路線など、銃器業界の多様性が一層際立った年といえます。
今回取り上げた銃器はその一部にすぎませんが、技術の進化と市場の広がりを感じさせるラインナップでした。
