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ホローポイント弾(JHP弾)はジャムの確率が高い? FMJ弾との信頼性の違いを解説

ホローポイント弾は、高いストッピングパワーから自衛・警察用途で広く使われています。

しかし一方で、「ジャムを起こしやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。

なぜJHP弾はフルメタルジャケット弾(FMJ)に比べて給弾の信頼性が劣ると言われるのでしょうか?

この記事では、弾頭の構造や銃器の歴史からその理由を解説します。

ジャム(Jam)とは、銃の作動中に弾薬の装填や排出がうまくいかず、動作が停止してしまう故障全般を指す俗称です。

特に給弾不良や排莢不良などが原因で発生するトラブルです。

  • 作動不良の定義と分類
    • 給弾不良(Failure to Feed, FTF):マガジンから薬室へ新しい弾薬が装填されない
    • 排莢不良(Failure to Eject, FTE):撃ち終えた薬きょうが薬室から排出されない
    • ストーブパイプ:薬きょうが排出口に挟まり、煙突状に突き出す
    • ダブルフィード:2発の弾薬が同時に薬室へ進入しようとする
    • 弾詰まり(スクイブ):弾頭が銃身内に残留する
    • 不発(Misfire):撃針が雷管を叩いても発火しない
    • その他:薬室閉鎖前の射撃(半装填暴発)、雷管の軽打撃、エキストラクター破損など

ホローポイント弾(JHP)とFMJの基本的な違いとは?

JHP弾の構造と目的

ホローポイント弾画像

ホローポイント弾(Jacketed Hollow Point/JHP)は、弾頭先端に空洞を持つ設計が特徴です。

この空洞によって人体など柔らかい目標に命中した際に拡張し、貫通を抑えてストッピングパワー(目標を無力化する力)を高めることが目的です。

自衛・警察用途で多く採用されています。

ホローポイント弾についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

FMJ弾の構造と目的

ホローポイント弾画像

フルメタルジャケット弾(FMJ)は、鉛の弾芯全体が金属ジャケットで覆われており、形状は丸く滑らかです。

貫通力に優れ、軍用として広く使われています。

給弾時に障害が起きにくく、信頼性の高い形状です。

JHP弾がジャムしやすい理由とは?

弾頭形状の違いが信頼性に影響

フィードランプ説明画像

JHP弾はFMJ弾に比べて先端が平たく、空洞がある分、給弾時に「フィードランプ」や「薬室(チャンバー)」の入り口に引っかかりやすい傾向があります。

特に、ノーズプロファイル(弾頭前面の曲線形状)が鋭くないモデルほど、滑らかに装填されにくくなります。

フィードランプ(Feed Ramp)とは、弾倉(マガジン)から銃身(バレル)へ弾薬を送り込む際に、弾薬をスムーズに誘導するための坂道状の部品です。

弾薬の先端がこのランプに沿って滑り上がり、薬室(チャンバー)へとまっすぐに向かうように設計されています。

ピストルの内部画像

薬室(やくしつ/チャンバー/Chamber)とは、銃身(バレル)の後方にある、弾薬を装填して発射準備をするための部分です。

この空間に弾薬が収まることで、発射時に高圧ガスの力を効果的に利用できます。

リボルバーには装弾数と同数の薬室が備わっています。

旧型ピストルでは顕著な問題

ピストルジャム画像

ホローポイント弾は19世紀後半から利用されていましたが、当初は主にライフルやリボルバーで利用されていました。

1960年代に入ると、セミオートピストル向けとしてホローポイント弾が普及し、広く流行を始めたのは1980年代以降です。

しかし、ワルサーP38や1911ピストルのような初期の設計は、当時ホローポイント弾の使用を前提としていなかったため、弾頭形状や給弾特性との相性が必ずしも良くありません。

オリジナルの1911はフルメタルジャケット弾(FMJ)の使用を想定しており、初期のホローポイント弾では給弾不良や作動不安定が起きやすい傾向がありました。

こうした背景から、現代において当時の1911ピストルをホローポイント弾で運用する場合は、フィードランプの加工や給弾系統の調整が必要になる場合があります。

現代のピストルはJHP弾対応が進んでいる

フィードランプの改良

Glock30ピストル画像
Glock 30 Gen3 Jan Hrdonka en:User:Hrd10, Public domain, via Wikimedia Commons

グロック、S&W M&P、SIG P320などの近代的ピストルでは、フィードランプの角度や幅が改良され、JHP弾でも滑らかに薬室へ進入できる設計が施されています。

これにより、JHP弾の給弾信頼性は大幅に向上しています。

ネット上の都市伝説として「ポリマーフレームの柔軟性が微細な衝撃を吸収し、弾の装填を補助する」といった説もありますが、これには根拠がありません。

ポリマーフレームの柔軟性によって反動が吸収されるのは事実ですが、装填不良を防止する効果はありません。むしろ、マガジンと銃身の位置関係にズレが生じるとジャムのリスクが高くなる可能性があります。

信頼性の高いJHP弾とその選び方

実績あるJHP弾ブランド

ホローポイント弾画像

デフェンス用途や法執行用途で使用されるホローポイント弾薬の中でも、以下の5種類は特に高い作動信頼性が報告されています。

いずれもセミオートピストルでの使用実績が豊富で、給弾不良の発生率が低いとされています。

  • フェデラルHST(Federal HST)
    • 米国の法執行機関でも広く採用されており、高い信頼性が実証されています。
    • ジャケット付きホローポイント弾頭の剛性と形状により、給弾時の変形が抑えられ、作動不良が少ないことが特徴です。
  • スピアー・ゴールドドット(Speer Gold Dot)
    • 多数の法執行機関で採用されているボンデッドコア設計の弾薬です。
    • 弾頭の分裂を防ぎつつ安定した給弾性能を維持し、トラブルが少ないことで知られています。
  • ウィンチェスター・レンジャーTシリーズ(Winchester Ranger T-Series)
    • 法執行機関用として開発され、弾頭形状やジャケット構造が給弾性を重視して設計されています。
    • 民間の射撃テストでも安定した作動が確認されています。
  • ホーナディ・クリティカルデューティ(Hornady Critical Duty)
    • 法執行用途向けに設計され、特殊ポリマーとジャケット構造により高い給弾性能が備わっています。
    • 多くの警察機関で採用され、実戦での信頼性も評価されています。
  • レミントン・ゴールデンセイバー(Remington Golden Saber)
    • 民間のディフェンス用途でも人気が高く、特に1911系など旧型設計のピストルでも安定して給弾できるよう設計されています。
    • ユーザー報告でも給弾不良は非常に少ないとされています。

これらの弾薬はいずれも高い信頼性を持っていますが、JHP弾は同一のピストルであっても相性の差が生じる場合があります。

特定の銃種によっては、特定ブランドの弾薬で給弾不良が発生するケースもわずかに報告されています。そのため、ディフェンス用途で使用する場合は、実際に使用する銃と組み合わせて50~250発程度の実射テストを行うことが推奨されます。

JHP弾の信頼性を高めるための工夫

ジャムのリスクを低減するために、以下のような対策が有効です。

  • フィードランプの研磨(経験あるガンスミスによる処理推奨)
  • 弾薬とピストルの相性確認(複数種類のJHPで動作確認)
  • マガジンの状態確認(リップ変形やスプリング劣化に注意)
  • 信頼性の高いメーカー製弾薬を使用する

JHP弾は目的に適した優れた弾種ですが、すべてのピストルで確実に作動するわけではありません。

繰り返しになりますが、実射テストによる「銃と弾薬の相性確認」は必須です。

ピストルとマガジンの画像

リップ(Lip)とは、マガジンの上部にある、弾薬を保持するための金属の突起部分です。

給弾時に弾薬を適切な位置で送り出す役割があります。

ジャムの発生頻度と条件

HK VP9 ピストル ジャム

銃は適切に整備・清掃され、品質の高い弾薬を使用していれば、作動不良(ジャム)が発生する頻度は極めて低くなります。

ジャムの発生頻度は、以下の要因に大きく左右されます。

  • 整備状態
    • 銃内部の汚れや不適切な潤滑は、ジャムの主な原因です。
    • 定期的なクリーニングと潤滑(オイル)が信頼性維持に必要です。
  • 弾薬の品質
    • 不良弾、古い弾薬、低品質な弾薬はジャムの発生率を高めます。
    • 不発や弾詰まり(弾頭が銃身内に残る現象)も含まれます。
  • マガジンの状態
    • マガジンのフォロワースプリングの弱化やフィードリップの損傷は、給弾不良やジャムの原因になります。
  • 射手の操作
    • 不適切なグリップや装填方法は、給弾や排莢の不良につながります。
  • 環境条件
    • 砂塵、湿気、ほこりなどが銃内部に入り込むと作動に悪影響を及ぼすことがあります。
    • 異物によるジャムは定期的なクリーニングである程度防げます。

また、銃の種類によってもジャムの発生率は異なります。

機構が複雑で反動利用による作動に依存するセミオートピストルは、構造が単純なリボルバーよりジャムが発生しやすい傾向があります。

一方で、AK-47のような軍用小銃は悪条件下でも高い信頼性を発揮し、ジャムが極めて少ないことで知られています。

現代の銃であれば、適切な整備と高品質な弾薬、そして過酷すぎない環境下での使用により、ジャムの発生は数千発に1回未満という低頻度に抑えられます。

ジャムの多くは、銃そのものの欠陥ではなく、整備不足、弾薬不良、または操作ミスが原因です。

ジャムについては以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

ホローポイント弾(JHP)は、その先端が平らで空洞になっているため、給弾時に銃の部品に引っかかりやすく、ジャム(弾詰まり)を起こしやすいと言われています。

一方で、フルメタルジャケット弾(FMJ)は先端が丸く滑らかなため、ジャムが起こりにくいとされています。

この問題は、特に1911ピストルのような旧式の銃で顕著でした。これらの銃はFMJ弾の使用を前提に設計されていたため、JHP弾を使用すると給弾不良が発生しやすい傾向があります。

しかし、現代の銃器はJHP弾に対応するよう改良が進んでいます。フィードランプの形状が最適化されたことで、JHP弾でも高い信頼性で給弾できるようになりました。

ホローポイント弾使用時のジャムを防ぐには、高い信頼性を持つJHP弾を選ぶことも重要です。フェデラルHSTやスピアー・ゴールドドットなど、法執行機関で採用実績のあるブランドは、作動不良が少ないことで知られています。

また、JHP弾を安全に使用するためには、実際に使う銃で複数の種類の弾薬を試射し、相性を確認することが必要です。

フィードランプの研磨やマガジンの状態確認といったメンテナンスも、ジャムのリスクを減らす上で有効な対策となります。