ボトム式マガジンキャッチの利点とは?

自衛隊で使用されている自動拳銃ですが、何故今主流のボタン式ではなくボトム式を採用しているのでしょうか、何の利点が存在するのですか?

 

マガジンの底を支えてマガジンを保持するマガジンキャッチは、ヒールマガジンリリースボトムマガジンリリースヨーロピアンマガジンリリースなど様々な名称がありますが、これを採用した経緯は歴史的背景と運用方法の考え方に理由があります。

 

Cz52のヒールマガジンキャッチ

 

現在のピストルタクティカルシューティングではマガジン交換のスピードが重要視されており、この点でボタン式マガジンキャッチはヒールリリースよりも早くマガジンを交換できるメリットがあります。

ボタン式マガジンキャッチを押せばマガジンは自重で落下するため、片手でマガジンキャッチを押しながら、もう一方の手で新しいマガジンを掴むことができます。

しかし、ヒールリリースはマガジンが自重で落下しないため、両手でマガジンを抜き取る操作をし、マガジンを抜いたあとで新しいマガジンを掴むという手間が必要になります。

 

Photo via guns.com

スピードを重視する場合はボタン式が優位です。しかし歴史を遡るとヒールリリースは主にヨーロッパで流行し、軍ではハイランクオフィサーがピストルを携帯していたことから、以前はマガジン交換を必要とするピストルの運用がされていませんでした。そのため素早いマガジン交換を考慮するよりも、マガジンを紛失することなく確実に運用することを求められていた面があります。
(勿論、ルガーなどボタン式マガジンキャッチを備えたピストルも採用されており、全てが同じ運用思想であったわけではありません)

一般的に過去から現在まで軍ではマガジン交換時にマガジンを捨てることを教育していませんし、マガジンは貴重な装備の一つであるため紛失には注意されます。特にボタン式マガジンキャッチは横からの圧力を受けると、マガジンが抜け落ちることがあり注意が必要です。

銃の固定が確実な現代のホルスターの様に、信頼性の高いホルスターに収まっていればマガジンキャッチが押されることはありませんが、柔らかい革製ホルスターが当たり前だった当時はマガジンの紛失が起こり得る問題でした。

Photo via wikipedia.org

ロシアではボタン式マガジンキャッチを装備したトカレフピストルが採用されていましたが、マガジンの紛失が問題視された経緯もあり、次期正式採用ピストルのマカロフピストルでは、ヒールリリースが採用されています。(現在ロシアでは新たにボタン式マガジンキャッチ装備のMP443やSR1Mが採用されています)

装備品の紛失は大問題となる自衛隊でも、マガジンの紛失を防ぐ点でヒールマガジンは最適ともいえますが、自衛隊が9mm拳銃を採用した1982年当時にこの点が考慮されていたのかは不明です。

 

またその他のヒールリリースの利点としては、「左右の利き手を選ばない」、「製造コストが安い」という点が挙げられます。

左右対称なため誰でも扱うことが可能ですし、単純な構造なのでボタン式マガジンキャッチよりも少ない工程で製造可能です。

自衛隊がこのままヒールリリースを採用するべきかは議論が分かれるところですが、私個人の考えではボタン式が望ましいと考えています。

ハイランクオフィサーのお飾りとしてではなく、マガジン交換を考慮した実用的なピストルと信頼性の高いホルスターが必要ではないでしょうか。

 


 
 
 
 
 


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