
この記事の要約
- ハンマー方式はハンマー(撃鉄)を利用して撃発し、ストライカー方式はばねで前進するストライカーによって雷管を打撃します。
- ハンマー方式にはDA/SA、SAO、DAOなど複数のトリガー方式があり、発火方式とトリガー方式は分けて考える必要があります。
- 安全性やトリガー特性はハンマー式かストライカー式かだけでは決まらず、個々の銃の設計によって異なります。
銃の撃発方式には、「ハンマー方式(Hammer-fired)」と「ストライカー方式(Striker-fired)」があります。どちらも弾薬のプライマー(雷管)を打撃して発火させるための機構ですが、雷管をどのような部品で打撃するかに違いがあります。
代表的なハンマー式拳銃にはSIG SAUER P226やベレッタ 92シリーズがあり、ストライカー式にはSIG SAUER P320などがあります。GLOCKも一般にストライカー式に分類されますが、GLOCKの公式資料では内部の打撃部品を「ファイアリングピン(Firing pin)」と呼んでおり、メーカーによって用語の使い方には違いがあります。
| 項目 | ハンマー方式 | ストライカー方式 |
|---|---|---|
| 主な打撃部品 | ハンマー(撃鉄) | ストライカー |
| 撃発 | ハンマーがファイアリングピンなどを打撃 | ストライカーが前進して雷管を打撃 |
| 外部ハンマー | 露出型と内蔵型がある | なし |
| トリガー方式 | DA/SA、SAO、DAOなど多様 | モデルによって異なる |
| 代表例 | SIG P226、ベレッタ 92シリーズ | GLOCK、SIG P320 |
ハンマー方式とストライカー方式の仕組み
ハンマー方式の仕組み
ハンマー方式では、ばねの力を蓄えたハンマーを解放して撃発します。
現代の自動拳銃では、ハンマーがファイアリングピン(撃針)を叩き、その先端がプライマーを打撃する構造が一般的です。


外部にハンマーが露出しているモデルでは、その位置からコッキング状態を確認できますが、ハンマーを内部に収めた「インターナルハンマー」を採用する銃も存在します。

ハンマー方式は回転するハンマーだけとは限りません。チェコのVz58ライフルでは、前後に直線移動するリニアハンマーが使用されています。
この構造では、スプリングの力によってハンマーが前進し、ファイアリングピンを叩いて撃発します。形状や移動方向は異なりますが、ハンマーが別部品のファイアリングピンを打撃するという点ではハンマー方式に分類されます。
ストライカー方式の仕組み
ストライカー方式は独立したハンマーを使用せず、スプリングの力でストライカーを前進させ、その先端でプライマーを打撃します。
セミオートマチックピストルのほか、ボルトアクションライフルなどにも広く利用されています。


ストライカー方式では、スライド内部などに配置されたストライカーとスプリングを利用します。トリガー機構による保持が解除されると、ばねの力によってストライカーが前進し、先端がプライマーを打撃します。ただし、ストライカーがどこまでコックされた状態で保持されるかはモデルによって異なります。
例えばGLOCKでは、トリガーバーがファイアリングピン後部を保持しており、トリガーを引くことでさらに後退させた後に解放します。そのため、ストライカー方式だからといって、すべての銃が完全にコックされた状態で待機しているわけではありません。
基本的な違いは、ハンマー方式ではハンマーを介して撃発し、ストライカー方式ではストライカーそのものが前進して雷管を打撃する点にあります。
ストライカーとファイアリングピンの違い

一般的なハンマー方式では、ファイアリングピンはハンマーから受けた運動をプライマーへ伝える部品です。一方、ストライカー方式ではスプリングによって打撃部品そのものが前進してプライマーを叩きます。
ただし、「ストライカー」と「ファイアリングピン」という名称だけで機構を完全に区別できるわけではありません。GLOCKのように、一般にはストライカー式に分類される構造でもメーカーが打撃部品を「ファイアリングピン」と呼ぶ例があります。そのため、名称ではなく、その部品がどのように保持され、どのような力で雷管を打撃するのかを見る必要があります。
それぞれの特徴と安全性
ハンマー方式の主な特徴
- 露出型ハンマーでは、ハンマーの位置を目視または触覚で確認できる。
- DA/SA、SAO、DAOなど、多様なトリガー方式を採用できる。
- DA/SA拳銃ではデコッカーを備えるモデルが多い。
- シングルアクションでは短く明確なトリガープルを実現できるモデルが多い。
- 露出型ハンマーでは外形が複雑になり、衣服などへの引っ掛かりを考慮した設計が必要になる場合がある。
- DA/SAでは初弾のダブルアクションと2発目以降のシングルアクションでトリガー特性が変化する。
- 構造によってはストライカー式より部品点数や操作部品が多くなる。
ストライカー方式の主な特徴
- 外部ハンマーがないため、スライド後部を比較的シンプルな形状に設計しやすい。
- モデルによっては部品点数を少なくし、軽量化や製造工程の簡略化が可能。
- 初弾とそれ以降でトリガー操作が大きく変化しない設計が多い。
- 設計によってはボアアクシス(銃身軸)を低く配置しやすい。
- 外部ハンマーのようにコッキング状態を直接確認できない(視認しにくい)モデルが多い。
- デコッカーを備えないモデルが多く、デコック方法や分解手順はモデルごとに異なる。
- トリガーフィールはモデルによって異なり、シングルアクション式ハンマー銃ほど短く明確な作動感を持たない場合がある。
重要なのは、発火方式とトリガー方式は別の分類だという点です。ハンマー方式だから必ずDA/SAになるわけではなく、SAOやDAOも存在します。DA/SAでは、ハンマーを下ろした状態からトリガーを引くと、トリガー操作によってハンマーを起こして解放するダブルアクションとなり、発射後はスライドによってハンマーがコックされるため、次弾はシングルアクションになります。
ストライカー方式でも内部構造は一様ではありません。ストライカーをどこまでプリコックしておくか、トリガー操作によってどの程度後退させるか、どの位置で解放するかはモデルによって異なり、トリガーの重さ、移動量、リセットなどにも違いが生じます。
安全機構についても方式だけで判断することはできません。例えばGLOCKのセーフアクション(Safe Action)にはトリガーセーフティ、ファイアリングピンセーフティ、ドロップセーフティがあり、ベレッタ 90 シリーズにはファイアリングピンブロックが備わっています。さらにモデルによってマニュアルセーフティやデコッカーなどが追加されます。
「ハンマー方式だから安全」「ストライカー方式だから危険」と一括りにすることはできません。安全性は発火方式だけではなく、個々の銃が備える安全機構と正しい取り扱いを含めて判断する必要があります。
よくある質問
- ハンマー方式とストライカー方式の一番大きな違いは?
-
雷管を打撃する機構が異なります。ハンマー方式はハンマーを利用して撃発し、ストライカー方式はばねで前進するストライカーによって雷管を直接打撃します。
- GLOCKはストライカー方式ですか?
-
一般にはストライカー方式に分類されます。ただし、GLOCKの公式資料では打撃部品を主に「ファイアリングピン」と呼んでおり、メーカーによって用語の使い方には違いがあります。
- SIG P226とP320は何が違いますか?
-
発火機構では、P226を含むSIG SAUER Classic Lineはハンマー方式、P320はストライカー方式です。P226にはDA/SAなどの仕様があり、P320はストライカーを利用して撃発します。
- ハンマー式はすべてDA/SAですか?
-
いいえ。ハンマー式にはDA/SAだけでなく、SAOやDAOなどもあります。発火方式とトリガー方式は別の分類です。
- ハンマー方式とストライカー方式ではどちらが安全ですか?
-
方式だけで安全性の優劣は決まりません。ファイアリングピンセーフティ、ドロップセーフティ、マニュアルセーフティ、デコッカーなど、個々のモデルの安全機構と取り扱いを含めて判断する必要があります。
まとめ
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| ハンマー方式 | ハンマーを利用してファイアリングピンなどを打撃する |
| ストライカー方式 | ストライカーが前進してプライマー(雷管)を打撃する |
| トリガー | 発火方式だけでは決まらず、モデルによって異なる |
| 安全機構 | 方式ではなく個々の設計によって異なる |
ハンマー方式とストライカー方式は、どちらも実包の雷管を打撃して発火させるための機構ですが、その方法が異なります。ハンマー方式では独立したハンマーを利用し、ストライカー方式ではハンマーを使用せず、ばねの力を利用してストライカーを前進させます。
一方、DA/SAやSAOといったトリガー方式、安全装置の種類、トリガー特性は別の問題です。同じハンマー式でも構造は異なり、ストライカー式でもストライカーのプリコック量や安全機構はモデルごとに異なります。
ハンマー方式とストライカー方式を比較する際は、発火機構、トリガー方式、安全機構の3つを分けて考えると違いを理解できます。
参考資料
- SIG SAUER公式
Glossary: Striker Fired - SIG SAUER公式
Glossary: Hammer - SIG SAUER公式
Operator’s Manual: Classic Line Pistols - SIG SAUER公式
P320 Operator’s Manual - GLOCK公式
Safe Action System - Beretta公式
90 Series Operator’s Manual




