トカレフTT-33は携帯には危険な銃?

銃の画像
TT33 Photo via Wikipedia

ご質問を頂きました。

トカレフTT-33のハーフコック機能と大きさについて質問があります。

トカレフは安全装置の無い銃で有名で、唯一ハーフコック機能が安全装置代りに言われる事がありますが
、今月のガンマガジンで「射手が積極的に用いる類では無い」と書かれており、パソコンのサイトでも、
「非常に危険」や「暴発が相次いでいる」と書かれていました。

弾薬をチャンバーに装填しハーフコックにして携帯するのは危険なのでしょうか? ハーフコックは実用性が低いのでしょうか? また、チャンバーに装填しハーフコックにして持ち歩き、いざ射撃する際、即応性はどうなのでしょうか?

また、ガンマガジンの記事内で「ポケットにすっぽりとは収まらないがコルト1911よりは目立たない~」という記述がありましたが、日本人の平均的な体格の男性でトカレフをコンシールド・キャリーする事は可能でしょうか?

まず最初に、それぞれ短く回答してみます。

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トカレフピストルの危険性Q&A

Q
(一般的に)ハーフコックで携帯するのは危険ですか?
A

いいえ 、一般的に危険ではありません。しかしTT-33の場合は薬室が空の方が望ましいといえます。

Q
トカレフをハーフコックで携帯するのは危険ですか?
A

はい、TT-33は相対的な意味で安全とはいえません。

Q
ハーフコックは実用性が低いのですか?
A

いいえ、内蔵安全装置(インターナルセイフティ)として有効です。

Q
ハーフコックの即応性は低いのですか?
A

はい、銃によりますがTT-33の場合はハーフコックでの携帯は即応性が低いといえます。

Q
日本人の体格でトカレフはコンシールド・キャリー可能ですか?
A

はい、平均的な日本人の体格でも問題無い大きさです。

ハーフコックは「予備の安全装置」であり、この機能そのものを「メインの安全装置」として利用するのはお勧めしません。

ハーフコックはハンマーがファイアリングピンに触れるのを防ぐと同時に、ハンマーがなんらかの原因でフルコックでロックされなかったとき、打撃力を持つ位置でハンマーが解放されてもファイアリングピンを叩かせない役割があります。

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スライドがロックされる問題

トカレフTT33

TT-33のハーフコックは他の一般的なピストルと異なり、ハーフコックにするとスライドがロックされるため、ハーフコック状態でスライドを引いてハンマーを起こすことができません。

(シアーがディスコネクターの動きを妨げるためスライドが後退できない状態となります)

これを理解しないで薬室に弾薬を装填しない状態で携帯すると必要なときに装填に手間取り、即応性が低くなります。

また、薬室に装填しハーフコックで携帯する場合、使用時は手動でハンマーを起こす(コックする)必要がありますが、TT-33のハンマー形状はコックしやすいとは言えず、ストレス状況下において失敗するリスクもあります。

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暴発の可能性あり

銃の画像
ユーゴスラビア製M57 Photo via gunauction.com

TT-33のコピーであるルーマニアのTTCやユーゴのM57など、コピー製品にはトリガーセイフティ等が追加されていることが多く、より安全性が高まっています。

しかし、いずれもファイアリングピン・ブロックが存在しないため、薬室に装填した状態で携帯するのはリスクを伴います。

※ファイアリングピン・ブロックはトリガーが引かれていない状態でファイアリングピン(撃針)の前進を妨げる内蔵安全装置です。

トカレフTT33

アメリカにはトカレフTT-33をコンシールド・キャリー(隠匿携帯)する人も居ます。

日本人の体格でも携帯しやすいサイズであるため扱いやすいといえますが、携帯時の常識として弾薬は薬室に装填されるのが一般的で、前述した通りファイアリング・ピン・ブロックのない銃はリスクがあり、落下時など外部から強い衝撃を受けると自重でファイアリング・ピンが前進し暴発する可能性があります。

一部の1911ピストルやAR15のようにファイアリングピン・ブロックが存在しない銃でも安全に携帯可能で、そういった銃は軽量なファイアリングピンを使用しているためファイアリングピンの自重で撃発することはありませんが、トカレフのファイアリングピンは重いため薬室に装填した状態で安全に携帯できるとはいえません。

あえてTT-33を携帯する理由は・・・??

シングルアクションであるTT-33はコック・アンド・ロック(ハンマーを起こしてセイフティをかける)ができず、発射には手動でハンマーを起こさなければなりません。

コンシールド・キャリーに求められる銃には最低でもダブルアクション機能かコック・アンド・ロック機能、またはトリガーを引かない限り物理的に撃発を阻止する機能(ファイアリングピン・ブロックなど)を有するのが理想ですが、TT-33にはそれらの機能がなく、他のピストルと比較して不利といわざるをえません。

また、使用する弾薬(7.62x25mm)は9mmや.45ACPと比べて高速で貫通力が高いため第三者に命中するなど二次被害が出るリスクが高まります。

TT-33をコンシールド・キャリーに選択するのは、これらの特性を理解したうえで利用することが求められます。