スコープの使い方の記事に関連して動画を作成しているのですが、エンコードにトラブルがあって更新が遅れています。すみません。
つなぎではありませんが、最近気になったニュースについて触れます。
マズルブレーキか?サプレッサーか?
画像出典:The Bangswitch.com
ピストル弾を使用するカービン、SIG MPXがShot Show 2014で発表されて話題となったのは記憶に新しいところです。AR-15と同じ操作が可能で扱いやすさに定評がありました。LEO向けはサプレッサーを内臓し、一方で民間バージョンは「ライフルのカテゴリーに入る銃は最低16インチのバレル長が必要」という条件を満たすために、長い「マズルブレーキ」を装着することでバレル長を稼いだのです。
SIGはマズルブレーキ付ライフルとしてATFに登録しようとしましたが、ATFは「これはマズルブレーキじゃないよ。カバーの付いていないサプレッサーでしょう。」と拒否。これに怒ったSIGは損害を受けたとして訴訟を起こしました。
カバーを付ければサプレッサーになるのはSIGも百も承知で、SIGは「あとでサプレッサーの登録をしたらカバーを装着してサプレッサーにできます。」とセールスしていました。「登録してサプレッサー化するのと、サプレッサーを登録して装着するのと何が違うんだ!?」と多くのファンが怒っていますが、ATFとしては「マズルブレーキ」としては見られないようです。
付け加えると、サプレッサーの中身のバッフルも以前から登録が必要なので、バッフルが最初から付属していると見ればATFの言い分も正しいように見えます。しかし、マズルブレーキに長さ規制はありませんし、マズルブレーキとして見れば規制はおかしいと言えるでしょう。
SIGの行動に対してネットでは「SIGを応援しよう!」というブームになりかけていますが、この先どうなるか気になるところです。SIG SB15のストックモドキの使用方法について話題になった件に関連して「ATFの仕返しじゃないか?」という声もありますが、色々と疑問が絶えない話題でした。
2015年9月26日追記:
連邦裁判所はSIGの訴えを退け、ATFの主張通りサプレッサーのバッフルだと判断しました。
Judge rules in Sig’s case against ATF_ It’s a silencer.
違法化した5.45x39mm 7N6(スチールコア)
アメリカにはピストルにスチールコアの弾薬を使用することを禁止する法律があります。1968年の銃規制法(GCA)にて、「タングステン合金、スチール、真鍮、ブロンズ、ベリリウム銅、劣化ウランを使用するか、または.22口径以上でジャケットの重量が総重量の25パーセントを超えた弾を禁止する」という規制です。
近年、複数のメーカーがAKタイプのライフルを短くし、ピストル化させた製品が多く流通しており、これらの銃にスチールコアの弾薬を使用することが問題視されるようになっていました。これまで5.45x39mm 7N6という弾薬は、ライフルにのみ使用されるのが通常だったため、現在の状況は以前から「ちょっと不味いんじゃないの?」という雰囲気がありました。そしてついに、ATFは当該弾薬は違法であると認定し、規制されることとなったのです。
アメリカは日本とは違い、官民問わず銃を撃つことを職業としている人も多いので、この問題はある意味死活問題です。ロシアやウクライナから大量に弾薬を輸入しているアメリカは先のウクライナ情勢で弾薬不足パニックとなりましたが、今度は国内から問題が噴出して輸入禁止となったわけで、ダブルパンチといえそうです。やはり、5.45x39mmライフルのピストル化は藪蛇だったのでしょうか。
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