YoutubeチャンネルのIraqveteran8888が、アサルトライフルやピストルのフルオート射撃時の耐久性について検証しています。
内容は「銃が停止するまで何発撃てるのか?」というもの。
現実の戦闘ではフルオート射撃はマシンガンの仕事であり、アサルトライフルはフルオートの連続射撃を設計上想定していません。
マシンガンは加熱に耐えられるようバレルに肉厚があり、冷却しやすいようにボルトが後退状態で停止するオープンボルト方式を採用するなど、アサルトライフルとは運用の想定が異なります。しかし、セミオートで射撃される頻度が高いアサルトライフルであっても、フルオートでの耐性が優れるならセミオートの耐性も優れるはずです。
それでは、結果を見てみましょう。
VEPR AK 7.62x39mm
結果:895発で停止。
バレルの過熱により木製ハンドガードが炭になりました。作動停止後、チャージングハンドルを引こうとしても固くて引きづらくなっています。熱によってバレルが下方向へ湾曲し、湾曲によってガスピストンの動きが妨げられてボルトキャリアの後退が困難になったのが原因です。
さすがロシアンAK。作動が安定し信頼性があります。
WASR-10 AK 7.62x39mm
結果:265発で停止。
WASR-10はルーマニア製AKバリエーションのひとつです。やはりバレルが熱で湾曲し、それに伴ってリアサイトベースが前進しガスピストンの動きが妨げられて停止しました。サーモグラフィの映像だとバレルがすぐに過熱し、次にガスピストン先端部、レシーバーへと熱が伝わっているのがわかります。
私もAKのハンドガードで火傷したことがありますが、木製ハンドガードであっても内側から徐々に過熱し、側面の穴の周辺は熱くなるので注意が必要です。熱いハンドガードは不快なので、マガジンを持って射撃した方がマシです。
AR-15 5.56x45mm
結果:830発で停止。
M16ロアレシーバーとアンダーソン・マニュファクチャリング社製アッパーレシーバーのAR-15です。バレルが中間部分で裂けて停止し、チャンバーの先10インチまでライフリングが浸食され消えたようです。
ガスチューブを使用するAR系は過熱によるガスチューブの破断が発生することがありますが、今回はバレルが耐えられませんでした。おまけに「7:51」あたりでマズルブレーキが吹き飛んでいます。
レシーバーやボルト周辺は無事で、やはりバレル回りに注意が必要です。
グロック17 9mm フルオートバージョン
結果:1,272発で停止。(669発+603発)
フルオート化させたグロック17です。669発撃ったところでポリマーガイドロッドが溶けて停止し、その後、スチールガイドロッドに交換して継続した結果603発で停止。計1,272発を撃ち終えました。
熱によりフレームが湾曲し、トリガーが溶けています。バレルが過熱するとチャンバー下側のロック部分が過熱し、その熱がロッキングブロックに伝わります。ロッキングブロックはフレームを貫通するピンで固定されており、これを通じてトリガーも過熱されます。そのためテイクダウンロック(スライドロック)はトリガーより前に位置するにも関わらず無事でした。
バレルやスライドには問題なく、問題があったのはフレーム周辺です。しかし、冷えたあと「15:10」で再度射撃すると、若干歪みのせいで堅そうなものの、フルオートで作動しました。
銃の構造によってそれぞれ熱の伝わり方や弱点が異なるのは興味深いところですね。
追記:2016/3/12
LMT CQB MRP 16インチバレル・ピストンアッパーを使用したテストが行われました。
結果:833発で停止
ショートストロークピストンのAR-15は、ダイレクト・インピンジメント方式のAR-15とほとんど同じ結果となりました。
湾曲したピストン。
ボルトキャリアはピストンによる繰り返しの衝突により変形。
こうなった原因は、熱により湾曲したピストンがボルトキャリアの上部を叩いたか、あるいは、ボルトキャリアの熱処理に問題があり、ボルトキャリアの変形によりピストンが湾曲したか、二通りの原因が考えられます。
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