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【銃の装填と薬室】装填とは?スライドを引く理由と安全な携帯方法を解説

銃の画像

装填とは何か?

薬室とはどの部分なのか?

スライドを引くのはなぜ必要なのか?

この記事では、「装填の基本的な仕組み」「薬室との関係」「スライドを引く理由」「安全な携帯方法」まで、初心者にもわかりやすく銃の仕組みを解説します。

この記事を読むと、以下のことを学べます

  • 装填の基本的な仕組み
  • 薬室の定義と役割
  • ピストルのスライドの役割とその機能
  • 装填された状態とは何か
  • スライドを引く理由とその必要性
  • 薬室に弾薬を装填して携帯するメリットとデメリット
  • 緊急時における薬室装填の重要性

装填とは?銃に弾を込める仕組み

1911ピストルの構造

装填(そうてん)とは、銃に弾薬を込めることです。

弾薬を弾倉(マガジンやシリンダー)にセットし、銃身後部に位置する薬室(チャンバー)に弾を送り込んだり配置することを意味します。

装填の目的は、銃を発射可能な状態にすることです。

銃の種類によって装填の方法が異なりますが、自動式のピストルでは以下の操作を行います。

  • マガジン(弾倉)に弾薬をセットし、銃本体にマガジンを挿入する。
  • スライドを引き、マガジン内の弾薬を薬室へ送りこむ。
  • 発射準備完了

薬室とは?

ピストルの内部画像

薬室(やくしつ)は、「銃身」または「リボルバーのシリンダー」の後部にある中空の部分で、弾薬を装填し発射する場所です。

英語では「Chamber」、日本語では「薬室」「チャンバー」「チェンバー」などと呼ばれます。

薬室は発射時に生じる高圧ガスを封じ込める重要な役割を果たします。

357マグナムリボルバーの画像

通常、ピストルには1つの薬室が備わっていますが、リボルバー(回転式けん銃)には装弾数と同数の薬室が備わっています。

画像出典: accurateshooter.com

一般的に薬室内の表面はツルツルしていて滑らかですが、なかには表面に溝が彫られている薬室も存在します。

画像出典: thetruthaboutguns.com

こうした溝のある薬室は「フルーテッド・チャンバー(Fluted chamber)」と呼ばれ、発射時に膨張した薬莢の貼りつきを防止し、スムーズな排莢を行う目的で備わっています。(一部のモデルでは反動軽減目的で備わっています)

フルーテッド・チャンバーが備わっている銃の例として以下があります。

  • FN FAMAS
  • H&K G3
  • H&K P7
  • H&K P9S
  • H&K MP5
  • SIG Sauer Stgw 57
  • グレンデルP30
  • トカレフ1938/1940
  • セトメアメリMG83
  • 64式サブマシンガン(中国)

ピストルのスライドの役割

ベレッタM9射撃画像

スライドは、ピストルの上部にある可動部分で、前後に動きます。

以下がスライドの主な機能です:

  • 弾薬の装填:
    • 手動でスライドを引いて離すと、マガジンから弾薬を薬室に装填し、発射準備を完了します。
  • 薬室の閉鎖:
    • 発射時に薬莢の後退を防ぎ、発射ガスを弾頭の加速に利用します。
  • 薬莢や弾薬の排出:
    • 発射後、反動によりスライドが後退し、使用済み薬莢を排出します。(次弾装填のために薬室を空にします)
    • 薬室に装填された未発射の弾薬を排出する場合は、手動でスライドを引くと排出されます。
  • 発射機構の準備:
    • スライドが後退すると、ハンマー(撃鉄)やストライカー(撃針)を後退させ、撃発機構の発射準備を完了します。
  • 次弾装填:
    • 後退したスライドがバネの反発力で前進し、マガジンから新しい弾薬を薬室に送り込み、発射準備を完了します。
  • ホールドオープン:
    • 最終弾を発射すると、スライドが後退状態で停止し、射手に弾切れを知らせます(銃のモデルによっては停止しない)。
    • スライドが後退した状態を解除するには、以下のいずれかを行います。
      • スライドストップを押し下げる。
      • 空のマガジンを抜き、弾薬が装填されたマガジンを銃に挿入してスライドストップを操作する、または手でスライドを引く。
  • 照準器の取り付け:
    • スライドには照準器が搭載され、モデルによってはドットサイトなどの光学機器を搭載することも可能です。

「装填された状態」とは、どんな状態?

グロックピストル画像

一般的に「装填された状態」とは、銃に弾薬が込められている状態を指します。

具体的には以下のような場合です。

  • ピストルの薬室に弾薬が入っている状態。
  • リボルバーのシリンダー内(薬室)に弾薬が入っている状態。
  • 前装式銃に弾丸と火薬が込められ、雷管(キャップ)が装着されている状態。

一般的に以下の状態は「装填」ではありません。

  • マガジンに弾薬が装填され、それが銃に挿入されている状態。
  • 空のマガジンが銃に挿入されている状態。

アメリカの法律を例にした場合、「装填された状態」は州や地域によって定義が異なります。

たとえば、ニューヨーク州では以下のいずれかに該当すると「装填された銃」と見なされます。

  • 銃に弾薬が装填されている状態。
  • 弾薬が装填されていない銃と、その銃に使用可能な弾薬を一緒に所持している状態。

一部の州では、銃にマガジンが挿入されていなくても、マガジンに弾薬が入っているだけで「装填された銃」と見なされる場合があります。

また、別の州では、薬室やシリンダーに弾薬がある場合のみ「装填された銃」とみなされる場合もあります。

薬室装填の利点と安全性

ピストルの画像

オートピストル(自動式拳銃)はマガジン内と薬室内に弾薬が装填される構造です。

銃にマガジンを挿入し、スライドを引くとマガジン内の弾薬が薬室へ装填されます。

このとき、ハンマー(ストライカー)は後退状態を維持し、トリガーを引けば発射可能です。

この状態で銃を携帯したとき、うっかりトリガーに触れると自分や第三者を誤射する可能性があります。

トリガーに指が掛かる可能性だけでなく、衣服やホルスターの一部がトリガーに触れたり、テーブルの上に銃を仮置きした際に銃を取ろうとして指がトリガーに触れて発射した事例も存在します。

このことから、「銃を携帯する際は薬室内に弾を装填しない方が良いのか?」、それとも「薬室に装填するべきか?」と議論されることがあります。

果たして、どちらが正しいのでしょうか?

これには様々な考え方がありますが、一般的には「薬室装填が正しい」とされています。

薬室に装填して携帯する方が良い理由

軍、法執行機関、民間においてハンドガンは護身用に多く使用されています。

(もちろん法執行機関では狭い屋内などにおいて攻撃の手段としてピストルが利用されることもありますが、そのほとんどが護身用途となります)

こうした軍や法執行機関のプロはもちろん、民間においても多くは薬室に装填した状態で携帯しており、それには理由があります。

理由1:スライドを引く時間がない

銃の画像
殉職警官と犯人の距離 画像出典:FBI

FBIの統計を確認すると、発砲事件の多くは「近距離」や「短時間」で起きていることがわかります。

フレンドリーに会話していた相手が突然、銃を抜いて発砲するケースも少なくありません。

そうした瞬間的に起こる事件に対処する際、スライドを引いて薬室に装填し発射するのは時間が掛かりすぎてしまいます。

1秒でも早く相手を撃たなければ自分の命が危ない状況で、スライドを引いている時間はありません。

仮に相手の方が自分より発砲が早かったとしても、その弾が有効弾でなければ自分の射撃によって相手の次弾発射を迅速に阻止する必要があります。

理由2:両手が使えるとは限らない

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画像出典:tactical-life.com

仮に相手があなたの片腕をつかみ、もう片方の手に持つナイフであなたを刺そうとしている状況では片手が塞がっているためスライドを引くことができません。

また、相手の攻撃によって自分の片手を負傷した場合、片手だけでスライドを引くのは困難です。

他にも片手が塞がっている際に銃が必要となる状況は様々で、あらゆるケースが想定されます。

銃のリアサイトを脚の踵に引っ掛けて片手でスライドを引くテクニックも存在しますが、そのような時間を掛けるよりあらかじめスライドを引いて薬室内に装填しておく方が合理的です。

理由3:スライドが引けるとは限らない

銃の画像

自分の命が脅かされているストレス状況下では誰でも緊張します。

このような状況は自律神経が緊張し、普段なら問題なくできることが難しくなる場合があります。

銃を抜いてスライドを引く際も、手が滑ってスライドがうまく引けない、スライドは引けたが手が引っ掛かってしまいスライドの前進速度低下によってジャムが発生するといったリスクがあります。

銃を発射しなければならない場面で正しくスライドが引けるとは限りません。

理由4:安全は訓練で確保できる

銃の画像

近年、大手ガンメーカーによる銃はトリガーを引かなければ発射されない安全性が担保されています。

法執行機関において薬室装填されたグロックがヘリコプターから落下したものの発射されなかった事例もあります。

使用者は銃の安全性を理解し、「銃を撃つ瞬間以外は指をトリガーガード内に入れない」という鉄則を守ることでほとんどの事故を防ぐことが可能です。

これは日常的に意識することで訓練されます。

薬室装填に不安があるのは理解できますが、「何のために銃を携帯するのか」という理由について考えると、誤射や暴発のリスクより有事で銃が役に立たないリスクの方が大きいと感じられるのではないでしょうか。