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日本警察のライフル・ショットガン・サブマシンガン解説|特殊部隊装備と配備銃器一覧

SAT突入訓練画像
特殊部隊(SAT)の訓練 警察庁 (National Police Agency), CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

日本警察では、通常装備の拳銃に加えて、特殊部隊や銃器対策部隊にライフル、ショットガン、サブマシンガンといった特殊銃器が配備されています。

これらの銃器は、狙撃や突入、制圧任務など、各状況に応じて適切に運用され、警察活動の重要な戦力となっています。

本記事では、豊和M1500、89式5.56mm小銃、MP5SFKなど、各種について解説します。

※各モデルのタイトルには製造期間(運用期間ではない)を掲載しています。

ライフル(自動小銃)

豊和 64式7.62mm小銃(1964年~1988年)

銃の画像
豊和 64式7.62mm小銃 画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名64式7.62mm小銃(Howa Type 64 Rifle)
分類バトルライフル
口径7.62×51mm NATO弾(日本仕様は装薬を軽減した専用弾を使用)
作動方式ガス圧作動(ガス調整可能)、チルトボルト
装弾数20発(着脱式ボックスマガジン)
銃身長450mm
全長990mm
重量4.4kg(空マガジン含む)
発射速度約500発/分
開発背景1950年代末から1960年代初頭にかけて、戦後初の日本国産小銃として開発されました。当時の日本人体格に合わせて設計されています。
製造元豊和工業株式会社
歴史1964年に陸上自衛隊で制式採用され、1989年に89式5.56mm小銃にその座を譲るまで、主力小銃として運用されました。
日本での使用日本警察(海上保安庁 / 関西国際空港海上警備隊(海警隊)/ 警視庁特科中隊 SAP(Special Armed Police)を含む)。予備自衛官の訓練用途や式典用、ごく一部の部隊での限定使用。
年表1964年:制式採用
1989年:後継機(89式5.56mm小銃)への移行開始
特徴安定した射撃を可能にする二脚の内蔵や、日本人の体格に合わせたストック形状が特徴です。専用の減装弾を使用することで、反動を抑え、射撃精度を高めていました。

64式7.62mm小銃は、1964年に制式採用された戦後初の国産自動小銃であり、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁で主力小銃として使用されました。

製造は豊和工業株式会社が担当し、1989年までに23万挺以上が生産されました。

技術的特徴

64式7.62mm小銃の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は7.62×51mm NATO弾で、減装弾と通常弾の両方に対応しています。
  • 装弾数は20発、銃身長は450mm、全長は約990mm。
  • 重量は弾倉・付属品を除いて約4.3kg。
  • 発射速度は最大約500発/分、有効射程は約500m、実用最大射程は約800mです。
  • 構造は直銃床デザインで、金属削り出しの機関部、鍛造銃身、木製銃床・グリップを装備しています。
  • 標準装備として二脚(バイポッド)、銃剣装着機能、小銃擲弾発射機能(M31・06式)があります。
  • 狙撃仕様としてスコープとチークパッド装着可能なバリエーションも存在します。
  • セーフティは独自の「引っ張って回す」方式で、フラッシュサプレッサーが標準装備され、発砲炎の拡散と反動軽減に寄与します。
  • 銃身寿命は37,000発で、内部はクロームライニングされています。
  • 部品点数は約150点と多く、構造が複雑です。

背景

64式7.62mm小銃の背景は以下の通りです。

  • M1ガーランドなど旧式小銃の後継として、1957年から1964年にかけて開発されました。
  • 日本人の体格に合わせつつ、防御戦闘を重視し、高い命中精度と優れた耐久性を追求。
  • NATO規格の7.62mm弾を使用することで、在日米軍との弾薬互換性があります。
  • 反動軽減と命中精度向上のため、通常は減装弾が主に運用されました。
  • 軽機関銃的運用も可能で、狙撃銃仕様も用意されています。

採用事例

64式7.62mm小銃の採用事例は以下の通りです。

  • 1964年に陸上自衛隊、海上保安庁で制式採用され、旧日本軍の九九式短小銃や米軍供与のM1ガーランド、M1カービンの後継として配備されました。
  • 狙撃仕様は陸上自衛隊の選抜射手や狙撃協議会で運用されました。
  • 1989年以降、後継の89式5.56mm小銃への更新が進みましたが、現在も一部部隊や教育用途で使用されています。
  • 海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁でも自衛用装備として引き続き運用されています。

年表

64式7.62mm小銃の年表は以下の通りです。

  • 1957年 豊和工業による開発開始。
  • 1964年 64式7.62mm小銃が自衛隊・海上保安庁で制式採用。
  • 1960年代後半~1980年代 主力小銃として大量配備され、生産数は23万挺以上に達する。
  • 1989年 89式5.56mm小銃の登場により生産終了、順次更新開始。
  • 1990年代以降 予備自衛官、海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁で一部現役運用継続。
  • 2001年 九州南西海域工作船事件で工作船に対する正当防衛射撃に使用。
  • 現在 教育・予備用途や一部部隊で引き続き運用中。

豊和 89式5.56mm小銃(1989年~現在)

銃の画像
豊和 89式5.56mm小銃 画像出典:mod.go.jp
項目内容
モデル名89式5.56mm小銃(Howa Type 89 Assault Rifle)
分類アサルトライフル
口径5.56×45mm NATO弾
作動方式ガス圧作動(ロングストロークピストン)、回転ボルト
装弾数30発(着脱式ボックスマガジン)
銃身長420mm
全長916mm(固定銃床展開時)
670mm(折曲銃床折りたたみ時)
重量約3.5kg(空マガジン含む)
発射速度約750発/分
開発背景1980年代に64式7.62mm小銃の後継として開発されました。アメリカのアーマライトAR-18を参考に設計されています。
製造元豊和工業株式会社
歴史1989年に陸上自衛隊で制式採用されました。現在も陸上自衛隊の主力装備であり、後継小銃への更新が進められています。
日本での使用陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁、警察の特殊部隊(一部)で標準装備されています。災害派遣やPKO(国際平和協力活動)でも使用実績があります。
年表1989年:制式採用
現在も使用中(後継小銃への更新途上)
特徴高精度、高い信頼性、高い命中精度が特徴です。左右両用に対応したセレクターや、折曲銃床型の存在も特徴です。

89式5.56mm小銃は、1989年に制式採用された国産アサルトライフルであり、豊和工業株式会社が製造しています。

5.56mm NATO弾(SS109弾)に対応し、陸上自衛隊をはじめとする各自衛隊および海上保安庁や警察特殊部隊で運用されています。

技術的特徴

89式5.56mm小銃の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は5.56×45mm NATO弾(SS109対応)で、銃身長は420mm。
  • 全長は固定銃床型で920mm、折り曲げ銃床時は670mm。
  • 重量は弾倉を除き約3,500g。
  • 装弾数は20発または30発マガジン。
  • 発射速度は最大約850発/分、有効射程は500m、初速は920m/s。
  • 標準装備として着脱式バイポッド(二脚)と89式多用途銃剣装着機能が備わっています。
  • 素材はプレス鋼板と強化樹脂を多用しており、64式小銃より約1kg軽量化されています。
  • セレクターは安全(ア)、単発(タ)、3点バースト(3)、連射(レ)の4ポジション。
  • 整備性向上のため部品点数を約10%削減し、分解も容易です。
  • グリップ底部は小物入れとして利用可能です。

背景

89式5.56mm小銃が開発・採用された背景は以下の通りです

  • 64式7.62mm小銃の後継として、軽量化、反動低減、高い命中精度、メンテナンス性向上を目標に開発されました。
  • 国際共同訓練やPKO活動を想定し、NATO標準5.56mm弾(SS109)に対応。
  • 樹脂パーツ多用や部品点数削減によって、隊員の携行負担軽減と信頼性向上が図られています。
  • バイポッドを標準装備することで精密射撃や防御的運用を重視しています。

採用事例

89式5.56mm小銃の採用事例は以下の通りです。

  • 1989年に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊で制式採用され、海上保安庁や警視庁SATなどの警察特殊部隊にも配備されています。
  • PKO(国際平和維持活動)派遣、米軍との共同訓練、多国間演習など、海外展開でも多数使用されています。

年表

89式5.56mm小銃に関する年表は以下の通りです。

  • 1980年代 豊和工業と防衛庁技術研究本部(現・防衛装備庁)により開発開始。
  • 1989年 89式5.56mm小銃が自衛隊に制式採用。
  • 1990年代 自衛隊全体へ配備拡大、海上保安庁や警察特殊部隊でも採用開始。
  • 2006年 06式小銃擲弾が追加装備として制式化。
  • 2011年 累計約11万挺製造達成。
  • 2020年代 引き続き自衛隊や海上保安庁等で主力小銃として運用中。

スナイパーライフル(狙撃銃)

レミントン M700(1962年~現在)

銃の画像
レミントンM700 画像出典:krale.shop
項目内容
モデル名Remington Model 700
分類ボルトアクションライフル(狩猟用、競技用、狙撃用)
口径.17 レミントン、.223レミントン弾、.22-250レミントン弾、.243ウィンチェスター弾、.270ウィンチェスター弾、.308ウィンチェスター弾、.30-06スプリングフィールド弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、7mm レミントンマグナム弾など非常に多種
作動方式ボルトアクション(二爪プッシュフィードボルト、非回転式エキストラクター)
装弾数3〜5発(内蔵式マガジン、口径による)
一部モデルは着脱式ボックスマガジン
銃身長モデルにより変動(例:.308ウィンチェスター標準は24インチ / 約610mm)
全長モデルにより変動
重量モデル、口径、銃身長、ストック素材により変動
トリガーレミントン独自のX-Mark Proトリガーなど(モデルや製造時期による)
安全機構2ポジションセーフティ
開発背景1962年にレミントンM721/M722の後継として発売されました。堅牢な設計と高い精度が特徴で、警察・軍用のスナイパーライフルとしても標準的な存在となりました。
製造元Remington Arms Company, LLC(レミントン・アームズ)
歴史1962年の発表以来、優れた精度と多様なバリエーションにより、狩猟市場だけでなく、1980年代以降は軍や警察の狙撃用ライフルとして世界中で広く採用されています。
日本での使用警察特殊部隊SATにおいて、狙撃銃として採用実績があります。
年表1962年:発売開始
1980年代〜現在:軍・警察の狙撃用途で広く使用され続けている
特徴「最も正確な箱出しライフル」の一つとして知られ、多数の口径、バレル長、ストックの組み合わせが存在します。堅牢なアクションは、カスタムライフル製作のベースとしても非常に人気があります。

レミントンM700は、1962年に登場したボルトアクション式のセンターファイアライフルであり、高い精度と汎用性で知られています。

アメリカのレミントン・アームズ(現在はRemArms LLC)が製造しており、世界で最も人気のあるボルトアクションライフルの一つで、累計生産数は数百万挺に上ります。

技術的特徴

レミントンM700の技術的特徴は以下の通りです。

  • 作動方式はマニュアル操作のボルトアクションで、デュアルオポーズドロッキングラグ(二つの対向ラグ)を装備しています。
  • 使用可能な口径は極めて広く、.17レミントン、.204ルガー、.223レミントン、.243ウィンチェスター、.308ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールド、7mmレミントンマグナム、.300ウィンチェスターマグナム、.458ウィンチェスターマグナムなど多数対応しています。
  • マガジンは固定ボックスマガジン(3~5発)で、ヒンジドフロアプレート式または着脱式ボックスマガジン仕様も存在します。
  • 銃身長は420mmから660mm(16.5インチ~26インチ)、重量は構成により異なりますが平均約4.08kgです。
  • ボルトは二つのロッキングラグを装備し、リセスボルトフェイス、Cクリップエキストラクター、プランジャーエジェクターを装備。ショートアクションとロングアクションが用意され、多様な弾薬に対応します。
  • ストックは木製、合成樹脂製、ラミネート材製があり、右利き用と左利き用が用意されています。
  • セーフティは三段階式で、トリガーは調整可能。ティムニーなど社外製トリガーへの交換も容易です。
  • サイトは多くのモデルでスコープマウント用にドリル&タップ加工されており、一部モデルにはアイアンサイトが付属します。
  • タイトなチャンバー・ボア公差、高速ロックタイム、モジュール性の高さが評価されています。

背景

レミントンM700が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • レミントンM700は、先代のモデル721、722、725を発展させた設計で、狩猟、ターゲットシューティング、戦術用途向けに、高精度・高信頼性かつコスト効率に優れたボルトアクションライフルとして開発されました。
  • 設計はマイク・ウォーカーによるもので、量産効率を高めつつ、よりタイトな公差と高速ロックタイムにより精度向上を実現しました。
  • 1973年には左利き用モデルも追加され、幅広いユーザー層に対応。
  • 堅牢さと精度から、M700のアクションは多くの軍・法執行機関用スナイパーライフルのベースとなっています。

採用事例

レミントンM700の採用事例は以下の通りです。

  • 1966年、M700はアメリカ海兵隊のM40スナイパーライフルとして採用。
  • 1986年にはアメリカ陸軍がM24スナイパーウェポンシステムとして採用し、現在も運用が続けられています。
  • 世界各国の警察・軍事組織で狙撃銃として広く使用されており、スポーツマン78と呼ばれる廉価版も1978年から1982年に生産されました。
  • 日本警察ではSATが採用しました。

年表

レミントンM700に関する年表は以下の通りです。

  • 1962年 モデル700登場、モデル721、722、725の後継として発売。
  • 1966年 アメリカ海兵隊がM40スナイパーライフルとして採用。
  • 1969年 ジュエルドボルトやストック仕上げ改善などのアップグレード実施。
  • 1973年 左利き用モデル販売開始。
  • 1978~1982年 廉価版スポーツマン78生産。
  • 1986年 アメリカ陸軍がM24スナイパーウェポンシステムとして採用。
  • 1990年代~2020年代 狩猟、スポーツ射撃、軍・法執行機関で多用途に使用。
  • 現在 引き続き生産され、世界的に最も普及したボルトアクションライフルの一つとして評価されています。

豊和 ゴールデンベア(1967年~1979年)

銃の画像
豊和ゴールデンベア 画像出典:auctionzip.com
項目内容
モデル名豊和ゴールデンベア(HOWA Golden Bear)
分類ボルトアクションライフル(狩猟銃)
口径.30-06スプリングフィールド弾(主要モデル)
.308ウィンチェスター弾(限定モデル)
作動方式マウザー型ボルトアクション、コックオンオープン
装弾数5発(内蔵式マガジン)
銃身長616mm(.30-06モデル)
565mm(.308モデル)
全長1,160mm(.30-06モデル)
1,075mm(.308モデル)
重量3,300g(.30-06モデル)
3,200g(.308モデル)
バリエーションデラックス(日本国内向け)
プレゼンテーション
メダリオン(主に輸出用)
開発背景1960年代、国内の大型口径狩猟銃需要に応えるために開発されました。フィンランドのSAKO L61R(フィンベア)ライフルを参考に設計されています。
発表・生産・輸出1967年:シカゴSHOTショーで発表、輸出開始
1967年〜1979年:生産・輸出
1979年:生産終了(後継モデルの豊和 M1500へ移行)
輸出実績約3,000丁が米国へ輸出されました。HPホワイト研究所の試験に合格し、高い品質が評価されました。
日本での使用主に民間向けの狩猟用として使用されました。
日本警察(SAT / 銃器対策部隊 / 警視庁特科中隊 SAP(Special Armed Police))
特徴堅牢なマウザー型アクションと高い精度が特徴です。特に米国市場で高品質な日本製ライフルとして認知され、現在の豊和M1500の礎となりました。

豊和 ゴールデンベアは、日本の豊和工業株式会社が1967年から1979年にかけて製造したボルトアクション方式の大型狩猟ライフルです。

マウザー式のボルトアクション機構を装備し、主に狩猟用途に設計されました。

米国へ約3,000丁が輸出されました。

技術的特徴

ゴールデンベアの技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は主に.30-06スプリングフィールドで、一部に.308ウィンチェスター仕様が存在します。
  • マガジンは5発装填の内蔵式ヒンジドフロアプレートマガジン。
  • 銃身長は.30-06仕様で616 mm、.308 Win仕様で565 mm。
  • 全長は.30-06仕様が1,160 mm、.308 Win仕様が1,075 mm。
  • 重量は.30-06仕様で3,300 g、.308 Win仕様で3,200 g。
  • 作動方式はコックオンオープン方式のマウザー型ボルトアクション。
  • フロントサイトはフード付き、リアサイトは仕様によって異なります。
  • ストックは輸出向けにデラックス、プレゼンテーション、メダリオンの各グレードが用意され、日本国内ではデラックスのみ販売されました。
  • ボトムメタルはアルミ製で、これはフィンランド製サコー フィンベア(SAKO L61R Finnbear)との識別点として知られています。
  • スリングスイベル用のDリングを装備。
  • フィニッシュはブルーフィニッシュバレルとチェッカリング入りポリッシュストックです。

背景

ゴールデンベアが開発・採用された背景は以下の通りです。

  • 国内の大型ボルトアクション狩猟ライフル需要の高まりと、米国市場への進出を目指して開発されました。
  • フィンランドのサコ L61R「フィンベア」の設計を基に、一部仕様を変更して製造されました。
  • 1967年のシカゴSHOT SHOWで発表され、日本製スポーツライフルが米国市場に本格参入する契機となりました。
  • HPホワイト研究所による厳格なテストを通過し、米国市場での品質と信頼性が証明されました。
  • このモデルは、後の豊和 M1500シリーズ開発の基礎となりました。

採用事例

ゴールデンベアの採用事例は以下の通りです。

  • 米国へ約3,000丁が輸出され、「ディクソン・ホーワ ゴールデンベア」として販売され、高品質ライフルとして評価を得ました。
  • 日本国内では、当時唯一の大型狩猟ライフルとしてデラックスグレードのみが販売されました。
  • 米国の大手銃器ブランド「ウェザビー」は豊和とOEM提携を結び、ゴールデンベア設計を基に「ウェザビー・ヴァンガード」シリーズを展開しました。
  • サコ社がフィンベアに酷似していることから法的措置を取ったとの噂もありますが、公式記録は確認されていません。
  • ゴールデンベアは豊和工業の高品質ライフル製造技術を証明し、以後の輸出と国際的評価確立の礎となりました。
  • 日本警察では、1968年の金嬉老事件を教訓に、犯人制圧や人質救出用として警察に配備。
  • 銃器対策部隊、SATおよびSATの前身組織である警視庁特科中隊 SAP(Special Armed Police)が採用しました。
  • 1970年の瀬戸内シージャック事件では、警察の狙撃手がゴールデンベアで犯人を射殺し、人質救出に成功しました。

年表

ゴールデンベアに関する年表は以下の通りです。

  • 1960年 豊和工業が銃器製造工場を設立、国内向けにM300ハンティングライフルを発売。
  • 1967年 シカゴSHOTショーで豊和ゴールデンベアを発表。米国および日本で販売開始。
  • 1967~1979年 ゴールデンベアが限定生産され、米国と日本で販売。
  • 1970年 瀬戸内シージャック事件で警察の狙撃手がゴールデンベアで犯人を射殺。
  • 1979年 ゴールデンベア生産終了。後継モデルとして豊和 M1500を発表。
  • 1980年代~現在 ゴールデンベアはコレクターズアイテムとして評価。

H&K PSG-1(1972年~現在)

銃の画像
H&K PSG-1 画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名Heckler & Koch PSG1 (Präzisionsschützengewehr 1)
分類半自動狙撃銃
口径7.62×51mm NATO弾
作動方式ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト)
装弾数5発または20発(着脱式ボックスマガジン)
銃身長650mm(ライフリングはポリゴナル)
全長約1,230mm
重量8.1kg(スコープ装着時、空マガジン含む)
トリガー調整可能なスポーツタイプトリガー(プッシュボタン式)
照準器固定倍率のHensoldt FERO Z24 6×42スコープ(標準装備)
開発背景1972年のミュンヘンオリンピック事件を契機に、ドイツGSG-9の要求に基づき、対テロ作戦における高精度かつ迅速な対応を目的として開発されました。H&K G3自動小銃をベースとしています。
製造元Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ)
歴史1978年に発表されて以来、高精度と人間工学に基づいた設計で高く評価されてきました。
日本での使用日本の警察特殊部隊(SATなど)において、対狙撃任務や人質救出作戦などの精密射撃用途で使用されています。
年表1978年:発売開始
現在も限定的に使用され続けている
特徴半自動でありながらボルトアクションライフルに匹敵する高精度を誇ります。特別な反動軽減システム、微調整可能なチークピースとバットプレートを持つ人間工学的なストック、静音性を追求した設計が特徴です。非常に高価であり、製造数は限られています。

H&K PSG-1は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が開発したセミオートマチック精密射撃ライフルで、正式名称は「Präzisionsschützengewehr 1(精密射撃銃1型)」です。

1972年に開発・発表され、現在も限定的に生産・配備が続いています。

技術的特徴

H&K PSG-1の技術的特徴は以下の通りです。

  • 作動方式はローラーディレイドブローバック方式のセミオート。
  • 使用弾薬は7.62×51mm NATO(.308ウィンチェスター)で、5発または20発の着脱式ボックスマガジンを使用します。
  • 銃身は冷間鍛造のヘビーバレルで、ポリゴナルライフリングが施され、フリーフローティング設計となっています。銃身長は650mmです。
  • 全長は1,208~1,230mm、重量はスコープと空マガジン装着状態で約8.1kgです。
  • ストックは長さ、チークピース高さ、バットキャップ角度を調整可能で、高強度マットブラックポリマー製。
  • フォアエンドにはT字レールが備わり、スリングや三脚の装着に対応します。
  • トリガーは着脱式のマッチトリガーユニットで、トリガープル重量とトリガーリーチの調整が可能。
  • アイアンサイトは装備されておらず、標準でヘンゾルトZF 6×42 PSG1イルミネーテッドレティクルスコープ(100~600m弾道補正機能付き)が搭載されています。
  • PSG1A1ではシュミット&ベンダー製3~12×50ポリスマークスマンIIスコープを採用。
  • その他、ターゲットスタイルの調整式ピストルグリップ、低音ボルトクローズデバイス、ブラスキャッチャー対応、精度向上のため半円形ロッキングローラーが特徴です。

背景

H&K PSG-1が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • 1972年のミュンヘンオリンピック事件(イスラエル選手団襲撃事件)を契機に、西ドイツ警察が対テロ・人質救出任務向けの高精度セミオートマチックライフルを必要とし、PSG-1が開発されました。
  • H&K G3バトルライフルをベースに、精密射撃専用として大幅な改良が施されています。

採用事例

H&K PSG-1の採用事例は以下の通りです。

  • ドイツ連邦警察GSG-9、イギリス警察の特殊火器部隊、フィンランドKarhu Team、オランダDienst Speciale Interventies、アメリカFBI人質救出チーム(HRT)など、世界各国の特殊部隊・警察組織で採用されています。
  • 日本では警察庁特殊急襲部隊(SAT)が対テロ・人質救出用の精密射撃銃として正式採用しています。
  • 軍用にはMSG90と呼ばれる軽量・堅牢・コストダウン仕様が開発されました。
  • セミオートスナイパーライフルとしては異例の高精度を誇り、当時最も高精度なセミオートスナイパーライフルと称されました。

年表

H&K PSG-1に関する年表は以下の通りです。

  • 1972年 ミュンヘン事件を受け、西ドイツ警察が精密射撃銃を要求。
  • 1972年 H&K PSG-1開発・発表。
  • 1980~90年代 各国特殊部隊・警察で広く採用。
  • 2006年 PSG1A1バリエーション登場(改良スコープとエルゴノミクス向上)。
  • 2000年代~現在 引き続き特殊部隊・警察で使用され、セミオート精密射撃銃の標準機として評価されています。

豊和 M1500 (特殊銃I型)(1979年~現在)

銃の画像
豊和 M1500 画像出典:howausa.com
項目内容
モデル名豊和 M1500(Howa M1500)
分類ボルトアクションライフル(狩猟用、競技用、戦術用など多用途)
口径.223レミントン弾、.308ウィンチェスター弾、.30-06スプリングフィールド弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、7.62x39mm弾、6.5mmクリードモア弾など多数
作動方式マウザー型ボルトアクション、90度ボルト回転、コックオンオープン
装弾数3〜5発(内蔵式マガジン:主に日本国内向け)
5〜10発(着脱式マガジン:主に輸出向け、モデルにより異なる)
トリガーツーステージトリガー(二段引き)。2011年からはHACT(Howa Actuator Controlled Trigger)トリガーを搭載。
セーフティ3ポジションセーフティ(安全、ボルト開閉可能、ボルト固定の3段階)
銃身長モデルにより変動(18.5インチ / 約470mm 〜 26インチ / 約660mm)
重量標準モデル:約3.4kg
ヘビーバレルモデル:約4.2kg
(口径やモデル、銃身長により異なる)
開発背景1979年に豊和ゴールデンベアの後継として開発されました。デザインにはWeatherby Mark Vライフルの影響も受けています。
歴史1979年に発表されて以来、多用途かつ高い信頼性を持つライフルとして世界中に輸出されています。
日本での使用日本警察(SAT / 銃器対策部隊 / 原発特別警備部隊 / 関西国際空港海上警備隊(海警隊))。
民間では狩猟や競技用として広く使用されています。
年表1979年:発表・製造開始
2011年:HACTトリガーを搭載
現在も生産中
特徴堅牢なマウザー型アクションをベースとしながら、現代的なニーズに対応する多機能性と高い精度を兼ね備えています。豊富な口径やバレル長、ストックの選択肢があり、多様な用途に対応可能です。

豊和 M1500は、1979年に登場した豊和工業株式会社製のボルトアクション方式大型スポーツライフルです。

マウザー型コックオンオープン方式を採用し、国内外の狩猟、射撃競技、法執行機関、軍用として広く使用されています。

技術的特徴

豊和M1500(特殊銃I型)の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は多岐にわたり、Mini Actionでは.223レミントン、7.62×39mm、6.5mmグレンデル、Short Actionでは.223レミントン、.204ルガー、.308ウィンチェスター、6.5クリードモア、.22-250、6.5×55mm、Long Actionでは.270ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールド、.300ウィンチェスターマグナム、.338ウィンチェスターマグナム、7mmレミントンマグナム、.375ルガーが用意されています。
  • マガジンは内蔵式で3~5発、輸出モデルでは5発または10発の着脱式ボックスマガジン仕様も存在します。
  • 銃身は冷間鍛造スチール製で、標準、ヘビー、セミヘビーが選択可能。一部モデルにはマズルスレッドが備わっています。
  • 銃身長はモデルと口径により510~610 mm。
  • 重量はデラックスモデルで約3,400 g、ヘビーバレルモデルで約4,200 g。
  • レシーバーは一体削り出しスチール製でインテグラルリコイルラグを装備しています。
  • ボルトは鍛造スチール製で2ラグ式、ボルトハンドル一体型、M16型エキストラクター・エジェクター、工具不要のファイアリングピン分解機構を搭載。
  • トリガーは2ステージマッチトリガーで、2011年以降はHACT(Howa Actuator Controlled Trigger)システムが導入され、クリープのないシャープな引き心地が実現されています。
  • セーフティは3ポジション式で、トリガーのみロック、トリガーとボルトをロック、射撃可能の3段階。
  • ストックはウォールナット、合成樹脂、オーバーモールド仕様など多彩なバリエーションがあります。
  • サイトはほとんどのモデルでアイアンサイトを持たず、スコープ搭載用のドリルドタップが施されています。
  • 高品質弾薬使用時、100ヤードで3発1インチ以下(サブMOA)の精度保証がなされています。

背景

豊和M1500(特殊銃I型)が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • ゴールデンベアの後継として、国内外市場における高品質・高信頼性・低価格帯ボルトアクションライフル需要に応えるために開発されました。
  • ウェザビー・マークV(豊和がOEM生産していた)を参考にしつつ、90度ボルトリフトを採用することでユーザー互換性と操作性を高めました。
  • 狩猟だけでなく、精密射撃、法執行機関、軍用狙撃銃市場への展開も想定して設計されました。
  • HACTトリガーとMini Actionバリアントの導入により、口径・用途ともに大幅な拡張が図られています。

採用事例

豊和M1500(特殊銃I型)の採用事例は以下の通りです。

  • 日本国内では、警察の特殊銃I型として採用され、ヘビーバレルとスコープを装備した狙撃仕様で運用されています。
  • SAT(特殊急襲部隊)、特別警備隊、銃器対策部隊、福井県警察原子力特別警備隊などでも使用されています。
  • 海上保安庁でも運用例がありますが、洋上での速射には64式小銃が優先使用されています。
  • 海外では、ウェザビー・ヴァンガードなどOEM供給を通じて各国で販売されています。
  • ウクライナ軍では.308ウィンチェスター仕様が3rd特殊任務連隊、アゾフ大隊などで狙撃銃として採用され、ピカティニーレール装着などカスタム化されています。

年表

豊和M1500(特殊銃I型)に関する年表は以下の通りです。

  • 1979年 豊和 M1500発表。ゴールデンベアに代わるフラッグシップライフルとして登場。
  • 1982年 輸出モデル向けにスタンダードバレルを短縮。M1700LS軽量モデル発表。
  • 1985年 モスバーグ社が米国市場向けに5発着脱式マガジン仕様M1550を要請。
  • 2011年 HACTトリガーシステムを導入。
  • 2015年 Mini Actionバリアント登場。小口径・ショートアクション市場へ対応。
  • 2020年 米国市場(Gunbroker)におけるボルトアクションライフル販売数で第3位を記録。
  • 1979年–現在 狩猟、法執行、軍用として世界各国で継続生産・供給中。

AI AW (L96A1)(1982年~現在)

銃の画像
AI AW (L96A1) 画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名アキュラシー・インターナショナル AW (Accuracy International Arctic Warfare)
分類ボルトアクション狙撃銃
口径.308ウィンチェスター弾 / 7.62×51mm NATO弾(主要口径)
その他、.22-250 Rem、.243 Win、7mm-08 Remなど多様な口径が存在
作動方式ボルトアクション(堅牢な三爪ボルト、スムーズな作動性)
装弾数10発(着脱式ボックスマガジン)
銃身長660mm(26インチ)が標準
その他、508mm(20インチ)、610mm(24インチ)などバリエーションあり
全長約1,180mm(660mm銃身モデル)
重量約6.5kg(空マガジン、スコープなしの基本構成)
トリガー調整可能なツーステージトリガー
安全機構マニュアルセーフティ(撃針とボルトをロック)
開発背景1980年代初頭に、著名な射撃選手兼設計者であるマルコム・クーパーによって設計されました。英国軍の新型狙撃銃L96A1として1985年に制式採用され、極寒地での信頼性を特に重視しています。
製造元Accuracy International Ltd.(アキュラシー・インターナショナル)
歴史1985年の英国軍制式採用以来、高い精度、堅牢性、そして悪条件下での信頼性から、世界中の軍・警察の狙撃部隊で採用されています。
日本での使用一部の警察特殊部隊(例:警視庁SAT)において、精密狙撃用途で採用されています。
年表1980年代初頭:設計開始
1985年:英国軍L96A1として制式採用
現在も世界的に広く使用され、派生モデル(AWM、AXなど)も多数存在
特徴特徴的な緑色(または黒、FDE)のポリマー製サムホールストック、悪条件でも凍結しにくいボルトデザイン、堅牢なアルミ合金製シャーシなどが挙げられます。極めて高い命中精度と信頼性により、世界最高峰の狙撃銃の一つとして評価されています。

AI AW(Arctic Warfare)は、イギリスのアキュラシー・インターナショナル社が開発したボルトアクション方式のスナイパーライフルです。

英国陸軍ではL96A1として採用されています。

1982年に開発が始まり、1985年にL96A1として正式採用。

現在も各国軍・警察向けに生産が続けられています。

技術的特徴

AI AW(L96A1)の技術的特徴は以下の通りです。

  • 作動方式は手動ボルトアクションで、6ラグのボルトを装備しています。
  • 使用弾薬は主に7.62×51mm NATO(.308ウィンチェスター)。
  • シリーズ展開として.300ウィンチェスターマグナム、.338ラプアマグナム仕様も存在します。
  • マガジン容量は7.62mm仕様で10発、マグナム口径仕様は5発です。
  • 銃身はフリーフローティング設計のヘビーバレルで、標準モデルの銃身長は660mm(26インチ)です。
  • 全長は1,270mm、重量は光学機器未装着時で6.5~6.8kgです。
  • 初速は約850m/秒(7.62mm弾)、有効射程は7.62mm仕様で約800m、マグナム仕様では最大1,100mに達します。
  • シャーシはアルミニウム製のアキュラシーインターナショナル・シャーシシステム(AICS)を採用。主要部品をシャーシに直接ボルト固定する構造で、ストックは両側に樹脂パネルが取り付けられています。
  • ボルトは鋳鋼製で6ラグ、ガスベントホールとアンチバインディングスロットを装備します。
  • トリガーは2ステージ式で、トリガープル重量調整が可能。
  • セーフティは3ポジションレバー式で、ファイアリングピンを直接ブロックします。
  • サイトは通常シュミット&ベンダーPM IIスコープが装備され、予備としてアイアンサイト装着も可能です。
  • ストックは固定式、調整式、折り畳み式が用意され、バイポッドを標準装備し、オプションでモノポッドも装着できます。
  • アクセサリーとしてマズルデバイス、交換銃身、キャリングケース、ピカティニーまたはドーブテイルレールが利用可能です。

背景

AI AW(L96A1)が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • 1980年代初頭、英国陸軍は老朽化したリー・エンフィールドL42A1狙撃銃の後継として、新型狙撃銃の調達を計画。耐候性、モジュラー構造、高精度を重視した本銃が開発されました。
  • アルミシャーシによるモジュール構造は、フィールドでの迅速な整備や部品交換を可能にし、狙撃銃設計の新たなスタンダードとなりました。
  • パーカーヘイルM85との試験を制し、1985年にL96A1として採用されています。

採用事例

AI AW(L96A1)の採用事例は以下の通りです。

  • 1985年に英国陸軍が正式採用(L96A1)し、リー・エンフィールドL42A1を更新しました。
  • スウェーデン軍では改良型AWがPSG-90として採用されています。
  • ドイツ、オーストラリア、その他多くの国の軍・警察でも採用されています。
  • AWシリーズは、マグナム口径(AWM)、折り畳み式ストック(AWF)など、任務に応じたバリエーション展開が進められました。
  • 日本警察ではSATが採用しました。

年表

AI AW(L96A1)に関する年表は以下の通りです。

  • 1980年代初頭 アキュラシーインターナショナルがプレシジョンマークスマン(PM)ライフルを開発。
  • 1985年 英国陸軍がL96A1として正式採用。
  • 1980年代後半~1990年代 AW(Arctic Warfare)シリーズとして口径・構成バリエーションを展開。
  • 1990~2000年代 スウェーデン(PSG-90)、ドイツ、オーストラリアなど各国で採用。
  • 2000年代~現在 生産・運用継続中。

ショットガン(散弾銃)

レミントン M870(1950年~現在)

画像出典:remington.com
項目内容
モデル名Remington Model 870
分類ポンプアクションショットガン
口径12ゲージ(最も主流)、20ゲージ、.410ボア、16ゲージ
装弾数4〜7発(チューブ式マガジン、モデルやチューブの長さによる)
銃身長18インチ(約457mm)〜30インチ(約762mm)(モデルにより異なる)
全長約980mm(18インチバレルモデル)〜約1,230mm(30インチバレルモデル)
重量約3.2kg〜3.6kg(モデルや仕様により異なる)
開発背景1950年にレミントン社が、堅牢で信頼性の高い多用途ショットガンとして発売しました。市場での成功を収めていたWinchester Model 12に対抗する目的もありました。
製造元Remington Arms Company, LLC(レミントン・アームズ)
歴史1950年の発売以降、優れた信頼性と汎用性から、狩猟、スポーツ射撃、護身、法執行機関、軍事用途で世界的に最も普及したポンプアクションショットガンの一つとなりました。
日本での使用警察の暴動鎮圧部隊や特殊部隊(例:SIT、SAT、海上保安庁特殊警備隊SST、特殊事件捜査係)において、突入、ドアブリーチング、非致死性弾発射などの目的で使用されています。
年表1950年:発売開始
現在も世界中で広く使用・生産中
特徴堅牢なスチール製レシーバーと滑らかなポンプアクション、そして多様なバリエーションとアフターマーケットパーツの豊富さが特徴です。信頼性は高く評価されており、「ワークホース」(実用銃)として親しまれています。

レミントン Model 870は、アメリカのレミントン・アームズ社が1950年に発売したポンプアクション式ショットガンです。

狩猟、スポーツ射撃、護身用、法執行機関、軍用途と幅広く使用され、2009年時点で1,000万丁以上が生産された世界屈指のベストセラーショットガンです。

作動方式はデュアルアクションバーを装備する手動ポンプアクションで、高い信頼性と滑らかな操作感を特徴としています。

技術的特徴

レミントンM870の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は12ゲージ、16ゲージ、20ゲージ、28ゲージ、.410ボアと幅広く展開。
  • マガジンは銃身下のチューブ型で、装弾数は口径や銃身長により異なり、標準で4+1から最大8+1発が装填可能です。
  • 銃身長はモデルと用途により18.5インチから30インチまでラインナップされています。
  • 機関部はボトムローディング・サイドイジェクト方式で、ボルトがバレルエクステンションにロックされる設計です。
  • セーフティはトリガー後方に配置されたクロスボルト式。
  • チョークは発売当初固定式でしたが、1986年以降のモデルでは交換可能な「Rem Choke」スクリューインチョークシステムが導入されています。
  • レシーバーと銃身はスチール製で、ストックは木製と合成樹脂製が選択可能。
  • 重量はモデルにより異なりますが、概ね3.2~3.6kgです。
  • 設計面では、デュアルアクションバーによる確実な作動、内部ハンマー、スライドリリースキャッチ、容易な分解整備が特徴です。
  • バリエーションとして、フィールドマスター(Fieldmaster)、ウィングマスター(Wingmaster)、スペシャルパーパス(Special Purpose)、マリンマグナム(Marine Magnum)、スーパー・マグナム(Super Magnum)、タクティカルモデルなど多彩なモデル展開が行われています。
  • 一部モデルにはライフルドバレルが用意され、スラグ弾に対応。また、ほとんどのモデルは光学機器用ドリルド&タップドレシーバーを装備しています。

背景

レミントンM870が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • Model 870は、複雑かつ高コストでウィンチェスター Model 12に対抗できなかったModel 31の後継として開発されました。
  • 信頼性が高く、製造性、整備性、操作性に優れ、価格面でも優位性を発揮しました。
  • 頑丈さ、多用途性、手頃な価格から、米国内外の法執行機関や軍で標準的なショットガンとして採用が広がりました。

採用事例

レミントンM870の採用事例は以下の通りです。

  • 米国の法執行機関、軍、民間市場で広く使用されています。
  • 870は多数のタクティカル・コンバットショットガンのベースとなり、バリエーションが豊富です。
  • 初期モデルではマガジン内で薬莢が詰まる問題がありましたが、後に「フレキシタブ」キャリア導入により解決されました。
  • 中国のノリンコ社は、HP9-1やType 97などModel 870の無許可コピー品を生産し、各国で販売しています。
  • 日本では海上保安庁特殊警備隊SSTや特殊事件捜査係に採用されました。

年表

レミントンM870に関する年表は以下の通りです。

  • 1950年 Model 870発表、Model 31の後継として販売開始。
  • 1969年 28ゲージ、.410ボアモデルがスケールドダウンレシーバーで追加。
  • 1972年 20ゲージ軽量モデル発表。
  • 1986年 スクリューインチョーク「Rem Choke」システム導入。
  • 2009年 累計生産1,000万丁達成。
  • 2010年代~現在 民間、法執行機関、軍向けに多数のバリエーションを生産中。

サブマシンガン(機関けん銃)

SATの画像
画像出典:Wikipedia

日本警察ではH&K MP5を採用しています。

H&K MP5は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が1960年代に開発したサブマシンガン(短機関銃)です。G3ライフルのモジュラー設計思想を受け継ぎ、共通構造をベースとして開発されました。開発は1964年に始まり、1966年にはドイツ国境警備隊や連邦軍特殊部隊で採用され、MP5と命名されました。

MP5は9mmパラベラム弾を使用し、ローラーディレイドブローバック方式を採用しています。この信頼性の高い作動方式と取り回しの良さにより、MP5は40カ国以上の軍や警察、情報機関、セキュリティ部門で採用され、世界で最も普及したサブマシンガンの一つとなりました。

1970年代にはMP5A2やMP5A3、サプレッサー付きMP5SD、コンパクトモデルのMP5Kなどバリエーションが登場し、1977年以降はホローポイント弾に対応するため、直線型ボックスマガジンから湾曲型バナナマガジンへと変更されました。

1980年のイラン大使館人質事件でSASが使用したことで、その存在は世界に広く認知され、エリート部隊の象徴的装備となりました。

  • MP5の主要仕様と特徴
    • 開発開始:1964年
    • 採用開始:1966年(ドイツ国境警備隊、連邦軍特殊部隊)
    • 使用弾薬:9mmパラベラム弾
    • 作動方式:ローラーディレイドブローバック
    • セレクティブファイア:セミオート/フルオート切替式
    • サイト:回転式ドラムリアサイト、フロントポスト
    • 主要採用国:ドイツ、イギリス、ギリシャ、イラン、メキシコ、パキスタン、サウジアラビア、トルコなど(ライセンス生産含む)

MP5シリーズのバリアントは以下の通りです。

モデル名説明
HK541964年登場の試作モデル。
チャコールグレーのリン酸塩仕上げ、スリムラインハンドガード、G3初期型に似たラダーリアサイト、直線型ワッフルマガジンを装備。
MP51966年登場の基本モデル。
スリムラインハンドガード、銃身長8.9インチ、3ラグマズル。
1970年代以降、クローアタッチメントレール、曲線型クロームマガジン、トロピカルハンドガードなど改良が加えられた。
MP5A1固定ストックなし、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載モデル。
MP5A2固定ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載モデル。
MP5A3伸縮式ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載モデル。
MP5A4固定ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ、直線型ピストルグリップ装備。
MP5A5伸縮式ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ、直線型ピストルグリップ装備。
MP5SF1986年登場のセミオート限定モデル。
FBI要請で開発。
SFA2(固定ストック)とSFA3(伸縮式ストック)があり、1991年以降はセレクトファイア対応ボルトキャリアが搭載。
MP5PTMP5A4およびA5の訓練用プラスチック弾モデル。
MP5N1986年、米海軍要請で開発されたモデル。
伸縮式ストック、Navy 2点バースト、トリチウムサイト、KAC製ステンレスサプレッサー対応マズル搭載。
MP5F1999年、フランス国家憲兵向けモデル。
パッド付き伸縮式ストック、Navyトリガーグループ、アンビスリングマウント、高圧弾対応内部改良。
MP5 MLI2015年登場の近代化モデル。
MP5A5ベースで、MP5Fのストック、トリプルレールハンドガード、クイックリリースサイトマウント、RAL8000(グリーン・ブラウン)仕上げ。
MP5SD1974年登場のインテグラル(内蔵)サプレッサー搭載モデル。
銃身長5.7インチ、二段式サプレッサー、発射速度約800発/分。
MP5SD2固定ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載MP5SD。
MP5SD3伸縮式ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載MP5SD。
MP5SD4固定ストックなし、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載のMP5SD。
MP5SD1とほぼ同様の構成。
MP5SD5固定ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ搭載MP5SD。
MP5SD6伸縮式ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ搭載MP5SD。
MP5K1976年登場のコンパクトモデル。
銃身長4.5インチ、フォアグリップ内蔵ハンドガード、発射速度約900発/分。
MP5KA1スムーストップとロープロファイルサイト搭載のMP5K標準モデル。
MP5KA4Navy 3点バーストトリガーグループ、通常サイト搭載MP5K。
MP5KA5Navy 3点バーストトリガーグループ、スムーズトップ、ロープロファイルサイト搭載MP5K。
MP5K-N米海軍向けMP5Kモデル。
Navyトリガーグループ、3ラグマズル装備。
MP5K-PDW1991年登場のPDWモデル。
折りたたみストック、Navyトリガーグループ、5.5インチ銃身とサプレッサー対応マズル搭載。
MP5/101992年登場。
10mm Auto弾仕様、30連マガジン、ボルトホールドオープン装備。
2000年に生産終了。
MP5/401992年登場。
.40 S&W弾仕様、MP5/10と同構成。
2000年に生産終了。
MP5 .22 LR2021年頃登場。
.22LR仕様でライフルとピストルバージョンがある。
セミオート限定。
HK941983~1989年米国民間向けモデル。
銃身長16.54インチ、0-1トリガー、固定または伸縮ストック、直線型ピストルグリップ。
HK94/SG-11985年登場。
精密射撃用モデルで50丁のみ輸入。
固定マッチストック、バイポッド、ルーポルド6倍スコープ装備。
SP891989~1994年米国民間向けMP5Kバージョン。
セミオート限定。
SP52019年登場の民間向けMP5。
8.8インチ銃身、トロピカルハンドガード、固定/伸縮/エンドキャップ選択可能。
SP5K-PDW2019年登場の民間向けMP5Kモデル。
セミオート限定。

H&K MP5SD ( SD4 / SD6 )(1974年~現在)

銃の画像
H&K MP5SD6 画像出典:hk-usa.com
項目内容
モデル名Heckler & Koch MP5SD (Schalldämpfer)
分類サプレッサー付サブマシンガン(短機関銃)
口径9×19mmパラベラム弾
作動方式ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト)
装弾数15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン)
銃身長146mm(サプレッサー内部に穴あき加工)
全長SD4(ストックなし):550mm
SD6(伸縮ストック):780mm(展開時)、610mm(短縮時)
重量SD4:約3.1kg
SD6:約3.4kg
(いずれも空マガジン含む)
サプレッサー内蔵型(バレルと一体化)
ストックSD4:ストックなし
SD6:伸縮式ストック(テレスコピックストック)
射撃モード安全(セーフ)、単発(セミオート)、3点バースト、連射(フルオート)
(バリエーションによる)
発射速度約700発/分
開発背景1970年代に、特殊作戦における静音性を極限まで高める目的で開発されました。標準のMP5をベースに、銃身と一体化したサプレッサーを特徴とします。
製造元Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ)
歴史1970年代の登場以来、優れた静音性から、世界中の特殊部隊や対テロ部隊で隠密作戦用として重宝されてきました。
日本での使用日本の警察特殊部隊(SAT / 海上保安庁特殊警備隊SSTなど)において、隠密性を要する突入作戦や人質救出作戦などで使用されています。
年表1970年代:MP5SDモデルが登場
現在も特殊作戦において広く使用中
特徴特殊なバレル構造と一体型サプレッサーにより、標準的な9mmパラベラム弾を使用しても音速以下に弾速を落とし、発射音を効果的に抑制します。これにより、インドアでの作戦時や夜間、情報収集活動において極めて有利な性能を発揮します。

H&K MP5SDは、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するインテグラルサプレッサー(内蔵消音器)搭載型サブマシンガンです。

「SD」はドイツ語のSchalldämpfer(サウンドサプレッサー)を意味します。

技術的特徴

H&K MP5SD(SD4 / SD6)の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は9×19mmパラベラム弾を使用。
  • マガジンは15発または30発の着脱式スチール製ボックスマガジン。
  • 銃身長は146mm(5.75インチ)で、銃身に30個のガスポートがあり、発射ガスをサプレッサー内部へ逃がす構造となっています。
  • 発射時に銃身内の穴から高圧ガスが抜けることで弾頭の加速を抑え、低速(亜音速)で発射して爆音(ソニックブーム)を防ぎ、減音します。
  • 全長はストック格納時約655mm(25.8インチ)、展開時約800mm(31.5インチ)、重量は空マガジン時で約3.39kg(7.48ポンド)です。
  • ストックは、SD4がストック無し、SD6が伸縮式ストック仕様。
  • サイトはフロントにフード付きポスト、リアにダイオプター・ドラムサイト。
  • トリガーグループは4ポジション(セーフ、セミオート、3点バースト、フルオート)。
  • 発射速度は毎分約800発。
  • 作動方式はローラーディレイドブローバック、閉鎖ボルト発射。
  • 音速を超える通常弾(9mm NATO)を使用することを前提とした設計です。
  • サプレッサーは二重構造のアルミまたはステンレス製で、標準弾薬を亜音速化するため特別なサブソニック弾を必要とせず、音響とマズルフラッシュ(発射炎)を大幅に低減します。

背景

H&K MP5SD(SD4 / SD6)が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • MP5SDは、特殊部隊の「標準弾薬を使用しつつ高い消音効果を持つ短機関銃が必要」という要求に応えて1974年に開発されました。
  • SD4とSD6の違いは主にストック構成とトリガーグループで、SD4はストック無し、SD6は伸縮式ストック仕様です。

採用事例

H&K MP5SD(SD4 / SD6)の採用事例は以下の通りです。

  • イギリスSAS、ドイツGSG9、アメリカ海軍SEALsなど世界各国の特殊部隊や対テロ部隊で採用されています。
  • 日本では、SATや警視庁特殊部隊、海上保安庁特殊警備隊SSTを含む対テロ・特殊警備部隊がMP5SD(特にSD6)を採用しており、隠密作戦や夜間突入任務で運用されています。

年表

H&K MP5SD(SD4 / SD6)に関する年表は以下の通りです。

  • 1974年 特殊部隊向けにMP5SD開発・発表。
  • 1970年代~1980年代 世界各国の特殊部隊や法執行機関で採用が進む。
  • 1980年代~現在 SD4(ストック無し)、SD6(伸縮式ストック)バリエーション運用開始。トリガーグループやサプレッサー改良。
  • 2000年代~現在 日本を含む各国で特殊作戦用サブマシンガンとして運用が続き、MP5シリーズの中でも静音性を最重視するモデルとして位置づけられる。

H&K MP5A4(1977年~現在)

銃の画像
H&K MP5A4 画像出典:hk-usa.com
項目内容
モデル名Heckler & Koch MP5A4
分類サブマシンガン(短機関銃)
口径9×19mmパラベラム弾
作動方式ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト)
装弾数15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン)
銃身長225mm
全長680mm
重量約2.8kg(空マガジン含む)
ストック固定ストック
射撃モード安全(セーフ)、単発(セミオート)、3点バースト、連射(フルオート)
発射速度約800発/分
開発背景1960年代にH&K社のG3アサルトライフルをベースに開発されたMP5シリーズのバリエーションの一つです。MP5A4は固定ストックと3点バースト機能を追加したモデルです。
製造元Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ)
歴史1970年代にA4モデルが登場して以来、高い精度と信頼性から、世界中の軍・警察の特殊部隊で広く採用されています。
日本での使用日本の警察特殊部隊(SAT:特殊急襲部隊など)において標準装備として使用されています。
年表1970年代:MP5A4モデルが登場
現在も世界各国の特殊部隊で広く使用中
特徴ローラーディレイドブローバック方式による高い命中精度と少ない反動、そしてコンパクトなサイズが特徴です。インドアでの作戦やCQB(近接戦闘)において高い性能を発揮します。

H&K MP5A4は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するセレクティブファイア方式のサブマシンガンで、MP5ファミリーの一員として1980年代初頭に登場しました。

固定ストックと4ポジションのトリガーグループ(セーフ、セミオート、3点バースト、フルオート)が備わっているモデルです。

作動方式はローラーディレイドブローバックを採用し、クローズドボルト発射により高い命中精度を実現しています。

技術的特徴

H&K MP5A4の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は9×19mmパラベラム弾を使用。
  • マガジンは15発または30発の着脱式ボックスマガジン。
  • 銃身長は225mm(8.9インチ)、全長は680mm(26.8インチ、固定ストック装着時)、重量は約2.97kg(空マガジン時)です。
  • ストックはA4バリアントの特徴である固定式ポリマーストックを装備。
  • サイトはフロントにフード付きポスト、リアにダイオプター・ドラムサイト。
  • 発射速度は毎分約800発、初速は約400m/s(1,312ft/s)です。
  • レシーバーはスチール製で、ポリマー製と堅牢な内部構造が備わっています。
  • MP5A4はHK G3ライフルと同じローラーディレイドブローバック機構を縮小適用しており、サブマシンガンとして高い信頼性とコントロール性を実現しています。

背景

H&K MP5A4が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • MP5シリーズは、近接戦闘用に高精度かつ信頼性の高いコンパクトなサブマシンガンを求める軍や法執行機関の要求に応えて開発されました。
  • MP5A4は、固定ストックと4ポジションのトリガーグループを装備し、セミオート射撃やバースト射撃、フルオート射撃において安定したコントロール性を提供することを目的として設計されました。

採用事例

H&K MP5A4の採用事例は以下の通りです。

  • ドイツのGSG9、イギリスSAS、アメリカのSWATをはじめ、世界各国の軍・警察・特殊部隊で広く採用されています。
  • 1980年のイラン大使館人質救出作戦(ロンドン)での使用により、名声を確立しました。
  • 日本でも、SAT、警視庁特殊部隊などの特殊部隊でMP5A4を含むMP5シリーズが採用されています。

年表

H&K MP5A4に関する年表は以下の通りです。

  • 1963–1966年 HK54(MP5の試作型)開発。
  • 1966年 MP5生産開始。ドイツ連邦国境警備隊やドイツ連邦軍特殊部隊が採用。
  • 1970年代 固定ストック(A2/A4)および伸縮ストック(A3/A5)モデルが登場。
  • 1980年代初頭 MP5A4登場。固定ストックと4ポジショントリガーグループを装備。
  • 1980年代~現在 世界中の軍・警察・特殊部隊で採用。日本の法執行機関にも配備。
  • 2020年代 MP5A4は現在も生産・配備。

H&K MP5A5(MP5F)(1979年~/1990年代~現在)

銃の画像
H&K MP5A5(MP5F) 画像出典:jiji.com
項目内容
モデル名Heckler & Koch MP5A5(MP5F)
分類サブマシンガン(短機関銃)
口径9×19mmパラベラム弾
作動方式ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト)
装弾数15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン)
銃身長225mm
全長660mm(ストック展開時)
490mm(ストック短縮時)
重量約2.8kg(空マガジン含む)
ストック伸縮式ストック(テレスコピックストック)
射撃モード安全(セーフ)、単発(セミオート)、3点バースト、連射(フルオート)
発射速度約800発/分
開発背景1960年代に開発されたMP5シリーズのバリエーションの一つで、1979年に登場しました。
MP5A5は伸縮式ストックと3点バースト機能が備わっています。
MP5F(1990年代~)はフランス警察の要求に応じて強化されたモデルです。
製造元Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ)
歴史MP5A5は1979年に登場し、MP5A4と並んで多くの特殊部隊や法執行機関で採用されました。
日本での使用日本の警察特殊部隊(SAT / 銃器対策部隊 / 原発特別警備部隊 / 海上保安庁特殊警備隊SSTなど)において使用されています。
年表1980年代:MP5A5モデルが登場
現在も世界各国の特殊部隊で広く使用中
特徴ローラーディレイドブローバック方式による高い命中精度と少ない反動はそのままに、伸縮式ストックにより運搬性や狭い場所での取り回しが向上しています。MP5Fは、より強力な9mm弾の使用に耐えるよう内部が強化されています。

H&K MP5A5は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するセレクティブファイア方式のサブマシンガンで、MP5ファミリーの中で伸縮式ストックと4ポジションのトリガーグループ(セーフ、セミオート、3点バースト、フルオート)を装備するモデルです。

フランス軍・警察向けのMP5Fは、MP5A5を基に強化パーツと耐久性向上仕様が施されたバリエーションで、日本警察も採用しました。

技術的特徴

H&K MP5A5(MP5F)の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は9×19mmパラベラム弾を使用。
  • マガジンは15発または30発の着脱式湾曲スチールボックスマガジン。
  • 銃身長は225mm(8.9インチ)、全長はストック格納時約490mm(19.3インチ)、展開時約660mm(26インチ)、重量は約2.97kg(空マガジン時)です。
  • ストックはメタル製伸縮式(A5/Fバリアントの特徴)。
  • サイトはフロントにフード付きポスト、リアに回転式ダイオプター・ドラムサイト(ウィンデージ・エレベーション調整可能)。
  • 発射速度は毎分約800発、初速は約400m/s(1,312ft/s)です。
  • 作動方式はローラーディレイドブローバック、クローズドボルト発射。
  • コールドハンマーフォージドバレルとフルーテッドチャンバーを装備し、モジュラー設計により様々なストックやトリガーグループ、アクセサリーに対応します。
  • MP5Fは高圧弾仕様に対応するため主要部品が強化され、寒冷地運用能力も向上しています。

背景

H&K MP5A5(MP5F)が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • MP5A5/MP5Fは、セミオート、3点バースト、フルオートの切替が可能で、狭所での取り回しを重視した伸縮ストックにより、特殊部隊や法執行機関の要求に応えて設計されました。
  • フランス軍・警察向けに開発されたMP5Fは、耐久性と寒冷地性能の改良により、過酷な運用環境下でも信頼性を発揮します。

採用事例

H&K MP5A5(MP5F)の採用事例は以下の通りです。

  • フランスの国家憲兵隊特殊部隊GIGN、国家警察特殊部隊RAID、ドイツのGSG9、イギリスSASなど、世界各国の軍・警察・特殊部隊で広く採用されています。
  • 日本では、SAT、警視庁特殊部隊、銃器対策部隊、原発特別警備部隊、海上保安庁特殊警備隊SSTなどがMP5A5/MP5Fを採用し、対テロ作戦や特殊警備任務に使用しています。

年表

H&K MP5A5(MP5F)に関する年表は以下の通りです。

  • 1980年代初頭 MP5A5登場。伸縮式ストックと4ポジショントリガーグループを装備。
  • 1990年代 フランス軍・警察向けにMP5F開発・採用。高圧弾対応仕様と耐寒改良が施される。
  • 1980年代~現在 MP5A5/MP5Fは世界中の軍・警察・特殊部隊で採用。
  • 2020年代 現在も生産・配備が続き、各国の特殊部隊で運用されています。

H&K MP5SFK (セミオートオンリー)(1980年代~現在)

銃の画像
HK SP5K 画像出典:swissordnance.com
項目内容
モデル名Heckler & Koch MP5SFK (SF: Single Fire, K: Kurz)
分類セミオートカービン(民間・警察向け)
口径9×19mmパラベラム弾
作動方式ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト)
装弾数15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン)
銃身長115mm
全長約550mm(固定ストック展開時)
約325mm(ストックなし、またはフォールディングストック折りたたみ時)
重量約2.0kg〜2.5kg(モデルおよびストックにより異なる、空マガジン含む)
ストックオプションでフォールディングストックまたは伸縮ストックを装着可能(ピストルモデルはストックなし)
射撃モード安全(セーフ)、単発(セミオート)のみ
開発背景1990年代以降、フルオート機能が不要または法的に制限される民間市場や法執行機関向けに開発されたMP5Kのセミオート専用モデルです。
製造元Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ)
歴史MP5Kのセミオート版として、特に隠匿携行性やCQB(近接戦闘)能力を維持しつつ、より幅広い市場に対応するために登場しました。
日本での使用SIT(特殊事件捜査係)で使用されています。
特徴MP5K譲りのコンパクトなサイズと、ローラーディレイドブローバックによる高い精度を維持しつつ、フルオート機能を持たないことでより安定した単発射撃が可能です。主に私服警官の携行や特殊作戦における隠密性が求められる場面で検討されます。

H&K MP5SFKは、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するコンパクトサブマシンガンです。

MP5K(Kurz)を基に開発され、「SFK」はショートフォアアーム(Short Forearm)、クルツ/フォールディングストック( Kurz/Folding Stock)を意味します。

「K(クルツ / Kurz)」はドイツ語で「短い(ショート)」を意味します。

技術的特徴

H&K MP5SFK(セミオートオンリー)の技術的特徴は以下の通りです。

  • 口径は9×19mmパラベラム弾を使用。
  • マガジンは15発または30発の着脱式湾曲スチールボックスマガジン。
  • 銃身長は115mm(4.52インチ)で、標準的なMP5より短く設計されています。
  • 全長はストック折りたたみ時で330mm(13インチ)未満と極めて短く、重量は約2kg(4.4ポンド)。
  • ストックはサイドフォールディング式またはストックレス構成。状況に応じて伸縮式や固定ストックに換装可能。
  • サイトはゴーストリングフロントサイトと、クイックターゲットアクイジション(迅速照準)向けのリアピープサイト。
  • トリガーグループは3ポジション(セーフ、セミオート、フルオート)で、一部モデルにはバーストモードが搭載されています。
  • 構造は冷間鍛造銃身と高強度スチール・ポリマー部品により、軽量ながら堅牢性が確保されています。
  • 作動方式はローラーディレイドブローバックで、閉鎖ボルト発射により精度と制御性が維持されます。
  • MP5Kは軽量ボルトにより発射度が約900発/分となり、通常のMP5の800発/分よりも速い発射速度です。

背景

H&K MP5SFK(セミオートオンリー)が開発・採用された背景は以下の通りです。

  • MP5SFKは、軍や法執行機関の要請により、護衛任務や車両内、閉所作戦での携行性と即応性を重視して開発されました。
  • 法執行機関や軍用市場向けに設計されたセミオートマチック版で、1986年に連邦捜査局による「9mmセミオートマチックカービン」の要求に応じて導入されました。
  • MP5SFKは、MP5SFシリーズのコンパクトバージョンです。
  • 民間市場向けセミオートマチックMP5であるHK94とは異なり、MP5SFは8.9インチバレルが備わっています。
  • SFモデルはセレクター表記が「0-1」となっているトリガーグループが使用されていますが、1991年以降のモデルではフルオート対応トリガーグループに交換するだけでフルオート射撃が可能になります。
  • MP5Kを基に、短いフォアエンドと折りたたみストックを組み合わせ、携帯性と取り回しを向上させています。
  • MP5シリーズの信頼性、精度、操作性をそのままに、極めてコンパクトなパッケージで提供される点が特徴です。

採用事例

H&K MP5SFK(セミオートオンリー)の採用事例は以下の通りです。

  • 世界各国の特殊部隊、法執行機関、VIP警護チームで広く使用されています。
  • 特に近接戦闘、護衛任務、秘密作戦などで高い評価を得ており、MP5Kシリーズの派生モデルとして存在感を示しています。
  • 日本でも、SATやSIT(特殊事件捜査係)などが採用しており、警護や対テロ任務で運用されています。

年表

H&K MP5SFK(セミオートオンリー)に関する年表は以下の通りです。

  • 1966年 オリジナルMP5発表。
  • 1976年 MP5K(Kurz)開発。超コンパクト仕様として登場。
  • 1980年代 MP5SFK(Short Forearm, Folding Stock)開発。携行性と作戦柔軟性をさらに向上。
  • 1980年代~現在 MP5SFKおよび関連バリエーションが軍・警察・特殊部隊に採用。日本でも運用。
  • 2020年代 MP5SFKは現在も生産と運用が続いており、護衛・特殊作戦用コンパクトサブマシンガンの標準として位置づけられています。

日本警察の銃について、さらに詳しく知りたい方は以下のカテゴリー別解説をご覧ください。

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