
日本警察では、通常装備の拳銃に加えて、特殊部隊や銃器対策部隊にライフル、ショットガン、サブマシンガンといった特殊銃器が配備されています。
これらの銃器は、狙撃や突入、制圧任務など、各状況に応じて適切に運用され、警察活動の重要な戦力となっています。
本記事では、豊和M1500、89式5.56mm小銃、MP5SFKなど、各種について解説します。
※各モデルのタイトルには製造期間(運用期間ではない)を掲載しています。
日本警察が使用する銃器の一覧解説した総括ページはこちら
ライフル(自動小銃)
豊和 64式7.62mm小銃(1964年~1988年)

項目 | 内容 |
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モデル名 | 64式7.62mm小銃(Howa Type 64 Rifle) |
分類 | バトルライフル |
口径 | 7.62×51mm NATO弾(日本仕様は装薬を軽減した専用弾を使用) |
作動方式 | ガス圧作動(ガス調整可能)、チルトボルト |
装弾数 | 20発(着脱式ボックスマガジン) |
銃身長 | 450mm |
全長 | 990mm |
重量 | 4.4kg(空マガジン含む) |
発射速度 | 約500発/分 |
開発背景 | 1950年代末から1960年代初頭にかけて、戦後初の日本国産小銃として開発されました。当時の日本人体格に合わせて設計されています。 |
製造元 | 豊和工業株式会社 |
歴史 | 1964年に陸上自衛隊で制式採用され、1989年に89式5.56mm小銃にその座を譲るまで、主力小銃として運用されました。 |
日本での使用 | 日本警察(海上保安庁 / 関西国際空港海上警備隊(海警隊)/ 警視庁特科中隊 SAP(Special Armed Police)を含む)。予備自衛官の訓練用途や式典用、ごく一部の部隊での限定使用。 |
年表 | 1964年:制式採用 1989年:後継機(89式5.56mm小銃)への移行開始 |
特徴 | 安定した射撃を可能にする二脚の内蔵や、日本人の体格に合わせたストック形状が特徴です。専用の減装弾を使用することで、反動を抑え、射撃精度を高めていました。 |
64式7.62mm小銃は、1964年に制式採用された戦後初の国産自動小銃であり、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁で主力小銃として使用されました。
製造は豊和工業株式会社が担当し、1989年までに23万挺以上が生産されました。
技術的特徴
64式7.62mm小銃の技術的特徴は以下の通りです。
背景
64式7.62mm小銃の背景は以下の通りです。
採用事例
64式7.62mm小銃の採用事例は以下の通りです。
年表
64式7.62mm小銃の年表は以下の通りです。
豊和 89式5.56mm小銃(1989年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | 89式5.56mm小銃(Howa Type 89 Assault Rifle) |
分類 | アサルトライフル |
口径 | 5.56×45mm NATO弾 |
作動方式 | ガス圧作動(ロングストロークピストン)、回転ボルト |
装弾数 | 30発(着脱式ボックスマガジン) |
銃身長 | 420mm |
全長 | 916mm(固定銃床展開時) 670mm(折曲銃床折りたたみ時) |
重量 | 約3.5kg(空マガジン含む) |
発射速度 | 約750発/分 |
開発背景 | 1980年代に64式7.62mm小銃の後継として開発されました。アメリカのアーマライトAR-18を参考に設計されています。 |
製造元 | 豊和工業株式会社 |
歴史 | 1989年に陸上自衛隊で制式採用されました。現在も陸上自衛隊の主力装備であり、後継小銃への更新が進められています。 |
日本での使用 | 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁、警察の特殊部隊(一部)で標準装備されています。災害派遣やPKO(国際平和協力活動)でも使用実績があります。 |
年表 | 1989年:制式採用 現在も使用中(後継小銃への更新途上) |
特徴 | 高精度、高い信頼性、高い命中精度が特徴です。左右両用に対応したセレクターや、折曲銃床型の存在も特徴です。 |
89式5.56mm小銃は、1989年に制式採用された国産アサルトライフルであり、豊和工業株式会社が製造しています。
5.56mm NATO弾(SS109弾)に対応し、陸上自衛隊をはじめとする各自衛隊および海上保安庁や警察特殊部隊で運用されています。
技術的特徴
89式5.56mm小銃の技術的特徴は以下の通りです。
背景
89式5.56mm小銃が開発・採用された背景は以下の通りです
採用事例
89式5.56mm小銃の採用事例は以下の通りです。
年表
89式5.56mm小銃に関する年表は以下の通りです。
スナイパーライフル(狙撃銃)
レミントン M700(1962年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | Remington Model 700 |
分類 | ボルトアクションライフル(狩猟用、競技用、狙撃用) |
口径 | .17 レミントン、.223レミントン弾、.22-250レミントン弾、.243ウィンチェスター弾、.270ウィンチェスター弾、.308ウィンチェスター弾、.30-06スプリングフィールド弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、7mm レミントンマグナム弾など非常に多種 |
作動方式 | ボルトアクション(二爪プッシュフィードボルト、非回転式エキストラクター) |
装弾数 | 3〜5発(内蔵式マガジン、口径による) 一部モデルは着脱式ボックスマガジン |
銃身長 | モデルにより変動(例:.308ウィンチェスター標準は24インチ / 約610mm) |
全長 | モデルにより変動 |
重量 | モデル、口径、銃身長、ストック素材により変動 |
トリガー | レミントン独自のX-Mark Proトリガーなど(モデルや製造時期による) |
安全機構 | 2ポジションセーフティ |
開発背景 | 1962年にレミントンM721/M722の後継として発売されました。堅牢な設計と高い精度が特徴で、警察・軍用のスナイパーライフルとしても標準的な存在となりました。 |
製造元 | Remington Arms Company, LLC(レミントン・アームズ) |
歴史 | 1962年の発表以来、優れた精度と多様なバリエーションにより、狩猟市場だけでなく、1980年代以降は軍や警察の狙撃用ライフルとして世界中で広く採用されています。 |
日本での使用 | 警察特殊部隊SATにおいて、狙撃銃として採用実績があります。 |
年表 | 1962年:発売開始 1980年代〜現在:軍・警察の狙撃用途で広く使用され続けている |
特徴 | 「最も正確な箱出しライフル」の一つとして知られ、多数の口径、バレル長、ストックの組み合わせが存在します。堅牢なアクションは、カスタムライフル製作のベースとしても非常に人気があります。 |
レミントンM700は、1962年に登場したボルトアクション式のセンターファイアライフルであり、高い精度と汎用性で知られています。
アメリカのレミントン・アームズ(現在はRemArms LLC)が製造しており、世界で最も人気のあるボルトアクションライフルの一つで、累計生産数は数百万挺に上ります。
技術的特徴
レミントンM700の技術的特徴は以下の通りです。
背景
レミントンM700が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
レミントンM700の採用事例は以下の通りです。
年表
レミントンM700に関する年表は以下の通りです。
豊和 ゴールデンベア(1967年~1979年)

項目 | 内容 |
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モデル名 | 豊和ゴールデンベア(HOWA Golden Bear) |
分類 | ボルトアクションライフル(狩猟銃) |
口径 | .30-06スプリングフィールド弾(主要モデル) .308ウィンチェスター弾(限定モデル) |
作動方式 | マウザー型ボルトアクション、コックオンオープン |
装弾数 | 5発(内蔵式マガジン) |
銃身長 | 616mm(.30-06モデル) 565mm(.308モデル) |
全長 | 1,160mm(.30-06モデル) 1,075mm(.308モデル) |
重量 | 3,300g(.30-06モデル) 3,200g(.308モデル) |
バリエーション | デラックス(日本国内向け) プレゼンテーション メダリオン(主に輸出用) |
開発背景 | 1960年代、国内の大型口径狩猟銃需要に応えるために開発されました。フィンランドのSAKO L61R(フィンベア)ライフルを参考に設計されています。 |
発表・生産・輸出 | 1967年:シカゴSHOTショーで発表、輸出開始 1967年〜1979年:生産・輸出 1979年:生産終了(後継モデルの豊和 M1500へ移行) |
輸出実績 | 約3,000丁が米国へ輸出されました。HPホワイト研究所の試験に合格し、高い品質が評価されました。 |
日本での使用 | 主に民間向けの狩猟用として使用されました。 日本警察(SAT / 銃器対策部隊 / 警視庁特科中隊 SAP(Special Armed Police)) |
特徴 | 堅牢なマウザー型アクションと高い精度が特徴です。特に米国市場で高品質な日本製ライフルとして認知され、現在の豊和M1500の礎となりました。 |
豊和 ゴールデンベアは、日本の豊和工業株式会社が1967年から1979年にかけて製造したボルトアクション方式の大型狩猟ライフルです。
マウザー式のボルトアクション機構を装備し、主に狩猟用途に設計されました。
米国へ約3,000丁が輸出されました。
技術的特徴
ゴールデンベアの技術的特徴は以下の通りです。
背景
ゴールデンベアが開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
ゴールデンベアの採用事例は以下の通りです。
年表
ゴールデンベアに関する年表は以下の通りです。
H&K PSG-1(1972年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch PSG1 (Präzisionsschützengewehr 1) |
分類 | 半自動狙撃銃 |
口径 | 7.62×51mm NATO弾 |
作動方式 | ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト) |
装弾数 | 5発または20発(着脱式ボックスマガジン) |
銃身長 | 650mm(ライフリングはポリゴナル) |
全長 | 約1,230mm |
重量 | 8.1kg(スコープ装着時、空マガジン含む) |
トリガー | 調整可能なスポーツタイプトリガー(プッシュボタン式) |
照準器 | 固定倍率のHensoldt FERO Z24 6×42スコープ(標準装備) |
開発背景 | 1972年のミュンヘンオリンピック事件を契機に、ドイツGSG-9の要求に基づき、対テロ作戦における高精度かつ迅速な対応を目的として開発されました。H&K G3自動小銃をベースとしています。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
歴史 | 1978年に発表されて以来、高精度と人間工学に基づいた設計で高く評価されてきました。 |
日本での使用 | 日本の警察特殊部隊(SATなど)において、対狙撃任務や人質救出作戦などの精密射撃用途で使用されています。 |
年表 | 1978年:発売開始 現在も限定的に使用され続けている |
特徴 | 半自動でありながらボルトアクションライフルに匹敵する高精度を誇ります。特別な反動軽減システム、微調整可能なチークピースとバットプレートを持つ人間工学的なストック、静音性を追求した設計が特徴です。非常に高価であり、製造数は限られています。 |
H&K PSG-1は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が開発したセミオートマチック精密射撃ライフルで、正式名称は「Präzisionsschützengewehr 1(精密射撃銃1型)」です。
1972年に開発・発表され、現在も限定的に生産・配備が続いています。
技術的特徴
H&K PSG-1の技術的特徴は以下の通りです。
背景
H&K PSG-1が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
H&K PSG-1の採用事例は以下の通りです。
年表
H&K PSG-1に関する年表は以下の通りです。
豊和 M1500 (特殊銃I型)(1979年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | 豊和 M1500(Howa M1500) |
分類 | ボルトアクションライフル(狩猟用、競技用、戦術用など多用途) |
口径 | .223レミントン弾、.308ウィンチェスター弾、.30-06スプリングフィールド弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、7.62x39mm弾、6.5mmクリードモア弾など多数 |
作動方式 | マウザー型ボルトアクション、90度ボルト回転、コックオンオープン |
装弾数 | 3〜5発(内蔵式マガジン:主に日本国内向け) 5〜10発(着脱式マガジン:主に輸出向け、モデルにより異なる) |
トリガー | ツーステージトリガー(二段引き)。2011年からはHACT(Howa Actuator Controlled Trigger)トリガーを搭載。 |
セーフティ | 3ポジションセーフティ(安全、ボルト開閉可能、ボルト固定の3段階) |
銃身長 | モデルにより変動(18.5インチ / 約470mm 〜 26インチ / 約660mm) |
重量 | 標準モデル:約3.4kg ヘビーバレルモデル:約4.2kg (口径やモデル、銃身長により異なる) |
開発背景 | 1979年に豊和ゴールデンベアの後継として開発されました。デザインにはWeatherby Mark Vライフルの影響も受けています。 |
歴史 | 1979年に発表されて以来、多用途かつ高い信頼性を持つライフルとして世界中に輸出されています。 |
日本での使用 | 日本警察(SAT / 銃器対策部隊 / 原発特別警備部隊 / 関西国際空港海上警備隊(海警隊))。 民間では狩猟や競技用として広く使用されています。 |
年表 | 1979年:発表・製造開始 2011年:HACTトリガーを搭載 現在も生産中 |
特徴 | 堅牢なマウザー型アクションをベースとしながら、現代的なニーズに対応する多機能性と高い精度を兼ね備えています。豊富な口径やバレル長、ストックの選択肢があり、多様な用途に対応可能です。 |
豊和 M1500は、1979年に登場した豊和工業株式会社製のボルトアクション方式大型スポーツライフルです。
マウザー型コックオンオープン方式を採用し、国内外の狩猟、射撃競技、法執行機関、軍用として広く使用されています。
技術的特徴
豊和M1500(特殊銃I型)の技術的特徴は以下の通りです。
背景
豊和M1500(特殊銃I型)が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
豊和M1500(特殊銃I型)の採用事例は以下の通りです。
年表
豊和M1500(特殊銃I型)に関する年表は以下の通りです。
AI AW (L96A1)(1982年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | アキュラシー・インターナショナル AW (Accuracy International Arctic Warfare) |
分類 | ボルトアクション狙撃銃 |
口径 | .308ウィンチェスター弾 / 7.62×51mm NATO弾(主要口径) その他、.22-250 Rem、.243 Win、7mm-08 Remなど多様な口径が存在 |
作動方式 | ボルトアクション(堅牢な三爪ボルト、スムーズな作動性) |
装弾数 | 10発(着脱式ボックスマガジン) |
銃身長 | 660mm(26インチ)が標準 その他、508mm(20インチ)、610mm(24インチ)などバリエーションあり |
全長 | 約1,180mm(660mm銃身モデル) |
重量 | 約6.5kg(空マガジン、スコープなしの基本構成) |
トリガー | 調整可能なツーステージトリガー |
安全機構 | マニュアルセーフティ(撃針とボルトをロック) |
開発背景 | 1980年代初頭に、著名な射撃選手兼設計者であるマルコム・クーパーによって設計されました。英国軍の新型狙撃銃L96A1として1985年に制式採用され、極寒地での信頼性を特に重視しています。 |
製造元 | Accuracy International Ltd.(アキュラシー・インターナショナル) |
歴史 | 1985年の英国軍制式採用以来、高い精度、堅牢性、そして悪条件下での信頼性から、世界中の軍・警察の狙撃部隊で採用されています。 |
日本での使用 | 一部の警察特殊部隊(例:警視庁SAT)において、精密狙撃用途で採用されています。 |
年表 | 1980年代初頭:設計開始 1985年:英国軍L96A1として制式採用 現在も世界的に広く使用され、派生モデル(AWM、AXなど)も多数存在 |
特徴 | 特徴的な緑色(または黒、FDE)のポリマー製サムホールストック、悪条件でも凍結しにくいボルトデザイン、堅牢なアルミ合金製シャーシなどが挙げられます。極めて高い命中精度と信頼性により、世界最高峰の狙撃銃の一つとして評価されています。 |
AI AW(Arctic Warfare)は、イギリスのアキュラシー・インターナショナル社が開発したボルトアクション方式のスナイパーライフルです。
英国陸軍ではL96A1として採用されています。
1982年に開発が始まり、1985年にL96A1として正式採用。
現在も各国軍・警察向けに生産が続けられています。
技術的特徴
AI AW(L96A1)の技術的特徴は以下の通りです。
背景
AI AW(L96A1)が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
AI AW(L96A1)の採用事例は以下の通りです。
年表
AI AW(L96A1)に関する年表は以下の通りです。
ショットガン(散弾銃)
レミントン M870(1950年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | Remington Model 870 |
分類 | ポンプアクションショットガン |
口径 | 12ゲージ(最も主流)、20ゲージ、.410ボア、16ゲージ |
装弾数 | 4〜7発(チューブ式マガジン、モデルやチューブの長さによる) |
銃身長 | 18インチ(約457mm)〜30インチ(約762mm)(モデルにより異なる) |
全長 | 約980mm(18インチバレルモデル)〜約1,230mm(30インチバレルモデル) |
重量 | 約3.2kg〜3.6kg(モデルや仕様により異なる) |
開発背景 | 1950年にレミントン社が、堅牢で信頼性の高い多用途ショットガンとして発売しました。市場での成功を収めていたWinchester Model 12に対抗する目的もありました。 |
製造元 | Remington Arms Company, LLC(レミントン・アームズ) |
歴史 | 1950年の発売以降、優れた信頼性と汎用性から、狩猟、スポーツ射撃、護身、法執行機関、軍事用途で世界的に最も普及したポンプアクションショットガンの一つとなりました。 |
日本での使用 | 警察の暴動鎮圧部隊や特殊部隊(例:SIT、SAT、海上保安庁特殊警備隊SST、特殊事件捜査係)において、突入、ドアブリーチング、非致死性弾発射などの目的で使用されています。 |
年表 | 1950年:発売開始 現在も世界中で広く使用・生産中 |
特徴 | 堅牢なスチール製レシーバーと滑らかなポンプアクション、そして多様なバリエーションとアフターマーケットパーツの豊富さが特徴です。信頼性は高く評価されており、「ワークホース」(実用銃)として親しまれています。 |
レミントン Model 870は、アメリカのレミントン・アームズ社が1950年に発売したポンプアクション式ショットガンです。
狩猟、スポーツ射撃、護身用、法執行機関、軍用途と幅広く使用され、2009年時点で1,000万丁以上が生産された世界屈指のベストセラーショットガンです。
作動方式はデュアルアクションバーを装備する手動ポンプアクションで、高い信頼性と滑らかな操作感を特徴としています。
技術的特徴
レミントンM870の技術的特徴は以下の通りです。
背景
レミントンM870が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
レミントンM870の採用事例は以下の通りです。
年表
レミントンM870に関する年表は以下の通りです。
サブマシンガン(機関けん銃)

日本警察ではH&K MP5を採用しています。
H&K MP5は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が1960年代に開発したサブマシンガン(短機関銃)です。G3ライフルのモジュラー設計思想を受け継ぎ、共通構造をベースとして開発されました。開発は1964年に始まり、1966年にはドイツ国境警備隊や連邦軍特殊部隊で採用され、MP5と命名されました。
MP5は9mmパラベラム弾を使用し、ローラーディレイドブローバック方式を採用しています。この信頼性の高い作動方式と取り回しの良さにより、MP5は40カ国以上の軍や警察、情報機関、セキュリティ部門で採用され、世界で最も普及したサブマシンガンの一つとなりました。
1970年代にはMP5A2やMP5A3、サプレッサー付きMP5SD、コンパクトモデルのMP5Kなどバリエーションが登場し、1977年以降はホローポイント弾に対応するため、直線型ボックスマガジンから湾曲型バナナマガジンへと変更されました。
1980年のイラン大使館人質事件でSASが使用したことで、その存在は世界に広く認知され、エリート部隊の象徴的装備となりました。
MP5シリーズのバリアントは以下の通りです。
モデル名 | 説明 |
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HK54 | 1964年登場の試作モデル。 チャコールグレーのリン酸塩仕上げ、スリムラインハンドガード、G3初期型に似たラダーリアサイト、直線型ワッフルマガジンを装備。 |
MP5 | 1966年登場の基本モデル。 スリムラインハンドガード、銃身長8.9インチ、3ラグマズル。 1970年代以降、クローアタッチメントレール、曲線型クロームマガジン、トロピカルハンドガードなど改良が加えられた。 |
MP5A1 | 固定ストックなし、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載モデル。 |
MP5A2 | 固定ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載モデル。 |
MP5A3 | 伸縮式ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載モデル。 |
MP5A4 | 固定ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ、直線型ピストルグリップ装備。 |
MP5A5 | 伸縮式ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ、直線型ピストルグリップ装備。 |
MP5SF | 1986年登場のセミオート限定モデル。 FBI要請で開発。 SFA2(固定ストック)とSFA3(伸縮式ストック)があり、1991年以降はセレクトファイア対応ボルトキャリアが搭載。 |
MP5PT | MP5A4およびA5の訓練用プラスチック弾モデル。 |
MP5N | 1986年、米海軍要請で開発されたモデル。 伸縮式ストック、Navy 2点バースト、トリチウムサイト、KAC製ステンレスサプレッサー対応マズル搭載。 |
MP5F | 1999年、フランス国家憲兵向けモデル。 パッド付き伸縮式ストック、Navyトリガーグループ、アンビスリングマウント、高圧弾対応内部改良。 |
MP5 MLI | 2015年登場の近代化モデル。 MP5A5ベースで、MP5Fのストック、トリプルレールハンドガード、クイックリリースサイトマウント、RAL8000(グリーン・ブラウン)仕上げ。 |
MP5SD | 1974年登場のインテグラル(内蔵)サプレッサー搭載モデル。 銃身長5.7インチ、二段式サプレッサー、発射速度約800発/分。 |
MP5SD2 | 固定ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載MP5SD。 |
MP5SD3 | 伸縮式ストック、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載MP5SD。 |
MP5SD4 | 固定ストックなし、SEFまたはNavyトリガーグループ搭載のMP5SD。 MP5SD1とほぼ同様の構成。 |
MP5SD5 | 固定ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ搭載MP5SD。 |
MP5SD6 | 伸縮式ストック、Navy 3点バーストトリガーグループ搭載MP5SD。 |
MP5K | 1976年登場のコンパクトモデル。 銃身長4.5インチ、フォアグリップ内蔵ハンドガード、発射速度約900発/分。 |
MP5KA1 | スムーストップとロープロファイルサイト搭載のMP5K標準モデル。 |
MP5KA4 | Navy 3点バーストトリガーグループ、通常サイト搭載MP5K。 |
MP5KA5 | Navy 3点バーストトリガーグループ、スムーズトップ、ロープロファイルサイト搭載MP5K。 |
MP5K-N | 米海軍向けMP5Kモデル。 Navyトリガーグループ、3ラグマズル装備。 |
MP5K-PDW | 1991年登場のPDWモデル。 折りたたみストック、Navyトリガーグループ、5.5インチ銃身とサプレッサー対応マズル搭載。 |
MP5/10 | 1992年登場。 10mm Auto弾仕様、30連マガジン、ボルトホールドオープン装備。 2000年に生産終了。 |
MP5/40 | 1992年登場。 .40 S&W弾仕様、MP5/10と同構成。 2000年に生産終了。 |
MP5 .22 LR | 2021年頃登場。 .22LR仕様でライフルとピストルバージョンがある。 セミオート限定。 |
HK94 | 1983~1989年米国民間向けモデル。 銃身長16.54インチ、0-1トリガー、固定または伸縮ストック、直線型ピストルグリップ。 |
HK94/SG-1 | 1985年登場。 精密射撃用モデルで50丁のみ輸入。 固定マッチストック、バイポッド、ルーポルド6倍スコープ装備。 |
SP89 | 1989~1994年米国民間向けMP5Kバージョン。 セミオート限定。 |
SP5 | 2019年登場の民間向けMP5。 8.8インチ銃身、トロピカルハンドガード、固定/伸縮/エンドキャップ選択可能。 |
SP5K-PDW | 2019年登場の民間向けMP5Kモデル。 セミオート限定。 |
H&K MP5SD ( SD4 / SD6 )(1974年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch MP5SD (Schalldämpfer) |
分類 | サプレッサー付サブマシンガン(短機関銃) |
口径 | 9×19mmパラベラム弾 |
作動方式 | ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト) |
装弾数 | 15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン) |
銃身長 | 146mm(サプレッサー内部に穴あき加工) |
全長 | SD4(ストックなし):550mm SD6(伸縮ストック):780mm(展開時)、610mm(短縮時) |
重量 | SD4:約3.1kg SD6:約3.4kg (いずれも空マガジン含む) |
サプレッサー | 内蔵型(バレルと一体化) |
ストック | SD4:ストックなし SD6:伸縮式ストック(テレスコピックストック) |
射撃モード | 安全(セーフ)、単発(セミオート)、3点バースト、連射(フルオート) (バリエーションによる) |
発射速度 | 約700発/分 |
開発背景 | 1970年代に、特殊作戦における静音性を極限まで高める目的で開発されました。標準のMP5をベースに、銃身と一体化したサプレッサーを特徴とします。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
歴史 | 1970年代の登場以来、優れた静音性から、世界中の特殊部隊や対テロ部隊で隠密作戦用として重宝されてきました。 |
日本での使用 | 日本の警察特殊部隊(SAT / 海上保安庁特殊警備隊SSTなど)において、隠密性を要する突入作戦や人質救出作戦などで使用されています。 |
年表 | 1970年代:MP5SDモデルが登場 現在も特殊作戦において広く使用中 |
特徴 | 特殊なバレル構造と一体型サプレッサーにより、標準的な9mmパラベラム弾を使用しても音速以下に弾速を落とし、発射音を効果的に抑制します。これにより、インドアでの作戦時や夜間、情報収集活動において極めて有利な性能を発揮します。 |
H&K MP5SDは、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するインテグラルサプレッサー(内蔵消音器)搭載型サブマシンガンです。
「SD」はドイツ語のSchalldämpfer(サウンドサプレッサー)を意味します。
技術的特徴
H&K MP5SD(SD4 / SD6)の技術的特徴は以下の通りです。
背景
H&K MP5SD(SD4 / SD6)が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
H&K MP5SD(SD4 / SD6)の採用事例は以下の通りです。
年表
H&K MP5SD(SD4 / SD6)に関する年表は以下の通りです。
H&K MP5A4(1977年~現在)

項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch MP5A4 |
分類 | サブマシンガン(短機関銃) |
口径 | 9×19mmパラベラム弾 |
作動方式 | ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト) |
装弾数 | 15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン) |
銃身長 | 225mm |
全長 | 680mm |
重量 | 約2.8kg(空マガジン含む) |
ストック | 固定ストック |
射撃モード | 安全(セーフ)、単発(セミオート)、3点バースト、連射(フルオート) |
発射速度 | 約800発/分 |
開発背景 | 1960年代にH&K社のG3アサルトライフルをベースに開発されたMP5シリーズのバリエーションの一つです。MP5A4は固定ストックと3点バースト機能を追加したモデルです。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
歴史 | 1970年代にA4モデルが登場して以来、高い精度と信頼性から、世界中の軍・警察の特殊部隊で広く採用されています。 |
日本での使用 | 日本の警察特殊部隊(SAT:特殊急襲部隊など)において標準装備として使用されています。 |
年表 | 1970年代:MP5A4モデルが登場 現在も世界各国の特殊部隊で広く使用中 |
特徴 | ローラーディレイドブローバック方式による高い命中精度と少ない反動、そしてコンパクトなサイズが特徴です。インドアでの作戦やCQB(近接戦闘)において高い性能を発揮します。 |
H&K MP5A4は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するセレクティブファイア方式のサブマシンガンで、MP5ファミリーの一員として1980年代初頭に登場しました。
固定ストックと4ポジションのトリガーグループ(セーフ、セミオート、3点バースト、フルオート)が備わっているモデルです。
作動方式はローラーディレイドブローバックを採用し、クローズドボルト発射により高い命中精度を実現しています。
技術的特徴
H&K MP5A4の技術的特徴は以下の通りです。
背景
H&K MP5A4が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
H&K MP5A4の採用事例は以下の通りです。
年表
H&K MP5A4に関する年表は以下の通りです。
H&K MP5A5(MP5F)(1979年~/1990年代~現在)

項目 | 内容 |
---|---|
モデル名 | Heckler & Koch MP5A5(MP5F) |
分類 | サブマシンガン(短機関銃) |
口径 | 9×19mmパラベラム弾 |
作動方式 | ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト) |
装弾数 | 15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン) |
銃身長 | 225mm |
全長 | 660mm(ストック展開時) 490mm(ストック短縮時) |
重量 | 約2.8kg(空マガジン含む) |
ストック | 伸縮式ストック(テレスコピックストック) |
射撃モード | 安全(セーフ)、単発(セミオート)、3点バースト、連射(フルオート) |
発射速度 | 約800発/分 |
開発背景 | 1960年代に開発されたMP5シリーズのバリエーションの一つで、1979年に登場しました。 MP5A5は伸縮式ストックと3点バースト機能が備わっています。 MP5F(1990年代~)はフランス警察の要求に応じて強化されたモデルです。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
歴史 | MP5A5は1979年に登場し、MP5A4と並んで多くの特殊部隊や法執行機関で採用されました。 |
日本での使用 | 日本の警察特殊部隊(SAT / 銃器対策部隊 / 原発特別警備部隊 / 海上保安庁特殊警備隊SSTなど)において使用されています。 |
年表 | 1980年代:MP5A5モデルが登場 現在も世界各国の特殊部隊で広く使用中 |
特徴 | ローラーディレイドブローバック方式による高い命中精度と少ない反動はそのままに、伸縮式ストックにより運搬性や狭い場所での取り回しが向上しています。MP5Fは、より強力な9mm弾の使用に耐えるよう内部が強化されています。 |
H&K MP5A5は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するセレクティブファイア方式のサブマシンガンで、MP5ファミリーの中で伸縮式ストックと4ポジションのトリガーグループ(セーフ、セミオート、3点バースト、フルオート)を装備するモデルです。
フランス軍・警察向けのMP5Fは、MP5A5を基に強化パーツと耐久性向上仕様が施されたバリエーションで、日本警察も採用しました。
技術的特徴
H&K MP5A5(MP5F)の技術的特徴は以下の通りです。
背景
H&K MP5A5(MP5F)が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
H&K MP5A5(MP5F)の採用事例は以下の通りです。
年表
H&K MP5A5(MP5F)に関する年表は以下の通りです。
H&K MP5SFK (セミオートオンリー)(1980年代~現在)

項目 | 内容 |
---|---|
モデル名 | Heckler & Koch MP5SFK (SF: Single Fire, K: Kurz) |
分類 | セミオートカービン(民間・警察向け) |
口径 | 9×19mmパラベラム弾 |
作動方式 | ローラーディレイドブローバック方式(クローズドボルト) |
装弾数 | 15発または30発(着脱式湾曲ボックスマガジン) |
銃身長 | 115mm |
全長 | 約550mm(固定ストック展開時) 約325mm(ストックなし、またはフォールディングストック折りたたみ時) |
重量 | 約2.0kg〜2.5kg(モデルおよびストックにより異なる、空マガジン含む) |
ストック | オプションでフォールディングストックまたは伸縮ストックを装着可能(ピストルモデルはストックなし) |
射撃モード | 安全(セーフ)、単発(セミオート)のみ |
開発背景 | 1990年代以降、フルオート機能が不要または法的に制限される民間市場や法執行機関向けに開発されたMP5Kのセミオート専用モデルです。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
歴史 | MP5Kのセミオート版として、特に隠匿携行性やCQB(近接戦闘)能力を維持しつつ、より幅広い市場に対応するために登場しました。 |
日本での使用 | SIT(特殊事件捜査係)で使用されています。 |
特徴 | MP5K譲りのコンパクトなサイズと、ローラーディレイドブローバックによる高い精度を維持しつつ、フルオート機能を持たないことでより安定した単発射撃が可能です。主に私服警官の携行や特殊作戦における隠密性が求められる場面で検討されます。 |
H&K MP5SFKは、ドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するコンパクトサブマシンガンです。
MP5K(Kurz)を基に開発され、「SFK」はショートフォアアーム(Short Forearm)、クルツ/フォールディングストック( Kurz/Folding Stock)を意味します。
「K(クルツ / Kurz)」はドイツ語で「短い(ショート)」を意味します。
技術的特徴
H&K MP5SFK(セミオートオンリー)の技術的特徴は以下の通りです。
背景
H&K MP5SFK(セミオートオンリー)が開発・採用された背景は以下の通りです。
採用事例
H&K MP5SFK(セミオートオンリー)の採用事例は以下の通りです。
年表
H&K MP5SFK(セミオートオンリー)に関する年表は以下の通りです。
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