VIP警護訓練 警察庁ホームページ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
日本警察では、任務内容や配備部門に応じて多様なセミオートピストル(自動拳銃)が使用されています。
1990年代以降はSIG P230JPやSIG P220系が広く配備され、近年ではグロックやH&K USPなど最新モデルも採用されるなど、装備の更新が進んでいます。
本記事では、SIG P230JP、ベレッタ92FS VERTEC、H&K VP9(SFP9)など、日本警察で使用されるセミオートマチックピストルを解説します。
※各モデルのタイトルには製造期間(運用期間ではない)を掲載しています。
日本警察が使用する銃器の一覧解説した総括ページはこちら
コルト系ピストル
コルト社のピストルは、20世紀初頭から現代にかけて大きく進化してきました。
初期モデルではModel 1900、Model 1903、1911などが登場し、ブローニング設計による高い作動信頼性が備わっていましたが、セーフティの操作性や小型固定サイトの視認性には課題がありました。
当時は職人による手作業で精巧に製造され、生産コストが高く、口径は.32 ACPや.45 ACPが中心で装弾数も少なめでした。
現代のコルトピストルは1911設計をベースとし、光学機器対応スライド、拡張セーフティ、アクセサリーレール、改良グリップテクスチャ、視認性の高いサイト、CNCによる高精度製造が採用されています。
9mm口径モデルや競技・タクティカル用途向けバリエーションも豊富です。
コルト M1903 ポケットハンマーレス(1903年〜1945年)
コルトM1903 画像出典:usarmamentcorp.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Colt Model 1903 Pocket Hammerless |
分類 | セミオートピストル |
口径 | .32 ACP弾 (7.65mm Browning) |
動作方式 | ストレートブローバック、シングルアクション |
装弾数 | 8発 |
フレーム素材 | スチール製 |
全長 | 約171mm |
重量 | 約680g |
安全機構 | グリップセーフティ、マニュアルセーフティ(後期型) |
開発背景 | 1903年に、私服警官、将校、民間人向けの隠匿携行用として開発されました。 |
製造元 | Colt’s Patent Fire Arms Manufacturing Company |
主な使用者 | アメリカ軍将校(第二次世界大戦中)、警察官、OSS(戦略情報局)エージェント、民間人、大日本帝国陸軍将校、日本警察(戦中戦後) |
製造期間 | 1903年〜1945年 |
特徴 | 「ハンマーレス」(実際は内部ハンマー)デザインが特徴で、私服での携行性に優れていました。高い信頼性と洗練されたデザインで広く愛用されました。 |
コルトM1903ポケットハンマーレスは、米国コルト社が製造したコンパクトサイズのセミオートマチックピストルです。
ジョン・ブローニングによって設計され、作動方式はストレートブローバックによるシングルアクション。
生産は1903年から1945年まで行われ、総生産数は約57万丁とされており、M1911の設計に影響を与えたとされます。
特徴と技術
コルト M1903 ポケットハンマーレスの特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は.32 ACP弾 (7.65mm Browning)で、マガジン容量は8発です。
- 銃身長は114 mm、全長は197 mm、重量は約0.89 kgです。
- サイトは固定式アイアンサイトを搭載し、スライド後部には操作性を高めるセレーションが刻まれています。
- 初期型はラウンドハンマーを装備していましたが、1907年以降のモデルではロープロファイルのスパーハンマーに変更されました。
- フレームはコルト1902スポーティングモデルを基に、よりコンパクト化されています。
- 本モデルは、同じくコルトM1903の名を冠するポケットハンマーレスやFN M1903とは無関係です。
開発背景と採用事例
コルト M1903 ポケットハンマーレスの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- 本モデルは、コルト1902スポーティングモデルのコンパクト版として開発され、携帯性と軽量化を実現しました。
- より強力な.45ACPを使用するコルトM1905やM1911が登場すると、市場での競争力を失いました。
- 米軍による正式採用はなく、一部が民間購入により使用されました。
- メキシコ革命やフィリピン警察隊、日本警察でも使用例が確認されています。
- 特に太平洋戦争時には日本軍将校に人気がありました。
- 第一次世界大戦中は生産が急減しましたが、1920年に約3,200丁が生産され、1927年に製造が終了しました。
年表
コルト M1903 ポケットハンマーレスに関する年表は以下の通りです。
- 1903年 M1903ポケットハンマーレス登場(シリアル19999から開始)。
- 1904年 本格生産開始。年間1,200~2,300丁を生産。
- 1907年 ハンマー形状をロープロファイルスパータイプに変更。
- 1910年 タイプIII生産開始。
- 1917年 第一次世界大戦により生産数が急減。
- 1920年 バックオーダー対応のため約3,200丁を生産。
- 1926年 タイプIV生産開始(マガジンセーフティ追加)。
- 1927年 生産終了。総生産数約29,237丁。
- 1920年代 一部がフィリピン警察隊へ供給。
- 2000年代~2020年代 初期型モデルを中心に米国のコレクター市場で高い評価を獲得。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
コルト M1903 ポケットハンマーレスが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『バグジー』(1991年)ギャングのベンジャミン・シーゲルがラスベガス建設に情熱を注ぐ伝記ドラマ。
- 『ロケッティア』(1991年)ジェットパックで空を飛ぶヒーローがナチスの陰謀に立ち向かうアクション。
- 『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)1950年代ロサンゼルス警察の腐敗と陰謀を描くフィルム・ノワール。
- 『パブリック・エネミーズ』(2009年)ジョン・デリンジャーとFBI捜査官メルヴィン・パーヴィスの攻防を描く犯罪映画。
- 『1911』(2011年)辛亥革命を描いたジャッキー・チェン主演の歴史アクション。
コルト M1911A1(1924年〜1985年)
コルトM1911A1 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | Colt M1911A1 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | .45 ACP弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、シングルアクション |
装弾数 | 7発(標準マガジン)、または8発(拡張マガジン) |
フレーム素材 | スチール製 |
全長 | 216mm |
重量 | 約1,105g(装弾時) |
安全機構 | グリップセーフティ、マニュアルサムセーフティ、ハーフコックポジション |
開発背景 | 1911年にアメリカ軍の制式ピストルとして採用されたM1911の改良型。ジョン・M・ブローニングによって設計されました。 |
製造元 | Colt’s Patent Fire Arms Manufacturing Company 他多数のメーカー |
主な使用者 | アメリカ軍(約70年間)、世界各国の軍隊、法執行機関、民間市場 (日本では戦後に自衛隊が使用した他、全国の警察に14,160丁配布され、1990年代まで使用されていました) |
製造期間 | M1911: 1911年〜1924年 M1911A1: 1924年〜1985年(米軍制式期間)、現在も民間向け生産継続中 |
特徴 | 高い信頼性と強力なストッピングパワーで知られ、20世紀を代表するピストルの一つです。多数の派生モデルやカスタム品が存在します。 |
コルトM1911A1は、ジョン・ブローニングによって設計され、米国コルト社が製造したフルサイズのシングルアクション・セミオートマチックピストルです。
作動方式はショートリコイルです。
M1911シリーズ全体では270万丁以上が生産され、そのうちM1911A1は第二次世界大戦終了までに約190万丁が製造されました。
特徴と技術
コルト M1911A1の特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は.45ACP(11.43mm)で、輸出向けや民間モデルでは.455ウェブリーオート、.38スーパー、9×19mmパラベラム仕様も存在します。
- マガジン容量は7発のシングルスタックです。
- 銃身長は128 mm、全長は219 mm、未装填重量は1.1 kgです。
- サイトは固定式ブレードフロントサイトとノッチリアサイトを搭載しています。
- 安全機構として、マニュアルサムセーフティ、グリップセーフティ、ハーフコックノッチが備わっています。商用後期モデルではファイアリングピンブロックも追加されています。
- フレームとスライドはスチール製で、M1911A1型はオリジナルM1911と比較してトリガーが短縮され、アーチ型メインスプリングハウジング、改良型グリップセーフティ、短いハンマースパーが採用されています。
- 初速は約253 m/s、有効射程は50 m、最大射程は1,500 mです。
開発背景と採用事例
コルト M1911A1の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- M1911は、フィリピン・アメリカ戦争における火力不足の経験から、米陸軍の要求を満たすために開発されました。
- 1911年に米軍に正式採用され、1926年には改良型のM1911A1が採用されました。
- 第一次世界大戦からベトナム戦争まで、20世紀の主要な米軍戦闘で使用され、信頼性と強力なストッピングパワーから多くの後続モデルに影響を与えました。
- OSSやCIAは戦後、米国所有を示す刻印のない.38スーパー仕様を秘密作戦用に使用しました。
- 第二次世界大戦ではレンドリース契約を通じて連合国に供与されました。
- 1985年にベレッタM9へ交代した後も、特殊作戦部隊などで使用が継続されました。
- 日本では、戦後に自衛隊や警察で使用され、日本警察では1990年代まで使用されていました。
年表
コルト M1911A1に関する年表は以下の通りです。
- 1911年 M1911が米軍制式ピストルとして採用。
- 1926年 M1911A1登場。トリガーやグリップ形状などエルゴノミクスが改良される。
- 1941~1945年 第二次世界大戦中に190万丁以上が生産される。
- 1945~1950年代 占領軍の装備として日本警察にも供給。
- 1985年 ベレッタM9に更新されるが、特殊部隊などで使用継続。
- 2000年代~2020年代 民間・軍・法執行機関向けに多数の改良型と記念モデルが製造され、世界的に最も著名なピストルの一つとして評価される。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
コルト M1911A1が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『パール・ハーバー』(2001年)日米開戦の真珠湾攻撃を描く戦争ドラマ。
- 『ブラックホーク・ダウン』(2001年)1993年ソマリアのモガディシュでの米軍特殊部隊の戦闘を描く。
- 『ブロウ』(2001年)麻薬密売王ジョージ・ユングの半生を描いた伝記映画。
- 『ロード・トゥ・パーディション』(2002年)復讐に燃えるマフィアの殺し屋とその息子の逃避行。
- 『シティ・バイ・ザ・シー』(2002年)殺人容疑をかけられた息子を救おうとする刑事の苦悩を描くドラマ。
FN系ピストル
FN(ファブリック・ナショナル)のセミオートピストルは、19世紀末にモデル1899や1900を開発し、世界初の実用的セミオートピストルとして高い評価を得ました。
1935年にはブローニング・ハイパワーを発表し、ダブルカラムマガジンによる高装弾数9mmピストルを普及させ、軍や警察で広く採用されました。これらのモデルはオールスチールや合金製フレーム、ハンマー作動方式を特徴とする堅牢なサービスピストルでした。
現代モデルはポリマーフレームとスチールインサートを組み合わせ、軽量化と耐久性を両立させています。ストライカー式作動で操作が簡易化され、交換式バックストラップ、アンビ操作系、光学機器対応スライド、高装弾数ダブルカラムマガジンなど、モジュール性と拡張性を装備し、軍や法執行機関だけでなく民間や競技用途にも対応しています。
項目 | 過去(1899〜1990年代) | 現代(2000年代〜2025年) |
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フレーム | スチール/合金 | ポリマー+スチールインサート |
作動方式 | ハンマー作動(SA, DA/SA) | ストライカー作動、改良DA/SA |
装弾数 | シングルまたはダブルカラム | ダブルカラム、高装弾数 |
エルゴノミクス | 固定グリップ | 交換式バックストラップ、強化テクスチャー |
サイト/光学 | 基本的に固定サイト | ハイビジビリティ、光学対応スライド |
操作系 | 片側マニュアルセーフティ | アンビ、多彩な設定 |
用途 | 軍・法執行機関 | 軍、法執行機関、民間、競技 |
FN ブローニング M1910(1910年〜1983年)
ブローニングM1910 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | FN Browning Model 1910 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | .32 ACP弾 (7.65mm Browning)、.380 ACP弾 (9mm Kurz) |
動作方式 | ストレートブローバック、シングルアクション |
装弾数 | .32 ACP弾:7発 .380 ACP弾:6発 |
フレーム素材 | スチール製 |
全長 | 約153mm |
銃身長 | 約88mm |
重量 | 約590g |
安全機構 | グリップセーフティ、マニュアルセーフティ、マガジンセーフティ |
開発背景 | 1910年にジョン・M・ブローニングによって設計されました。シンプルかつ信頼性の高いコンシールドキャリーピストルとして登場し、民生市場で大きな成功を収めました。 |
製造元 | Fabrique Nationale de Herstal(FNハースタル) |
主な使用者 | 民間人(特に欧州)、警察官(特に私服)、情報機関員、第一次世界大戦期の軍用など。 日本においては明治政府は1876年に帯刀を禁止したものの、民間人のピストル所持は合法であったため、モデル1910は銃砲店で民間人が購入可能でした。 太平洋戦争中と戦後に日本の警察機関や郵便配達人に使用されていた時代があります。 |
製造期間 | 1910年〜1983年 |
特徴 | バレルがフレームに固定されたストレートブローバック方式で、高い精度と信頼性を誇りました。サラエボ事件での使用など、歴史的に重要な役割を果たしたことでも知られています。 |
FN ブローニング M1910は、ベルギーのFNハースタル社が製造した、ジョン・ブローニング設計によるコンパクトなシングルアクションのセミオートマチックピストルです。
1910年から1983年まで生産され、軍、警察、民間市場向けに広く販売されました。
特徴と技術
FN ブローニング M1910の特徴と技術は以下の通りです。
- 作動方式はストライカー方式のブローバックで、銃身周囲にリコイルスプリングを配置することで、スリムな設計を実現しています。この構造は本銃が初採用でした。
- 主な口径は.32 ACPと.380 ACPです。マガジン容量はそれぞれ7発と6発で、ヒールリリース式のシングルスタックマガジンを使用します。
- .32 ACPと.380 ACPは銃身交換で切り替え可能ですが、コンバージョンキットは販売されませんでした。
- 銃身長は89mm、全長は153mm、重量は590gです。
- 安全機構として、マニュアルサムセーフティ、グリップセーフティ、マガジンセーフティの三重安全機構が備わっています。
開発背景と採用事例
FN ブローニング M1910の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- 携帯性と信頼性を両立させるために開発され、その先進的な設計は後のワルサーPPKやマカロフピストルにも影響を与えました。
- このモデルは、第一次世界大戦の引き金となったオーストリア大公フランツ・フェルディナント夫妻暗殺事件で使用されたことで歴史的な名を知られています。
- 1932年のフランス大統領ポール・ドゥメール暗殺や、1935年の米国ルイジアナ州知事ヒューイ・ロング暗殺にも使用されました。
- 20世紀を通じて欧州を中心に多くの警察や軍で採用され、そのデザインは世界中のコンパクトピストルに影響を与えました。
- 日本でも民間人が購入可能であり、太平洋戦争中や戦後に日本の警察機関や郵便配達人に使用された時代がありました。
年表
FN ブローニング M1910に関する年表は以下の通りです。
- 1910年 ジョン・ブローニングによって設計され、特許出願。
- 1912年 FNハースタルで生産開始。
- 1914年 オーストリア皇太子暗殺事件で使用され、第一次世界大戦が勃発。
- 1932~1935年 複数の著名な政治家暗殺事件で使用。
- 1910年代~1983年 軍、警察、民間市場で広く使用され、生産と輸出が継続。
- 1983年 70年以上の生産を経て製造終了。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
FN ブローニング M1910が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ゴルゴ13』(1983)冷徹なプロのスナイパーを描くアクション。
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)禁酒法時代のギャングを描いた壮大な犯罪ドラマ。
- 『ラストエンペラー』(1987)中国最後の皇帝プイの劇的な生涯を描く歴史大作。
- 『マルコムX』(1992)アメリカ公民権運動の指導者を描いた伝記映画。
- 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)実話を基にした天才詐欺師の逃亡劇。
FN ベビーブローニング(1931年〜1979年)
FNベビーブローニング 画像出典:lofty.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | FN Baby Browning |
分類 | セミオートピストル |
口径 | .25 ACP弾 (6.35mm Browning) |
動作方式 | ストレートブローバック、シングルアクション |
装弾数 | 6発 |
フレーム素材 | スチール製 |
全長 | 約104mm |
銃身長 | 約53mm |
重量 | 約275g |
安全機構 | マニュアルセーフティ、マガジンセーフティ |
開発背景 | 1931年に、ジョン・M・ブローニング設計のFN Browning Model 1906 (Vest Pocket) の改良型として、FN社によって開発されました。極限まで小型化された護身用ピストルです。 |
製造元 | Fabrique Nationale de Herstal(FNハースタル) |
主な使用者 | 民間市場(護身用、バックアップガンとして)、情報機関員など。 日本では戦前、戦中の軍や警察で使用されていました。 |
製造期間 | 1931年〜1979年(FNハースタルでの生産) |
特徴 | シャツのポケットにも収まるほどの極小サイズと軽量さが特徴で、隠匿携行性に非常に優れていました。シンプルながら信頼性の高い構造で、世界中で人気を博しました。 |
FN ベビーブローニングは、ベルギーのFNハースタル社が製造した超小型セミオートマチックピストルです。
1931年に登場し、FNによるオリジナル生産は1979年まで続きましたが、その後もライセンス生産やカスタム生産が現在まで行われています。
特徴と技術
FN ベビーブローニングの特徴と技術は以下の通りです。
- 作動方式はブローバック、ストライカー方式、シングルアクショントリガーを採用しています。
- 口径は.25 ACP(6.35×15 mm)で、マガジン容量は6発です。
- 銃身長は53.6 mm、全長は104 mm、重量は空の状態で275 gです。
- 銃身周囲にリコイルスプリングを配置することで、非常にコンパクトな設計を実現しています。
- サイトは固定式で、スライド上部には反射防止用のセレーションが施されています。
- 安全性に関しては、マニュアルサムセーフティ、マガジンセーフティ、コッキングインジケーターを装備しています。
開発背景と採用事例
FN ベビーブローニングの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- FN ベビーブローニングは、前モデルのVest Pocketを改良するために設計されました。
- より小型・軽量で人間工学に基づいたグリップ設計が特徴で、民間人の護身用や軍・警察のバックアップガンとして広く普及しました。
- 第二次世界大戦中、フランスレジスタンスが使用したほか、ベトナム戦争では一部の米軍部隊でも携行されていました。
- ベトナム戦争中には米空軍SEREキット(サバイバルキット)にも採用されています。
- 1950年代から1960年代にかけて米国に大量に輸入され、護身用ポケットピストルとして高い人気を誇りました。
- コンパクトさと信頼性から、世界中でコンシールドキャリーやバックアップガンとして広く使用され、同種の超小型ピストルの設計に大きな影響を与えました。
- 日本でも、戦前や戦中の軍、警察で使用されていました。
年表
FN ベビーブローニングに関する年表は以下の通りです。
- 1926~1927年 デュードネ・サイーブがモデル1905の後継として設計を開始。
- 1931年 FN ベビーブローニング発表、初年度生産数1,096丁。
- 1939年 累計生産数50,134丁。
- 1940~1944年 ドイツ占領下で限定的に生産。
- 1946年 戦後生産再開、同年6,999丁を製造。
- 1950年 累計生産数106,969丁に到達。
- 1979年 FNによるオリジナル生産終了。
- 1984年 マガジンデザインを改良し、ボトムプレートを取り外し可能に。
- 1980年代~2020年代 他メーカーによる生産が継続され、現在も超小型ピストルの名作として評価されています。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
FN ベビーブローニングが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『恐怖省』(1944)戦時下のロンドンで陰謀に巻き込まれた男の逃亡劇を描いたサスペンス映画。
- 『0011ナポレオン・ソロ』(1964~1968)冷戦時代を背景に、米ソのエージェントが協力して国際的な犯罪に立ち向かうスパイドラマ。
- 『イングロリアス・バスターズ』(2009)第二次世界大戦中、ナチスに対抗するユダヤ人特殊部隊の活躍を描く戦争アクション。
- 『処刑人II』(2009)正義のために独自の方法で犯罪者を裁く2人の義兄弟の活躍を描くクライムアクション。
- 『黒執事』(2008~2009)19世紀ヴィクトリア朝ロンドンを舞台に、悪魔の執事と少年貴族の謎多き契約を描くダークファンタジー。
FN ブローニングハイパワー(1935年〜2018年)
項目 | 内容 |
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モデル名 | FN Browning Hi-Power(FN ブローニング・ハイパワー) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾(後期モデル) |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、シングルアクション |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:13発(標準)、高容量弾倉も存在 .40 S&W弾:10発 |
フレーム素材 | スチール製 |
全長 | 約200mm |
銃身長 | 約118mm |
重量 | 約885g(空マガジン含む) |
安全機構 | マニュアルサムセーフティ、マガジンセーフティ(一部モデル)、ハーフコックポジション |
開発背景 | 1935年にジョン・M・ブローニングとデュードネ・サイーブによって設計されました。高容量の9mmピストルとして、フランス軍の要求に基づいて開発されました。 |
製造元 | Fabrique Nationale de Herstal(FNハースタル) |
主な使用者 | イギリス軍、英連邦軍、ベルギー軍、日本の海上保安庁、その他世界50か国以上の軍・警察機関 |
製造期間 | 1935年〜2018年(オリジナルFN生産終了)、その後も他社による生産や派生モデルが存在 |
特徴 | シングルアクションと高容量の複列弾倉を組み合わせた最初期の成功したピストルです。堅牢な構造と優れたバランスにより、長年にわたり世界中で愛用されました。 |
ブローニング・ハイパワーは、ベルギーのFNハースタル社が製造したシングルアクションのセミオートマチックピストルです。
1935年に登場し、2018年までオリジナルモデルが生産されましたが、2022年には近代化されたバージョンが再生産されています。
総生産数は150万丁以上と推定されており、軍、警察、民間市場向けに広く供給されました。
特徴と技術
FN ブローニングハイパワーの特徴と技術は以下の通りです。
- 作動方式はショートリコイル、ティルトバレル式、シングルアクショントリガーです。
- 口径は主に9×19mmパラベラムで、マガジン容量はオリジナルモデルで13発、近代化モデルでは最大17発です。
- 銃身長は約118~119 mm、重量は約882~1,000 gです。
- フレームとスライドはスチール製で高い耐久性を誇り、スリムなグリップながらダブルカラムマガジンによる大容量を実現しました。
- 安全機構としてマニュアルサムセーフティとマガジンディスコネクトセーフティを装備しています。
- 2022年に再生産されたFN High Powerは、アンビ(両利き対応)スライドリリースや、17連マガジンなどの改良が加えられています。
ブローニング・ハイパワーシリーズには以下のバリエーションが存在します。
モデル | 登場時期 | 特徴 | メーカー |
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P35 | 1935年 | 固定サイトを備えた標準モデル(民間・軍用) | FN Herstal / Browning(US) |
アジャスタブルリアサイトモデル | 1944年 | タンジェント式可調リアサイト、ショルダーストック用スロット付(WWII中に廃止) | FN Herstal |
Tシリーズ | 1965年 | 滑らかな仕上げ、改良トリガー、その他精度向上。 コレクターに人気 | FN Herstal |
Mk II | 1982年 | アンビセーフティ、改良サイト、コンポジットグリップ、外部エキストラクター採用 | FN Herstal |
Mk III | 1989年 | Mk II改良継承。 加えてファイアリングピンセーフティ、ほぼフラッシュのバレルブッシングなど現代化 | FN Herstal |
Browning BDA / FN HP-DA | 1983年 | ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)化、大型フレームとスライド、異なるトリガー機構 | FN Herstal / Browning(US) |
ライセンス生産モデル | 主にWWII以降 | 各国でライセンス生産(P35, HP-35など)。 機械的・外観的に小差あり | FMアルゼンチン、FEGハンガリー等 |
FN High Power | 2022年 | エルゴノミクスと操作系刷新。 アンビスライドロック、リバーシブルマグリリース、17連マガジン、マガジンディスコネクト除去 | FN Herstal |
Springfield Armory SA-35 | 2020年代 | クラシックデザインを踏襲しつつ現代化。 15連マガジン、ディスコネクト除去、滑らかなトリガー | Springfield Armory |
Girsan MC P35 | 2020年代 | トルコ製クローン。 | Girsan |
開発背景と採用事例
FN ブローニングハイパワーの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- 1920年代、フランス軍の「10発以上の装弾数を持つ軍用ピストル」という要求に応えるため、ジョン・ブローニングによって設計されました。
- 彼の死後、デュードネ・サイーブが完成させ、当時としては画期的なダブルカラムマガジンを採用しました。
- 1935年にベルギー軍でP-35として採用された後、第二次世界大戦中にはドイツ軍、戦後は英国、カナダ、オーストラリア、インドなど50カ国以上の軍や警察で制式採用されました。
- アルゼンチンやインドでもライセンス生産が行われ、世界中で使用され続けました。
- 日本では海上保安庁が採用しました。
年表
FN ブローニングハイパワーに関する年表は以下の通りです。
- 1914–1935年 ジョン・ブローニングとデュードネ・サイーブによる設計開発。
- 1935年 ベルギー軍がP-35として採用、生産開始。
- 1940–1945年 第二次世界大戦期、ドイツ軍と連合軍双方で使用。
- 1950年代–1990年代 世界各国の軍・警察で採用、生産・輸出が継続。
- 2017–2018年 FNでのオリジナル生産終了。
- 2022年 FNが近代化仕様「FN ハイパワー」の生産を再開。
- 2020年代 現代クローンや派生モデルが複数メーカーから登場し、軍、警察、民間市場で使用が継続。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
FN ブローニングハイパワーが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『バトル・ロワイアル』(2000)国によって選抜された中学生たちが無人島で殺し合いを強制される衝撃作。
- 『ガンスリンガーガール』(2003)改造少女たちの戦いを描く。
- 『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)ジェームズ・ボンドが初任務でテロ資金調達者ル・シッフルと対決する。
- 『ヨルムンガンド』(2012)武器商人と護衛の物語。
- 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)荒廃した世界で独裁者に囚われた女たちを救うためマックスが奮闘する。
ワルサー系ピストル
ワルサー製ピストルは、歴史的なモデルのPPKやPPシリーズと、現代的なPDPシリーズの両方で人気があります。
PDPシリーズはモジュラー設計と光学機器対応が進化し、高い装弾数、優れたトリガー、快適なグリップが備わっています。
また、Fシリーズの小型モデルやスチールフレームモデル、競技用Pro-Xモデルも展開され、法執行機関や競技射撃で選ばれています。
PPKやPPシリーズはコンパクトなDA/SAブローバック式ピストルで、.32 ACPや.380 ACP口径が主流。最新モデルではサプレッサー対応銃身や新しいフィニッシュが追加され、クラシックな魅力を保っています。
ワルサー PPK(1931年〜現在)
ワルサーPPK/E 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | Walther PPK |
分類 | セミオートピストル |
口径 | .32 ACP弾 (7.65mm Browning)、.380 ACP弾 (9mm Kurz)、.22 LR弾 |
動作方式 | ストレートブローバック、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | .32 ACP弾:7発(マガジン)、1発(チャンバー) .380 ACP弾:6発(マガジン)、1発(チャンバー) |
フレーム素材 | スチール製 |
全長 | 約155mm |
重量 | 約590g(.32 ACPモデル) |
開発背景 | 1931年にWalther PPの小型化モデルとして、警察の私服警官、情報機関員、民間人の護身用として開発されました。 |
製造元 | Walther(ワルサー)、後にライセンス生産(例:アメリカのInterarms、Smith & Wesson) |
主な使用者 | 欧州各国の警察、情報機関、秘密工作員、民間人、日本警察の警視庁警備部警護課、皇宮警察 |
製造期間 | 1931年〜現在(複数の製造元による) |
特徴 | 小型ながら優れた信頼性と精度を持ち、隠匿携行性に優れています。ジェームズ・ボンドの使用銃として、世界的に最も有名なピストルの一つとなりました。 |
ワルサーPPK(Polizeipistole Kriminal)は、ドイツのワルサー社が製造するコンパクトサイズのセミオートマチックピストルです。
生産は1931年に開始され、第二次世界大戦後はフランスのManurhin、米国のRanger Manufacturing、Smith & Wesson、Walther Armsでもライセンス生産されました。
作動方式はブローバック式で、トリガーはダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)です。
日本警察では.32 ACP弾を使用するPPKモデルが使用されました。
特徴と技術
ワルサー PPKの特徴と技術は以下の通りです。
- 対応口径は主に7.65×17mmブローニングSR(.32ACP)と9×17mmショート(.380ACP)で、その他.22LRなどにも対応します。
- マガジン容量は.32ACPで7発、.380ACPで6発です。
- 銃身長は83 mm、全長は155 mm、重量は.32ACP/.380ACPモデルで590 gです。
- フレームは標準モデルがスチール製で、軽量モデルのPPK-Lはアルミ合金製です。
- サイトは固定式アイアンサイトで、安全性としてデコッキング機能を兼ねたセーフティレバー、自動ハンマーブロック、装填状態表示機構を装備しています。
- グリップは二分割のラップアラウンドパネルでバックストラップを覆う構造です。
PPKには以下のバリエーションが存在します。
モデル | 特徴 | フレーム材質 | 装弾数 (.380 ACP / .32 ACP) |
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PPK | 1931年登場のオリジナルコンパクトモデル。 PPより短く秘匿携行に最適。 | スチール | 6発 / 7発 |
PPK/S | 1968年米国銃規制法対応モデル。 PPフレームとPPK銃身を組み合わせたハイブリッド設計。 | スチール | 7発 / 8発 |
PPK-L | 1960年代登場の軽量モデル。 アルミ合金フレームで.32 ACPと.22 LRのみ製造。 | アルミ合金 | なし / 7発 |
PPK/E | 2000年以降ハンガリーFEG製造。 PPK/S類似だが部品互換性なし。 | スチール | 6~8発 |
PP | PPKの前身モデルで全長と装弾数が多い。 | スチール | 8発 / 9発 |
PP Super | 9x18mmウルトラ弾仕様の限定モデル。 PPK系統とは別系譜。 | スチール | 8発 |
開発背景と採用事例
ワルサー PPKの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- PPKは、1929年登場のワルサーPPを基に、私服警官や刑事用として携帯性を高めるために開発されました。
- この設計は、後のコンパクトDA/SAピストルの標準となり、世界中のモデルに影響を与えました。
- 1930年代から1945年にかけて、欧州各国の警察やナチス・ドイツ軍で採用されました。
- アドルフ・ヒトラーが1945年に自決に使用したピストルとしても知られています。
- 映画『007』シリーズでジェームズ・ボンドが使用したことにより、国際的に著名となりました。
- 戦後は米国輸入規制に対応するため、PPK/Sが開発されました。
- 日本では警視庁警備部警護課(SP)や皇宮警察が採用した実績があります。
- 現在も警察予備ピストル、護身用、コレクターアイテムとして人気を維持しています。
年表
ワルサー PPKに関する年表は以下の通りです。
- 1929年 ワルサーPPが警察用ピストルとして登場。
- 1931年 PPKがコンパクトモデルとして登場。
- 1930年代〜1945年 欧州各国警察・軍で採用、第二次世界大戦でドイツ軍が使用。
- 1952年 戦後、フランスManurhinで生産再開。
- 1968年 米国輸入法規制対応モデルPPK/S登場。
- 1978年 米国Ranger Manufacturingでライセンス生産開始。その後Smith & WessonやWalther Armsでも生産。
- 2000年代〜2020年代 ドイツおよび米国で生産が継続され、民間・法執行機関・コレクター市場で高い需要を維持。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
ワルサー PPKが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ゴールデンアイ』(1995年)ジェームズ・ボンドが衛星兵器奪還のため旧ソ連でテロ組織と戦う。
- 『フェイス/オフ』(1997年)FBI捜査官とテロリストが顔を入れ替え互いの人生を奪い合うアクション。
- 『ラン・ローラ・ラン』(1998年)恋人を救うためローラが20分間を何度も走り抜けるドイツ映画。
- 『カジノ・ロワイヤル』(2006年)ジェームズ・ボンドがテロ資金調達者ル・シッフルとポーカー勝負を繰り広げる。
- 『インセプション』(2010年)夢の中に侵入する産業スパイが潜在意識の奥底に隠された真実と戦うSFサスペンス。
SIG系ピストル
SIG SAUER(シグ・ザウエル、またはシグ・ザウアー)は軍・警察・民間市場向けに高品質なピストルを製造しており、高い信頼性と精度、優れた設計で世界的評価を得ています。
P220やP226などの金属フレームDA/SAモデルから、P320やP365といったポリマーフレームのストライカー式モジュラーピストルまで幅広く展開しています。
近年ではコンパクトで大容量のP365シリーズや、モジュラー設計のP320が特に注目されています。
SIG SAUER P220(1975年~現在)
SIG P220 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | SIG SAUER P220 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.45 ACP弾、.38 Super弾、10mm Auto弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:9発(初期型8発) .45 ACP弾:7発、その他口径による |
フレーム素材 | アルミニウム合金(硬質陽極酸化仕上げ) |
セーフティ | デコッキングレバー(ハンマーを安全に降ろす機能) |
開発背景 | 1975年、スイス軍の制式ピストルSIG P210の後継として開発されました。 モジュラー設計と高い信頼性で知られます。 |
製造元 | SIG SAUER(スイスおよびドイツ、現在は米国も) |
主な使用者 | スイス軍(P75として)、日本警察の警視庁警備部警護課、日本の自衛隊(9mm拳銃として)、世界各国の警察・軍隊 |
製造期間 | 1975年〜現在 |
特徴 | 「P75」としてスイス軍に採用された高信頼性モデル。 モジュラー設計の先駆けであり、日本においても自衛隊や警察の特殊部隊で採用されています。 |
SIG SAUER P220は、軍や法執行機関向けに設計されたフルサイズのセミオートピストルです。
原産国はスイスとドイツで、製造はSIGザウエルが担当。日本では新中央工業によるライセンス生産が行われました。
1975年に登場し、現在も生産が続いています。
全世界での総生産数は公表されていませんが、スイス、日本、米国の一部法執行機関を含む多数の軍・警察組織で採用されています。
作動方式はショートリコイル式で、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)構造を持ち、デコッキングレバーを搭載しています。
特徴と技術
SIG SAUER P220の特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は主に9mmパラベラムで、その他.45ACP、.38スーパーなどにも対応します。
- マガジン容量は口径やマガジンによって異なりますが、標準9mm用は8〜9発装填可能です。
- 銃身長はバリアントによって112〜120mm、全長は約198mm、重量は空マガジン時で約0.83kgです。
- フレームは軽量鍛造アルミ合金製で、スライドはスチール製です。
- サイトは固定式で、一部バリアントにはアジャスタブルサイトが装備されます。
- デコッキングレバーによりハンマーを安全に戻すことができ、マニュアルセーフティは搭載されていません。
- エルゴノミックデザインのプラスチックグリップパネルを装備し、分解整備が容易で、訓練用に.22LRコンバージョンキットも利用可能です。
- ロッキングシステムは、従来のラグではなく排莢口に直接ロックするSIGザウエル方式です。
開発背景と採用事例
SIG SAUER P220の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- P220は、スイス軍向けにSIG P210の後継として、よりコスト効率が高く、近代的なピストルとして開発されました。
- 堅牢性、命中精度、安全性、操作性を重視して設計され、J.P.ザウエル&ゾーンとの提携により、世界市場で広く採用されました。
- 1975年にはスイス陸軍に「ピストーレ75(P75)」として採用。
- 1982年には日本の自衛隊で制式採用され、旧型のピストルを更新し、自衛隊のサイドアーム近代化を実現しました。
- 日本では、警視庁警備部警護課(SP)も採用しました。
- その他、デンマーク特殊部隊、スウェーデン警察、米国ナショナルパークサービスなど、世界各国の軍・警察で使用されています。
- 1977年から1980年には、米国市場でBrowning BDAという名称で販売されました。
- P220の設計は、後続のP225、P226、P228など、多くのモデルに影響を与えました。
年表
SIG SAUER P220に関する年表は以下の通りです。
- 1975年 SIG P220が登場し、スイス陸軍にピストーレ75として採用。
- 1977~1980年 米国市場でBrowning BDAとして販売。
- 1982年 日本の自衛隊が採用決定、1983年1月に試作型100丁納入。
- 1980年代~1990年代 世界各国の警察・軍で採用が進み、多口径バリアントと派生型が生産。
- 1980年代 P226がより装弾数の多い軍用ピストルとしてP220を継承。
- 2012年以降 軍・警察・民間市場向けに生産継続、改良型や限定モデルが登場。
- 2020年代 一部組織で現役使用が続き、現代サービスピストルの礎として評価される。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
SIG SAUER P220が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ヒート』(1995年公開)ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが共演する、強盗団と刑事の攻防を描いた犯罪サスペンス映画。
- 『ペイバック』(1999年公開)裏切りにあった男が組織から金を取り戻すために戦うメル・ギブソン主演のハードボイルドアクション。
- 『マイアミ・バイス』(2006年公開)TVシリーズを基にした、潜入捜査官コンビの活躍を描くジェイミー・フォックス主演の刑事アクション。
- 『ダイ・ハード4.0』(2007年公開)ジョン・マクレーン刑事がサイバーテロリストに立ち向かう人気シリーズ第4作。
- 『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』(2015-2016)自衛隊員の異世界戦記。
SIG SAUER P230JP(1977年~/1995年~現在)
SIG P230JP 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | SIG SAUER P230JP |
分類 | セミオートマチックピストル |
口径 | .32 ACP弾 |
動作方式 | ストレートブローバック、固定銃身 |
装弾数 | 8発 |
フレーム素材 | ステンレススチール(JPモデル)、またはアルミニウム合金(通常モデル) |
全長 | 169mm |
重量 | 約690g(ステンレスモデル) |
照準 | 固定式(フロントブレード/リアノッチ) |
開発背景 | 1977年に警察・民間向けに開発されたP230を基に、日本警察の要求仕様に合わせて設計された特別モデルです。 |
製造元 | SIG SAUER(シグ・ザウエル) |
主な使用者 | SAT / 警視庁警備部警護課 / 皇宮警察 / 機動捜査隊 / 銃器対策部隊 |
採用時期 | 1995年頃(JPモデル) |
現状 | 2000年代以降、順次後継機種(S&W M360J サクラなど)に更新が進んでいます。 |
SIG SAUER P230JPは、日本の警察向けに特別に作られたコンパクトなセミオートマチックピストルです。
原産国はドイツおよびスイスで、SIGザウエル(SIGおよびJ.P.ザウエル&ゾーン)が製造を担当しました。
ベースとなったSIG SAUER P230は1977年に開発され、日本警察用モデルであるP230JPは1995年頃から日本の警察で採用が始まりました。
しかし、大量採用の計画があったものの、現場の警察官からの不満や運用上の問題により、最終的に見送られ、ニューナンブM60やS&W M360J サクラといったリボルバーに更新されていきました。
追加調達も行われず、後継モデルのP232も日本の警察には採用されていません。
特徴と技術
SIG SAUER P230JPの特徴と技術は以下の通りです。
- 作動方式はストレートブローバック式で、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)構造を持ち、ハンマーを安全に戻すためのデコッキングレバーが搭載されています。
- P230は口径バリエーションに.32 ACP、.380 ACP、9x18mm Ultraがありますが、日本警察での使用弾薬は.32ACPで、マガジン容量は8発です。
- 銃身長は91mm(3.6インチ)、全長は169mm(6.6インチ)、重量は690g(アルミフレームのP230は520g)です。
- 固定銃身により高い命中精度を実現し、フレームはステンレス製(オリジナルはアルミ合金製)、スライドはスチール製です。
- サイトは固定式フロントおよびリアサイトで、マガジンキャッチは欧州式のヒールリリースです。
- JP仕様は、標準のP230にはないマニュアルセーフティレバーが追加されており、日本警察が安全性向上を求めた結果の独自仕様です。
- シリアルナンバーや日本警察所有を示す刻印が施されています。
開発背景と採用事例
SIG SAUER P230JPの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- P230JPは、老朽化したリボルバー(回転式拳銃)を更新するため、日本の警察庁が求めた近代的で軽量かつ安全性の高いセミオートピストルの要件に応えて開発されました。
- このモデルは、リボルバーよりも装弾数が多く秘匿携行性に優れるため、主に「SAT」「警視庁警備部警護課」「皇宮警察」「機動捜査隊」「銃器対策部隊」で使用されました。
年表
SIG SAUER P230JPに関する年表は以下の通りです。
- 1960~1970年代後半 SIGがコンパクトブローバックピストルの試作を行い、P230シリーズへ発展。
- 1977年 ドイツおよびスイスでSIG P230の生産開始。
- 1980年代初頭 日本警察向けにマニュアルセーフティを装備したP230JP仕様が開発・採用。
- 1980~1990年代 日本警察で広く使用され、特に私服刑事や捜査員に配備。
- 1990~2000後半 日本警察でより新しいリボルバーやセミオートピストルへ更新が進む。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
SIG SAUER P230が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年公開)映画の中と外の世界を行き来する少年とアクションヒーローの活躍を描くファンタジーアクション。
- 『マスク』(1994年公開)ジム・キャリー演じる平凡な銀行員が不思議な仮面で超人的能力を得るコメディ映画。
- 『バッドボーイズ』(1995年公開)ウィル・スミスとマーティン・ローレンス演じる刑事コンビが麻薬組織に挑むアクション映画。
- 『フェイス/オフ』(1997年公開)ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジが顔を入れ替えて対決するサスペンスアクション。
- 『逮捕しちゃうぞ 劇場版』(1999)女性警察官が活躍するアクション作品。
- 『ガンスリンガーガール』(2003-2004)義体化された少女たちが暗殺任務を遂行する近未来ドラマ。
SIG SAUER P225(1978年~2000年代)
SIG P225 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | SIG SAUER P225(西ドイツ警察での制式名:P6) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 8発 |
フレーム素材 | アルミニウム合金 |
全長 | 180mm |
重量 | 約740g |
開発背景 | 1970年代中頃、西ドイツ警察の統一ピストルトライアル(PP-Superceded Pistol Program)の要求に基づいて開発されました。 |
製造元 | SIG SAUER(シグ・ザウエル) |
主な使用者 | ドイツ警察(P6として)、スイス警察、カナダ警察、日本警察(警視庁警備部警護課など) |
製造期間 | 1978年〜2000年代前半(P6としての生産は終了) |
特徴 | 高い信頼性と、片手での操作に適したコンパクトなサイズが特徴です。西ドイツ警察の統一ピストルとして広く採用されました。 |
特徴と技術
SIG SAUER P225の特徴と技術は以下の通りです。
- SIG P225は法執行機関や軍用に設計されたコンパクトなサービスピストルです。
- 原産国はスイスおよびドイツ。製造はSIGザウエル(SIGおよびJ.P.ザウエル&ゾーン)が行いました。
- 製造年は1976年に登場し、オリジナルモデルは1990年代後半まで生産され、2015年にはP225-A1として再登場しました。
- 生産数は非公開ですが、特にドイツ警察向け契約で数万丁が製造されました。
- 作動方式はショートリコイル作動、ロッキングブリーチ、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)で、デコッキングレバーが備わっています。
- 使用弾薬は9mmパラベラム弾(9x19mm)です。
- マガジンはシングルスタック式で、8発の着脱式ボックスマガジンを装備しています。
- 重量は空で822g(1.81ポンド)、P225-A1は865g(30.5オンス)です。
- フレームはブラックアノダイズド処理のアルミ合金(ペルナル)製です。
- スライドはスチール製で、サンドブラストとブルーフィニッシュ、またはナイトロンフィニッシュが施されています。
- サイトは固定式ブロックタイプまたはSIGLITEナイトサイトで、前後ともドーブテイルで固定されています。
- セイフティはデコッキングレバーとオートマチックファイアリングピンセイフティがあり、マニュアルセイフティは備わっていません。
- 操作系はスライドロック、デコッカー、テイクダウンレバーを装備し、マガジンリリースは左上部に配置され、一部スイスモデルではヒールリリース仕様です。
- グリップはオリジナルではブラックプラスチック製で、後にG10やチェッカリング仕様も採用されました。
- スリムで人間工学的なグリップと、悪条件下でも信頼性が高いことが特徴です。
開発背景と採用事例
SIG SAUER P225の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- 西ドイツ警察が1970年代に老朽化した.32 ACPピストルを更新するため、コンパクトかつ信頼性の高い9mmサービスピストルを求めたことに応じて開発されました。
- SIG P220をベースに、シングルスタック化、軽量化、小型化されたモデルで、警察携行や隠匿携行に適するよう設計されました。
- ドイツ警察には「P6」として採用され、ローデッドチャンバーインジケーターやハンマースパー強化など、法執行機関仕様に改良されました。
- スイスでも「Montage Suisse」として輸出され、他の欧州各国の警察機関にも採用されました。
- 命中精度、耐久性、操作のわかりやすさが高く評価されました。
- 1970年代後半から1990年代にかけてドイツ各州警察(P6として)で広く採用され、スイス警察や他の欧州機関でも使用されました。
- 民間市場には限定的に販売され、スリムな形状からコンシールドキャリー(隠匿携帯)用として人気を集めました。
- アメリカ市場では法執行機関および民間向け輸入モデルとして流通し、2015年にはフレームやサイト、フィニッシュを近代化したP225-A1として再登場しました。
- P225の設計は、後のSIGザウエル製コンパクトモデル(P239など)に影響を与えました。
- 日本警察では警視庁警備部警護課(SP)が採用しました。
年表
SIG SAUER P225に関する年表は以下の通りです。
- 1976年 ドイツ警察試験向けにSIG P225の試作シリーズが製造される。
- 1970年代後半 ドイツ警察にP6として採用され、生産が法執行機関向けに拡大。
- 1980年代~1990年代 ドイツやスイスで広く使用され、他の欧州機関にも輸出。
- 1990年代後半 警察でより装弾数の多いピストル(SIG P228やP229)へと徐々に更新される。
- 2015年 SIGザウエルがP225-A1を民間および法執行機関市場向けに再登場させ、フレーム、サイト、フィニッシュを更新。
- 2020年代 オリジナルおよび近代化モデルともに、現在も評価の高いコンパクトサービスピストルとしてコレクターなどに人気がある。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
SIG SAUER P225が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『バッドボーイズ』(1995年)マイアミ市警の刑事コンビが麻薬密輸組織に挑む。
- 『ボーン・アイデンティティー』(2002年)記憶喪失の暗殺者が自分の正体を探る。
- 『ボーン・スプレマシー』(2004年)暗殺者ジェイソン・ボーンがCIAの陰謀に巻き込まれる。
- 『ロング・キス・グッドナイト』(1996年)記憶を失った主婦が元暗殺者としての過去と戦う。
- 『ジェイソン・ボーン』(2016年)逃亡生活を続けるボーンが新たな真実に迫る。
SIG SAUER P226(1984年~現在)
SIG P226 画像出典:sigsauer.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | SIG SAUER P226 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾、.357 SIG弾、.22 LR弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:15発、17発、20発など(モデルや弾倉による) .40 S&W弾 / .357 SIG弾:12発、15発など |
フレーム素材 | アルミニウム合金(通常モデル)、ステンレススチール(一部モデル) |
全長 | 200mm |
重量 | 約964g(9mm標準モデル) |
開発背景 | 1980年代にP220をベースとして、アメリカ軍の次期制式ピストルトライアル(XM9)のために開発されました。複列弾倉(ダブルスタックマガジン)を採用しています。 |
製造元 | SIG SAUER(スイス、ドイツ、アメリカ) |
主な使用者 | アメリカ海軍SEALs、イギリス特殊空挺部隊(SAS)、連邦捜査局(FBI)、日本警察の特殊部隊SAT、世界各国の軍・法執行機関 |
製造期間 | 1984年〜現在 |
特徴 | 高い信頼性と精度、優れた操作性を持つタクティカルピストルの代表格です。多数の派生モデルが存在し、世界中の特殊部隊や法執行機関で採用されています。 |
SIG P226は、スイスとドイツで設計製造されたフルサイズのダブルアクション/シングルアクション式セミオートピストルで、軍や法執行機関向けに開発されました。
製造はスイス、ドイツ、アメリカで行われています。
1984年に登場し、2025年現在も生産が続いています。
作動方式はショートリコイル、ロックドブリーチ式で、デコッキングレバーを装備し、マニュアルセーフティは搭載していません。
特徴と技術
SIG SAUER P226の特徴と技術は以下の通りです。
- 口径は9mmパラベラムを主とし、.40 S&W、.357 SIG、.22 LR(コンバージョンキット)にも対応しています。
- マガジン容量は9mmで15発、.40 S&Wと.357 SIGで12発、.22 LRは10発です。
- 銃身長は112mm、全長は196mm、重量は約964g(マガジン込み)です。
- フレームはハードアノダイズド処理されたアルミ合金製で、スライドはステンレススチールにニトロン仕上げが施されています。
- サイトは固定式サイトまたはSIGLITEナイトサイトで、一部モデルでは調整式サイトが装備されています。
- 後期モデルにはM1913ピカティニーレールが備わっています。
- デコッキングレバーにより安全にハンマーをレスト状態にすることが可能で、ファイアリングピンブロックによる内部安全機構を装備し、高い信頼性、耐久性、メンテナンス性を持っています。
- 米海軍SEALsに採用されたMk25モデルには、耐腐食コーティングや軍用刻印が施されています。
開発背景と採用事例
SIG SAUER P226の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- SIG P226は1980年代初頭に米軍XM9トライアル向けにM1911A1の後継として提案され、P220を基にダブルスタックマガジンを採用して装弾数を増やしたモデルです。
- XM9トライアルではベレッタ92Fが採用されましたが、P226は高い信頼性と耐久性から、米海軍SEALsをはじめとする多くの特殊部隊や法執行機関に採用されました。
- 英国陸軍(ブローニング・ハイパワーの後継)、ドイツ警察、米連邦機関など、世界中の軍・警察で使用されています。
- 日本では海上自衛隊特別警備隊や特殊急襲部隊(SAT)でP226Rが採用され、特殊作戦用途に運用されています。
- P226はP228、P229、P224などのコンパクトモデルや、Legion、Elite、X-Five、X-Sixといった高性能モデルに派生しており、競技用、護身用、軍用として幅広く利用されています。
年表
SIG SAUER P226に関する年表は以下の通りです。
- 1980年代初頭 P220を基にP226の開発が始まる。
- 1984年 SIG P226が登場し、米軍XM9トライアルに提出。
- 1980年代半ば XM9トライアル後、米海軍SEALsなどの特殊部隊に採用。
- 1990~2000年代 世界各国の軍・警察に広く採用される。.40 S&W、.357 SIGバージョンも登場。
- 2000年代 レール付きモデル(P226R)、Legion、Elite、X-Five、X-Sixなどの強化モデルが登場。
- 2007年 海上自衛隊特別警備隊がP226Rを訓練公開で使用。
- 2010~2020年代 生産と配備が継続し、世界の戦闘用ピストルの基準モデルとして位置づけられる。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
SIG SAUER P226が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ファイト・クラブ』(1999年)社会への不満を抱く男が謎の男と共に裏社会に足を踏み入れる。
- 『ハンニバル』(2001年)脱走したレクター博士とFBI捜査官クラリスの攻防を描くサイコスリラー。
- 『トレーニング デイ』(2001年)新人警官が汚職刑事と共に過ごす危険な一日を描く。
- 『トランスポーター2』(2005年)凄腕運び屋が誘拐事件に巻き込まれ戦うアクション作品。
- 『ボーン・レガシー』(2012年)ジェイソン・ボーン計画の裏で動く別の工作員の戦いを描く。
SIG SAUER P228(1988年〜2012年頃)
SIG P228 画像出典:guns.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | SIG SAUER P228(米軍での制式名:M11) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 13発 |
フレーム素材 | アルミニウム合金 |
全長 | 183mm |
重量 | 約820g |
開発背景 | 1980年代後半にP226のコンパクト版として開発され、P226の信頼性と操作性を小型パッケージに凝縮したモデルです。 |
製造元 | SIG SAUER(スイス、ドイツ) |
主な使用者 | アメリカ軍(主にCID、NCIS、AFOSIなどの犯罪捜査部隊や航空隊員など)、日本の警察特殊部隊SAT、海上保安庁特殊警備隊SST、各国法執行機関 |
製造期間 | 1988年〜2012年頃(P229に移行) |
特徴 | P226の優れた性能を維持しつつ、携帯性を高めたコンパクトモデルです。米軍で「M11」として広く採用されました。 |
SIG P228は、スイスとドイツで開発された、主に軍や法執行機関向けのコンパクトサイズのセミオートピストルです。
1988年に登場し、1990年代から2000年代を通じて生産されましたが、現在も使用とサポートが続いています。
作動方式はショートリコイル作動、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)です。
特徴と技術
SIG SAUER P228の特徴と技術は以下の通りです。
- 口径は9mmパラベラムのみに対応し、標準マガジン容量は13発です。P226の15発・20発マガジンとも互換性があります。
- 銃身長は99mm、全長180mm、高さ137mm、幅38mm、重量は約800〜825g(空マガジン時)です。
- フレームは軽量で耐久性の高いアルミ合金製で、スライドはカーボンスチール製です。
- サイトは固定式フロント・リアサイトで、一部モデルにはSIGLITEナイトサイトが備わっています。
- 安全装置として、ファイアリングピンブロックとデコッキングレバーを装備しており、マニュアルセーフティは搭載していません。
- マガジンリリースは左右入れ替え可能で、グリップは人間工学に基づいたデザインです。
開発背景と採用事例
SIG SAUER P228の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- SIG P228は、携帯性と隠匿性を重視する軍や法執行機関のニーズに応えるため、P226のコンパクトモデルとして開発されました。
- 高い信頼性、命中精度、十分なマガジン容量を持ち、P226とのパーツ互換性も装備しています。
- 米軍ではM11として採用され、陸軍犯罪捜査司令部(CID)、空軍OSI、海軍NCIS、空軍航空機搭乗員、海軍SEALs、SWCCなどで使用されました。
- 日本警察ではSATや海上保安庁特殊警備隊SSTが採用しました。
- 新型モデル(P229やM11-A1)の登場後も、多くの組織で現役使用が続いています。
年表
SIG SAUER P228に関する年表は以下の通りです。
- 1988年 SIG P228がP226のコンパクトモデルとして登場。
- 1980年代後半~1990年代 米軍でM11として採用され、法執行機関でも広く採用。
- 1990~2000年代 軍、警察、民間市場で広く使用される。
- 2010年代 一部でP229やM11-A1へ更新されるが、継続運用される。
- 2020年代 信頼性とコンパクトさで評価され、現役運用が続く。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
SIG SAUER P228が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ロボコップ2』(1990年)サイボーグ警官ロボコップが新たな犯罪組織と対峙する続編。
- 『ザ・シークレット・サービス』(1993年)大統領警護を担当するシークレットサービスのベテランが暗殺者と対決する。
- 『ミッション:インポッシブル』(1996年)スパイ組織IMFの裏切りと陰謀を描く人気シリーズ第一作。
- 『ジャッカル』(1997年)冷酷な暗殺者ジャッカルと元IRA工作員の攻防を描くサスペンス。
- 『Ronin』(1998年)元CIA工作員たちが強奪計画に挑むクライムアクション。
H&Kピストル
Heckler & Koch(H&K)のセミオートピストルは、1960年代から現代にかけて大きく進化してきました。
HK4は一挺で4つの口径に対応し、P9Sはローラーディレイドブローバック、P7はガスディレイドブローバックとスクイーズコッカーを採用するなど、独自機構と堅牢なオールスチールまたは合金製フレームが特徴でしたが、重量があり操作系統も特殊でした。
一方、現代モデルではUSP、P2000、P30、HK45、VPシリーズに代表されるように、ショートリコイル方式やストライカー作動を採用し、操作簡素化と一貫したトリガープルを実現しています。
ポリマーフレームと金属インサートで軽量かつ高耐久となり、バックストラップ交換式グリップやアンビ操作系統、光学機器対応など適応性も向上し、警察・軍だけでなく民間市場でも広く支持されています。
H&K P9S(1969年〜1978年)
H&K P9S 画像出典:flickr.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch P9S |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.45 ACP弾 |
動作方式 | ローラーディレイドブローバック方式、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:9発 .45 ACP弾:7発 |
フレーム素材 | スチール製(スライドはスチール、一部ポリマーフレームモデルも存在) |
全長 | 約192mm(9mmモデル) 約194mm(.45 ACPモデル) |
銃身長 | 約102mm(9mmモデル) 約102mm(.45 ACPモデル) |
重量 | 約900g(9mmモデル、空マガジン含む) 約880g(.45 ACPモデル、空マガジン含む) |
安全機構 | コッキング/デコッキングレバー、マガジンセーフティ |
開発背景 | 1969年にH&K社独自のローラーディレイドブローバック方式をピストルに採用したモデルとして登場しました。軍・警察向けの用途を想定して開発されました。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
主な使用者 | ドイツ連邦軍(一部特殊部隊)、アメリカ海軍SEALs(MK23 Mod 0採用以前)、日本警察(SAT / 警視庁特科中隊 SAP) |
製造期間 | 1969年〜1978年(軍・警察向け生産) |
特徴 | H&K社のライフルやサブマシンガンで培われたローラーディレイドブローバック方式をピストルに採用した点で画期的でした。優れた精度と低い反動が特徴です。 |
H&K P9Sは、ドイツのヘッケラー&コッホ社が1969年に発売したセミオートマチックピストルです。
作動方式はG3ライフルやMP5サブマシンガンと同じローラーディレードブローバックで、DA/SAトリガーと内部ハンマー構造を持ちます。
特徴と技術
H&K P9Sの特徴と技術は以下の通りです。
- 対応口径は主に9×19mmパラベラムですが、.45 ACPや7.65×21mmパラベラムモデルも存在します。
- マガジンはシングルスタックで、9mmで9発、.45 ACPで7発の容量があります。
- 銃身長は102 mm、全長は192 mm、重量は約875 gです。
- フレームはプレス成形スチール製で、ポリマー製トリガーガードを装備しており、初期のポリマーコンポーネント採用ピストルの一つとされています。
- サイトは上下調整が可能で、銃身にはポリゴナルライフリングが採用されています。
- 安全機構として、グリップ左側に独自のデコッキング/コッキングレバーが搭載されており、後期モデルにはオートファイアリングピンセーフティも備わっています。
- 競技用のP9Sスポーツモデルは、5.5インチバレルや調整式トリガーストップなどの特徴を持ちます。
【補足説明】
ローラーを使用することから「P9はCz52ピストルと同じローラーロッキング構造」と説明されることがありますが、これは誤りです。
P9は「ローラーディレード・ブローバック」、Cz52は「ローラーロックド・ショートリコイル」であり、両者は異なる設計を採用しています。
開発背景と採用事例
H&K P9Sの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- P9Sは、軍・法執行機関向けに、シングルアクション仕様のHK P9を発展させたモデルとして開発されました。
- 高精度、低反動、革新的な安全システムを装備していましたが、大容量マガジンが主流となり始めた時代には広範囲な採用には至りませんでした。
- ドイツ国内では、バイエルン警察やドイツ連邦警察特殊部隊GSG 9などで採用されました。
- 日本では、SATの前身組織である警視庁特科中隊(SAP)に使用されていました。
年表
H&K P9Sに関する年表は以下の通りです。
- 1965年 西ドイツでHK P9シリーズの開発開始。
- 1968年 HK P9(シングルアクション仕様)発表。
- 1969年 HK P9S(ダブルアクション仕様)発売、量産開始。
- 1970年代初頭 ドイツ警察や特殊部隊で採用。P9Sスポーツ競技モデルも登場。
- 1978年 メインの生産期間終了。ただし民間市場向け在庫販売は継続。
- 1980年代–2020年代 先進的ドイツ製ピストルの一例として評価され、世界中のコレクターに人気。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
H&K P9Sが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ロボコップ』(1987)サイボーグ警官となった男が腐敗した犯罪都市で戦う。
- 『グッドフェローズ』(1990)実在したマフィアの裏社会を描く犯罪映画。
- 『パトリオット・ゲーム』(1992)CIA分析官ジャック・ライアンがテロ組織に狙われる。
- 『トゥルーライズ』(1994)秘密工作員の二重生活を描くアクションコメディ。
- 『スナッチ』(2000)ロンドン裏社会で繰り広げられる群像犯罪劇。
H&K USP(1993年~現在)
H&K USP 画像出典:Wikipedia
項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch USP (Universal Self-loading Pistol) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾、.45 ACP弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ブラウニング改良型)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)またはDAO(ダブルアクションオンリー) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:15発、18発(一部モデル) .40 S&W弾:13発 .45 ACP弾:12発、10発(US規制対応) (モデルおよび口径による) |
フレーム素材 | ポリマー製(スチールインサート内蔵) |
全長 | 約194mm(フルサイズ9mm/.40 S&Wモデル) 約200mm(フルサイズ.45 ACPモデル) |
銃身長 | 約108mm(フルサイズ9mm/.40 S&Wモデル) 約112mm(フルサイズ.45 ACPモデル) |
重量 | 約770g(フルサイズ9mmモデル、空マガジン含む) 約800g(フルサイズ.40 S&Wモデル、空マガジン含む) 約785g(フルサイズ.45 ACPモデル、空マガジン含む) |
安全機構 | コントロールレバーによるセーフティ/デコッキング(バリアントによる)、ファイアリングピンブロック、ドロップセーフティ |
開発背景 | 1993年に、米軍の将来的なピストル要件を満たすことを視野に入れ、また法執行機関や民間市場向けに堅牢性と汎用性を高めて開発されました。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
主な使用者 | ドイツ連邦軍(P8として)、ドイツ各州警察、米国連邦捜査局(FBI)、アメリカ合衆国税関、フランス軍、オーストラリア国防軍、アイルランド国防軍、日本警察(SAT / 警視庁警備部警護課 / 警視庁公安部) |
製造期間 | 1993年〜現在 |
特徴 | H&K独自のポリマーフレーム技術と特許取得の反動軽減システムにより、高い耐久性と射撃時の快適性を両立しています。様々なトリガーシステム(バリアント)が選択可能で、幅広いユーザーニーズに対応します。 |
H&K USPは「Universelle Selbstladepistole(汎用セミオートピストル)」を意味し、ドイツのヘッケラー&コッホ社が1993年に発売したフルサイズのセミオートマチックピストルです。
作動方式はショートリコイル、ロックドブリーチで、複数のトリガー・セーフティ構成が用意されており、DA/SA(ダブルアクション/シングルアクション)やDAO(ダブルアクションオンリー)を選択できます。
当初から.40 S&W弾の使用を前提に設計され、後に9×19mmパラベラムや.45 ACPにも対応しました。
特徴と技術
H&K USPの特徴と技術は以下の通りです。
- マガジン容量は9mmで15発、.40 S&Wで13発、.45 ACPで12発です。
- 銃身長は標準モデルで108 mm、重量は約720〜789 gです。
- フレームは金属強化ポリマー製、スライドは一体削り出しスチール製で、耐腐食仕上げが施されています。
- サイトは固定式または調整式で、トリチウムナイトサイトもオプションで装備可能です。
- USPは、マニュアルセーフティやデコッカー、デコックオンリーなど9種類の安全機構バリアントが存在します。
- 独自規格のアクセサリーレールを搭載しており、高圧弾薬使用時の反動を軽減するリコイルリダクションシステムも備わっています。
- 操作系は左利き・右利き両対応で、トリガーシステムやセーフティ構成の変更も可能です。
開発背景と採用事例
H&K USPの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- USPは、米国法執行機関や民間市場の要求に応えるべく、堅牢で現代的なサービスピストルとして開発されました。
- 米軍OHWS計画とMk23開発の経験を基に、高い信頼性、モジュール性、適応性を追求して設計されています。
- ドイツ連邦軍ではP8として正式採用され、警察や特殊部隊を含む世界20か国以上の組織で使用されています。
- USP Tactical(.45 ACP)はドイツ連邦軍でP12として運用されています。
- 日本では、SAT、警視庁警備部警護課(SP)、警視庁公安部などに採用されました。
- 派生モデルには、USPコンパクト、USPタクティカル、USPエキスパート、USPマッチなどがあり、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場したことでも有名です。
年表
H&K USPに関する年表は以下の通りです。
- 1989年 USPの開発開始。米国市場を主眼とする。
- 1992年 OHWSトライアルを経て設計確定。
- 1993年 USP40の量産・販売開始。続いてUSP9を発売。
- 1995年 USP45を発売。USP9がドイツ連邦軍にP8として採用。
- 1996年 USPコンパクト発売。.357 SIGバリアントも登場。
- 1990年代後半~2000年代 タクティカル、エキスパート、マッチ、エリートなど特殊モデルを展開。
- 1990年代~2020年代 世界各国の軍・法執行機関で採用され続け、生産も継続。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
H&K USPが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-1996)人類補完計画を巡る人型兵器と使徒の戦いを描く。
- 『ワイルド・スピードX2』(2003)元警官ブライアンがマイアミで麻薬組織の潜入捜査に挑む。
- 『コラテラル』(2004)タクシー運転手が殺し屋の仕事に巻き込まれる一夜を描く。
- 『デスノート』(2006)死神のノートを拾った少年が理想の世界を作ろうとするサスペンス。
- 『Angel Beats!』(2010)死後の世界で繰り広げられる学園アクションアニメ。
H&K P2000(2001年~現在)
H&K P2000 画像出典:hk-usa.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch P2000 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)またはLEM(Law Enforcement Modification) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:13発(フルサイズマガジン)、10発(コンパクト/USモデル) .40 S&W弾:12発(フルサイズマガジン)、10発(コンパクト/USモデル) (モデルおよび口径による) |
フレーム素材 | ポリマー製(スチールインサート内蔵) |
全長 | 約173mm |
銃身長 | 約91mm |
重量 | 約670g(9mmモデル、空マガジン含む) |
安全機構 | デコッキングボタン(DA/SAモデル)、ファイアリングピンブロック、ドロップセーフティ、オプションでマニュアルセーフティ |
開発背景 | 2001年に、ドイツの法執行機関向けにコンパクトかつ人間工学に基づいた設計のピストルとして開発されました。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
主な使用者 | ドイツ連邦警察(一部)、ドイツ各州警察、米国税関・国境警備局(CBP)、日本警察(SAT / 銃器対策部隊 / 埼玉県警察RATS) |
製造期間 | 2001年〜現在 |
特徴 | 交換可能なバックストラップ(エルゴノミクス)による高いフィット感、独自のLEMトリガーシステム(選択可能)、および信頼性と堅牢性が特徴です。 |
H&K P2000は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が2001年に発表した、法執行機関や民間市場向けのコンパクトサイズのセミオートマチックピストルです。
作動方式はショートリコイル、ハンマーファイア式で、DA/SAまたはLEM(Law Enforcement Modification)/CDA(Combat Defensive Action)トリガーシステムが選択可能です。
使用弾薬は9×19mmパラベラム、.40 S&W、.357 SIGがラインナップされています。
特徴と技術
H&K P2000の特徴と技術は以下の通りです。
- 銃身長は93〜94 mm、全長は173〜174 mm、重量は空の状態で620〜710 gです。
- フレームはスチールインサート入りのポリマー製、スライドはニトロカーボナイズドスチール製です。
- サイトは固定式の3ドットサイトまたはナイトサイトで、アンダーレールはユニバーサルピカティニーレール規格に対応しています。
- 安全機構として、複数のパッシブセーフティを装備し、DA/SAモデルにはデコッキングレバーが装備されます。
- ユーザーの手に合わせて調整できるよう、4種類の交換式バックストラップ(S, M, L, XL)が付属しています。
- スライドリリースとマガジンリリースは両側から操作できるアンビ設計です。
トリガーシステムは「DA/SA(ダブルアクション/シングルアクション)」または「CDA(コンバット・ディフェンシブ・アクション/LEM(ローエンフォースメント・モディフィケーション)」から選択可能となっており、トリガーの重さは複数のバリエーションが存在します。(以下表参照)
バリアント | トリガー | トリガープル |
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V0 | CDA/DA | コック時: 20 N (4.5 lbf) (+4/-2 N) 非コック時: 51 N (11.5 lbf) (±5 N) |
V1 | CDA/DA | 同上 |
V2 | CDA/DA | 32.5 N (7.3 lbf) (±2.5 N) |
V3 | SA/DA | シングルアクション: 20 N (4.5 lbf) (+4/-2 N) ダブルアクション: 51 N (11.5 lbf) (±5 N) |
V4 | CDA/DA | 27.5 N (6.2 lbf) (±2.5 N) |
V5 | DAO | 36 N (8.1 lbf) (±3 N) |
- V0: トリガーはデュアルステージトリガーで、常にハンマーがレスト状態のDAモードから発射しますが、作動のたびに内部メカニズムがコックされます。コックされたダブルアクショントリガープルは軽く、コックされていないダブルアクショントリガーは重いトリガープルです。
- V1: V0と同じですが、ハンマーにスパーがなく、デコッカーボタンもありません。そのため、コックされたメインスプリングを解放する唯一の方法は、薬室が空の状態でトリガーを引くことです。
- V2: V1と同じですが、トリガープルが増加しています。
- V3: SA/DAトリガーで、ハンマーの左側のスライド後部にデコッカーレバーが取り付けられています。
- V4: V1やV2と同じですが、中程度のトリガープルです。
- V5: DAO(ダブルアクションオンリー)トリガーシステムです。
開発背景と採用事例
H&K P2000の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- P2000は、ドイツ税関および欧州法執行機関の要件に応えるため、USPコンパクトをベースにエルゴノミクスとモジュール性を向上させて開発されました。
- 特にLEM/CDAトリガーシステムは、ハンマーファイア方式の信頼性を保ちつつ、一貫したトリガープルを求める法執行機関向けに採用されました。
- ドイツ税関や欧州各国警察機関のほか、米国では国土安全保障省(DHS)や移民税関執行局(ICE)によって制式採用されています。
- 日本でもSAT、銃器対策部隊、埼玉県警察RATSに採用されています。
年表
H&K P2000に関する年表は以下の通りです。
- 2001年末 ドイツ税関および欧州法執行機関向けにP2000発表。
- 2000年代初頭 欧州各国の警察・警備機関で採用開始。
- 2004~2005年 米国DHS/ICEが制式採用。
- 2000年代~2020年代 P2000SK(サブコンパクト)バリアント投入、法執行機関および民間市場で継続運用。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
H&K P2000が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ヒットマン』(2007)暗殺者とインターポール捜査官の攻防を描くアクション映画。
- 『インセプション』(2010)夢の中の潜在意識に潜入するチームの活躍を描くSFスリラー。
- 『ナイト&デイ』(2010)平凡な女性がCIAエージェントと共に逃避行するアクションコメディ。
- 『RAIL WARS!』(2014)国鉄職員を目指す若者たちの日常と事件を描く鉄道アクションアニメ。
- 『名探偵コナン 純黒の悪夢』(2016)黒の組織と公安警察の対決を描く劇場版コナン作品。
H&K VP9(SFP9)(2014年~現在)
HK VP9 (SFP9) 画像出典:HK
項目 | 内容 |
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モデル名 | Heckler & Koch VP9(米国市場名) / SFP9(欧州・アジア市場名) |
分類 | ポリマーフレーム、ストライカー方式セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾(VP40 / SFP40) |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ストライカー方式 |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:17発、15発(コンパクトモデル) .40 S&W弾:13発 (モデルおよび口径による) |
フレーム素材 | ポリマー製 |
全長 | 約186mm |
銃身長 | 約104mm |
重量 | 約710g(空マガジン含む) |
安全機構 | トリガーセーフティ、ファイアリングピンブロックセーフティ、ドロップセーフティ |
開発背景 | 2014年に、グロックやS&W M&Pなどのポリマーフレーム・ストライカー方式ピストル市場にH&Kが本格参入するモデルとして開発されました。 |
製造元 | Heckler & Koch GmbH(ヘッケラー&コッホ) |
主な使用者 | ドイツ連邦警察、ドイツ各州警察、ノルウェー警察、その他の欧州・アジア諸国の警察・軍隊、民間市場。 日本では2020年にSFP9M(塩水対応モデル)が9mm拳銃の後継として陸上自衛隊に採用。 2021年の東京オリンピックに対応するため2,000丁が調達され、全国の一部の警察で使用されています。 |
製造期間 | 2014年〜現在 |
特徴 | 人間工学に基づいた優れたグリップ(交換可能なバックストラップとサイドプレート)、優れたトリガーフィール、アンビデクストラス(左右両用)操作系、および高精度が特徴です。 |
H&K VP9(欧州ではSFP9)は、ヘッケラー&コッホが2014年に発表したポリマーフレームのストライカー方式セミオートマチックピストルです。
作動方式はショートリコイル、ブローニング型ティルトバレルによるロックドブリーチ方式です。
法執行機関、軍、民間市場向けに世界中で供給されており、同社初のストライカー方式ピストルとして位置づけられています。
特徴と技術
H&K VP9(SFP9)の特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は主に9×19mmパラベラムですが、.40 S&W(VP40)モデルも存在します。
- マガジン容量は標準で15発、オプションで17発や20発マガジンが利用可能です。
- 銃身長は標準モデルで104 mm、ロングスライドモデルでは127 mmです。
- フレームはスチールインサート入りのポリマー製で、ピカティニーレールを装備しています。
- サイトは固定オープンスクエアサイトで、光学機器対応(OR)モデルも展開されています。
- トリガーは完全プリコック型ストライカーシステムで、軽く短いトリガー移動と明確なブレイクが特徴です。
- 安全機構として、トリガー、ファイアリングピン、ドロップの複数パッシブセーフティに加え、トリガーを引かずに分解できる設計が採用されています。
- エルゴノミクス面では、交換可能なバックストラップとサイドパネルにより27通りのグリップ設定が可能です。
- スライド後部には特許取得済みのチャージングサポートが装備され、操作性を高めています。
- スライドリリースとマガジンリリースは両側から操作できるアンビ設計です。
開発背景と採用事例
H&K VP9(SFP9)の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- VP9/SFP9は、バイエルン州警察の要請により、P7シリーズの後継となるストライカー方式ピストルとして開発が始まりました。
- シングルアクションピストル並みの優れたトリガーフィーリング、モジュール性、信頼性を重視して設計されています。
- ドイツ国内ではバイエルン州警察をはじめ複数の州警察や連邦警察で採用されており、ウクライナへの軍事支援としても3,500丁が提供されました。
- 北米市場でも優れたエルゴノミクスと信頼性から急速に普及しました。
- 日本では2020年にSFP9M(塩水対応モデル)が9mm拳銃の後継として陸上自衛隊に採用されました。
- 2021年の東京オリンピックに対応するため2,000丁が調達され、日本全国の一部の警察で使用されています。
年表
H&K VP9(SFP9)に関する年表は以下の通りです。
- 2010年 バイエルン州警察の要求に基づき、VP9/SFP9の開発開始。
- 2014年6月 ヘッケラー&コッホ VP9が商業市場向けに正式発表。
- 2015~2017年 SFP9がドイツ各州警察で採用され、国際市場に展開。
- 2017~2020年代 ロングスライド、オプティクスレディ、タクティカルバリアントなど製品ライン拡充が進み、法執行機関および民間市場での採用が継続。
- 2020年 陸上自衛隊採用。
- 2021年 全国の日本警察で使用。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
H&K VP9(SFP9)が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2015)アベンジャーズの内部分裂と対立を描くMCU作品。
- 『007 スペクター』(2015)ジェームズ・ボンドが謎の組織スペクターの核心に迫る。
- 『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)サラ・コナーと新型ターミネーターの戦いを描くシリーズ最新作。
- 『ベイビー・ドライバー』(2017)天才ドライバーが犯罪組織からの脱出を図るカーアクション。
- 『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2021)犯罪組織に立ち向かう女たちの死闘を描いたバイオレンスアクション。
ベレッタ系ピストル
ベレッタは、伝統的な金属フレームのDA/SAモデルであるM9や92シリーズと、最新のポリマーフレームストライカー式APXシリーズを展開しており、高い耐久性と信頼性、優れた精度が備わっています。
たとえば、M9A4や92X RDOは光学機器搭載対応やVertecフレーム、改良型トリガーを採用し、現代的仕様が備わっています。
また、APX A1 FS Tacticalはモジュラー構造と大容量マガジンを特徴とし、80Xチーターや20Xボブキャットといった携行性に優れたコンパクトモデルも揃えています。
ベレッタは伝統的設計の信頼性と最新ニーズへの対応を両立し、軍や法執行機関、民間市場で幅広い支持を得ています。
ベレッタ 85FS(1985年〜現在)
ベレッタ85FS 画像出典:Guns.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Beretta 85FS Cheetah |
分類 | セミオートマチックピストル |
口径 | .380 ACP弾 (9mm Kurz) |
動作方式 | ストレートブローバック、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 8発 |
フレーム素材 | アルミニウム合金 |
全長 | 172mm |
重量 | 約670g |
開発背景 | 1970年代後半に、民間市場や警察の私服・バックアップ用として開発されたBeretta Cheetah(チータ)シリーズの単列弾倉モデルです。 |
製造元 | Beretta(ベレッタ) |
主な使用者 | 民間市場、警察の私服警官・バックアップ用、護身用、日本の厚生労働省(麻薬取締官) |
製造期間 | 1985年〜現在(2023年再登場) |
特徴 | 小型・軽量で携帯性に優れ、オープンタイプのスライドと露出したバレルが特徴です。特に私服警官の携行や護身用として人気があります。 |
ベレッタ85FSは、イタリアのベレッタ社が製造するコンパクトサイズのセミオートマチックピストルで、ベレッタチータ(80シリーズ)に属します。
携行性と信頼性を両立した設計で、作動方式はブローバック、トリガーはダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)です。
特徴と技術
ベレッタ 85FSの特徴と技術は以下の通りです。
- 対応口径は.380 ACP(9mmショート)です。
- マガジン容量は8発で、銃身長は3.82インチ(97 mm)、全長は6.77インチ(172 mm)、重量は約620 g(21.9 oz)です。
- フレームは軽量合金製、スライドはブルースチール製です。
- サイトは固定式フロント・リアサイトで、FSバージョンではホワイトドットポスト式となっています。
- 安全装置はフレームマウント型のアンビ(両側操作可能)セーフティ兼デコッキングレバーと、オートマチックファイアリングピンブロックを装備しています。
- グリップはプラスチックパネル仕様で、FSバージョンにはブルニトンフィニッシュ(耐腐食性コーティング)が施されています。ニッケルフィニッシュモデルも存在します。
- その他、スクエアード「コンバット」トリガーガードやクロムメッキのバレル・チャンバーを装備しています。
開発背景と採用事例
ベレッタ 85FSの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- ベレッタ85FSは、ベレッタ80シリーズの一部として、民間護身用や法執行機関向けに開発されました。
- 扱いやすいサイズと穏やかな反動、堅牢な構造が評価され、世界各国の私服警官、警備会社、民間人に広く採用されました。
- Fモデルから内部安全機構やデコッキング機構が改良され、FS仕様として1990年頃に登場しました。
- 日本では厚生労働省の麻薬取締官が採用した事例があります。
- レバノンやアルジェリアの内戦でも使用例が確認されています。
年表
ベレッタ 85FSに関する年表は以下の通りです。
- 1976年 ベレッタ80シリーズ(モデル85を含む)が登場。
- 1988年頃 Fバージョンが登場。スクエアードトリガーガード、ブルニトンフィニッシュ、セーフティ/デコッカー装備。
- 1990年頃 FSバージョン登場。デコッキング機構と安全性が改良される。
- 2017年 ベレッタ80シリーズ(85FS含む)の生産が一時終了。
- 2023~2025年 ベレッタが80XとしてCheetahシリーズを復活。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
ベレッタ 85FSが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ヒート』(1995年)ロス市警の刑事がプロの強盗団を追い詰める様子を描いた、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロ共演の犯罪アクション映画。
- 『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』(1999年)マフィアのボスである主人公が、仕事や家族の問題に苦悩しセラピーに通う様子を描いた傑作ドラマシリーズ。
- 『ブレイキング・バッド』(2008年)末期がんを宣告された高校の化学教師が、家族のためにメタンフェタミンを製造して巨額の富を築こうとするサスペンスドラマ。
- 『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年)伝説の殺し屋が、過去の因縁から再び裏社会の戦いに身を投じるノンストップ・アクション映画の続編。
- 『マーダー・ミステリー』(2019年)ニューヨーク市警の警官とその妻が、ヨーロッパ旅行中に億万長者の殺人事件に巻き込まれるミステリーコメディ。
ベレッタ 92FS(1976/1988年~現在)
ベレッタ92FS 画像出典:365-plus.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Beretta 92FS(米軍での制式名:M9) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ロッキングブロック式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 15発(標準)、高容量弾倉も存在 |
フレーム素材 | アルミニウム合金 |
全長 | 217mm |
重量 | 約950g |
開発背景 | 1975年に登場したベレッタ92の改良型で、スライド破損対策と米軍制式ピストルトライアルの要求を満たすために開発されました。 |
製造元 | Beretta(ベレッタ) |
主な使用者 | アメリカ軍(M9として)、イタリア軍・警察、フランス軍、日本警察特殊部隊(SITなど)、世界各国の軍・法執行機関 |
製造期間 | 1976年(1988年FSモデル登場)〜現在 |
特徴 | オープンタイプスライドによる高い排莢性と信頼性が特徴です。米軍の制式ピストル「M9」として長年使用され、世界中で広く普及しています。 |
ベレッタ92FSは、イタリアのベレッタ社が製造するフルサイズのセミオートピストルです。
1988年に登場し、現在も生産が続いています。
作動方式はショートリコイルで、トリガーはダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)方式です。
92シリーズ各モデルの比較表
モデル名 | 生産期間 | 説明 |
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92 | 1976年5月~1983年2月 | シリーズ初期モデル。 「ステップスライド」型約7,000丁、「ストレートスライド」型約45,000丁。 |
92S | 1978年~1982年 | スライドにセーフティ兼デコッキングレバー追加。 フレーム側サムセーフティ廃止。 イタリア警察・軍に採用。 マガジンキャッチはグリップ下部。 |
92SB (92S-1) | 1970年代後半~1980年代前半 | 米空軍試験向けに設計。 両側操作可能なセーフティレバー、3ドットサイト採用。 マガジンキャッチ位置をトリガーガード基部に変更。 SBは「Sicurezza Blocco(安全ブロック)」の意味。 |
92SB Compact | 1981年~1991年 | 92SBのコンパクト版。 ショートバレル・ショートスライド仕様で13発装填マガジン。 |
92F (92SB-F) | 1984年以降 | 連邦(Federal)仕様として改良。 全パーツ100%互換化、角型トリガーガード、グリップ前部形状変更。 銃身をハードクローム処理、スライドはブルニトンフィニッシュ。 |
92FS | 1988年以降 | 92Fの改良版。 スライド破損事故防止用の大型ハンマーピン採用。 FSの「S」は安全性向上を意味。 |
92FS Centurion | 1990年代 | 92FSのバリエーション。 コンパクトモデルのショートバレル・ショートスライドをフルサイズフレームに搭載。 |
特徴と技術
ベレッタ 92FSの特徴と技術は以下の通りです。
- 口径は9mmパラベラムが標準ですが、.40 S&W(96シリーズ)や9×21mm IMIにも対応しています。
- マガジン容量は標準で15発、20発までの拡張マガジンも利用可能です。
- 銃身長は125mm、全長217mm、重量は空マガジン時で945gです。
- フレームは航空機用アルミ合金製で、スライドはスチール製です。
- サイトは固定式の3ドットコンバットサイトで、一部初期モデルは2ドット仕様です。
- 安全装置として、スライド上のアンビタイプのセーフティ兼デコッキングレバーとファイアリングピンブロックを装備しています。
- 給排莢の信頼性を高めるオープンスライドデザイン、左右入れ替え可能なマガジンリリース、クロムライニングバレルによる耐食性などが特徴です。
- 92Fモデルのスライド破損問題を受けて、安全のためスライド破損時の飛散防止用大型ハンマーピンが追加されました。
開発背景と採用事例
ベレッタ 92FSの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- ベレッタ92FSは、1980年代に米軍のM9ピストルトライアルで勝利し、M1911A1の後継としてM9の名称で正式採用されました。
- 信頼性、マガジン容量、メンテナンス性、命中精度の高さから、イタリア、フランス、その他NATO加盟国や同盟国でも採用されています。
- 日本では一部特殊部隊や警備部隊で試験評価や訓練用として使用された事例があります。
- 民間市場や映画、ゲームにも数多く登場し、世界的に最も認知度の高いピストルの一つです。
- 米軍では2017年にSIG Sauer P320(M17/M18)へ更新されましたが、M9も引き続き運用されています。
年表
ベレッタ 92FSに関する年表は以下の通りです。
- 1975年 ベレッタ92の設計が完了。
- 1976年 ベレッタ92の生産開始。
- 1984年 ベレッタ92Fが米軍XM9トライアルで勝利。
- 1985年 米軍がベレッタ92FをM9として正式採用。
- 1988年 ベレッタ92FSが強化スライドと安全機構の改良型として登場。
- 1990~2000年代 軍、警察、民間市場で広く採用される。
- 2017年 米軍でM17/M18へ更新されるが、M9/92FSも引き続き使用。
- 2020年代 世界中で生産・運用が続く。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
ベレッタ 92FSが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『男たちの挽歌』(1986年)義理と友情に生きる2人の兄弟が、裏社会の抗争に巻き込まれる香港のクライムアクション。
- 『リーサル・ウェポン』(1987年)メル・ギブソン演じる刑事が危険な任務に挑む姿を描いた刑事アクション。
- 『ダイ・ハード』(1988年)ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンが激しい銃撃戦を繰り広げるアクションの金字塔。
- 『ターミネーター2』(1991年)未来から来た殺人ロボットと人間の激闘を描いたSFアクション。
- 『ザ・ロック』(1996年)米軍兵士たちが囚人島でテロリストと戦う軍事アクション。
ベレッタ 92FS VERTEC(2003年~現在)
ベレッタ92FS VERTEC 画像出典:guns.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Beretta 92FS VERTEC(ベレッタ92FSヴァーテック) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ロッキングブロック式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:15発(標準)、17発、20発など .40 S&W弾:10発など |
フレーム素材 | アルミニウム合金 |
グリップ形状 | ストレートバックストラップ(垂直に近いグリップアングル) |
全長 | 217mm |
重量 | 約950g(9mm標準モデル) |
開発背景 | 2000年代初頭に、ベレッタ92FSの人間工学を改善し、より多くの射手にフィットするよう開発された派生モデルです。 |
製造元 | Beretta(ベレッタ) |
主な使用者 | 一部の警察機関、民間市場、日本警察SATや銃器対策部隊 |
製造期間 | 2003年〜現在 |
特徴 | より垂直に近いグリップアングルとスリムなグリップ形状により、手の小さい射手にもフィットしやすくなっています。通常モデルと同様の信頼性を持ちます。 |
ベレッタ92FS Vertecは、イタリアのベレッタ社が製造するフルサイズのセミオートピストルです。
2000年代初頭に登場し、法執行機関、民間市場、競技射撃向けに生産されました。
作動方式はショートリコイル、ディレードロッキングブロック、オープンスライドデザインを採用し、DA/SAトリガー方式です。
特徴と技術
ベレッタ 92FS VERTECの特徴と技術は以下の通りです。
- 口径は9mmパラベラムが標準で、.40 S&Wバリアントも存在します。
- マガジン容量は標準で15発ですが、互換性のある大容量マガジンも利用可能です。
- 銃身長は標準の92FSより短い4.7インチです。
- 銃の重量はアルミ合金フレームのため、標準92FSと同程度です。
- フレームにはアクセサリーレールを装備し、ライトやレーザーの搭載が可能です。
- グリップはスリムで直線的なVertecスタイルを採用し、短いトリガーリーチで小さな手の射手でも扱いやすいように設計されています。
- サイトはフロント・リアともに交換が容易なダブテイルカットが施されています。
- マガジンウェルは面取りされ、迅速なリロードが可能です。
- 安全装置は、アンビデクストラス仕様のスライドマウント型セーフティ兼デコッキングレバーと、ファイアリングピンブロックを装備しています。
開発背景と採用事例
ベレッタ 92FS VERTECの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- Vertecは、標準92FSの大きなグリップサイズと長いトリガーリーチに対する批判に応える形で開発されました。
- 1911スタイルに近い直立したグリップ角度やアクセサリーレールといった新機能を採用することで、操作性を向上させています。
- Vertecの設計は、その後のベレッタ92X、M9A3、競技用モデルの重要な基盤となりました。
- 一部の法執行機関に採用され、日本ではSATや銃器対策部隊でも使用されています。
年表
ベレッタ 92FS VERTECに関する年表は以下の通りです。
- 2000年代初頭 ベレッタ92FS Vertecが登場。直線的バックストラップ、アクセサリーレール、交換式フロントサイトを装備。
- 2000年代半ば Vertecの生産が数年間続き、その特徴が他の92シリーズモデルへ展開される。
- 2019年 ベレッタ92Xシリーズが登場し、Vertecプラットフォームを標準化。
- 2020年代 Vertecスタイルのグリップと設計が競技用・タクティカルモデルに継続して採用される。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
ベレッタ 92FS VERTECが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『トリプルX: ネクスト・レベル』(2005年)エリートエージェントが国家の陰謀に立ち向かうアクション。
- 『ジャン=クロード・ヴァン・ダム / アサシン・ゲーム』(2011年)冷酷な暗殺者たちが繰り広げる緊迫のバトルアクション。
ベレッタ 90-Two(2006年〜2012年)
ベレッタ90-TWO 画像出典:icollector.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Beretta 90-Two(ベレッタ・ナインティー・トゥー) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ロッキングブロック式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:17発(標準)、.40 S&W弾:12発(標準) |
フレーム素材 | アルミニウム合金(ポリマー製グリップカバーによるモジュラー設計) |
全長 | 216mm |
重量 | 約920g(9mmモデル) |
開発背景 | 2006年にベレッタ92シリーズの次世代モデルとして発表されました。人間工学に基づいた改良とモジュラー設計が特徴です。 |
製造元 | Beretta(ベレッタ) |
主な使用者 | 一部の法執行機関、民間市場、日本警察SIT(特殊事件捜査係) |
製造期間 | 2006年〜2012年(生産終了) |
特徴 | ベレッタ92FSをベースに、一体型アクセサリーレール、交換可能なポリマー製グリップカバー、改良されたスライド形状などを採用し、現代的なニーズに対応したモデルです。 |
ベレッタ90-Twoは、ベレッタ92FS Vertecを近代化する目的で、2006年に登場したフルサイズのセミオートマチックピストルです。
作動方式はショートリコイル作動で、トリガーはダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)またはダブルアクションオンリー(DAO)仕様があります。
特徴と技術
ベレッタ 90-Twoの特徴と技術は以下の通りです。
- 対応口径は9mmパラベラム、9×21mm IMI、.40 S&Wです。
- 9mmは17発、9×21mmは15発、.40 S&Wは10または12発のマガジン容量を持ち、ベレッタ92/96シリーズと互換性があります。
- 銃身長は4.94インチ(125.5 mm)、全長は8.5インチ(215.9 mm)、重量は約921 g(32.5 oz)です。
- フレームは航空機用アルミ合金製で、MIL-STD-1913ピカティニーレールを装備し、取り外し可能なレールカバーが付属しています。
- グリップはテクノポリマー製のラップアラウンド式で、標準とスリムの2種類が付属し、射手の手に合わせて交換できます。
- スライドは角のない丸みを帯びたデザインで、携行時の引っかかりを抑えています。
- サイトは交換が容易なダブテイルマウント式です。
- 内部にはリコイルバッファーが組み込まれており、特に.40 S&Wモデルで耐久性が向上しています。
- その他の特徴として、クイックリ・アセンブリ機能付き自動ロッキングレバーや、非反射性耐腐食仕上げがあります。
- 安全性に関しては、スライドマウント型デコッキングレバー(Type F)、デコッキングオンリー(Type G)、DAO(Type D)の仕様が存在します。
開発背景と採用事例
ベレッタ 90-Twoの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- ベレッタ90-Twoは、市場ニーズの変化に対応するため、操作性、モジュール性、タクティカル性能を強化して開発されました。
- インターチェンジャブルグリップやアクセサリーレールといった、後の92A1や92Xシリーズに受け継がれる多くの新機能を初めて採用したモデルです。
- 一部の法執行機関や民間ユーザーに採用され、日本ではSIT(特殊事件捜査係)に採用されました。
- 標準92FSほど広く普及することなく、後継の92A1/96A1に更新されました。
年表
ベレッタ 90-Twoに関する年表は以下の通りです。
- 2006年 ベレッタ90-Twoが92FS/Vertecの後継として登場。
- 2006年~2012年 法執行機関、軍、民間市場向けに生産・販売。
- 2012年 生産終了。特徴は92A1/96A1や92Xシリーズへ継承される。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
ベレッタ 90-Twoが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『トリニティ・ブラッド』(2005年):吸血鬼と人間が対立する世界で、教会に属する主人公が戦うゴシックアクションアニメ。
- 『RED/レッド』(2010年):引退した元CIA工作員たちが、命を狙われ反撃に転じるアクション映画。
- 『バイオハザードIV アフターライフ』(2010年):T-ウィルスによって荒廃した世界で、生存者たちが脱出を試みるSFアクションホラー。
- 『コロンビアーナ』(2011年):両親を殺された少女が、成長して殺し屋となり復讐を果たすクライムアクション。
- 『トータル・リコール』(2012年):記憶操作によって陰謀に巻き込まれた男が、真実を求めて戦うSFアクションスリラー。
- 『96時間/リベンジ』(2012年):元CIA工作員の主人公が、娘と共に誘拐犯に立ち向かうアクションスリラー。
- 『ラストミッション』(2014年):余命わずかな元CIAエージェントが、家族との関係修復と最後の任務に挑むアクション映画。
グロック系ピストル
グロック製ピストルは、シンプルで高い信頼性を維持しながら、モジュラー設計や人間工学の改良、光学機器対応などが進化しています。
銃身やスライド、フレームの交換が容易で、トリガーシステムは滑らかさと一貫性が向上しています。
グリップテクスチャーやバックストラップシステムも刷新され、マガジン容量の増加、両利き対応のアンビ操作系、耐腐食性コーティングの強化など多くの改良が加えられています。
グロックはセルフディフェンス、法執行、競技射撃用途において幅広く支持されています。
グロック 19(1988年〜現在)
グロック19 画像出典:us.glock.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Glock 19 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ストライカー方式、セーフアクションシステム |
装弾数 | 15発(標準)、高容量弾倉も存在 |
フレーム素材 | ポリマー製 |
全長 | 185mm |
重量 | 約670g(空マガジン含む) |
開発背景 | 1988年にGlock 17のコンパクトモデルとして開発されました。隠匿携行性と汎用性のバランスに優れています。 |
製造元 | GLOCK Ges.m.b.H.(グロック) |
主な使用者 | 世界中の軍・警察、特殊部隊、法執行機関、民間市場、日本警察SAT、警視庁警備部警護課 |
製造期間 | 1988年〜現在 |
特徴 | Glock 17の信頼性と堅牢性を継承しつつ、小型化されたことで高い携帯性を実現。世界で最も人気のあるピストルの一つであり、幅広い用途で利用されています。 |
Glock 19は、オーストリアのGlock社が製造するコンパクトサイズのセミオートマチックピストルです。
作動方式はショートリコイル、ロックドブリーチ方式で、独自のセーフアクショントリガーシステムを採用しています。
1988年に登場し、現在も複数世代が生産され続けています。
世界中の軍、法執行機関、民間市場で最も普及しているピストルの一つです。
特徴と技術
グロック 19の特徴と技術は以下の通りです。
- 対応口径は9×19mmパラベラムで、標準マガジン容量は15発です。
- 銃身長は102 mm、全長は187 mm、重量は空マガジンなしで600 gです。
- フレームはポリマー製で、Gen4以降は交換式バックストラップによりグリップサイズの調整が可能です。
- スライドは耐腐食性に優れたnDLCまたはテナーフィニッシュ仕上げです。
- サイトは固定式ポリマー「U」ドットサイトで、交換が容易です。
- トリガーセーフティ、ファイアリングピンセーフティ、ドロップセーフティの三重安全機構を装備しています。
- Gen3以降の全モデルにアクセサリーレールが備わり、ライトやレーザーの装着が可能です。
- Gen5では両側から操作できるスライドストップや、左右反転可能なマガジンキャッチが採用されています。
開発背景と採用事例
グロック 19の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- Glock 19は、フルサイズのGlock 17をコンパクト化したモデルで、同等の火力をより携行しやすいサイズで提供することを目的としています。
- マガジン容量、射撃性、隠匿性のバランスに優れており、制服勤務と私服勤務の両方に適しています。
- 高い信頼性と整備性の容易さも世界的な普及を支えています。
- 米国連邦・州機関、英国軍、各国特殊部隊をはじめとする軍・警察組織で採用されています。
- 特にGen4およびGen5のMOS対応モデルは、米軍特殊作戦部隊でも使用されています。
- 日本ではSATや警視庁警備部警護課(SP)に採用されました。
- 民間では護身用、競技射撃、汎用サイドアームとして幅広く選ばれています。
年表
グロック 19に関する年表は以下の通りです。
- 1988年 Glock 19がGlock 17のコンパクトモデルとして登場。
- 1990年代 世界各国の法執行機関・民間市場で急速に普及。
- 2010年 Gen4が登場。交換式バックストラップや改良グリップを採用。
- 2017年 Gen5が登場。アンビデクストラウススライドストップ、nDLC仕上げ、MOS対応モデルを採用。
- 2020年代 最新世代まで継続生産され、世界で最も普及したピストルの一つとして使用され続けている。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
グロック 19が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ボーン・アイデンティティー』(2002)記憶喪失の暗殺者ジェイソン・ボーンが自らの過去と陰謀に立ち向かうアクション。
- 『ワイルド・スピードX2』(2003)元警官ブライアンがマイアミで潜入捜査を行うカーアクション。
- 『ターミネーター3』(2003)人類滅亡を阻止するためターミネーターが再び現れるSFアクション。
- 『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)追放された殺し屋ジョン・ウィックが全世界の暗殺者から命を狙われる。
- 『テネット』(2020)時間を逆行する技術を駆使し世界滅亡の危機を阻止するスパイアクション。
S&W系ピストル
スミス&ウェッソン(S&W)のセミオートピストルは、1950年代から現代にかけて大きく進化してきました。
過去のモデルはModel 39やその後継に代表され、金属フレームとハンマー作動、DA/SAトリガー、スライド上のセーフティ兼デコッカーを装備していました。
1世代目から3世代目まで進化し、耐久性や装弾数が向上しましたが、グリップ交換や光学機器対応の拡張性はありませんでした。
当時はNYPDをはじめ米国各地の警察で採用されましたが、現在はポリマーフレームとストライカー作動を採用するM&Pシリーズが主力で、一貫したトリガープル、交換可能バックストラップ、高性能サイト、光学機器対応スライドなどが備わり、操作性と安全性が向上しています。
装弾数も10~17発以上に増加し、フルサイズからサブコンパクトまで多彩なバリエーションがあります。
S&W M3913(1988年〜1999年頃)
S&W 3913 画像出典:pinterest.jp
項目 | 内容 |
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モデル名 | Smith & Wesson Model 3913 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 8発 |
フレーム素材 | アルミニウム合金製 |
全長 | 約173mm |
銃身長 | 3.5インチ(約89mm) |
重量 | 約709g(空マガジン含む) |
安全機構 | スライドマウント型デコッキングセーフティ、マガジンセーフティ、ファイアリングピンブロック |
開発背景 | 1988年に隠匿携帯およびバックアップ用として開発されたS&Wの第三世代セミオートピストルシリーズの一つです。薄型で携行性に優れています。 |
製造元 | Smith & Wesson |
主な使用者 | 探偵、私服警官、護身用として民間人、日本警察(SAT / 銃器対策部隊 / 埼玉県警察RATS / 高知県警) |
製造期間 | 1988年〜1999年頃(生産終了) |
特徴 | スリムな単列マガジンと軽量な合金フレームにより、高い隠匿携行性を誇ります。信頼性と優れた操作性で評価され、様々な派生モデル(LadySmith、TSWなど)も存在します。 |
S&W M3913は、スミス&ウェッソンが1990年から1999年まで製造したコンパクトサイズのダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)セミオートマチックピストルです。
サードジェネレーションシリーズに属し、法執行機関および民間市場向けに生産されました。
作動方式はショートリコイルで、隠匿携行(コンシールドキャリー)に最適化されています。
特徴と技術
S&W M3913の特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は9×19mmパラベラムで、マガジン容量は標準8発です。
- 銃身長は88.9 mm、全長は173 mm、重量は約794 gです。
- フレームは軽量アルミ合金製、スライドとバレルはステンレススチール製です。
- グリップは直線型バックストラップを装備するゼノイポリマー製ラップアラウンドグリップです。
- サイトはノバックローマウント固定式で、ウィンデージ調整が可能です。
- 安全機構として、両側から操作可能なスライド上のデコッカー/セーフティレバーと、マガジンを抜くとトリガーが作動しないマガジンディスコネクトセーフティが備わっています。
- 派生モデルとして、女性向けに外観やエルゴノミクスを変更した「レディスミス」モデルや、ロゴのない3913NL(No Lady Smith)が存在します。
- 2000年には、ブラックハードウェア、アクセサリーレール、リコイル軽減用バレルカムシステムを装備した戦術仕様の3913TSWが採用されました。
開発背景と採用事例
S&W M3913の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- M3913は、サードジェネレーションオートシリーズの一環として、コンシールドキャリー用9mmピストルに最新の機能を搭載することを目的として開発されました。
- パリス・セオドアが設計したモデル39から着想を得ており、小型化と9mmの威力を両立しています。
- 1990年代、米国の警察官や法執行機関職員にコンシールドキャリーピストルとして人気を博しました。
- 日本では、SAT、銃器対策部隊、埼玉県警察RATS、高知県警に採用されました。
- 映画『ビバリーヒルズ・コップ3』(1994年)、『フェイス/オフ』(1997年)、『コラテラル』(2004年)など多数の映画やドラマに登場し、日本ではドラマ「アンフェア」で主人公が所持していたことでも知られています。
年表
S&W M3913に関する年表は以下の通りです。
- 1990年 S&W M3913がコンパクト9mmピストルとして発表。
- 1990年 女性向けレディスミスモデルが発売。
- 1991年 レディスミスロゴなしの3913NLが発売され、男性ユーザーに人気となる。
- 1999年 オリジナル3913の製造終了。
- 2000年 アクセサリーレールとリコイル軽減システムを搭載した3913TSW戦術仕様モデルが登場。
- 2000年代 民間・法執行機関市場で人気を維持し、後続のコンパクト9mmピストル設計に影響を与える。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
S&W M3913が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『ビバリーヒルズ・コップ3』(1994年)エディ・マーフィ主演の人気刑事アクションシリーズ第3作。
- 『フェイス/オフ』(1997年)FBI捜査官とテロリストが顔を入れ替えて戦うジョン・ウー監督のアクション。
- 『メメント』(2000年)短期記憶喪失の男が妻を殺した犯人を追うクリストファー・ノーラン監督のスリラー。
- 『コラテラル』(2004年)マーク・ラファロ演じる刑事とトム・クルーズ演じる殺し屋が交錯するクライムサスペンス。
- 『コンスタンティン』(2005年)ラチェル・ワイズ演じる刑事が悪魔祓いの専門家とともに超自然の事件に立ち向かう。
S&W M5906(1989年〜1999年)
S&W 5906 画像出典:dorotheum.com
項目 | 内容 |
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モデル名 | Smith & Wesson Model 5906 |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ブローニング方式)、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA) |
装弾数 | 15発 |
フレーム素材 | ステンレススチール製 |
全長 | 約193mm |
重量 | 約1,077g |
安全機構 | アンビデクストラス(左右両用)デコッキングセーフティ、マガジンセーフティ |
開発背景 | 1980年代後半に、S&Wの「第三世代」セミオートピストルシリーズの代表的なモデルとして登場。法執行機関の需要に応える形で開発されました。 |
製造元 | Smith & Wesson |
主な使用者 | 米国警察機関(ニューヨーク市警など多数)、一部の軍事・法執行機関、日本の海上保安庁 |
製造期間 | 1989年〜1999年(生産終了) |
特徴 | オールステンレス製による高い耐久性と重量が特徴で、堅牢性と信頼性に定評がありました。多くの警察機関で採用され、安定した性能を発揮しました。 |
S&W M5906は、スミス&ウェッソン社が1989年から1999年まで製造したフルサイズのダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)セミオートマチックピストルです。
サードジェネレーションオートとして設計され、法執行機関、軍、民間市場向けに広く供給されました。
作動方式はショートリコイルで、ステンレススチール製のフレームとスライドを装備し、高い耐久性が特徴です。
特徴と技術
S&W M5906の特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は9×19mmパラベラムで、マガジン容量は10発および15発のダブルスタックタイプが用意されました。
- 銃身長は102 mm、全長は191 mm、未装填重量は1,070 gです。
- サイトは3ドットで、モデルによってはノバック・ローマウントサイトが搭載されています。
- リアサイトはウィンデージおよびエレベーション調整が可能なモデルもあります。
- 安全機構として、スライド上のアンビ(両利き対応)セーフティ/デコッキングレバーと、マガジンを抜くと発射できないマガジンディスコネクトセーフティが備わっています。
- グリップはDuPontデルリン製の一体型ラップアラウンドで、ストレートまたはアーチ型バックストラップが選択可能です。
開発背景と採用事例
S&W M5906の開発背景と採用事例は以下の通りです。
- S&Wのサードジェネレーションオートシリーズは、ヨーロッパ製ハイキャパシティ9mmオートに対抗し、米国警察市場でのシェア維持を目的として開発されました。
- 初代・第二世代モデルと比較して、耐久性、安全性、操作性が向上しています。
- 1980年代末から1990年代にかけて、ロサンゼルス市警察(LAPD)を含む多数の米国警察機関で採用されました。
- ダブルアクションオンリー仕様のモデル5946はカナダ王立騎馬警察(RCMP)の制式ピストルとなり、ニューヨーク市警察(NYPD)でも使用されました。
- 日本では海上保安庁が採用しました。
- 軍や警備組織でも使用例があり、映画やテレビドラマにも数多く登場し、警察用ピストルとして広く知られることになりました。
年表
S&W M5906に関する年表は以下の通りです。
- 1988年 M5906の開発と試作が開始。
- 1989年 サードジェネレーションモデルとして正式発表。
- 1990年代 米国警察機関で広範に採用され、各種バリエーションが生産される。
- 1999年 製造終了。
- 2000年代~2020年代 法執行機関放出品として市場に流通し、コレクターに人気を保っている。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
S&W M5906が登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『リーサル・ウェポン2/炎の約束』(1989年)麻薬密輸組織と戦う刑事コンビの活躍を描くシリーズ第2作。
- 『リーサル・ウェポン3』(1992年)盗難兵器密売事件の解決に挑む刑事コンビのシリーズ第3作。
- 『ポリス・ストーリー3』(1992年)ジャッキー・チェン主演、麻薬組織壊滅作戦に挑む刑事の活躍を描く香港アクション。
- 『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)少年がスクリーンの中のヒーローと現実世界で戦うファンタジーアクション。
- 『ジャッキー・ブラウン』(1997年)密輸事件を巡り騙し合いが展開される犯罪ドラマ。
S&W M&P(2005年〜現在)
S&W M&P 画像出典:smith-wesson.com
項目 | 内容 |
---|
モデル名 | Smith & Wesson M&P (Military & Police) |
分類 | セミオートピストル |
口径 | 9mmパラベラム弾、.40 S&W弾、.45 ACP弾、.357 SIG弾、.22 LR弾 |
動作方式 | ショートリコイル作動(ティルトバレル式)、ストライカー方式 |
装弾数 | 9mmパラベラム弾:17発、15発(コンパクト) .40 S&W弾:15発、10発(コンパクト) .45 ACP弾:10発、8発(コンパクト) (モデルおよび口径による) |
フレーム素材 | ポリマー製(ステンレスシャーシ内蔵) |
全長 | 約188mm(標準9mmモデル) |
銃身長 | 約108mm(標準9mmモデル) |
重量 | 約680g(標準9mmモデル、空マガジン含む) |
安全機構 | トリガーセーフティ、ファイアリングピンブロックセーフティ、オプションでマニュアルサムセーフティ、マガジンセーフティ |
開発背景 | 2005年に、グロックなど競合他社に対抗する現代的なポリマーフレームピストルとして、法執行機関および民間市場向けに発表されました。 |
製造元 | Smith & Wesson |
主な使用者 | 世界中の警察・軍(米国、カナダ、オーストラリア、メキシコなど多数)、民間市場 |
製造期間 | 2005年〜現在 |
特徴 | 人間工学に基づいた交換可能なバックストラップ、優れた耐久性、高い信頼性、多様な口径とサイズ展開が特徴です。モジュラー設計により、幅広いユーザーに対応します。 |
S&W M&P(Military & Police)は、スミス&ウェッソンが2005年に発表したポリマーフレーム・ストライカー方式のセミオートマチックピストルシリーズです。
作動方式はショートリコイル、ロックドブリーチ方式を採用しています(5.7×28mmモデルを除く)。
世界中の法執行機関、軍、民間市場向けに数百万丁が製造・供給されています。
特徴と技術
S&W M&Pの特徴と技術は以下の通りです。
- 使用弾薬は9×19mmパラベラム、.40 S&W、.45 ACP、.22 LRなど多岐にわたります。
- マガジン容量はモデルや口径によって異なり、9mmで10〜17発、.40 S&Wで10〜15発などです。
- 銃身長もモデルにより3.1インチ(サブコンパクト)から5インチ(ロングスライド)まで様々です。
- フレームはステンレスシャーシで補強されたポリマー製で、ユーザーが交換可能なグリップインサートが付属しています。
- スライドとバレルはステンレススチール製で、耐食性と耐久性を高める窒化処理が施されています。
- 安全機構として、トリガー、ファイアリングピン、ドロップの三重パッシブセーフティシステムに加え、オプションでマニュアルサムセーフティやマガジンディスコネクトが選択可能です。
- サイトはスチール製の3ドットサイトで、ピカティニーレールが標準装備されています。
- 分解時にトリガーを引く必要のない独自のテイクダウン機構を装備している点も特徴です。
開発背景と採用事例
S&W M&Pの開発背景と採用事例は以下の通りです。
- M&Pシリーズは、グロックなどのポリマーフレームピストルに対抗するため、法執行機関、軍、民間の市場をターゲットに開発されました。
- 従来のS&WシグマシリーズやSW99をベースに、エルゴノミクスとモジュール性を向上させています。
- ユーザーによるグリップサイズの変更や、アクセサリーレールの搭載、トリガーを引かずに分解できるなど、高いカスタマイズ性と整備性が追求されています。
- 現在では、M&P ShieldやM&P M2.0といったコンパクトモデル、サブコンパクトモデル、競技用、特殊用途モデルなど、広範なラインナップを展開しています。
- 米国内の多くの警察機関や警備会社で制式採用されており、民間市場でも護身用や競技用として高い人気を誇ります。
年表
S&W M&Pに関する年表は以下の通りです。
- 2005年 S&W M&Pピストル発表。
- 2006年 M&P15ライフルが発表され、M&Pブランドがライフル市場にも拡大。
- 2009年 M&Pピストルシリーズに外部サムセーフティオプションが追加。
- 2017年 M&P M2.0シリーズが登場し、グリップテクスチャー、トリガー、スチールシャーシが改良。
- 2020年代 法執行機関、民間、競技市場での人気を維持し、最新モデルや派生型が継続して投入されている。
登場する代表的な映画・ドラマ・アニメ
S&W M&Pが登場する代表的な映画・ドラマ・アニメは以下の通りです。
- 『アベンジャーズ』(2012)地球を脅かす敵に立ち向かうスーパーヒーローたちの活躍を描く。
- 『トータル・リコール』(2012)記憶を書き換えられた男が自分の正体を探るSFアクション。
- 『ワールド・ウォーZ』(2013)人類を襲う謎の感染爆発と元国連職員の奮闘を描く。
- 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)陰謀に立ち向かうキャプテン・アメリカと謎の暗殺者の戦いを描く。
- 『リコリス・リコイル』(2022)喫茶店を拠点に活動する少女エージェントたちの非日常を描くアニメ。
さらに詳しく知りたい方は以下のカテゴリー別解説をご覧ください。

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