ご質問を頂きました。
同一ハンドガンで,シルバータイプのものと,ブラックタイプのものが ありますが,材質はどのようなものを使っているのでしょうか。
また,性能などに若干の違いがあるのでしょうか。
銃の材質と色の違いについて解説します。
銃の色の違いとは?
歴史的に銃は素材として鉄(鋼)を使用し、鉄はそのままでは錆びやすいため防錆処理が施されています。
防錆処理には、ブルーイング、パーカーライジング、クロムメッキ、陽極酸化、セラコート、デュラコート、ニッケルボロン、QPQ・・・等々、様々な処理法が存在し、それぞれの表面処理によって色が異なり、コーティングで好みの色に仕上げることも可能です。
古くから利用されているブルーイングは鉄の表面に酸化物被膜を作り黒く染まるため、多くの銃は黒色や深みのある青色に処理されています。
例としてベレッタ92FSの場合、スライドはクロモリ鋼(8640鋼)にブルニトンフィニッシュを施しており黒色です。
フレームはアルミ合金に陽極酸化処理が施されており、黒色をしています。(92FSもモデルによってはスチールフレームも使用されています)
また、トリガーはカーボンスチール(炭素鋼)ですが、表面をポリマーコーティングすることで黒くなっています。
もちろん黄色やピンク色に表面処理を施すことも可能ですが、黒はコストが安く一般的に好まれやすいスタンダードな色です。
ベレッタ92FSのステンレスモデルである「INOX(アイノックス)」は、ステンレス製の銃身とスライドを使用しています。
ステンレスは錆びにくいため表面処理の必要がなく、色はシルバーとなっています。
しかし、フレームは黒い92FSと同様にアルミ合金フレームを使用しており、スライドの色に合わせてシルバーに陽極酸化処理が施されています。
SIG P226も同様にブラックとシルバーの2色が多く流通していますが、黒いP226はスライドにステンレスを使用し、フレームにはアルミ合金を使用しています。
軍においては光を反射しにくく目立たない黒色が好まれ、砂漠仕様では環境に合わせてデザートカラーやアースカラーも利用されています。
このように、銃の色と素材に相関関係はありません。
銃の色が黒くても、素材にステンレスを使用する場合もあれば、炭素鋼やクロムモリブデン鋼が使用されている場合もあります。
色がシルバーでも、ステンレスを使用している場合もあれば、アルミ合金の場合もあります。
性能への影響
素材によってコストや強度が異なります。
ステンレスは錆びにくいものの、製造コストが高くなる傾向があります。
アルミは軽量なため銃の軽量化には最適ですが、強度が必要な場所には使用できません。
そのため、現代の銃の多くは強度を必要としないフレームやレシーバーにアルミ合金やポリマーを利用し、強度が必要な銃身やスライドにはクロモリ鋼やステンレス等が利用されています。
ステンレスの銃身はクロムモリブデン鋼より寿命が長く、汚れを落としやすいことから銃身素材として最適であり、ベンチレスト競技でステンレスバレルを使用しているシューターが多いのはこのためです。
銃に使用されている素材については、記事「銃に使用される金属素材とは?どんな金属が銃に適しているのか?」もご覧ください。
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