リボルバーにストックを装着したリボルバーライフル(リボルリングライフル / リボルリングカービン)にはどういった問題があるのでしょうか?
なぜリボルバーライフルは普及しないのでしょうか?
なぜリボルバーライフルもシリンダーを左側へスイングアウトするのでしょうか?
今回はこの問題について解説します。
リボルバーライフルの問題点
問題点1 シリンダーギャップ
シリンダーギャップから噴出するガスは、ブラックパウダー(黒色火薬)を使用する時代の銃では大きな問題ではなかったのですが、現代のスモークレスパウダー(無煙火薬)を使用する銃では高圧なため危険を伴います。
そのためトーラス(ロッシ)が販売しているサーキットジャッジなどは、シリンダーギャップの下(両側)にガスディフレクター(ガスシールド)が備わっています。
これにより、ガスが腕に当たるのを防いでいます。
これはレミントン1858ライフルですが、トリガーガードの下に突起(トリガーガードスパー)があります。
射撃時には左手の人差し指をトリガーガードの突起に掛け、通常のリボルバーを両手で射撃する際と似たグリップ方法で射撃されます。
この射撃法であれば腕に発射ガスを吹き付ける心配はありません。
しかし、ストックを使用して射撃するとシリンダーギャップが顔に近いため、目の前で高温高圧のガスが噴出するという射手にとって快適とはいえない状態になります。
私もリボルバーを射撃中にシリンダーギャップから飛んだと思われる金属片(ジャケット片)が顔に刺さったことがあるのですが、シリンダーギャップからはできるだけ顔や手を離す方が良いでしょう。
問題点2 異物に弱い
リボルバーは異物に弱いという問題点があります。
砂や泥がシリンダーに付着すれば回転を阻害し、シリンダー前面は薬室内が露出しているため異物が混入すると破裂や異常腔圧などの危険を伴います。
このような問題からリボルバーライフルは軍用ライフルとして適していません。
問題点3 シリンダーが重い
通常、ライフルの薬室は1つですが、リボルバーは複数の薬室が備わっています。
薬室は使用弾薬が発生する圧力に耐える強度が必要とされ、強力で高圧な弾薬を使用すれば、それに伴って肉厚な重いシリンダーが必要になります。
そして大きなシリンダーには大きなフレームが必要となり、銃の総重量が重くなります。
リボルバーの構造では強力なライフル弾を使用するのは実用的とはいえず、使用可能な弾薬の種類が限られます。
問題点4 装填と排莢に時間が掛かる
ライフルはクリップやマガジンで装填され、着脱式では着脱が容易です。
しかしリボルバーは装填排莢の手間が通常のライフルより多くなり、時間も掛かります。
素早い再装填にはある程度のスキルが必要とされ、一般的に軍や警察には向かない機構です。
問題点5 メンテナンス性が悪い
さきほどリボルバーは薬室が複数あると説明しましたが、薬室の数が多いほどクリーニングに必要な工程も増えます。
また、リボルバーはトリガーメカのクリーニングに手間が掛かり、ライフルのようなシンプルな構造になっていません。
軍用ライフルは工具不要でフィールドストリップ(簡易分解)が容易ですが、リボルバーは工具を使用して分解する必要があり、この点で一般的なライフルに劣ります。
なぜリボルバーは左側へスイングアウトするのか?
一般的にリボルバーの多くは左側へシリンダーをスイングアウトされます。
なかには右側にスイングアウトされるリボルバーも存在しますが、相対的に数は多くありません。
銃は基本的に右利きの射手を想定して設計されており、細かい作業は右手で行うことを前提としています。
例を挙げるとパーカッションリボルバーでは、小さなパーカッションキャップ(撃発用火薬)をシリンダー後部のニップルに嵌め込む必要があり、この様な小さなキャップを扱うには利き手の方が適しています。
そのためパーカッションリボルバーはフレーム右側にスロットを設け、右側からニップルにキャップを嵌め込む設計になっています。
つまり、左手で銃を保持し、右手で装填します。
コルトSAAでも同様に、左手で銃を保持し、右手で弾薬を装填します。
小さな弾薬を持って繊細な操作が必要とされる装填には、利き手(右手)を使用することでカートリッジを落とすリスクを軽減し、シリンダーへの装填が容易になります。
同様にスイングアウト式においても、左手でシリンダーを保持し、右手で弾薬を装填する方が確実といえます。
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