【実銃FAQ】ストライクフェイス(ストライクプレート)は実用的?他

ライフルとライフル弾の画像

皆さんから寄せられた実銃に関する質問に回答します。

今回も沢山の質問をいただき、ありがとうございました。

Youtubeチャンネルでも動画で回答予定ですが、都合により編集作業が遅れており、いつまでもお待たせするわけにはいかないため、取り急ぎこちらで回答を公開します。

ボトルネック弾の弾頭は深く挿入可能?

度々勉強させてもらっています。初めての質問ですが宜しくお願いします。
質問は、ボトルネック弾の弾頭はどれだけ深く挿入出来るのか?というものです。

一般的に弾頭は長い程、重量が稼げて長距離射撃に向いていると思うのですが、ならば弾頭を深く挿入すれば長さを稼げるのではないかと思いました。

実際には発射薬を薬莢に入れてから弾頭を挿入するので、深く弾頭を挿入する事を想定するとボトルネック弾であっても発射薬の量が減ってしまいますが、仮に液体の発射薬等があったとすれば、発射薬が外側へ逃げて充分な量を確保出来るんじゃないかと思いますが、それでも薬莢の底に着くまで挿入したりすると、もしかして弾頭は射出されないんじゃないか?とも思えてきました。
言葉だけでは説明しづらいのですが、何となく弾頭底部に受ける圧力が無くなって弾頭が発射されずに薬莢のマウス部分が広がって発射ガスが逃げてしまうだけなんじゃないか?というイメージです。弾頭底部が円柱状ではなく、ボートテイルとか、弾頭を前後逆みたいな形状にすれば多少ですが斜めに圧力を受けて射出されるのでしょうか?

また、こんな弾薬が完成したら、どのような特性になると考えられるでしょうか?

【回答】

薬莢を使用しない弾薬である「ケースレス弾」のなかには、弾頭がプライマーの近くまで押し込められた状態の弾薬が存在します。例えば、H&K G11の4.73x33mm弾が良い例です。

Photo via hkpro.com

薬莢を使用する弾薬でも弾頭を深い位置に配置することは可能で、圧力も弾頭の底面に掛かりますが、この場合、初期段階の弾頭の加速が遅れます。

つまり、弾頭が進むスピードよりも圧力上昇が大きいため、通常よりも過剰な高圧状態になる傾向があります。

G11の4.73x33mm弾では、この問題を回避するために弾頭の下に少量のブースターとなる装薬を置き、撃発によって弾頭を銃身まで押した後で、メインの装薬の燃焼によって発生したガスで加速させる構造になっています。

こうしたブースターを使用しない場合は、高圧に耐えるための強固な薬室とブリーチブロックが必用となりますが、この解決方法はあまり現実的ではありません。

目的がコンパクトさではなく高圧による弾速向上の場合は、SIG社の.277 Furyのように通常通り弾頭を浅く配置し、少ない抵抗により加速させた方が安全でパフォーマンスに優れます。

コルトSAAのフレームサイズとは?

管理人様こんにちは。今回はコルトSAAのフレームの大きさについて質問があります。
45LC仕様のコルトSAAはS&Wのフレーム規格で言う所のどのフレームに相当する
大きさなのでしょうか?
今回もよろしくお願いします

【回答】

SAAに関しては特に決まったフレーム規格はありません。

形状が異なるため比較が難しいですが、シリンダー径からフレームを比較すると、Nフレームより少し小さい大きさです。

コルトSAAのシリンダー交換を想定しない理由とは?

コルトSAAについて質問です
SAAはシリンダーごと交換する再装填法をなぜ想定していないのですか?
M1851などのパーカッション式から金属薬莢式に移ったとはいえ
レミントン1858のコンバージョン型のように
戦闘中にシリンダー交換が出来た方が便利に思えるのですが

【回答】

当時は多くの弾を発射する必用と考えた場合に複数丁を携帯する方が合理的で、再装填の概念は一般的ではなかったと考えられています。

構造上、リロードには時間と手間がかかり、ストレス状況下においてスムーズにシリンダーを交換するのは困難といえます。(エアガンやモデルガンでは簡単でも、実銃では難しい場合があります)

また、当時は銃が非常に高価であり、簡単に購入できるわけでもなく、メーカーもシリンダーを予備弾倉として売り出していませんでした。
シリンダーは重いため、リロードしにくい予備のシリンダーを携帯するメリットが殆どありません。

西部劇映画「ペイルライダー」では、クリントイーストウッドがシリンダーを交換する場面がありますが、これは現代風アレンジといえます。

ただし、これはシリンダーを予備弾倉として使用していたことを示す資料が存在しないだけで、絶対的な事実とは言えません。

新たな資料がみつかれば定説が覆る可能性もあります。

2点バーストは実用的?

自動拳銃のバースト射撃について、二点バーストであれば反動制御し易くなりつつ頭部へのダブルタップが素早く中るのでは…と思いましたが、
整備性が悪化する事、一部の州を除いて民間銃のフルオート化が禁止されている事、セミオート射撃でのダブルタップより命中精度が落ちる事からやはり実用的とは言えないでしょうか?

【回答】

私もピストルでのバースト射撃は何度か経験していますが、近距離で2発命中させる場合には有効といえるものの、可能な限り全ての弾を狙った場所に命中させたいと考えたとき、バースト射撃は却って邪魔になる場合があります。

例えば、AとBのターゲットが同時に存在した場合、AABBの順番で2発ずつ命中させるよりも、ABABの順番の方がスピードで勝り、相手の反撃を阻止しやすいため効果的である場合があります。

また、距離が離れるとバースト射撃では初弾のみ精確で、2発目以降は無駄になりやすくなります。

速射のコツとして「リズム」も重要な要素になり、セミオートの一定のリズムで発射すると高い命中率を期待できます。

交戦時に火力で圧倒したい状況ではバースト射撃も効果的ですが、汎用性という意味ではデメリットになります。

セミオートとフルオートの対人効果とは?

多くのビデオゲームでは連射速度が早いもの程ダメージが減らされる様にバランス調整されるものの、セミオート射撃もその影響を受けてしまい結果的にフルオート射撃の方がTTK(Time to Kill)が早くなってしまいますが
現実でもフルオート射撃を至近距離で殆ど命中させたとしてもセミオート射撃と致傷具合が変わらないのか、逆にセミオート射撃より酷くなったりするのでしょうか?

【回答】

被弾箇所と被弾の数によります。

人間の身体は複雑で、損傷箇所や、その状態によって結果が異なります。

確率的に一発よりも複数発が命中した方が致命傷となる部位にダメージを与えやすくなるため、短時間に大量に着弾するフルオートの方がセミオートよりも早くターゲットを行動不能にできる可能性が高くなります。

一方、フルオートはコントロールが難しい場合があるため、命中率低下によって有効弾を命中できない可能性もあります。

近距離においてフルオートでも高い命中率を見込める場合はフルオートが有効ですが、ターゲットまでの距離や使用弾薬の条件次第で有効弾となる命中が難しい場合は、セミオートの方が有効といえます。

ゲームで現実の銃器の名称を使用できる?

ビデオゲームで実銃名のライセンスを回避する為の架空名を考察する際、出来れば実銃の特徴を残したい気持ちがあるのですが、
例えばアーマライト・ライフルにAL(”A”rma”L”ite)、ALRといった架空名を使うのは流石に問題があるでしょうか?
その他グロック17をG17、レミントン700をR700と略すだけなのもアウトなのか気になります。

【回答】

使用したい名前がトレードマーク(商標)として登録されているかどうかによります。

例えば、「AR-15」はコルト社のトレードマークなので無断で使用できませんが、「M4」はパブリックドメインのため誰でも使用可能です。

「G17」や「R700」もトレードマークですが、現在有効なトレードマークであるかどうかを確認して、失効していれば使用可能な場合もあります。

United States Patent and Trademark Officeのサイトで検索しトレードマークの期限や使用範囲を確認したり、直接メーカーにライセンスについて問い合わせてみるのも良いかもしれません。

インディーズでも使用許可が出る場合もあります。

AEK971はディレードブローバック?

AEK971、若しくはA545に使われているガスシステムはディレイブローバックの一種なのでしょうか?
また、チャージングハンドルが直付けされたボルトに「溝が無く耐候性が高い」と聞いた事もありますが、事実なのでしょうか?

【回答】

AEK971はディレードブローバックではなく、ガス作動のロックドブリーチです。

このライフルにはバランスドリコイルシステムが採用されており、これはボルトキャリアグループと同等の質量を持つカウンターウェイトを逆方向に移動させることで反動を緩和しています。

これは反動を制御するシステムで、作動方式とは無関係です。

「溝が無く耐候性が高い」については、どの溝のことなのか分からないので回答できません。

AR-15の発射速度を低下させる方法とは?

ダイレクト・インピンジメント方式、若しくはストーナー・ガスシステムを備えたAR-15ではフルオート射撃による発射速度が900発/分近くまで早くなる傾向がありますが(尤も、発射速度の高さはHK416やSIG MCXにも言えるのですが)、FN SCAR600発/分まで落とす事は難しいのでしょうか?

【回答】

ストック内に備わっているバッファーシステムを、重いバッファーに交換すると毎分600発ほどまで遅くすることが可能です。

具体的には、タングステンバッファーウェイトを追加するなどです。

こうしたキットは市販されています。

ちなみにAR15系でもM16A1は約毎分700~800発になります。

拡張されるFMJでも法的に軍で使用可能?

狩猟用弾薬の軍での使用についてですが、FMJ ならなんでもいいのでしょうか?
例えば、Woodleigh FMJ などのような弾頭です

Woodleigh FMJ やBarnes Busterなどの狩猟用弾薬のFMJを軍で使うことは法的にどういう扱いになりますかね?

【回答】

国際法に触れることもなく、通常のFMJと同様に問題無いと思われます。

もしかしたらハーグ条約の「ダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言」に関連したご質問なのかもしれませんが、当該国がハーグ宣言に署名している場合は、使用する弾頭によっては禁止と言えるかどうかの解釈を巡って議論の余地があるかもしれません。

このハーグ宣言は、FMJを名指しすることなく、着弾時に容易に潰れて拡張される弾頭を禁止する内容になっています。

FMJであっても、解釈によっては禁止の対象になると判断される可能性があります。

ただし、ハーグ宣言は締約国の間でのみ有効で、海賊やテロリストなど、不法戦闘員に対して使用することを禁止していません。

.350 legendの成功と.358 Winchesterが廃れる理由とは?

350 legend が成功して、358 Winchester が廃れつつある理由を教えてください。

【回答】

.358ウィンチェスターは弾道性能的にも中型〜大型の獲物に対する狩猟用カートリッジとして申し分ない性能を持つライフル弾ですが、この口径に対応するライフルが市場に少ないことがネックになっています。

同等の性能を持つ他の人気の高い弾薬が存在するとき、人気のない弾薬は流通量が少なく入手困難となったり価格が高価になり、メーカーもそういった口径に対応させることがないため、「売れないから作らない」、「作らないから売れない」という、負のループに陥りやすくなります。

一方、.350レジェンドはストレートカートリッジであり、ボルトアクションライフルからAR15まで、幅広いライフルで使用可能なため人気があります。

ストライクフェイス(ストライクプレート)は実用的?

ストライクフェイスの実用性について。
エアガンのカスタムアクセサリーなんかでたまに見るストライクフェイスなんですけど、あれって実際に公的機関で採用されたケースってあるんですかね?
曰く「銃を相手に押し付けた時にスライドが下がって撃発出来なくなるのを防ぐため」なんて言われますが、そんな限定的な状況のためにレールが埋まるようなパーツを着ける必要性を感じられないし、実際各国の特殊部隊のCQB訓練なんかでピストルを使うときもそんなデバイスをつけているところをとんと見たことがないんです。
結局見掛け倒しなんじゃないか、と思ってるんですが、実際どうなんでしょうか?

【回答】

テストとして採用した機関があるかもしれませんが、私は存じ上げません。

ストライクプレートは私も実際に購入し.45ACPピストルで実射していましたが、あまりメリットが感じられないというのが正直な感想です。

若干のフロントヘビーになるためマズルジャンプ抑制効果がありますが、コンペンセイターやポーテッドバレルの方がより大きな効果が得られます。

「銃口を押し付けてもショートリコイルによる不発を防ぐことができる」というメリットがありますが、そうした場面は特殊部隊であってもレアケースのため、殆どのユーザーには不要と考えられます。

ただ、ダストカバーにアンダーレイルが無いピストルにウェポンライトを装着できるメリットはあります。

テレスコープ弾のメリットとデメリットとは?

NGSWプログラムに参加した事もあるテレスコープ弾についてですが、
既存薬莢と比較してどの様なメリット・デメリットがあるのか、またその実用化によってテレスコープ薬莢以外が完全に廃れる可能性は無いのでしょうか?

【回答】

テレスコープ弾(CTA)のメリットは以下の通りです。

・自然発火温度が低く、クックオフの可能性が低いため安全に運用可能
・少ないパーツ点数で作動可能なため、信頼性が高い
・軽量かつ全長が短いため、これまでより多くの弾薬を携帯(輸送)可能
・弾速向上により、貫通力や命中率が向上
・互換性が高く、口径の異なるマルチキャリバーに対応可能

デメリットは以下の通りです。

・既存の銃に使用できないため、互換性がない(既存資産が利用できない)
・開発や製造にかかるコストが高く、大量生産が困難(現状)
・実戦で広く利用されていないため、信頼性が未知数

まだ開発段階であるためCTAの将来性は不明です。

仮に既存の弾薬を上回る性能やコストを実現できれば既存の弾薬が廃れていく可能性がありますが、その可能性は低いかもしれません。

CTAはライフル弾と相性が良いデザインですが、低速かつ、ある程度の大きさの口径によりマズルエナジーを得るピストル弾においては、適しているとは言い難いデザインです。

新技術と新素材は新型小火器を誕生させる?

創作をする際に良く悩むのですが、仮にガンダムみたいに軽快に動く人型機が製造出来た時にその実現に必要な「軽量で高強度な合金」、「高効率・高トルクのアクチュエーター」、「高強度・高剛性な繊維強化複合材料」、「柔軟性と耐久性を兼ね備えたソフトロボティクス素材」といった新素材が人間向けの小火器にも応用出来たとしたら、歩兵向け消尽薬莢や電磁銃等の信頼性が改善されたり既存小火器を代替する程の新型小火器が生み出される可能性もあるのでしょうか?

【回答】

可能性はあります。

ハイテク装備の導入、射程距離の延長、火力の向上、貫通力の向上など、これらの目的を実現しようとすると装備の重量増が避けられないため、現在の軍では装備の軽量化に強い関心があります。

そういった意味で、これまでにない新しい素材や技術は目標の実現に必要不可欠といえます。

歩兵向け消尽薬莢については、小火器用ケースレス弾が第二次世界大戦時から研究が行われ、近年では米陸軍のLSAT(ライトウェイト・スモールアームズ・テクノロジーズ)プログラムでも実現されていました。

しかし、実際の運用になるとまだ問題が山積している状態のため、現在の技術ではまだケースドカートリッジに利点があります。

とはいえ、冷戦時代のケースレス弾と比較すると飛躍的に性能が向上しているため、運用レベルで可能性のある分野です。

電磁銃(コイルガン)も100年以上研究されている分野ですが、近年では非致死性の銃として販売されている製品も登場し始めました。

未だに重さ、携帯性、信頼性、コストなどの問題がありますが、新しい技術によって解決が期待できます。

現実的には、製品を完成させる技術を得られても、大量生産の難しさや汎用性や互換性の問題など、運用レベルに至るにはハードルがあり、既存の銃器の性能やコストを上回るメリットを作れるかが課題となります。

ですが、それらを解決できる素材や技術を得られたら、これまでにない高性能な銃器が開発されると考えられます。

ホローポイント弾では線条痕の判定は無意味?

銃弾について質問させて下さい。

拳銃を使った事件などで線条痕(ライフルマーク)が証拠となったりすることがありますが、ホローポイント弾を使った場合は線条痕は無意味になりますか?

【回答】

無意味にはなりません。

線条痕は銃身内の凹凸が弾頭に接触することで残ります。

ホローポイント弾は他の弾頭と同様に銃身と接触しながら銃身内を加速するため、弾頭には固有の線条痕が残ります。

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