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ライフル弾の弾頭は薬莢内に深く挿入可能?

9x39mm Photo via cartridgecollectors.org

皆さんからいただいた、「銃の疑問」に回答します。

度々勉強させてもらっています。初めての質問ですが宜しくお願いします。
質問は、ボトルネック弾の弾頭はどれだけ深く挿入できるのか?というものです。
一般的に弾頭は長い程、重量が稼げて長距離射撃に向いていると思うのですが、ならば弾頭を深く挿入すれば長さを稼げるのではないかと思いました。
実際には発射薬を薬莢に入れてから弾頭を挿入するので、深く弾頭を挿入する事を想定するとボトルネック弾であっても発射薬の量が減ってしまいますが、仮に液体の発射薬等があったとすれば、発射薬が外側へ逃げて充分な量を確保できるんじゃないかと思いますが、それでも薬莢の底に着くまで挿入したりすると、もしかして弾頭は射出されないんじゃないか?とも思えてきました。
言葉だけでは説明しづらいのですが、何となく弾頭底部に受ける圧力が無くなって弾頭が発射されずに薬莢のマウス部分が広がって発射ガスが逃げてしまうだけなんじゃないか?というイメージです。弾頭底部が円柱状ではなく、ボートテイルとか、弾頭を前後逆みたいな形状にすれば多少ですが斜めに圧力を受けて射出されるのでしょうか?また、こんな弾薬が完成したら、どのような特性になると考えられるでしょうか?

ボトルネック弾の弾頭は深く挿入可能?

薬莢を使用しない弾薬である「ケースレス弾」のなかには、弾頭がプライマーの近くまで押し込められた状態の弾薬が存在します。例えば、H&K G11の4.73x33mm弾が良い例です。

Photo via hkpro.com

薬莢を使用する弾薬でも弾頭を深い位置に配置することは可能で、圧力も弾頭の底面に掛かりますが、この場合、初期段階の弾頭の加速が遅れます。

つまり、弾頭が進むスピードよりも圧力上昇が大きいため、通常よりも過剰な高圧状態になる傾向があります。

G11の4.73x33mm弾では、この問題を回避するために弾頭の下に少量のブースターとなる装薬を置き、撃発によって弾頭を銃身まで押した後で、メインの装薬の燃焼によって発生したガスで加速させる構造になっています。

こうしたブースターを使用しない場合は、高圧に耐えるための強固な薬室とブリーチブロックが必用となりますが、この解決方法はあまり現実的ではありません。

目的がコンパクトさではなく高圧による弾速向上の場合は、SIG社の.277 Furyのように通常通り弾頭を浅く配置し、少ない抵抗により加速させた方が安全でパフォーマンスに優れます。