FBIはホローポイント等の実験において、瞬間空洞や永久空洞より貫通力、バリスティックゼラチンの深さ、深度を重要視しているようですが、それはなぜでしょうか?
私は貫通力よりもホローポイントの永久空洞などの広がりが大きい方が、より血を多く出せそうなので効果的だと思いました。
ターゲットを一瞬で行動不能にするには、重要な臓器や中枢神経にダメージを与える必要があるため貫通力が必要です。
中枢神経の破壊には貫通力が必要
ホローポイント弾の目的はターゲットの行動を一秒でも早くストップさせ、反撃の機会を奪うことにあります。
失血により行動不能となるまでには多少の時間が必要であるため、急激な失血がない限り反撃の機会を与えかねません。
そのため、瞬間的に行動不能にするには神経系(特に中枢神経)を破壊するのが確実です。
中枢神経は脳から脊髄に伸びており、背中側に集中しています。
身体の正面から着弾すると弾は筋肉、肋骨、臓器を貫通しなければ中枢神経に到達できません。
また、常に真正面から着弾するとは限らず、ターゲットが前屈みになっていたり、頭部や胴体に命中する前に腕に命中すれば心臓や中枢神経までの距離は遠くなり、到達するにはより高い貫通力が必要です。
そして頭部も同様に、硬い前頭骨を貫通させ、脳幹に到達する性能が必要です。
そのため、FBIではホローポイント弾に12~18インチ(30~45cm)の貫通力を要求しています。
中枢神経に命中しない場合は、内臓のダメージや失血で行動不能にする
命中する場所は中枢神経がベストですが、これは非常に狭い範囲であり、命中させるのは簡単ではありません。
そのためホローポイント弾は着弾時に弾頭が展開し大きな永久空洞を形成するよう設計されています。
これによりダメージの範囲を広げることで多くの血管を切断し、臓器に与えるダメージが大きくなることでターゲットの行動力を奪います。
また、貫通力があればダメージを与えられる箇所が増え、どの方向から弾が着弾しても心臓に到達しやすくなります。
どこに命中しても死亡リスクがある
ホローポイント弾の銃創はFMJなどと比較すると大きくなるため出血が多く、血圧低下により意識を失うまでの時間が早くなりがちです。
映画の影響なのか、よく「犯人の足を撃てば良い」と言う人がいますが、アメリカでは誤って自分の腕や足を誤射して死亡するケースも多く、場合によっては手足への着弾は胴体への着弾と同様の致命傷となりえます。
つまり、身体のどこに命中しても死亡リスクがあるが、一瞬で行動不能にするには中枢神経を狙う必要があります。アメリカの警察特殊部隊のスナイパーライフルは米軍のスナイパーライフルより高い命中精度を要求されていますが、これは狭い範囲の中枢神経(脳幹)に命中させる必要があるというのが大きな理由です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
もしご質問やご意見がありましたら、お気軽にX(旧ツイッター)やYoutubeチャンネルでお知らせください。